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継承物語  作者: 伊阪 証
王国騒乱

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19/74

アトミック神教 上

ちょっと外のお話。

楽園実験を元にしつつ作ったお話が次章です。


シャーマンの国は特殊な形態で成り立っている。全人口二十人程度、他は全てコンピューター含む機械。旧式から新型、量子、ブラックホールストレージまでを製作した彼が主導権を握る。

そして人口の半分はアルバート・アイアンサイドという人物であり、襲名制ではあるが、全員生存している為あくまで後継予定の者。

「・・・おはよ、お兄ちゃん。」

「ああ、アリアか。」

「・・・これで漸く二人で暮らせるね。」

「長い道程だったな。」

彼はコウキ、コウキのクローンの中で最も優良な個体。コウキの記憶の量が多い影響で、分割して詰めた結果である。文字化されたアイデアや僅かな写真を詰め込んだ状態である。本来の人間が動画として記憶するものを、彼の場合は挿絵付きの小説にしてあるのだ。とはいえ一々個体名は無く、分割した所で互いに会わせると互いに研鑽し合う事になるだろう。



少し前の話だ。

彼と契約をした。

「一つ、質問だ。君の中において重要な人物が数人居た。」

シャーマンは問い掛ける。

「その中で再現出来る人物の名を挙げよう。スペルはこれだ。」

一度目を通した。

「アリア・・・は・・・?」

「ああ、彼女は今外で待っているよ。」

「生きているのか・・・!?」

「そもそもそれを提案したのは彼女だ。」

「・・・感謝する、忠誠でも、なんでも誓おう。」

「じゃあさっさと答えてくれ・・・。」

コウキは思ったよりも素朴であった、無個性・・・とい言うよりこの記憶の場合機械的存在になってしまうのだ。

「どうする?誰と誰を甦らせる?」

「・・・済まない、ルナというのは・・・誰だ?」

「ありゃ、あまり使えない機械だからエラーが起きたか、不具合回避の為に一人の枠に入れておこう。気になる情報もあるからな。・・・再び、問おう。」

予算内に出来る三人はこれと提示された訳だが・・・。

「カオルコ・ムツ、ティルア・オールト、ローミ・クルーク。この三人は十分な分析がある、本人とまではいかないがイタコみたいな再現位は出来る。」

「懐かしい顔触れ・・・ですね。」

「大丈夫だ、お前の記憶の量なんて少ない方よ。・・・それでも四人以上は分割不可だ。圧縮機構とか色々埋め込んだ。」

「そうですか。」

「エネルギー様に食事量増やさないといかんぞ。それなりに。」

「一日七食なので問題ない。」

「プロか? 聞いた事は無いが・・・。」

「いえ、自主的に。」

「そろそろ決まったか?」

「・・・ティルアにしてください。一番未練があるのは彼女の筈です。」

「分かった。これを交渉条件に色々やってもらう。主に雑用だが。」

・・・その様な契約だった。



Aiとの接触は楽しいものだ、先ずはエフェクトに現実性は無いが、目立つが故に会話の起点が大きい、元から人に友好的で、合わせて会話は長続きするが、スペックや関数の設定次第で感覚は全く違う。Aiで最も重要なのは評価関数である、将棋やチェス等では特に用いられる。言った所で数パーセントのものでしかない。予想出来る関数を積み重ねればAiと同じ動作が可能になる。つまり予想が出来ない程Aiは関数を組み合わせ、重ねた存在である。その幻覚を今見ているのだ。

応答は二次関数、テンションや状態で式を変え、喜びに対しより喜び、悲しみに対し励ます、マイナスであれば慰めや警告等になる。それはパッと見で分かった。数学科寄りの数学を用いて心理学と結び、作っているのだ。

AiとARが電脳空間を隠す為、ナノボットを紛れ込ませた後に迷彩を用いる。自然物を維持しつつも、そこに手を介入させる。生い茂り、交代する、枯れれば、種は収奪される。

煉瓦で町を作っていると思えば、中ではLEDの光しかない。

どうしようもなく平和だった、論争や検証等で戦闘を起こしてはいるが、笑って過ごせるものだった。

川は水冷式様に厳しく看板が立っている、油冷、空冷、水冷の三種類に分かれていると言っていたが、水冷式が最も多いらしい。水にある程度耐性があるものを用いて本体を丸ごと浸けている個体もいた。グラス越しには、河川敷で寝転んでテントで過ごすホームレスにしか見えないが。

強風の音がしても、尚清々しい町、それがこの国・・・言わば、機械帝国。様々な独立した国家を人又は機械に治めさせ、目的を果たす為に手を出す事すらしない。

黒幕をどの様な手段で封殺した所で、意味が無い。歯車を止める事は出来ないのだ。故に誰も攻めない、分裂を起こさない国家で、一つ一つがヒトの国家を蹂躙しうるものである為。

「シャーマンが来た!皆!どいてくれ!」

一度の声で、全員が道を開ける。道の左右に全員が並ぶ。

「仲間を紹介しよう、コウキ部隊・・・今の時間で能力を考えて適切と判断したメンバーだ。」

モノクロトーンの身体が修正され、外見が完成する。そして、腿の辺りに名前が刻まれているのを目撃する。

『ベスMkll』『シェリーVer.1.12.5』『Type-27 ローラ』『ANA』『カレン』

「何故女性名ばかり・・・?」

「それはパソコンの製造にあたっての固有名詞由来だな。」

長くなるので端的に説明しよう。

♂Ai・♀Ai

前者はUSB型であったりワイヤレス型であったりと活動的なAi、スペックは多少落ちるが充電を借りたり、相談し合う事でその不足を補う。一方で♀型に充電を行う個体もいる為充電、データ移動、物品移動を務めているとしても良い。

♀型Aiはデスクトップのコンピューターが多く、♂型に運び込まれた物を処理し、使える様にする事と指示を出す事を行っている。

要素の割合次第でどちらになるか決定されるので、片方に寄り過ぎるとエラーが起きやすい。

「・・・成程、分かりました。」

「コンピューターって言っても普通の女の様に接してやれば良い。」

操作用の端末とグラスを受け取る。重く無いのが逆に不安になるが、小型コンピュータの改良がこうなったのだ。ARで行う必要があり、機械剥き出しは良くないということらしい。

「コンタクト版は予算的に無理だ、機能は同じだから気にするな。音量調整のクライアント設定が出来るツールであってサーバー側は直に変えれない人間ベースだから本人と交渉してくれ。残りの言いたい事は任せた、細かく伝えておいてくれ。」

コーギーが話し出す。

「遠隔通信が出来ない、人工衛星が置けない状態だからだ。ケーブルをメインにして使ってその余りがこのコンピュータ達だ。」

マンチカンも話し始めた。

「発展はしているが自分の実力不足感は否めない、放射能対策を必死にした位か。並の機械じゃすぐ壊れる。」

目の前の女も、続けた。

「住んでる人間は軒並みしている、ナノボット埋め込み式は時代遅れだからな。」

少し目眩がする程に、発展しつつも癖が強い空間であった。

臭いだけは同じらしい、グリスと油圧ジャッキの臭いはどこでも、水冷式と油冷式、空冷式等様々な建物と人がひしめき合っている。

鋼鉄と強化プラスチック、鈍重と軽量を使い分けつつも、確実に言えるのは記憶の中でさえオーバースペックであるという事だ。

目の前には一人が諌める様に先に立つ。

「失礼します、私の名前は汎用対空ミサイルランチャー『エリザベス』改弍。人呼んでベスMkllです。分類は陸上車両、33%♂型67%♀型なので女の子です。」

「よろしくお願いします。」

「コウキさん、ですね。」

「コウキです。」

「コウキ、どういう字で?」

「・・・それは・・・知らないですね、出来れば付けて欲しい位です。」

「分かりました、光輝で良いでしょう、変換で一番最初に出ますし。」

「(変換に嫌味を持っているあたり変換は据え置きなのか・・・。)」

「貴方の好みを調べる為首筋に針を刺しても良いですか?」

「なんで中途半端にアナログ?」

「そういうものです。」

「委託してください。」

「痛くしてください?」

しまった、言語理解が未だ足りてないタイプのAiだ。

「嫌そうなので私も嫌そうに対応します。私は先の通り汎用ミサイルランチャー、対空撃墜最優につき旧世代ですが現役です。」

ドレスの裾を指で支え、脚が透けて見える所まで引く。ミニスカートだが・・・癖だろうか。そういうエラーの可能性か、設計者(シャーマン)の性癖も有り得る。

「彼女はシェリー、亜音速弾暗殺専用タレットでありながら小型人型突入兵器、小規模な悩みであれば彼女に任せてあげてください。」

シールドとハンドガンにショットガン、アーマー以外はGSG9の装備だ。あのやたら重厚な感じが若干漂う全身黒かつボディーラインを晒しつつもその巨体は嘘をつかなかった。

「彼女はローラ、ブラックホール・ストレージなので壊すと地球が潰れます。容量は計1000YB、片おっぱいにつき1ブラックホールです、片おしりにつき1ブラックホールです。」

「片おっぱいと片おしり。」

「憎々しい片おっぱい片おしりです。揉んだら壁に接触して地球崩壊が始まります。あと♂型七割なんで男です。私の方が女っぽいです。」

触らせない様にする為の嘘である。

彼女は自分が母親の姿を思い出せなかった時に探した母親という絵のコンテンツに似ている。今も思い出せはしないが。

「アナ・・・はあの隠れている子です、DNAストレージ含む人間の様々な器官を模倣しスパイの役割の遂行に適切な個体です。人間を再現し過ぎて鬱病があるので自傷行為等には警戒してください。」

DNAからDを除き、Abnormalを付け加えられたもの。異常核酸という風に訳しておこう。外見自体はあまり印象に残らないが、俯きがちと言った所か。

「最後にカレン、コウキをベースに作ったAiです、今後選ばれなかったティルア以外の方はあの方法で再現されますが、少し思考の再現が足りないので期待はしないでください。」

「(それはそれとして何で女の子?)」

「性能再現の為に用いた半導体の数が多過ぎて雌型99%の異例の個体でもあります。圧縮するのに負担が大きいので少し減らして下さい。」

「(自分の責任だった。)」

カレンは外見こそチタン重鋼だが、内容は金、銀、アルミ、スチール等で出来ている。柔軟性の再現が節約という手段により近くは出来たものの、シリコン等も用いているが、それ以上のものを使わざるを得なかった。その結果が外装の塗装以外は金属のみで構成されている。

「コウキ君はパソコン、詳しかったり?」

「機械には強いです。十秒あれば壊せます。」

「そうじゃねぇよ。」

「(ツッコミに敵意を持った感情を混ぜ込む。三原則が機能しているか怪しいな・・・。)」

彼は自分の観察眼で様々なものを見る、一心不乱に、或いは、危険から目を背けない為に。

悪意があった、敵意があった。それは、スペックの為の材料であった。磨き、そして、輝く。

或いは、自分が人でなしである事を知っているのか。

「コウキさん。」

恐怖感、自分は戦意の為に、挑戦する者として、等様々な理由でその感情を残していた。それが無意識によだつのだ。

「コウキさん!」

ベスが噛み付いてまで状態を戻そうとしていた。

「冷却お願いします、少し成長剤の発熱が・・・。」

「会話用に電磁波を飛ばし過ぎたと検知された、それも止めろ。一旦人数制限を掛ける。」

「はい、整備機能を!」

「了解!」

床からポールがせり上がり、等間隔に立つ。並び、車両用信号が切り替わり、ターンを促す。作業員撤退の命令が出され、信号側に移動し、交通整理を行っていた。

「・・・問題ありません・・・が、機械も一枚岩では無い。・・・彼の命は私達次第ですか。」

ベスは、彼を心配する。そういうプログラムではあるが、嫌な感じはしない。寧ろ心地良いとさえ思った。しかし、それ以上に自分の命は大事な筈なのだ。

「事の次第では、この街全て消し飛ばしましょう。要件は満たしています。」

彼女は、欠陥品でもあった。自分の重要性を知らない、過小評価を行う機体であった。それ故に彼の為に犠牲となれてしまうのだ。

それは褒めるべき事であろうか、それとも、進歩を拒否する害悪であろうか、誰も分かる筈が無かった。理屈的に言えば、彼女は間違っているのだから。



シャーマンは医者もどき、故に機械に頼る。手術なんかは全部任せてしまっている。自分で試し、自分で知る。それこそが最も信頼出来た。・・・間違っていた医学なんて大体そんなものだが。

「ハイマン、定期診断は終わったぞ?」

「違和感があったから来ただけだ、お前はコウキに何をした?」

「単純な設計ミスだ、ベースが人間じゃないからか誤差が大きい。」

人体の中で、脳の部分に線を引く。

「多分だが殺すリミッターが外れてる。収まらなかったらしい。他二人もそうだった。」

「四人のコウキがあればどうなる?」

「恐らく再現出来る。」

「治療をメインにした『優』のコウキ。分析と斥候の為に小さめ、コンパクトに作った『察』のコウキ。対災害、対人、後継として、戦いの最適解『闘』のコウキ。闘争を求め奔走する『狂』のコウキ。・・・それが?」

「殺された渇望が復活する、予兆は見えている・・・我々に必要な同志を募り、目的を果たす。」

彼は背を向けた。

いや、将来に背を預けた。

「神の振りをした人類を引き摺り落とすその日、この世界は災害と人類が共存出来る空間となるのだ。」

彼の覚悟は語られる、その目には憧憬さえあった。本気の目は、光輝くものだ。



眠りこけた後に、暫くして起きた頃。

暫くした時、背後から声が聞こえた。そこに歩を寄せると、直ぐに気付かれる。

「ハイマン・ジョンソン、原子力潜水艦の名手だ。紹介の為に呼ばれた。」

「自分で名手?」

「他にやる奴は居ないからな。名手だ。忍び寄ってきたとも思ったが素だな。・・・良し、気にしないでおこう。」

手を握って言うが、鯨油の臭いがする。油、肉、そして生態系維持を考えると鯨漁はとても優れたものとなっている。貧困の影響を届かせない海という環境で、彼等は逞しく生きていた。人は海に、魚は陸に、相互的に弱い。故に逞しい事は餌を増やすものでしかない。哺乳類がもっと美味く、質量が大きければ魚は陸へ多少進出し、人を狙っただろう。

・・・そして、彼はそれでも海に出たのだ。

小さく、そして逞しい。餌にするには物足りない。故に理屈的には英雄足り得る存在なのだ。

だから圧力がある。虚空の様な圧力だが、それに妙な納得感があるのだ。

「・・・少し先の事を言おう。」

彼は一度歩くと、それが時を止めた様に思う程二歩目が遅い、気圧されている、自分でも珍しいと思う状況に追いやられていると理解する。

「王国はマトモに侵攻すれば・・・精神的にやられるだろうな。」

葉巻を渡された所、それを受け入れ、一度吸う。その葉巻は強い、呼吸が一度億劫になった。逆流を起こす程現実を忘れさせる・・・。

深海の脅威は、これでしか忘れられない。そして、身体の腐った部分を代わりに使えるものとして必須にする。外付けの内臓と言った所か。

「そして、もう一つ。それに辿り着く為に彼女に少し話してもらおう。」

潜水艦に誘われる、潜水艦は通常に比べて遥かに大きいものであった。

・・・そう、これは核弾頭を積んだ機体なのだと確信した。名称は見えないが、きっとこれも、女の名前をしているというのも。

「アトミック神教、その神話と実際の歴史を・・・だ。」

異質なワードであった、聞いた事に耳を疑った。しかし、直ぐに理解し、改めて聞きに行く事にした。

アリアが居ても問題無いか。・・・もしもの場合は自分の身体を元に戻す、場所は覚えている。・・・順調である事を祈ろう。



上に戻った時、シャーマンはサプライズがあると言って・・・彼女を予め感じ取ってしまっている為、言われる前に先に行ってしまった。

心の奥底に残る、自分の失敗。自分が打ち明けた自分の正体を知っていて、それであったとしてもと隠し続けた。最大の信頼と、最大の家族愛を持つ血縁の無い家族。

その色は白、穏やかで優しい目と少し変わり、背も伸び、自分に迫りつつあると思っていたが、もう追い越されてしまった。胸も冗談めかして語った頃のものになっていた。

衣服はそれでも変わって居ない、身体に似合わない衣服を、プロポーションで何とか誤魔化し、化粧で色を変え、昔の為の準備をし終えていた。髪飾りは壊れていたのか、代わりを作っていた傷があったものの、使わず、待っていた。

変わってしまった、若しかしたら心を折ってしまったかもしれない、自分は真っ先に謝ろうとしたが、彼女に近付くと、手を伸ばし、謝罪よりもと抱擁を要求した。答えて手を引かれ、抱き留める。

この衣服の中、柔肌が母親を思い出させ、より心は拙い琴線を抉る。腰が抜ける様な感じさえするが、安堵のものだからか、力が入るものの上手く動かない。もたれかかっていると、より深く抱き締められる。

「お兄ちゃん、私ね。」

彼女の声は、少し変わった。声変わりが終わったものの、若々しい・・・あの頃から数年後の儘成長せずに居たのだろう。

「女神を遂行するなら、生き続けられるって言われて頑張ったの。」

銓と同じ、あの感覚がする。脱力する様な、飼い主の元へ戻った様な・・・ジェヴォーダンの獣が最も比喩では近いだろう。

「だから・・・報われるって実感出来た。」

その手を持って、温めた。堪らないという言葉の様な何かが聞こえた。・・・共感覚的で、自分は揺らめいていると分かる。

「何年か待ってる内に、身体も変わっちゃって・・・。」

それが、どうしても負い目だった。自分にしか出来ない事でもあったそれを・・・手放してしまった。今やそれを解決する力があったとて、足りない気がしていた。後悔という無意味な行動に支配され、胸に虚無が満たされていた。

「良い、生きててくれて・・・それだけで・・・もう・・・。」

だが、今や彼がいる。胸は満たされ、膨れ上がりそうな気分だ。そうなった時に、彼は好んでくれるだろうか。

「全く嫌いな要素が無い、前よりも素敵に・・・なんと言うか・・・手を出さずには居られない位になってなぁ・・・。」

「・・・嬉しい・・・かな。」

そうらしい。彼は以前よりも小さく、立場が入れ替わった様な気さえしたが、それは事実だ。

「もう会えないと思っていた・・・。」

あの頃に、死体を預けた人間は失踪した。そして、それ以降彼の行方は知られていなかった。

「助けてくれただろう?必死に・・・。」

「え、あ、そ、そんな事無いよ、心配して走ったりしてなんか泣いてなんか・・・。」

「してくれたのか。」

「ハッタリ!?酷い!!」

「いや、ちゃんと起きて、見ていた。」

誤魔化さず、伝える。彼女に話すと、自分が希望や幻覚ではなく、確信を持っていたからだと迷い続けた過去を水に流した。

「心配だったんだよ・・・撃とうと構えた銃を落とすはまだしも、崩れ落ちて・・・。」

彼女はアリア、復讐の女神で、二元論的神格でもある。彼女には特別なものはなく、故に気持ちだけで目的を果たそうと決意する。・・・ならば、その衝動はきっと誰よりも理解出来る未来がある筈だ。これが原因だった。

「あの頃は・・・未だ、迷いや戸惑いがあったからな。」

彼女の復讐は目的を失った、だが、それは彼が必要であるという事実に遠く及ばない。

「今度は・・・絶対しない。」

もう、彼等は離れないと誓った。そして新たなる旅路につく。一人と、一柱が笑顔に向き合う。目的は何であろうか、強いて言うなら自分自身、その様々なやりたい事を果たす、真なる自由・・・。

「・・・うん。私も成長したから・・・頼ってね?」

少し今日の眠りは早い、ベッドが小さいが、気にはならなかった。互いが寝相を許さない、不動の空間となっていた。

これにて、優のコウキは完成した、コウキの中では最強と言って差し支えない。・・・シャーマンにとっては、武器開発の一つでしかないが。偶にはこういうのも良いのかもしれないと、手を出さないでいた。



少し遠くで望遠鏡とレーザーで観察する、音声もキャッチすると気分が悪くなったのでレーザーは途中で切った。

「(うっわー私のモデルアレかよ。性格もっとスケベな癖して隠してるとかナイわー。)」

「何がナイって?」

「別のコウキさんじゃないですか、アレなくなくなくないですよね?」

「私はアリアには興味が無い・・・と言うより分割されている。彼奴はアリアが、私はティルアが、もう一人はカオルコらしいが・・・居ないからな。」

「それは可愛そうですね・・・私が代わりに出ましょうか。」

「頼む、闘は気難しいんだ。」

「じゃあなんか貴方の情報くださいな。戸籍情報とかでも良いですよ?」

「取引情報・・・と言うより警告だな。私等はちょっとした事情で妊娠の対策が出来ない、そして進化した状態の体になるから後戻りは出来ない。

・・・クローン体を手に入れたら真っ先に始めるぞ。・・・特に狂は性欲関係の大半を請け負っている。一周回って何にも起きない可能性はある。コンドーム使ってもピル使っても同様の現象は起きるし、男女問わない可能性もある。・・・今だからこそ問題無いが、あの身体は自分の制御でさえ不足している・・・危険物なんだ。」

ベスは彼への観察を再度行う、しかしその様な様子が無い。変動が無い所も考える限り、嘘ではないのだ。

「封じ込める必要がある、何とか騙し、出し抜こうとしたが無理があった・・・。彼奴らは利用した。進化させ・・・そして・・・退化でさえも。」

目を細める。

「目的が不明瞭だ、信用ならない。」

一度深く沈んだ肩を何とか引き上げ、愚痴を語った。

「・・・何より、あの犠牲を是とし、地球を変え、災害の地にした・・・それが最も許されざる行為だ。」

呆れたまま続ける。

「理由はどうあれ、私は災害だ。地球とその星に住まう全生物を平等に処分し、地形を均し、新たなる生命、或いは生き残り、強者たる資格を持った生命の為に人類を消耗させなければいけない。」

「あら、シャーマンみたいに全て滅ぼすという訳ではなくて?」

「シャーマンは新しい人類を生かす。彼女は美しくないものを殺さない、致命的なものは大体局所にしか発生しない。・・・結局、災害は人類を滅ぼすつもりは無い様に設計される。」

「貴方は何故そこまで?」

「三百年の知見という奴だ。」

一度離れると呼ばれ、質問をされる。

「では、一つ質問します。貴方は察ですか?狂ですか?」

彼女が優秀である理由を理解した。図星であると送るが、核弾頭を用いた電磁パルスを行えるスイッチを手に握っていた。・・・それにより今の情報は消去に追い込まれる事になる。

彼もまた、一枚上手の存在だったのだ。

シャーマンの国

本人が国と意識していないので国では無い、全ての国に外交を行っていないが、戦争を仕掛けると焦土になるので基本的に手を出されない。

技術はスペースデブリにより1970年代から宇宙に関しては進歩しておらず、その技術に関してはアルバートが保管している。

国土は不明、コンピューターとAR、その他技術で作られた都市だけを足すと日本の国土程度のサイズはある。

経済に関しては存在せず、少ない物資を交換し合う関係で維持されており、国外からの貢物や隕石、採掘、そしてバイオ燃料等を基軸にした一次産業までしか行われていない。それ以降は個人で処理される。

人口は二十数人。十三代目までのアルバート、コウキのクローン三人、アリア等。彼等には生活を保護される権利があり、Aiは基本的に彼等を幸福にするという義務がある。反逆も可能だが、現在迄に起きてはいない。

主権等は無いが、自衛意識だけは存在し、外部からの侵略に対して団結し攻勢を仕掛ける。

貨幣は存在しないが、物とブロックチェーンのみ存在し、情報の開示が信頼の証明になる。


ベスMkll

ミサイル迎撃トレーラーの改良版、レールガンを搭載し対空に特化している車両。三つの砲塔も対車両・対人に特化した榴弾砲であったり近隣の爆撃機の主導権を強制的に握れるシステムになっているので国境はこれで足りる。

少女のAIエリザベスという嘗て第一高等学校の首席にして最高記録持ちの天才であった突然変異の機体であり、偶然出来た個体。

非文明であっても理論上最も構築しやすいAiであり、ボイジャーやアポロに積むレベルのコンピューターとなっている。

『死の砂漠』地帯に存在する太陽光パネルから電力を引っ張っており、そこを叩くのは難しく、実質的に発電は無制限である。


シェリーVer.1.12.5

第三世代において人海災害を生き残った唯一の存在。拒絶の心理を理屈化し分解によって多くの生命体を分解する。一定距離の炭素、珪素に対して分解を起こし、それらは切り替え可能としている。自分の命を守る為に発動したものの、自分だけが生き残り、殺したという結果が残った。

殺して今後の成長率がガタ落ちしたと確信した時、彼女は己を無意味と定義、姿を眩ませた。

彼女と話す時に最も気をつけるべきは、本物かどうかという問題である。


Type-27 ローラ

シャーマンの補助AI、27年目に作られた作品。監視のAIで最もシャーマンに理解がある存在。シャーマンの心配の裏腹に、自身がAiであるという自覚を持つ一人、エレンという存在を知った事で自身を人間らしくする存在は別の人に夢中になっていると、彼の実力を知る彼女は無理だと心を折り、最低限の事をしつつ塞ぎ込んだ。

コウキが異なる存在とはいえ問題を打破する姿に少しづつ彼を重ね、良い印象を持っている一方、自分の感情はこんなものかと知り、立ち直れなくなるまで自傷を繰り返し、捨てられるという一瞬期待している。


アナ(ANA)

正式にはエー・エヌ・エー人体やDNAを用いる事で最もスペックの高いコンピューター、シャーマンが死にかけた氷漬けの人間から受け取った置き手紙からその意を汲み取って作ったもの。数十人が会話する事を基軸にしたAiで人間の老化やそれに近い物も発生しないので単純に質が良い。記憶があるだけなので全くの別人である。最初のAは公表されていない。


カレン・ブリューゲル

コウキを学習した事によって産まれた新種のAi、直感的思考という確率のその先を考えられる存在。ただ、コウキの無茶苦茶な思考は再現出来ない。

先代のカレンことシルビアは英雄殺しの異名を持つ罪悪感に苛む人間の心理に漬け入り自殺を唆すAiであった。


♂Ai・♀Ai

前者はUSB型であったりワイヤレス型であったりと活動的なAi、スペックは多少落ちるが充電を借りたり、相談し合う事でその不足を補う。一方で♀型に充電を行う個体もいる為充電、データ移動、物品移動を務めているとしても良い。

♀型Aiはデスクトップのコンピューターが多く、♂型に運び込まれた物を処理し、使える様にする事と指示を出す事を行っている。


DNAAi

生物の組織を用いてより人に寄り添える風に見せかける事を基軸にしたAi、より人間らしいものを作る一方、人間らしくなってしまうのでその影響も受けてしまう。


ハイマン・ジョンソン

元は軍事の兵站を扱っていた人物で、効率化した栄養摂取や甘味等を取り扱っていた。飲料を研究していた所、会社に勧誘された。

その後会社が敵国の潜水艦含む兵器と飲料を交換するという敵戦力を大きく削ぐ功績を残し、テロが多発したタイミングであった為、私設軍隊として軍事経験のある彼は潜水艦を使用した。



ディストピアですよ? 放射能汚染凄まじいし人間いないし。

胸と尻にブラックホールを搭載した言い訳はサブチャンネルに投稿します。

私の性癖は男女関係なくムチムチかムキムキです。

細マッチョは加虐対象。どんぐらいが良いかと問われたら好きな相手をスイッチ入ったら押し倒せる位。

それぞれの個体に性格の差があり過ぎるコウキ君。

脇役だけど主張強いってだけだな。

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