燃えよ国
かれこれ王国内、走行するのは国境外れで、脱出しようという人物もいる為、荒れている。しかし、蝗害の様に人が押し寄せ、山として動いている集団もあった。
「・・・不味いな、臭いがキツい。腐敗臭がする。下の方は死体だぞあれ。」
「ねぇ疲れたからってこんな姿勢無いでしょう?」
「文句言うな、恥じらいは若気の至りだぞ。」
「私未だ十八歳なんだけど?」
「そうか、こっちは十歳未満だ。」
クローンでの年齢である。気にする程でもない。アルトリウスも端数だからと四百歳省いていたし。
「・・・え・・・九歳でこれ・・・嘘・・・研究対象にしていい?お姉さんなんでもするから。」
「頑張ってくれるなら良いぞ。」
「わ、わぁ?分かりにくい表現・・・。」
「信頼しているからこその表現だ。」
「そ、そう。」
「(初心と言うよりは動転し易いというか・・・。)」
『(嘘ついてる、悪いものじゃないけど、プライドの為に止めてあげて。)』
「(その通りにするよ。)」
王国南端の一角、ハインドル要塞。三つの要所があるのだが、その一つ。王国の重要拠点は要塞と名称され、それ以外は都市や城塞として処理される。要塞には重役が常に配置され、実力はともかく、確保=価値ある存在と言う構図が出来る以上、兎に角意味はある。そこには常に固定で張っている将が居るのだ。
「侵入経路作りはヘカテーに任せる。」
『準備してあるよ。』
と思っていたが、実際により近付いた時には門番等誰一人居なかった。強いて言うなら一人倒れており、その人間は鎧を着けている訳では無い。
「エリさん、銃を構えて。」
「(エリさん!?)」
「使い方は分かる?」
「え、えーっと。」
「向きを変えて、こうしてこう。良い?」
「おっけ、分かった分かった。」
一連の会話を聞かれていない事を祈りつつ、其方に向かう。血塗れ、最早そう長くは無いが、目と耳が必死に嗅ぎ分けたものに語る。
「・・・ああ、あんた・・・助けてくれ、俺等の聖女様の墓が壊されちまうかもしれねぇ、奴等が遺体を掘り返して焼こうってんだ・・・。」
「・・・そうか、そっちに行く。」
「俺の事は置いていけ、幸せの絶頂期に落ちた彼女がああなっちまえば・・・あまりにも哀れじゃないか。」
合掌し、目を閉ざす。ヘカテーに頼んだ方法で、夢を見せる。
「良く役目を果たした、安らかに眠れ。」
「あぁ・・・聖女様・・・。」
彼は夢の中に沈む、苦しみの中では起こすべきではないし、かと言ってエリニューエスを近付ける訳にもいかない。
「エリさん、作戦をこれから発表する、漁夫の利を狙った作戦だ。」
「待ってました!具体的には?」
「ロタールの戦線離脱は進行ペースに大きく影響する、慎重な侵攻になるだろう。他要因こそあれ、犠牲を許容する様な集団では無い。反撃様に人員を割いた所で王国内でトラブルを起こす。」
「ああサボタージュかぁ。」
「サボタージュのついでに何人か持っていく。それで事前に話し合ったものを実行する様に。あと馬車の耐久値を考えてもう一頭の馬とセットで手に入れる。」
「十人位の死体と生きてる生物で変えれるよ?」
「やりたいようにすれば良い、馬車の確保がメインだからな。」
「分かった。」
「そして記憶が継承されたから分かったんだが、聖女の墓、何個もあるらしい。ウチこそ本物や!みたいな感じで主張しているがそもそも死体を見た奴は居ない。」
彼女は申し訳なさそうに言うが、以前の様な極端な落ち込みはしなかった。
「それは私がやった。偽物でそして姿形は顔以外一致させない事で似た偽物を用意した。だからこうなっている。どの道侵攻予定だったろうし、私は今更戻っても死刑確定だ。」
「そんな事情があったのか、サボタージュは飛ばしても良いかもしれんな。」
「うん、特に思い入れなんてないし。」
「良し、侵入する、行くぞ。別々で行くから頼んだ。・・・良し、お前は今から『シーユーメイビー』だ。」
「実在したりしないよね?」
「何れ実在する事になるさ。・・・一旦降りる、後は任せた。」
「馬車の回収、逃亡者で使えるのを捕縛ね、うん。」
降りると少し引っ張られ、舐められる。短時間ではあったが、恐らく走るのが好きなタイプだ。・・・もう少し長く居たいとも思っているだろう、しかし、後で会えるのを少しでも早くすべき切った。
走っている中で、まだ少し思うものがあった。
「魔女は元から忌み嫌われる存在、学者にする事でアルトリウスは対策したが、それでも嫌われる事はある。エリさんも同じなんだろうな。」
ならば自分は歯車として、役目と目的を果たす為、出ようでは無いか。
「迷うな、進め。自分の出来る事は精々その程度だ。」
一度両頬を叩く、気合いを入れ、覚悟を決める。
「よし、仕事に掛かる。将を一人持っていけば良いんだな?」
エリニューエスは相手を縮小させる事も可能である、コンパクトにして生かしつつ持ち帰る、その発案を受けて捕縛する。
基本的に王国は建築が中央程高く、そこに重要人物がいる。それは文化的側面であり、実際に効果がある訳では無い。
侵入してから凡そ3km、建築様式自体はイスラムのそれで、バグダードが一番似ている。遠くから仕掛けるのは得策では無い、しかし確実に当てる距離にしなければならない。
「食料庫があるな、一手目は粉塵爆破、引っ張り出す為に火を着けた後に爆発するという段階で進める、火に穴が空いたので脱出・・・という算段で見せれば騙せるな。」
そう思い立って、数人の警備を気絶させ、交代の前に馬車でもなんでも、車輪のある乗り物に乗せて蹴って離す。
侵入次第油を塗って回る、ある程度酸素が回る様に穴を開け、耳を塞ぐ道具を探す。小麦粉に油を繋げ、一部のものは散らし、可燃性のものは等間隔に配置、少し近めに置いていく。
20分未満で犯行が終わる、兵士が転げ落ちていくのを見て人集りが出来た所で、轟と天を劈く音が鳴る。定期的な見回りがクリーンヒット、生き延びてはいるが聴力を失ったのか、平衡感覚を乱し、倒れた。
「・・・思ったよりヤバかった。」
金属扉を扉に掛かる分の同じエネルギー量に修正して押した。素早くやったはやったが、多少骨に負担が掛かっているので、ノーダメージとは言えない。問題の有無を確認後、油で火が着いた周りを見渡す。
天まで煙が立ち上り、段々と人は集まるが、水を切れない、それは翌朝の飲用水であったりするもの、毒素があると警戒して自然のものを摂らない彼等は、あれが明日である。
「それはそれとして建物自体は全然だな、少し待ってみるか、助けるフリして連れて行こう。」
衣服は遜色ないものを作ってもらっていたが、カジュアルでも誤魔化せてしまう・・・ある程度貴族への抑圧が出来ている、強権政治が遂行されていた所が垣間見える。
「足音が聞こえるな、結構慌てている、柱が崩れる事になる前に下りれるか・・・と言った所だ。」
我ながら外道と思うが、生きるビジョンはある、実際、逃げ道が明確に存在するのがこの城だ。先の奴も平衡感覚が乱れただけで、堀に飛び込み生きている。
「動かないままでいる判断力が即座に出来るあたり手練だな。混乱して正常な判断が出来ないものだが。」
恐らく脳にダメージを負わないように構え、耐えたのだろう。エクスタシー堪らん事についつい笑いが込み上げる。
「ロープだけ伸ばしておこう、焼けないように水浸しといた奴を。」
本来は自分用に作ったものだが、此方はウィリーの所で得た新アイディアの軍服を採用している。着衣水泳でタイムが五秒違うだけで済む、靴を脱ぐという前提はいるが優れている。それを内側に仕込み、上は分厚い王国風の服にする、水泳時は脱ぐ必要があり、状況次第では厄介だが変装にも便利である。
「さぁて。」
水を全身に浴びる。関節の動きは悪くない、手間取る事は無い。狩りに行こう、大将首を貰っていこう。ただし、生きた状態で。
武器の再確認もついでだ。ナイフ十本、スピードローダー三回分のリボルバー。ちゃんと防水カバーはしてある。初期仕様の狙撃銃、技術が解禁された元込め式銃で、黒色火薬の為威力は高い。初期仕様の鍍金が如き反射は鏡にも使える。折角だから髪でも整え直そう。
「よし。」
直ぐに突入を始めた、そこには思っていたものとは少し違う光景が繰り広げられていた、城の外見から割り出すと凡そ一時間は持つ、困った事とは・・・。
身分の差が、ここで悪さをしたのだ。小さい、しかし裕福そうな子供が脅され、それ以外は前に進めずにいる。城内には推定二十人。一人一人なら確実にヤれるが手練だ、さっきの兵士と同じ臭いがする。
「馬鹿な真似は辞めろ!貴様誰に向かってそれを!」
「命令で子供は攻撃出来ないだろうと人質にしろって言われたんだ・・・許してくれ・・・。」
「何だと!お前が離せば万事解決ではないか!」
という叫び声が何度も飛び交う。危ないと感じて隠れ、遠巻きに眺める。
「(うわー面倒くさそー。)」
『(浮気相手とかそんな話が聞こえるんだけど・・・。)』
「(面白そうだから突入しよう。)」
『(酸素やばかったら連絡する。)』
「(助かる。)」
恩を売って逃がすと同時にエリさんに全部投げよう確定させ、足を動かす。
「人質なんて足でまとい使ってるとか今時古いな、ナイナイ。」
曲者とすら言わず槍を飛ばして来た一人の槍を刃物の部分から握る。新人、小姓の様な感じもする。華奢を鎧で覆い隠した様な・・・。考えるだけ気持ち悪くなるだけだ、押し退けて腕に寄せ、言い放つ。
「狙いに覚悟が宿ってない、出直せ。」
力の方向を一度下に、引っ張り出した後、顔面に首へ響く重い蹴りを加える。二度目に地面に向けて杭を脚で打つ。
「今こそ忠誠の証明だ、どうする!どうする!」
嘲笑ってみせた、自分は警告し、子供への手が緩んだと見るや否や、槍の持ち手を寄せ、引く。転び掛けた所を腕を伸ばし、素早く引っ張る。
槍が三本、同時に伸びる、剣が微妙に届かない距離と、槍を持たれた状況下、刃が向かずとも重さによる攻撃を警戒している。槍は切り裂く武器と思わないものだ、そこまで不自然では無い。それでも掴めると自信を持った奴が居たら多分この子供は目の前で命を落としただろう、相変わらずギリギリの綱渡りはスリルとして身の毛が笑う。ヒンヤリもするが、高揚感も同時に宿るのだ。
剣の刺突、が槍の次にやって来て・・・。
「おおっと、鎧が落ちた。」
刃物の先端が地面に映る、奪われない様に足で踏み、身体に隠したナイフを鎧にしていたのだ。
「エリさんに体を少し減らしてもらってな、以前情報がバレたか分からないから少し誤魔化しているのさ。特に体周りとかはな。」
骨が折れると戦闘続行は厳しい、それを考慮して骨の代わりや、骨を守る防具として使う。攻撃手段が最大の防御という訳だ。
ならばと前に出てきた兵士の剣が掠る、舐めていたと若干思うが、手は抜かない。
同じ箇所を狙い、攻撃してくる、両腕で剣を一撃、一撃と受け止めると、布もやがて破れていく、衣服の下で固定された刃物は緩まない。元々は装備を隠すものでは無く、緩衝材である。それでも、自分には使えるものだ。衝撃に対する安全よりも刃物に対する安全、取捨選択が功を奏す。
気の緩みが不敵な笑みを目撃する、確かに短時間戦闘特化である以上、酸素量が少ない状況では本来の戦い方は出来ない・・・少し手が緩む、そして、ナイフの落ちた箇所へ一撃が入った。
しかし、貫通も何も、音が鳴って刺さりはしなかった。
「甘いな、地面に落とした時に敢えて持ち手が隠れる様にした。」
其奴は万能ナイフ、他にも刃物もある、少し大きいがこういう騙し討ちにも使えるって訳だ。
足を上げるとその下は僅かにしかない。押し付けたり、急いで隠すのを控える事で立てない、大きさを誤魔化せると踏んでいたのだ。
槍を回し、折り、片方を投げ、もう片方は別方向に投げた。火の粉が散り、布に付着する。避けたは避けたが、武器を振り回した代償が柱に現れた。
銃弾が追撃で撃ち込まれ、加速し、離れる間も無く埋もれる、外に城主は居た。狙いが良い、針に糸を通す程では無いが、少しミスすれば自分の頭は一直線だけハゲになっていただろう。
崩れ、倒れ、彼が前にて抑止力となり、布の火を消す内に彼等は瓦礫の下に埋もれる。予想外だが、助ける意味は無い。不殺の範囲からは外れないし、人の価値を感じないから、尚更興味が無かった。
「逃げろ、外に童顔で外見年齢に似いもしない白衣を着たハイカラお姉さんがいる、協力者だ、頼れ。逃がせ、良いな。」
「・・・!」
頷いた彼の背中を押し、笑顔で見送る、慈悲深い良い城主になれそうな子だった。
それと反対方向に突っ切り、燃える盛る中を突っ切る、酸欠は近いが、案外感覚は残っている。まだ可能だ。
ナイフで剣に対処、捨てられた槍を蹴ると、足の動きで地面を這うように回す。跳躍を片足片腕と切り替えながら繰り返す、一旦引き、間を取る。基本的にそういう事はしないが、今日は少し興が乗り、楽しくなってきた心臓は血を求める。目の色が変わる、削れても削れても、白熱するのだ。何とも言い難いものだが、それだから癖になる。未知や神秘特有の面白さが自分にも分かるのだ。
少し燃えて行こう、もっと突っ切ろう、ここが丁度扉の位置になる所で・・・。跳んで相手への距離を詰める、寄せて、寄せて、目前に至ると確信される前に脚を器用に開き、ほぼ地面の上にある状況で加速する。
「三!」
扉に押し出し、その先の堀に放り込む。水溜まりなので痛みも火傷も抑えられる。いい感じの温泉になっている分、脱落者ゾーンにさえなっている。
すると扉の衝撃でコレクション品が落ちてきた、超重要ではなく、見せびらかす用のそれである。
「おっと、助かる。」
この銃剣付きの銃は恐らく狩猟用、さっきの柱への銃の腕と良い、結構英傑だな、あのオッサンと思いつつ、武器を構える背後に穴が四つ空いた、脇に近いと毛細血管や皮膚の薄さでダメージが大きい、それを危惧して刺したは刺したが体積の大きい内臓や脂肪の集まる場所を狙う。
「二!」
刺したは刺したが性格には四度では無い、五度だ。斬れ味が悪い、使いにくい。そう文句を言いたい所であったが、黙っておこう。
「セイッ!!」
ハンマー投げ混ざりの投擲、現実だと背筋が400kgいかない程度は要るだろうが、彼の蓄積は案外気合いで何とかする。酸欠する感覚が残っている分、未だある程度は戦える。
「残りはお前だけだ!一!」
一番ヤバイ奴だ、名前は確認していないが王国で魔術を使わない辺り、恐らく敵・・・一番あるのは狂団員、帝国兵は軍を抜いてコストが掛かっている分、圧倒的な強さを持つ。本来の武器を使えば楽だろう、銃で戦おうとしたが爆発により手放すべきとし、旧式の作りなのでウッドストックが燃えたのだ。
しかし今の高揚して手が付けられない彼の敵とは到底言えない、彼は嘲笑い襲い掛かる化け猫の様な怪物ととして彼等に挑んでいた。
互いにノーガード、攻撃すれば剣に血が着き、より滑りが良くなる。攻撃されれば血が減り、身体の余計な機能は停止する。
弾くか当たるか、何度も何度も剣は交わされる。上下左右に揺れ動き、互いが互いの致命傷を狙って、恐ろしい程に考えが合い、切る音が生々しく、風切り音混じりの聞き慣れない音として響く。
・・・しかし、彼は五分五分から価値を確信した。
さぁ、準備は整った。
刃物による失血、残りは二撃に終わるだろう。
一に失血
二に目眩
三に骨折
四に空白
臓腑を揺るがす打撃を以て意識よ散らん。
名付けて奥義『四分五裂』
目覚めは遠く、終わり眠る。
恐らく経験則的に王党派・・・ソロモン側の人間に扮している。殺した情報が伝わっている以上、メインの目標を放棄し、自分を殺しに来たのだ。これに関しては都合良く利用出来そうだ。
「助かった・・・ありがとう。」
誰だ、と思ったが城主の娘か。息子の方は多分前線か、後で来る。それか死体で返ってくる。そしてもしかしたらだが、彼女を利用すればソロモンの死因が対テロリスト戦の戦死ではなく暗殺となる。・・・連れて行こう。
「王都を守る様指示を受けている、そっちに行くつもりだ。」
「私も行く。」
「危険だとしても、行くつもりか?」
「ここも危険、何処も変わらない。なら根元に行く。」
若干自分の心がゾクゾクする。無性に連れて行きたくなった。挑戦する人間の心意気は、素晴らしいものだ。
背後から馬車がやってきた所・・・。
「いやぁ、助かった。なんか馬車が転がってきてさぁ。」
『(主犯格?)』
「(今言えるかよそんなの。)」
「それで?その子は?」
「城主のとこの協力者。」
「(じゃあ一回別行動して城主確保するか。)」
「(頼む。)」
「もう少しここで二人で待ってて?」
「火傷治療をしてからにする、後で痛い目を見るより柔肌を取り戻しておくと良い。結婚に苦労しないぞ。」
「苦労しないけど。」
「苦労する。嘘をつくな。」
「えぇ!?」
後ろから音がした、燃えている人間、執念で手を伸ばし、あと三十秒と言った所か。その手を伸ばした時、銃を持ち、手を撃ち抜く。
「・・・厄介事しやがって!」
未だ足元は濡れている、蹴りだけで堀に落とそう。生きれるかどうかは分からないが、段々と自分の不殺が曖昧になる。
回して蹴ると見えているかも分からないのに手で掴む。不味い、火の粉が散れば燃える、水分の蒸発もそう遠くない。足を引くが、足りない。力が強いと言うよりは、筋繊維が燃えている可能性があった、重さで変形し溶かし固まっているのかもしれない。
足を切るか、エリニューエスが離れて切れば失血死する可能性がある、失血対処は賭けだ、腕が掴まれれば死ぬだろう。
「・・・天運に賭ける!おい!下のお前!此奴を助けてやってくれ!お前を助けにロープをやった者だ!ロープはまだあるか!!」
鼓膜は一瞬の衝撃では壊れない、そろそろ音は聞こえる筈だ。
蹴り上げ、堀に落とす様に見せかけるべく、橋の端に近い方に傾ける。
水に濡れたロープを失血対策にする、ナイフで切り、骨部分はリボルバーで砕く。
腿を強引に縛り、何度も打ち付け、声を上げず、顔だけは少し苦悶に歪む。
「・・・何馬鹿やってんの!」
「クソっ・・・クソっ!!」
城主の娘は恩を返しに引っ張り、火のついた木材で傷口を焼く。
「大丈夫・・・?」
良く気絶しなかったと自分を褒めたい、声は出ないが、何とかなった。
「ああ・・・本当に助かった。」
結局出発は二時間後、子供数人が城主だろう、退化すれば言い訳も出来る。意識が起きないように神経の一部をカットしてあるらしい。
要塞から出て、竜王の目撃箇所まで進んでいった。
「こんな馬鹿な事をする奴とは思わなかった。」
「馬鹿な事とは何だ馬鹿な事とは!!」
「止めてください、子供達は寝ているんですよ!?」
死体とは思えない死体の一部から脚を再生した、蜥蜴の尻尾切り言った所か、ガガンボの方が近いが。私もニッチ産業になる時代が来るかもしれないと血の不足を実感するアイディアばかり出てくる。
その道中の事だ。馬車を動かしていた所、背後から音がする。
銃を構えると恐らくバレる、細かい単位では弄れない、つまり最も近い時にしかやれない。
『頭は伏せさせとく。』
「(分かった。)」
少し思ったが、人が山の様に積み重なっていた時、恐らくアレは数を持っていただけで恐らく人が中に居る。地面が崩れないと質量的におかしい。・・・遠巻きに人が見えただけで、皮さえあれば遠巻きにも錯覚させられる。山が丸ごと動いていたのだろう。
「地震と・・・あと一つ。」
心当たりは二つ、最適解は魔術。方向を変えて再現すればあの様に出来る。しかし、その場合追う必要性は無い。燃やせば大きな被害になるが、それ以上にもっと最適な理由がある。人質を確保する、その場合に動くのに最適な存在がいる。
不味い、これで考えとしては十分だ、弾道を予測し、狙いを定める。
未来を先読みし、相手のドタマをブチ抜くのだ。
「・・・初期仕様品なら流石に見える、見ていない相手の射撃程警戒すべきものは無い。何処に来るかすら読めない一手となれば尚更だ。」
「・・・殺せた感覚しないんだけど、あれ。」
「足留めが二度目三度目も必要なら速攻で当ててやる。」
「・・・何、あれ。」
「又か・・・。」
夜叉、産まぬ人間とは別アプローチで不死となった存在・・・方向性で言えばアルトリウスに近い。言わば体験版アルトリウス。本家は時空間が歪み、力が段違いで、耐久力も桁違いという足掛かりにまで落としてしまう格差がある。
それ以外にもあるにはあるが・・・未だ、彼女は何も言わない。分からない。
強いて言うなら、大量発生した人間の発生源・・・位か。
だが、自分には確信があった。アレは同じ武人である。
「彗星だろう。」
『八秒の衝撃』生身で100mの最速記録、そしてそのペースを維持した儘最大50km走れる人材。ドーピングを重ね、過酸化アクション等の手段を用いて最大限まで強化し、スピード狂としてどこまでも速度を追い求めた存在。
そして、それに猛烈な冷気を感じたのだった。
Q.何でエリニューエスは遠隔で形を変えれないの?
A.やっても良いけどズレたら地球崩壊するぞ。微生物がごっそり減ったりして。
Q.魔女って強いの?
A.戦場で使えるだけで本領発揮は戦場以外の方が良い。
Q.エリニューエスって元々これだった?
A.いや全然。魔女は大半が生物の成長・進化に関係して、それ以外は要素としてはあるがあまり関係無い運用の方が強いもの。
Q.四分五裂とは?
A.四字熟語、関連項目が七花八裂だったから多分虚刀流。
Q.なんで戦争ばっかりするの?
A.人類が平和に耐えれる程優れている訳が無いだろう?
Q.マルセル君何歳?
A.二十代。作家には35歳から失速する人と35歳からエンジンが掛かる人が居るのでそれに該当。
でも大体そういう人って一発屋に終わるんで期待しない方が良い。経験則的に。
Q.コウキ君ネジ外れ過ぎてない?
A.アクションシーンはトムジェリベースです。




