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継承物語  作者: 伊阪 証
王国騒乱

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21/74

一命或いは数名

編集して何が起きたか教えてやろう。

簡単に言えば固有名詞間違えた所時事ネタの方が予定調和してきて冤罪ヘッドショットした。

・・・どうなっている。

「王国はこんなにも人が居たか?」

アルトリウスの足元には踏み場もない程死体が存在する。油が燃え、繊維が千切れ、動く死体が何個もあった。

衣服も無く、動物の様に攻撃してくる。

「主よ、消耗戦ですが21cmの後退、厳しいと言わざるを得ないかと。」

「俺は問題無い、殿はしておく、戦略的撤退だ。」

「了解しました。」

「天然要塞でもなんでもいい、防衛戦に備えろ。機関銃を解禁する。」

「主の無事を祈ります。」

「お前の無事を祈る。」

「そのお言葉に答えさせて頂きます。」

別の通信兵が来た、天幕内部とはいえ、周りに多くの通信兵が居ることは確認出来る。

「エリニューエスからの連絡です。ベースは人では無いとの事、そして、自分は無関係である、材料が足りない。と主張しております。」

「そうと分かって安心した。・・・ならば、答えは一つだ。」

天幕を超える声で、周囲の兵士に知らせる。

「災害認定、恐らく『二次災害』だ。名称を『悪意の玉座』と定義し、鑑定班に投げろ。対処法は知性なき人の殲滅と仮定する。」

解散の足音が聞こえた・・・只一人除いて。

「夜叉が出現しました。」

「夜叉・・・いや、夜叉ってなんだ。」

「軍旗によるものです。アルトリウス卿、重ねて報告が。」

「何だ。」

「夜叉の文献が存在しました。」

「・・・ほう。」

「広めたのはゴットヴィーン・シュターミッツという今は学者だそうです。一方でジルヴィア・シュターミッツというそれに反抗する学者も居ました。」

その二人は親子関係で、父と娘、母親は死去、娘は姉妹構成だが姉の方は亡くなったそうだ。・・・戸籍等は存在しているが、死亡関係は場所によって異なり、管理は杜撰と言った所か。

「完璧な存在、神の影として我々への恩恵と定義した夜叉がゴットヴィーンの説です。」

聞いてはみるが、少しオカルティックが過ぎる。神をシステムと割り切って用いている上層部に対し、あまり質の良いものでは無かった。学者が自称であるほどに思える。

「夜叉は既に死した為に死なずである。遺体を壊すその時こそ、終わりである。・・・との事。」

実際の文章を覗くと、製法が記載された書を納める・・・つまり機密化された情報であると確信する。

「ゴットウィーンの前の職業は?」

「家具職人です。」

「家具と言えば石化技術がイタリアにはあった、それとも違いそうだがどうだ?」

「可動域はしっかりしています。有り得ません。」

「ジルヴィアの方を確認。」

「了解しました。」

「・・・やがて天国に至る時、その四肢やその体は燃えていてはならない。土葬が望ましい。・・・ゾロアスター教への反対、いや、決別はそこまでになったか。」

ペンを置き、整理を終わらせる。暇潰しに考える行為にも、若干楽しさがあった。アンチカトリックとして被虐の中過ごした過去、プロテスタントの人間に助けられたが、害悪魔術を使う魔術師として差し出した事。・・・それでも、自分は人間として生きている。神話という幻想が科学以外に転用される事はあってはならない。科学という神話を最も長く見て、最も信仰している・・・だからこそ、彼は技術を育て、諸問題の解決を出来ると言い切る理想主義者。・・・だから、皮算用ばかり繰り返す。

「外見の良い人間を石化するとか、そういう方向性もありだな、逆ピグマリオンとガラテアという感じで。」

眠り転けた部下を何人か起こし、戦場に向かう。

「その二人を確保しろ、状態は問わない。必要量あれば良い。」

戦場に駆り出し、武器を何時ものように構える。彼に銃は不要だが、珍しく銃剣付きで持っている。

「隊列変更、市街殲滅戦。」

「毒ガス散布用意!」

「機関銃陣地設置完了!」

「塹壕戦準備!訓練通りにやれ!」

「布陣終了!」

部下は指示を行い、自分は悠々自適に手を伸ばす。

「英雄誕・・・確かにこれは素晴らしいな。」

狙撃銃の命中率は格段に上がった。自分に対してのみだが。フランシス・・・恐らく、WW1の狙撃手、フランシス・ペガァマガボウだ。ビリー・シンに並ぶ狙撃手でもある。

「指揮官の位置を指示する、上空から降ってくるものは警戒しろ。それ以上は介入しない。勝手にやれ。」

「全権委任承諾、アルトリウス卿が出られるぞ!下がれ!」

「・・・良し。」

「ロタール公は?」

「一旦捕縛してメルリウスに強制的に感情を解除させた。まぁ、性格は良い奴だ。気にすんな。脱出してもやる事は一つだろう。」

しかし銃のアイデンティティを奪うのは良くない、捜索と調整の代理位に用いよう。・・・それか・・・。

「サーチアンドデストロイ、それに最適だな。」

豪脚にて地を叩く、剣を握り、土を飛ばす。抜刀につき犠牲は五、二刀流でもないのに、烏合の衆を相手ならと容赦なく、一刀にて斬り伏せる。振り上げた剣に人の波は出来る。

人の山が散る、無限に生産された人を切り払い、液体の金属の傘になる。

「・・・殺さなければ恐らく窒息する、ペースを上げて行うか。」

彼は何処までも尋常の存在ではない。萎縮する兵士も居れば、惚れる兵士もいる。恐怖と強者、細身とは言えない体でさえ細く見える程の威力を持つ。彼は人間括りでは扱ってはいけない存在だと理解させられるのだ。

「伝令です。王国は南方より接近してきたものは駆逐すると民主国より。」

「連合軍作戦はこれで封じたな。」

「連邦国は総意として有効な人材以外は安全を約束出来ないと。」

段々と彼の狙い通り・・・消耗戦への切り替えが進む。互いが互いを信用出来ない、悪辣な戦いへ。



記憶こそ人の本質、魂は存在しない。記憶が人を作るのだ。

意志はシャム双生児であれば二つ、通常であれば一つ。脳に宿るものこそ意志だ。故に、相容れずであれば競争し、相容れるものであれば共存するのだ。

遠征公ロタールは駅を用いた馬の交代でかなりの距離を走った。彼は夜叉の真逆である。記憶はやがて意志として死後も機能するのだ。

正義は燃ゆる、己が何をすべきか問い掛けるのだ。

辿り着いた、その場所へ、その死の空間へ。一瞬の先を闇とする空間に突入した。

森林の間から衝撃が来る。直感一つで避けられたコウキは、衝撃に耐えかね、吹っ飛ばされる。

「・・・貰った!」

猛毒の存在だが、それを一切感じさせない彼は一心不乱に体を壊す、千kmの旅の後、彼は強襲を仕掛ける。

その速度は砲弾に及ぶ、凄まじい速度で剣戟が放たれた。世界から音が一度消え、戻る迄に時間が掛かった。

上半身と下半身が分離する光景を見た気がしたが、あまりに鋭角に折れ曲がる為に錯覚しただけだった。

これが人間の究極、その一人。

公爵の名に恥じぬ執念であった。彼女が耐えたのと、殺すつもりはなかった事を、あの時の光景を漸く理解した。

同じく毒使いだが、ロタールの毒はあくまで防具、オマケ程度に過ぎない。しかしあの速度、今の自分には再現不可能な技能だ。

「詫びる、そして、今終わらせる。」

ブレーキとして運用した右脚を軸に、素早く左脚を回し、押し出す。その左脚は相手の胴体から下腹部迄を大きく抉ると表現する程に深くめり込ませた。体型が変わり過ぎて恐らく骨が原型を留めない程度には砕けただろう。

止めない、そして、調整を終わらせ、ここからが本領発揮であった。

衝撃と毒霧で立ち去る事を余儀無くされる、破壊行動の為に命は消耗されるのだ。

「アレは粉々に砕けば終わらせれるな?なら十分だ。」

「(そんな一筋縄でいくものか?)」

自分には若干の疑いがあった、実際、再現不可能でなくとも胴体は粉砕出来る。軽く蹴って骨が折れる事もあるのが人間だ。

「・・・何となく察した。そうすれば砕けるかどうか確かめられるな。・・・足りるか?」

「エマ!対物ライフルを渡せ!」

「はいよっ!」

対物ライフルのケースをコウキの所に持っていく、身体の修復中だが、気を急かし開ける。

突然エマが倒れたのを受け止め、危ないと伝える。

「ありがと、コウキ。」

「怪我は無い・・・か。」

「こ・・・腰が・・・。」

「こんなデカ乳してたらそうなる、減らしとくか。」

「やらんぞ小娘。」

「(外見そこまで差がないのに年齢差七倍位だったな。)」

「銃のスペックは触って理解して、以上。要求された物を用意しただけで試作品。良いね?」

「問題無い。」

身体の修復を終えて、立ち、体を一度解す。死体になると半日以内にしなければ蘇生出来ないらしいのでもう少し派手にやっても良かったかもしれない。しかしエリニューエスがPTSD患ったりしたら・・・まぁ、終わりだろう。己が死なないに越したことはないか、やはり。

「当てれる?」

「リーサル・ウェポンを思い出せば行ける。」

「大丈夫?あの子死なない?」

「多分俺がヒロインだ。」

「ちょっとだけ離れるね。」

バイポッドは設置出来ない、腕を組むと多少ブレるだろうと考え、スタンダードにフォアグリップを握る。セミオートライフルとしては上々だ。7.92mm、酸化アルミニウム並の硬度ではあるが身体の治りが不十分なせいか何の弾か分からない。タングステンだろうか。口径も他対物ライフルより遥かに細い。ナノテルミット反応を進化させた・・・次世代の銃火器だ。

「確実に当てる。今度こそは頼んだ。」

嫌味がましく。

「今度は当ててよ?」

「(シバくぞ。)」

ロタールは立ち上がった夜叉を蹴る、踏み込みが深くなりつつも、足は止まない。夜叉の胴体が曲がり、空へ飛んでいく。強く、激しく、遠く。凍り付く程の風の中に放り込まれる。

機械の光は宇宙を連想させる。浮かんだ夜が自分の反対側に存在する。そんな日に死体の女は何処までも星のように映えていた。未だ言葉すら交わした事が無い相手だが。

自分は少し噛み締めをキツくした。これはまるであの時ではないか。だが・・・今度は理由が違うと自分に言い聞かせる。

私が母と会えなくなったのは、あの日以降だった。

一度迷った、そして躊躇いすら覚えた。自分は殺さねば出来ぬ人間だと、死を振りまかねば生きれぬ人間だと、不殺の中で理解していた。死を受け入れていたのだ。

「・・・っ。」

ああそうだ、やろう。彼女への恩か。あの殺気を思い出して自分は助ける為に迷いを振り切った。

遥か遠くの夜叉を見据えて・・・自身の持つ銃は強く放たれる。高威力を以て空高くを射抜く。

重力は理解している。針で刺された分、同じ様なもので仕返しをしよう。

この威力でさえ、夜叉には通らない。諦めすら覚えるが、吹っ飛んではいく。

無重力圏、飛行要塞の真下。液体の金属が飛び交う危険地帯、そこに鉄の塊が飛んで・・・その濁流に呑み込まれ消えていく。

「(不死とか言われてる位だし多分生きてるだろうけど時間稼ぎは出来るな。)」

弾丸が届かない、勢いにもならない。

もう、自分には手を出せない状況になった。

少々休憩の時間。武器の整備でエマは苦労している。城主の娘が看病を行い、ロタールは蒸気に覆われて川に浸かっている。全裸を湯気が覆い隠す光景は面白いぞと言われたが立てない状況にあった。

「・・・対物ライフルを支え無しに撃ったらそうなるよ。身体がボロボロなら尚更。」

主治医エリニューエスのそんな話を全く聞かないのが彼である。

「ロタールやべぇな、あれが公爵か。」

「そんなに強いんだ、小手先とか武器の私達にはどっちも上限突っ込んでる感じにしか見えない。」

「パフォーマンス用にもやってる奴と比較するのはいかんよ、アレは火力をパフォーマンスにしてしまっただけでそんな事は何一つ考えてない。」

「どの道食らったら気絶するし。」

「敵にならないなら当らない、それだけだ。」

背中を支えられると、随分と楽になった。

「目指すなら、私も手伝うよ。」

「助かる。」

「でもそれは危険だから改修して返す。馬車と馬は追加で持ってきたから。」

「・・・腰砕けない?」

「・・・今度はね。」

さて、こんな問題もあった。

「ミスした関係で喧嘩が起きてるぞ〜いいぞ!やれ!賭けるか。」

「コウキ。」

「エリニューエス。」

「コウキ。」

「あれ、全然ぶつかんないね。互いに負い目を感じてはいるらしい。」

互いに力む、踏みとどまっているだけで、一触即発な状況であった。

一歩目はコウキ、後に引くエリニューエス、しかし二歩目も先に進められ、戸惑いがあった。自分は相手の心情を物理的に観測出来る身であり、それを理解してしまう。だから攻撃の意思こそあれ、それ以上の何かを分かっていた。

・・・そして、互いに抱き合う・・・。と言うよりはコウキが強く抱き締めている。痙攣混じりに、それでいて重く。

「もう・・・あんな事は起こしたくないから・・・良いか、これから誤魔化す時はこうする。」

「・・・うん。」

静寂は一瞬だった、エマは金銭を要求する。

「エリニューエス落ちたからお前の負けだ週給寄越せ。」

「マジかよ。」

「(結構な額渡したけど一体何処の人なんだろう。)」

「お嬢ちゃん、詮索はナシだ。」

「(銀行システムあるのに週給持ってるのが一番違和感あるが・・・、自分が一番信頼出来るのかもしれん。)」

実際は貴族としての週給であって土地収入とはまた別・・・つまり端金だから持っているだけである。

そしてもう一つ。彼女の経歴である。

「名前、良いかな?」

「リーツィア・フォン・シュタウフェン。」

「リーツィアか・・・。(エリさん、確認を。)」

「(・・・ごめん、ちょっと個人的に言いたいことがあるから主導権貰うね。)」

彼女は一度咳き込むと、話を始めた。

「差別の大戦犯、シュタウフェンね。」

彼女は何も応答しない。

「帝国を爪弾きにしていた結果、爪弾きになる側になった原因にして現過激派最大勢力。古い東方人に対しつり目を侮辱し、西方を称え、失敗した。バカってね、学歴や数字じゃ観測出来ないの。ハヤオ・ミヤザキは鎖に繋ぐ事とコカ・コーラを飲ませる事は同レベルの悪行であると書く、貴女も所詮その一種よ。」

「違う!私は正義を履行した!」

「反吐が出る正義って事ね。戦争は正義と正義のぶつかり合いじゃないわ。邪悪と邪悪のくだらない争いを他者に行わせるだけの話なの。貴女はその正義によって王国を滅ぼそうとする勢力が出る迄差別を広げていた。これが甘えじゃないなら何なのよ。私は彼女を連れていくの、反対。今すぐに抹殺しておいた方が良いと思うわ。」

「・・・反対だ。」

「は?」

「え?」

「俺は・・・変わろうと努力している人間だけは笑えない。バカに出来ない。」

「コウキ、そういう問題じゃないの。」

「俺は善性を感じた、正義ではなく・・・不器用な優しさとして・・・。彼奴の目は、ダメな奴を理解している目だ。・・・家族構成も見たが、兄二人・・・。男を見てきた人間だ。どうしようもない位理不尽で宛もない願いだが、補填はする。」

「週給とか?」

「そんな事するのはお前だけだよ。」

余計な話をしている馬鹿は置いておき・・・。

「エリさん、お願いだ・・・。」

「・・・せがむな!お前の言葉は・・・お前のは・・・断り難いんだ!」

「(惚気けてる・・・。)」

「(魔女ってちょいちょい初心なの居るよな。)」

「コウキ、お前は何がしたいんだ?」

「・・・。」

言えるはずがない、コウキは災害ではなくなった為にその人助けや殺さない事をやってみたかった。実際は只の好奇心なのだ。

だが、コウキはこの中で唯一知っているものがある、それを踏まえ、言葉にする。

「死んだ先には・・・何も無かった。」

殺された際に記憶は継承される。それはつまり死を知れるという一風変わった性質である・・・しかし、輪廻転生を操作し生き残れるが、死後の世界や極楽、地獄も何も無い。この世界で続きうる限り永遠に循環するのだ。

・・・若しかしたら、実際は実験の途中の光景を死後と思っていたのかもしれない。

しかし、彼は生きる人間の中で最も死の先に詳しい人間であるのも事実。

「・・・自分がそうならない為にも、他人をそうしたいと思わないんだ。」

エマは隣に添い遂げる様に近付く。ロタールとしては、その行動は若干異質に思ったが、疑うというマイナスの感情になってはいなかった。

「私は力になる、コウキの実力ならこの程度の事、支障はないって信じてる。」

その感情を見たなら、話の主導権を少し貰い、折角なので意地悪をしてみよう。

「・・・若し、他人を減らした方が自分の死を遠ざける状況だったら?」

と聞くが、反応は芳しく無かった。予想はしていたが、ここまで無反応なのはどこか引っ掛かる。

「いや、意地が悪いな。覚悟は見た、お前は英雄になりたいんだろう?」

反省はここまでしなければ意味が無いと割り切って、いっそ勧誘にさえしてしまおう。

「・・・無理とは言わん、だが、その程度を言い出せない儘で英雄になれる訳が無い。」

精神性の弛みを指摘し、それを深く掘る。分かり易く、感覚的になる様に。

「普段の会話も調べたが、お前は戦いに関しては割り切れているが、それ以外はてんでダメだ。戦いに関連する様々な技術を扱えるのも事実だ。・・・しかし足りない。」

そして畳み掛ける、最後の言葉は、最も深く刺さる様に仕上げたものだった。

「兵器を技術に変えろ、それが最もお前を英雄に出来る道具だ。」

手を差し伸べた様に誤認する程度には、自分は感心してしまっていた。そして武器を持たなかった自分は納得を全くもってしていたのだ。

「お前に分かる事かどうか、知った事では無い。だが、エリニューエスがいる限り、それは言い訳として成立する。人らしくする手段は揃っている。・・・後は、お前がどうするか、だ。」

・・・自分はもう目指すべきものを見つけている。自分には出来なかった事だ。

「ロタール公、俺は、『人の英雄』になりたい。」

ハッとした様に反応すると言ってもどこか流れる様でもあった。久々の瞬間的な鼓動が来た。直感的に英雄の気配がしたのだ。・・・覚悟が変わった人間を観察する事は、何時だって楽しいものだ。

「・・・良いんじゃないか?エマが好む理由が分かった。」

「飽きたからよ。」

「コウキ、実はエマはな・・・。」

「・・・!?」

「・・・いや、大した事じゃないが、言えば本人は恥ずかしくて死んでしまうだろうな。」

「!?!?」

「何時か聞けば良いさ、エマもそろそろ、自分の人生を楽しまないと・・・後悔するぞ。」

遠征公ロタール・・・彼は享楽的で切り替えの早い・・・掌返しの早い人間だ。しかし、物寂しい感覚のする、虚無性の高い人間である事は否定出来ない人間だった。



巻き戻して抱き合っている頃の話・・・。

少し遠くだが彼女の目は冴えている。

「何してるのアレ。」

「うん?あぁ・・・お盛んだね。熱く抱き合ってる。」

「コロス。」

「おっと、やめよう。アレ、互いに殺意と愛情を持ってる。」

「???」

「コウキはそんな人かい?」

「違うかも。(解釈不一致)」

「なら違うだろうね。」

メルリウスは息を整える。国境ギリギリは馬車用の道などない。徒歩だ。トホホと言った際に部下に滅多打ちを食らっていたのも原因だろう。

「君は向こうを見なければいけない、あれが狂団だ、目的がどうあれ、作戦体制は既に崩壊し、各軍に自由行動を許可するだろう。」

理解者の確実な言葉を聞き、そうすれば良いかと割り切る。その言葉の判断権は自分にあるのだ。生かすも殺すも掌上の話である。

「彼を止める事は君の本心ではなかった・・・だから止めてはいない。君の努力次第で彼への苦労は減る。どうかな?」

「ん。」

「よろしい、では戦況を伝えながら行動しよう。護衛は任せたよ、二人共。」

「ええ。」

「問題ありません。」

「目指すは狂団の説得・・・だが、彼は強い者で無ければそもそも会話しない。君の持つコウキの記憶を引き出し、訪ね、聞きなさい。」

しかし、一度毛が反応する、痺れる様な気配がした。

「誰か来ている・・・怪我人だ。救助用意を。」

その向こうには、見慣れたと言うよりは普段は見過ごす程に見慣れた様な顔の相手を見つけた。

「お前は・・・。」

「・・・?」

『下がるけど殿は任せていいかな?』

「(攻撃するから離れて。)」

伝達方法を切り替えて命令される。・・・少し静かになる。警戒が逆立つ、目の前に何があるか・・・それがどうしても気になるのだ。

手を構える、防御寄りの体勢で、アルトリウスにより多少は鍛えられた盾の訓練を思い出す。如何に自分の体へ当てるかコンテストと化していたが規制すべき所が無いので服程度の犠牲は許容できる。

「ヘカテー、ブースト。」

『分かった。』

エリニューエスがコウキを嫌うシナプスを物理的に妨害する為彼女周りに使命は発揮していないが、誤差があれば記憶が吹っ飛んだりタンしか言えなくなったりするので、ヒヤヒヤしながらやっている。修復出来るのが救いだろう。・・・ヘカテーはそれが心配ではあるが、火力を上乗せして確実な殺害、功績化の為に此方にいる。・・・というコウキの説得に勝てなかったのだが、実際は違う気がする。コウキは産まれる前の自分という存在を大事にしている為、一秒でも多く生き長らえさせる為にこっちに置いている気がするのだ。

そう悩んでいると、ブーストは出来たが、自分は何処か浮ついていた。

「・・・おお、生きていたか・・・。」

「・・・?」

『安堵してる、手を止めて。』

「(分かった。)」

彼が立ち上がったのを見て、一歩下がる。疲れたとか、苦労したとかの臭いがする。怪我というのも恐らく木で傷付いたのだ。その為か跳ねる様に起きては言う。

「私はフクマツだ。君は?」

「コウキ。」

「・・・出会った人間には居ないな・・・うん。まぁいい。」

「私はこの辺の人間で、明の復活を願い生き延びたのだ。」

メルリウスに伝える、位置を開示して相手に害意は無いと思わせつつも敵意は示さない。・・・どちらかと言えば戦士ではなく、冒険家のそれであった。

「だってさ。敵じゃん。」

「帝国の範囲外の国だから敵では無いかな?」

「一時的な協力で良いだろう?探してるものがあってね。」

地図を出したが、全く使わずに話し出す。もっと話したかったのかもしれない。後で聞いてあげよう。

「一人は私の友人、もう一人は竜王と呼ばれる存在だ。・・・そして。」

その次の言葉は興味深いものであった。

「私は竜王を説得する手段を持ち合わせている。それでもか?」

メルリウスに視線を向けると、快く答えてくれた。

「宜しい、外交官として君が一国の使節と認定しよう。・・・なら、一つ約束だ。」

彼に任せたのは釘を刺す為だった、どういう行動をしようがこれで問題は無いと信じて、自分は裏で刃物を隠し持っている。だが、それより先に盾として機能できるよう、彼への信頼に応える為、準備をしていた。

「身体の掌握権は今私が握った。一人サキュバスを寄せておく。事次第では君を社会的に抹殺し、国を壊す。」

片目だけ開ける、鋭い眼光・・・寧ろ眼暗だ。光の入らない場所に、血も涙も感じない。

「君の理屈は分かるが、彼の方が信用に足る。それだけだ。」

緊張感もなく言うと、フクマツも緊張感なく言う。

「噫、全く構わん。」

漸く出番が来た地図を広げ歩き出した頃に、彼は楽しげに話す。探しものとは何か・・・という質問をしたのだ。

さて、早速一言目・・・。

「友人に関してだが・・・巨大で、タマタマが無いから若干女性的であと航海に関して詳しい。ムスリムで海神信仰者だ。」

聞いた事を若干後悔した。混乱と混沌を呼び寄せる話であった。

「ムスリムで海神信仰者?」

「巨大と女性的が両立出来る男が一番のツッコミ所だと思います。」

「両立しないな・・・普通。」

「女性的の定義って女性視点だとどうなんだい?ドロテー?」

「『(私達以外性別にしか触れてない・・・。)』」

多分、恐らく、軍人的に欲求不満はあるのだろう。上下関係が強い組織である為、それは回避出来ないのだ。いやそれで納得したいとは思っていないが。

「じゃあこれから旅する連邦国についての話を始めよう!」

さて、北部についての話だ。北部は連邦国で、数百の国をナショナリズムで一つにしたものである。その圧倒的カリスマ性には目を張るものがある・・・のは良いとして、極寒の地域には、必ず強いリーダーが必要だった。その民族性によってカリスマを担ぎ上げ、強権を執行した。しかし今や形しかない。各国は首領を担ぎ上げ、数百の国に戻ってしまった。都市でなくとも農村が国を主張する事さえあった。フクマツは南下し、その過程で十数個の国を水産資源の有効化により発展させ、一大勢力となった。

しかしその国は最北・・・つまり真逆の位置にある。

彼の目的は竜王・・・あの頃の焼き直しである。

「・・・という訳だ。」

「ふーん。」

「凄く興味無さそうだな。」

まぁいいやと取り戻すが、此方の方向を見て疑問かのように声を掛けた。

「・・・一つ聞きたいんだが・・・。」

その指はメルリウスを指したのだ。最も支配しているであろう人物に、反発を仕掛ける・・・その精神性故に納得さえしてしまった。敵対とも考えなかったのだ。

「メルリウスとやらは何を誤魔化している?」

メルリウスはその言葉で冷や汗を漏らす・・・が、そこまで慌てる事があるのだろうか。

これからの方針メモ


友人の外見男性的な方が良いか女性的な方が良いか迷う。でもメス男子程度だとなんか解釈違いなんだよなー。

海神=媽祖です。弟橘媛とかラトゥ・キドルといい東アジア・オセアニアの海神と言っても過言では無い。でも出番は無い。


外見の言及をしないのは髪の長さとセーラー服というだけでキャラのパクリを主張し訴えてくる某企業が存在するからなのだ。

夜叉は表向きは毒親の話になりますがよく考えると・・・。


ド畜生って登場人物にし易くて良いですね。

三枚舌外交とか三枚舌外交とか三枚舌外交とか。


Aiでその人を偽装してアカウント乗っ取って炎上する様な内容投稿するだけで人を消せる時代になってから創作が捗るという喜びがたい事実。

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