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継承物語  作者: 伊阪 証
王国騒乱

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22/74

絶望の恋と希望の恋

フクマツ君の一人称は今話から僕に変えます。

キャラによっては感情の状態で違うのが割と。

性癖には勝てなかったよ。

あとユウキの使命を定義してるとこ。本来本編には絡むけど昔は裏をかいていたけどもういっそとかけなくした。


追記:構想自体は出来てるし次の話も出せるけど箱イベやるので…

演説はアナーキストらしく、滅茶苦茶なものだった。

「正義と秩序、その差異において我々は使命を頂いたもの、私は技術を持った使い魔、殺人こそ世界を救う、それこそ我々の未来でしょうや。」

狂狂、任狂、逆狂、秘狂、愛狂。狂団は過去に捨てられた集団であり、各国に紛れ攻撃を仕掛け、挑発を偽造する厄介な連中である。元は単純な左翼であったが、後に暴走し、内部決裂を起こし、私設軍隊と合流した。



広い世界をつくろう、どんな正義でも受け入れられる。誰もがが誰もがを通せる世界を。

そうして彼は世界を広くした。その結果、若かった妖精は言った。

日が見えない、それはお前のせいだ。

神の厄介な機能を封じ込め、継がれる様にした。


継ぐには承る必要がある。誰かのエゴを認め、実現まで支える。また、その過程で自分の生を捧げた頃に、物語は完成する。

唯一の友人であっても、それは成立する。

・・・正義がそれには少し邪魔かもしれない。

果たして君にできるだろうか、私は外にて待とう。


ユウキの趣味は歴史書作り、死人は罵倒しても影響が無いのと、元から罵倒するという概念が抜け落ちた様な存在が為に中立的に物を見れる。

そして、今迄は長い間待って既存の人物を変えうる人を探さなければいけなかったが、今は違う、コウキという増えたり強くなったりが変わった人物が居て、どうしても我慢出来なかった。

じゃあ、逆にその知識は聞くだけで満足するだろうか。いや、見なければ満足しないものだ。

「・・・サキュバスといい、夢魔の族は思考に防波堤を張る・・・が、思考を分割すると違和感が産まれる。」

フクマツは思考を強制的に固定する事に対策法を思いついていた。

「後で『どうして自分はこうしなかったか。』そう考える事は多い。これはサイクルを早める事で対策出来る。僕に対し隠し持った物を全力で隠している。」

その答えを暴くのは早く、しかしフクマツは手を緩めない。警戒を解かないのだ。

「ユウキ・・・?」

「・・・ご、ごめんなさい。嘘付いて・・・。」

自分は敵意を素早く消す。驚いた分のフィードバックが来たのか、痙攣を起こしていた。

「・・・なんだぁ。不安に思っていたがそうでも無かったかぁ。」

「反省はしているよ・・・。」

安堵して敵意を解くと、ユウキは崩れ落ち、受け止められる。

「で?誰?」

「彼はユウキ・タカハシ。使命によって人を傷付ける事が出来ない存在です。人を殺せば死にます。」

「・・・細身も・・・。」

「超回復や細胞の交代で苦しむからです。薬害もそれなりに。」

「・・・帰る訳には行かないからなぁ・・・まぁいいか。四人で守れば良いんじゃないか?」

フクマツは航海の心得があると聞いたが、それは確かな様だ。仲間の取捨選択を早々に決めない。手を常に多くしておくのだ。

切り替えて進む。歩く事にも一々苦労が伴う・・・生きる事にも苦労が伴い、成長すら損害にしかならない彼は、自分と対照的に身長で置いてかれている。

「・・・さぁて、じゃあ昼休憩と同時に話し合いをしよう。説明も全然出来てないしな。」

鳥の肉を焼き、そこら辺の塩湖から持ってきた塩。盗難品とか衛生観念とか生きるのに気にしてはいけない。羅生門というやつだ。

彼の一言目は手渡す様に慎重で静かだった。

「竜王は神格だから丁重に扱わないといかん。」

「先ず何の為に探してるの?」

「・・・国が嘗て親族争いを起こしてた頃、助けてくれたんだ。」

あまり集中はしていなかった。

涎のない儘ある程度噛み、ユウキに口移しで入れる。身体の所有者は事実上チェルノボグであり、歯が動く事にも痛みが伴う。流動食でも喉が広がると痛む。フィードバックには最小値のラインがあり、最大値は死だが、最小値は凡そ10kgの負担・・・普通の人間なら未だ良いが、痛みと看做される要素がすぐに積み重なり、噛めば一度につき50kgのエネルギーが何らかの形で掛かる。人を殺せば理論上負担で千切れていき砕け散るとか。

その状況でも話を続ける。

「だが竜を実際に見た訳じゃない、だから蜥蜴一匹でも多く助けて、日々願っていた位には大事だ。」

服の袖から懐いた一匹が出てくる、それを撫でるが、食事前に飲んでいた彼の漢方・・・良く考えたら蜥蜴が原料ではないかと思い出すが、忘れた事にしておく。

「西の方にいる。王都を狙った襲撃に竜王を利用されているんだ。友人もそれを目指しているらしい、これは好機と思わんか?」

そして、竜王勢力は王国に敵対しているらしい・・・。と思っていたが彼の話を聞いていると若干違和感があるのだ。それについて聞いた所・・・。

「竜王は脱皮をする、そして恐れるべき事にその皮を被ると眷属の竜になっちまう・・・つまり皮と人で竜の量産体制に入れるって訳だ。」

神格故に質量が少なく、物質だけを再現し、現象の燃料に元の人間を使う。故に竜王の贄・・・という訳だ。とはいえ、それなら竜王を動かした方が良いのでは?となる。幾ら数があっても、竜王が弱いとは思えないのだ。・・・と聞いてみると、確かに強いは強いと言っていた・・・それと同時に意志の制御が難しいと言っていたのだ。先の話に戻しながら言うことには。

「しかし竜が脱皮を起こしやすくなるのは成長が促される寝ている時・・・麻酔として運用できるものが少ない分、違法とされる薬物を直に利用しているケースも多い。」

「(薬物めっちゃ使われるな。)」

『(植物として強いし需要高いからね。)』

「(植物として強い?)」

『(積極的に食べられる性質を利用して増加するとか・・・。死にやすいからこそ次が存在しやすいんだよね。)』

「(ごく普通の話だった。)」

そう、結論として竜王は敵側では無い。人数規模やスピリチュアル性が弱く狙う価値はあったが、竜王だけ奪取すれば十分な可能性があった。

「眷属は火と氷を使う。」

体内の油を用いて火を着火、それで燃やすらしい。火力はあるが脅威ではない(定期)を兼ねているとは思うが、実際は酸欠で殺しにくる超陰湿な戦法である。ハイペースじゃない彼の呼吸法が組み込まれている為ある程度不死を誤魔化す術はある。不死の穴とか弱点は未だ理解していない。柔軟性があり、切断や骨折は起きる。修復が簡単に出来るだけで微塵切りゴミ箱廃棄一定周期でプレス機するだけで完封出来る。核兵器が通じないとキレ散らかすタイプの将が居ない限り誰でも倒せてしまうのだ。あと、途中で罪悪感から助けようとする奴により停止されるとか。・・・焼かれたフリして見るのも良いかもしれないが、出来るだけ回避しよう。生姜焼きにされるかもしれない。

氷漬けが中々に不味い、他はこれを食らった瞬間即死の危険性がある訳だ。・・・と少し考えるが、こっちはどの様な仕組みであろうか。擬似的な時間の遅延で原子の動きが乏しくなり、寒いと感じるアルトリウス。それと同じタイプだと厄介過ぎる。竜自体が鎧として、修復材料として使う可能性もある。そもそも物体が少ないのにそれでも硬く、壊せない可能性があるのだ。

「それで日本刀だ、ヨーロッパの対人戦と決まった様な武器より何かよく分からんけどノリで作り上げてしまったオーバースペック武器の方が強い。届けばの話だが。銃弾は基本的に通じないぞ。」

そりゃあ銃弾は威力が低過ぎれば殺傷能力としては実用性が無く、殺せる威力に上げた所で上げ過ぎれば貫通してかえって威力が下がる。銃は何処までも対人戦に向き過ぎているのだ。高速弾・・・ドイツの方のゲウェアー等を使うべきだも言っているのだ。

「竜は人よりは大きい、が物質が少ないので損害はあまりない。致命傷にするには奥の贄を狙う必要がある・・・刀なら刺してギリ届く。」

「大太刀・・・薙刀作り方をミスしたみたいな刀だね。」

「そうでもしなきゃキツいんだよ。そろそろ定期確認を兼ねた合流時間だ。」

焚き火を管理しつつ、火力を強める準備をする。煙の上がり方と油の使用で違いを分けているらしく、これは仲間が数人出来たという印らしい。

「あ、あれが我が友だ。」

木が段々歪む、曲がり、避けては崩れるか折れるものもある。しかしその数は極小数、それ以外は元に戻る。振動する事が興奮の残りの様に。

香水の匂いがする、強烈では無いが、森の中でさえ微かに感じられる、いや、単純に風が当たり吹かれる量が多いのだ。

「・・・でっか。」

身長2mちょい、女性的な身体と言うより胸が主張を止めない。栄養素維持はまだしも、心臓が悲鳴をあげる程体格が安定している。人間には維持不可能・・・偶然がなし得た理論値、そして努力の賜物。愚かで無知な不幸を嘲笑う様な姿形。

「こんな可愛くてデカい奴が世界回ってたんだぜ?僕なんかじゃ忘れられるだろうけどよぉ、こっちは違う違う。島の端っこで頑張っただけのマイナーと全ッ然違うぞ!」

フクマツは彼を絶賛する。肩を組むと少し辛そうな程高い。

「御評判に預かりまして、私は・・・。しがない者ですので、名前も覚えなくて結構です。名前は和と言います、わでもなごみでも、覚えていただけたら・・・少し嬉しいかと・・・。」

「なごさん?」

『(非推奨。)』

「なーちゃん!」

『(そういうのでいいんだよそういうので。)』

「なーちゃん!よろしく!」

『(コウキって元こんな性格なんだ・・・。)』

現在、ヘカテーは父がコウキである事は理解している、しかしそれ以外に不確定要素を起こさない様にするべく取り敢えずパパとは言わなかった。

「・・・若し、彼を知っているなら言わないであげてください。誤魔化した方が良いと釘を刺されていて・・・。」

「・・・?」

『(・・・コウキが察している・・・?でもフクマツで有名な日本人なんて・・・。)』

実際、疑問だった。顔で覚えてもあまり心当たりは無いし、文明が風化しているのに似た人物が居たら逆に怖い。既に居たが原型は無いし。

『(いや、世界に目を向ければ居るな。)』

だとすれば。

『(あー、何か全部腑に落ちた。)』

彼の名前も、功績も、理解した。目的もだ。・・・だとすれば、何れ敵になる。組み込むか、消すか。・・・メルリウスに一度伝えるか迷うが、先の事が危険と踏んだ。アルトリウスも何時か追い付く。そっちに頼るべきだと判断した。

「本当に男?」

「はい、なんなら見せますよ。」

「見なくていいかも。」

「そうですか。」

『(見たくないので良いと思います。)』

「(私が今更想像しても悲しいだけだからやめとく。)」

『(結構切実な理由・・・!)』

産まぬ人間に生殖器は無い出番なんてどう考えても無いのだ・・・。

「なんでそんな格好なの?」

「えーと・・・それは複雑な事情がありまして・・・。」

一旦息を入れ、無駄に頬を赤らめながら話し始めた。

「中東で女性解放運動に巻き込まれた時に言葉が通じず女性と勘違いされたり王様が不機嫌で薄布を着て踊らされたり衣服が無かったりヨーロッパを旅していたら肉体美で惚れられて途中までドレス着せられたりインドの居酒屋みたいな所で女性として混じったら奢られる回数が多かったので節約の為に頑張ったり。

(十分程度同じ様に続く。)

巫女のバイトしてみないかと自分の信仰する神と同一の存在に遭遇したり言葉が通じないまま服を買っていたら婦人用だったり似合うよと言われたり。衣服が無かったり。」

「(半分位日本が結構な戦犯だった・・・!!)」

しかし疑問に思った事がある。日本語らしき言語は使っていないし、使えないと言っていた。謙遜かもしれないがだったら着る理由は余程無さそうだ。

「(・・・あれ、日本語通じてないのに似合うよ・・・。)」

一つ心当たりがあるとすれば・・・。

「(お前も加担してたなフクマツ・・・!!)」

割と仕事はキッチリ行う、お約束に強い男フクマツはこんな所にも痕跡を残していたのだ。



粗方予想が着く人にとって、今の光景は見るに堪えないものでもあった。

「なんか、若干困惑するね、語弊あるけど。」

「分かる気がします。」

『生きる分ストレスが掛かるからこんな感じでネジ外れてないと生きれないだけだと思う。』

「幻滅する位生きなきゃやってられないんでしょうね。僕には分かりかねます。」

「大丈夫。」

「え?」

「ユウキは優しいから皆から信頼される。だから死なない。」

「嬉しいですねぇ・・・チェルノボグのお節介に比べてかなり気持ちいいです。」

流れ弾が本人が居たらヘッドショットを起こしそうな勢いで飛んで行った。現在彼女は慌ててベッドを庭に投げ飛ばしている。母親譲りの怪力である。アスタルトが居場所を把握している為、余程の事態では無いが・・・自分が不安に思う事が珍しいせいか、只管慌てていた。

「そういえばユウキの使命ってどんな感じで反射されるの?」

「・・・えーと。」

『血や肉、骨までは渡らないけど神経の動きはそっくり再現されるみたい。でも相手を治しても回復はしないみたい。』

「そっかー・・・自分傷付けて回復とか考えたけど・・・。」

「治癒目的でするとフィードバックされるので・・・。」

「厳しい。」

『(これってチェルノボグに反抗しないのは抱かれている間抵抗して何処か触ればその快感も痛みもフィードバックされるから・・・? というか性行為の時凄まじい事になるのでは・・・?)』

「(ヘカテーちゃんから物凄い邪念を感じる。)」

そんな会話はこれ以上したくないと打ち切ったコウキはヘカテーに幻滅する前に事を進める。

「着いた。此処が予想していた竜王の現在地だ。」

竜王の現在地・・・というよりこれは最早自然物としてカウントするべきでは、と思った。エアーズロックが丸々建築物だったかの様な建築だったのだ。

「こんな建築、普通は危険でしない。」

「材料どうなってんのさ。」

「地震が無いから手抜きでも出来る。」

「それでもこうはならないよ。」

「的勢力は数万人の規模、特筆して強いものは・・・竜王の眷属だ。アレを各箇所から焼き、焼かれる前に探し出し、脱出。キルスコアや手段は一切問わない。メルリウスとユウキは下で待機だ。地下に通路がある。」

と言う命令を受け、各自行動に移る。・・・少し気に食わない所があるとすれば、自分だけ一人だった事だ。



エリニューエスからの評価は上がるがやはり気に食わない・・・と言うより王国の情勢に最も詳しかった彼女からすれば、気に食わなくて当然だ。

リーツィアは申し訳なさそうに言う。

「ありがとう、貴方に助けられた。」

「・・・良い子も、裏の顔があるもんなんだな。」

「昔の血迷った自分は・・・。」

「今、血迷っている俺に言われてもなぁ。」

「血迷っているのかなぁ?」

「祈らなかった人間には統計が見えないし、祈りを諦めた人間は統計以外見えないもだ。互いが互いに高め合うのを足の引っ張り合いと勘違いした様な連中に成長なんかあるものか。」

「だとしたら、貴方のお陰で成長出来た。」

手を添えられると、握り返す様にするべきかと思ったが、そうじゃないと牽制される。触れられた時に彼女の指は、確かに冷たかった。

「私は過去にそうあれと言われたけど・・・私が悪くなる事で兄を善人に仕上げようって魂胆だからって逃げてきた。」

しかし彼女は強く手を握る。して欲しくないのではない、自分に共感して欲しいのだと理解する。

「二回も助けられたのに、感謝を忘れてた。感謝ってどうやってするもの? 教えて貰える?」

「感謝は形態を持たないものだ。相手を喜ばせる様なものなら・・・。」

続ける前に止められると、囁かれる。誘う様に、惑わす様に。

「キスってした事、ある?」

「無い。」

家族のもの一つ無い理解してしまう程キッパリとした答え、落胆や諦めの様な性格から程遠い彼の素行を考えれば、それは確かな事らしい。

「私のこのキスはどんなに辛い依頼をこなした人間、男女問わず行い、骨抜きにしたのよ。」

侮辱するは己、二度三度と己に叩きつける。それを止めて欲しいかの様に、或いは、後悔する様に。実際は真逆、返事をしない事を期待していた。浮かれた様な状態にすれば、自分のやりたい事を遂行出来る。それが失望か、惚気かなんて考える必要は無い。自分の自信は、確かなものだ。

「皆これの為に努力して、互いを邪魔しあっていたの。」

するりするりと手を添える、重ねる。そして、そこまでの状態、取り返しのつかない所で優しさを悪用する。

「・・・そして、最も今、価値が無いもの。数百回は繰り返したつまらないもの。・・・それで、良い?」

優しく見て、そして目を真ん中から蕩けるように糸にする。

「貴方には感謝しているけど、価値のあるものじゃなくて、楽しませる・・・意味のある・・・そして、私が最も好きだと思える行為を自分なんかに目を付けた頭のおかしな子にしてみたいの。」

寄せては深く、糸が解れる。

「・・・はぁ・・・。」

解れを解かぬまま、顔を見せない様に寄せる。肩が合わさり、首からは体温しか感じれなかった。

「これで似た者同士・・・互いが馬鹿な行為をする事が最も敬意ある行動じゃない?」

自分で言った後につい笑ってしまう。恥晒しの様で、後味の悪いものだ。それが本来の姿なのに、意味が違う様に思えたのだ。

「・・・そういえば貴方幾つ?・・・四捨五入した値で良いから・・・。」

「十歳未満。」

クローン基準である。

「・・・私よりも年下?」

不安がった、と言うより衝撃を隠せない。知識は分かるが、判断力は段違い、青二才どころか黒十才と言えば良いだろうか。

「えーと・・・私は十三、貴方と近い・・・かな?」

自分の歳も言っておこうとしているが、それでも良いかと思いつつ、若干悪い事をした気がする。

そしてコウキはとり直し、漸くその空虚が戻る。

「一応・・・ナイフの一本は隠し持っとけ。」

信頼の護身道具を渡す、彼女の先の様な緊張感は無い。柔和で穏やかな顔ではあるが、神妙だとついつい思ってしまう。

「一本ね・・・何本持ってるのよ今。見ている限りで二十本あるけど?」

と身体の奥を覗いてくる事だけは、成長なのかもしれない。



少し後の話。

「・・・エマか。」

「エマよ。」

呆れた声で対応をする。

居るなら問題無いと話を始めたのだ。

「コウキは質としちゃ善人が過ぎる。・・・そして思考が未だ組み立てられていない。脳が使い込まれていないんだ。意識すれば覚えているが、意識から外せば只の素人だ。」

それは先も言及された事だ。人間は死を経験する事で様々な絶望を味わい、諦めてしまう。ショック状態が意志に発生するのだ。・・・それを乗り越える事は難しい、ロタールは超えてきた一人である。

「何処まで行っても他人なんだろうよ、ヘカテーが繋ぎ合わせに苦労していた訳だ。」

会話の違和感や、行動の意味・・・命を捨てる様に戦い、結果的に生きているだけ。それがどうも引っかかるらしい。

「これから苦労するぞ、ここで性格を捻じ曲げちまえばもう後戻りは出来ない、英雄を作るか、虐殺者を作るか、それを言っておかなきゃなと思っただけだ。」

エマに刺したのは、深い釘だった。公爵の妻という母性や、元の性質を信じた、ティアマトやデメテルには出来ない物を見出していた。そして、同時にコウキと言う存在が如何に扱うには難しいかを。

「既にコウキは一度失態を犯している。その反動を喰らい、深い傷になるだろう。・・・その時に、最も良い手はお前だろう。」

それは、これから先の話であるかのように語る。自分がどうにか出来るのだろうか、疑問に思うが、覚悟だけはする。自分より適役は居るだろうに。

「エリニューエスは危険を回避出来るが、危険があるからこそ成長もある。」

希望を託す。男にとって最も救いである存在は女である教える為に。エマは、自信を同じく女から虐げられる事で見失っていた。夢は前借りである、その夢で補っていた者を失った女はどうなるだろうか。

「魔女である所以は、何も変わった性質を持っていないから、ある程度の知能や性格、知見がある。それだけで充分だ。」

集団の恐ろしさは、気付いた頃には遅い。女の手がするりと落ちた時、涙するのだ。ロタールには、副官が最後で誰も居ない。彼には周囲の人間が死に巻き込まれる恐怖が常にある。・・・それが、切り替わったのだ。

「救いの手が魔女だとすれば、お前は救世主の母だ。・・・似通っているが、もっと根っこに近い存在なんだ。」

彼女が魔女である事を否定する。

「・・・お前が何をしたか知らんが、アクセサリーの悪い噂は偽造だ。色々調べたが確証が無い。」

罪状なんてない、己の負の意味は無い。そう言い切った。それは一大勢力からの認定である。ここからは自分と彼に向き合えと言っているのだ。後ろ盾が増えた安堵で、足元が崩れそうにすらなった。

「・・・寿命が短い辺り、本当に信用されていないんだな。あんなに良い奴なのに。」

ロタールはそれの裏腹にアルトリウスを比較に持ち出す。あの冷徹な行動は失った者にしか出来ないのだと。エマは・・・一体何処に組み込まれるだろうか。そう思ってしまうのだ。失う前に失った場合、諦め切れない意志が直接精神に侵食する。子供でもそうだが、経験の少ない人間程、記憶は危険なものとして機能する。それがエマとコウキ間で起きると何となく思っているのだ。エマは如何に傷を与えず、コウキヘの自己犠牲を完遂出来るのか。・・・自分の今出来る事はコウキもエマも死なせない事である。・・・最早自分に大事なものは無い。破滅的に狩ろう。どうせ自分に届く刃物なんてあの二人以外有り得ない。

そんな事を内心考えていたが・・・。

「・・・うん?」

それは、懸念でもあった。

「嘘だろう?西部王が一週間満たずでここまで制圧?」

疑問に思ったが、直ぐに理由は解消される。

「数万師団・・・?」

狼煙に関して細かい規定があり、そこから推測する軍の数は・・・。

最低600万人の動員、西部国30%の物量。

地平線の向こうにさえも、狼煙はあった。数十分経てば攻城戦成功の狼煙が上がり、空の状況をものともせず制圧する。

「・・・あの人の波、逆に王国の邪魔になっているのか・・・不味い、追い付かれたら終戦後軍法会議息だ・・・!」

強いて不味いと言えば・・・。

「コウキ!軍法会議行きになる前にさっさと敵を潰すぞ!」

「えぇ!?なあんも悪い事してねぇよ!?」

「存在を恨めそんなもの!理不尽が無きゃ成立しねぇんだ人間は!」

事実上のタイムリミットが発生した所で王都に向かわざるを得なくなった・・・。

ユウキが居ない事に慌てるチェルノボグと理由を知っているアスタルトが証言を追加してとんでもない事にならなきゃ良いが。馬鹿共の逃避行とついでに国を滅ぼす話である。



さぁて、それでは地図上から確認しよう。上の液状金属群は推測してあと二ヶ月で最初の自然物に接触する。魔術に転用されない、ソロモンの範囲ギリギリを狙っているのだ。

「今考えると、大質量落下のエネルギーってソロモンが持っていったんじゃないか?」

実際に地面に叩きつけられた量は凄まじいが、上にもある程度エネルギーがかかっている。

「抑えてんのか・・・。というか死後も機能するのか。それかソロモンクラスの魔術の使い手がいるか。災害を意図的に召喚して、その生死を加速させ、エネルギーを生産する。」

様々な可能性を考える。その時の為に西部王は周辺国家にも攻撃を観光し、北も南も同時に侵攻、蠱毒を勝手に作るまで待っている。

空の意味とは・・・と思っていた所。

「ダガン、結構早かったな。」

「・・・あれ?ツッコミは?」

「お前なんてそんなもんだろ?」

「・・・うん。」

「あったかな予備・・・これか?これか?」

「アルトリウス・・・少し。」

対面で話そうとすると、水を渡され、いつも通りに受け取ってしまう。何千年と同じくした事で自分は恋を終えた様で新たな感覚が恋を誤認させてくる錯覚を見続けていた。自分は見た目をもっと見られたかった。人があんなに嫌いだったのに、元に戻される所か自分の憧れから愛情、恋に様々な感情を抱いてしまう相手を見つけてしまった。それはストレスを晴らす為でもある。自分はもう気が狂ってしまう、意志を失い、役立たずになってしまう。そんな気がした。コウキという存在が、恐ろしかった。復讐に似た感情が自分の中にはあったのだ。

「私はもう、戦いたくない。」

帝国単騎侵攻最強格は、自ら手を引いた。

傷や継承を重ね、そして留めに・・・アランの継承があった。彼女がアランの継承者であり、そして最も信頼された相手である。理由を聞かないままでいると、血を拭い、スキットルから酒を飲む。

「私、お母さんになりたいの。」

先の衝撃を忘れ、吹き出した所、帝国最強のビンタで顎が外れかけたアルトリウスであった。若しかしたら酒を渡していたかもしれないと一回スキットルを見直す。・・・というのは置いておき、動揺は無かった。それは別に良いんじゃないかという証でもある・・・アランの計画はここでも頓挫したのだ。・・・しかし、これは一枚岩の思惑ではなく、王国の作戦が成功した事で攻撃手段を失っていたのだ。・・・帝国も、少し相手を舐めて居た所があったのだ。そうなっても問題無い様に計画を練っていたという点を除けば、成功である。王国は帝国の喉元をかっ裂ける位置にいる・・・というのを忘れてはならない。大軍を差し向ける事も、想定済みである。

ジーメンス直々の指揮により『人道作戦』が決行されたのだ。

メルリウスの部下の名前。

ノア・イアン・テイラー

キャロライン・ジョサイア・アレン

二秒で考えた。


当方のコミュニティではカラオケにおいてしゃくりで点数を稼ぐ事を『しゃくれる』と言い大変不名誉な行為となっております。


(本来のタイトル何にしようとしたっけ・・・。)

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