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継承物語  作者: 伊阪 証
聖女と無条件の醜悪

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13/74

強く、或いは鋭く

今月中に二章は終わらせたい所

ジョーの記憶は、荒んでいる。

周囲の全ての人物が自分を否定してくる十年、生まれの親からもそうだった。継いだ記憶の痛みから、後悔があらゆる鬱に繋がる、誰も信用出来なくなる。そして、自殺を選ぶ。

他人からも、自分からも死を強要される。

彼の怨嗟は決して表に出ないもの、その全てを知った時、相手は死を選ぶ。

その忌々しきは死を呼ぶのだ。その使命と記憶は残り、誰もがを苦しめる。

連鎖する、連鎖する、連鎖する。

雨が無くとも人は降る、砕けて散らば継がれゆく。脈々が物理的なものとして現れる、心臓に衝撃が物質の分泌で現れる。・・・そして、薄まる事なく、確実に一人一人を殺していく。家族を順番に、隣家を順番に、地元を順番に。

使命が故に守られる事は無く、終わりもなく続くだろう。

罰に相応しいであろう。人々は様々な手段で死に及び、苦しむのだ。

「エマ!気を付けろ!」

「何で鳥の糞より多いペースで人が降ってくるのさ!!」

「知るかぁんなもん!!」

「多分ジョーの記憶の影響!二つになってはいるけど自殺だと一人に直に継がれるから薄まったりしない!!」

「水酸化ナトリウムのタンクをダムに落っことしたみたいな気分だな!」

一歩音が別の箇所から響く、構える様な音だ。魔術を使う準備が始まり、この自殺の中異質な存在が居たのだ。・・・後ろに居るのは分かる、だが、止まる事は出来ない。生身で人が降ってきてクリーンヒットすれば脳震盪間違いなし、振り向くよりは前に進むべきだった。

「コウキ!面倒なのが一人来た!」

ショットガンのエイムをドアに合わせ、腰だめでトリガーだけを引く。マスターキー運用をして、蹴破った、以後扉は倒れる・立てるを交互にする事で開けられる様になるだろう。

「・・・誰だ?」

「暗殺専門の部隊、こういうのには駆り出されない筈だけど。」

「俺が何をしたって言うんだ。」

「それが分からない、取り敢えず捕まらないを第一にする方針で。基本的にこの国は裁判より先に火炙りだから。」

「職業一つで天国地獄が決まりそうだな・・・良し、こっちの銃は渡しておく。」

「・・・ハンドガンも作れるんだ。」

「一時期閉じ込められていたからな、カモフラージュ用施設だった分こういうのが作れた。・・・精度は宛にするな、威嚇に留めておけ。・・・だが殺傷能力は高い。」

扉から一人が入ってきた所をバレルで締め上げる、落とした後に尻周り除く全身を若干濡らし、銃で火を着ける。起こすべく背中を強く銃床で叩き、蹴っ飛ばす。

「足音は?」

「無い、あれで大丈夫なの?」

「ケツだけ素っ裸になるだけさ。」

「それはそれで大丈夫じゃなくない?」

「朝っぱらから下着以外着けてない奴には言われたくねぇさ。」

「足音が来た、どうするの?」

「・・・足音とほぼ同時に壁を壊す、振動でバレない程度にすればすれ違える。」

「分かった、壁に寄って。」

音の軽減の為、コウキは背を壁に、そして腕を前に出し、ある程度ラグは出るがジェンガをタワー毎動かす様に人型程度のサイズを同時に動かす。直接打つと今後に影響が出る為、最も被害が少ないであろうと導き出した体勢にする。

「いっ!にっ!さっん!」

「残りは蹴りで充分!結構痺れるから二度目はナシだ!」

「ナイスコンビネーション!」

「噫!」

走り出して話を戻す。

「人数は少ないらしいがどうだ?」

「下水道が無い分探しに来てないと思う、期待出来る程の作戦立案者は居ないらしいね。」

「・・・さっきの兵士がいた分特殊な兵士と考えるのが妥当だ。・・・エリニューエスか?」

「彗星もあるからね?」

「悪目立ちするもんな、得意戦術自体が。」

「それでどうする?」

「エリニューエスの詳細情報・・・はヘカテーの方が適任か。」

『エリニューエスは何処かで収監されている事になってると思うけど、多分脱獄している。』

「・・・その手の武器警戒か。」

『あと触られた瞬間即死の危険性がある、水分が分離して崩壊か、身体をほぼスライムに改造される。ちょっと前迄はそんな事出来なかったけど、シャーマンの接触以来そんな感じね。』

「ギリギリ体の上を覆ってバレない布とかあるか?」

「無いよベビードールにも使えないし。」

「判断基準にすべきものでは無いだろう。」

『・・・取り敢えず、エリニューエスはランダムで現れるって程度に考えれば良いよ。』

「逆に言えばここに進軍する中で軍が居ない場所にいる筈だ、そっちに行こう、無理矢理吐かせる。」

『・・・それが得策、ソロモンが加担していた時が一番危険。』

「・・・まさかこのタイミングでか?」

「・・・無いでしょ、それは。」

『もう少し懸念するなら、狂団の誰かが来た時、最低ラインでも一人辺り帝国兵士十人分と思って。』

「分かった。」

『あとお水、魔術で火を使うのが多いから。運ぶのと硝子が発達しなかった分で瓢箪なの。』

「教会に大体自販機あるから補給はそこでしてね。」

「硝子が無い分壊しやすそうだな。」

『元は海辺にあったんだけど内陸部に行ったせいでねぇ・・・あと帝国が上流だから・・・。』

「硝子が少ないのは研究不足か?」

『錬金術とかは無いよ、それが原因かも。』

「・・・文明を定期的に後退させる奴のせいでそもそも発展しねぇのかな。」

「だろうね。」

『税金から専売に変わったって事はサボタージュ出来れば相当痛手・・・というのはどう?』

「第二のスラムが誕生するだけだ。そろそろ爆薬かなんかで吹っ飛ばされるだろうな。・・・所詮はサブ目標って所か。」

『・・・やっぱり、町単位で消せる力があればそうされる可能性があるね。』

「威力は無いが火力にはなる、人間に耐性のあるエネルギーは変換される・・・、処刑すら利用出来るから存続する訳だ。」

「・・・殺しが利用出来るから様になった時、人は家畜化する・・・と?」

「だろうな、信じたくないと思う事は非常に宜しくない。」

『・・・これからどうする?』

「・・・あー、目的は何となく決めてある。とはいえ今は離れる事を第一に、今の自分の見た目だと全然違うせいで説得出来ないからエマは同行、主要人物に知れ渡ったら別々で。」

彼の指示を皮切りに、今の所大して慌てていない・・・そもそも彼は彼女側の状況を理解出来ていない、襲撃を凌ぐ方が優先度が高い状況にある、そこから打開しなければどうも出来ないのだ。



さて、別の視点だ、ルナによる聖書は禁忌とされ封じられた。異端者ケリオスのルナ或いは忌み地より来た忌み血の者として裁きを受けるだろう。・・・真偽は、どうでもいい、殺せれば良い、全ては順調だ。

即刻の死刑判決は二度目の狙撃銃使用許可を下す。

慎ましやかな胸の下、先よりも綺麗に弾が入り、芸術性も何も無い。・・・正しく暗殺、処刑とは到底思えない、罰では無い、単なる殺害。音は僅か臭いは黒色火薬のものだ。五感を絞り、極最低限を貫く。

「ルナ・・・っ!!」

彼女はまたも、人を守れぬ。殺しの容認は判断能力に欠ける切っ掛けになり得る、人間は不安を持っている、だが、不安は常にある事で真価、言うならば抑止力として存在出来る。隣国が信用出来ず、発展を繰り返し、特定地域だけ進歩する様に。

だが、周辺を駆逐し、終わらせようとした時にその進歩は終わるのだ。一流の軍人は戦争をしないのだ。・・・コウキはそれを知っていたが、彼女はそうではなかった。

常に殺しを手段と出来る実力、そして兵器を称する程の人間と言えない構造。

守る為に殺した、最初から殺さなければそうはならなかったかもしれないとして、それを後悔するだろうか。その様な視点の欠損も予想出来る。

理不尽な環境であればある程、不殺は最適解になる。アルトリウスも態々民意の為に報復をしなければ、もっと早く戦争は終わった筈だ。

例え、それが戦争の犠牲者以下で収まる大虐殺で、永劫に差別が続く原因のなったとしても。その懸念こそこの文明を発展させる。

兵器は誰に向けられたものか、進歩する生物が何故居るか、理由を語ろうとした頃には彼等は居らず、闘争と支配の為に古き通達は消された。

蒸留にも見える、生物の選別、来るべき未来を知ったが為に備えた、その犠牲。

仕方の無いものだ、彼女は先人が用意した別の目的の存在、彼女の自由は約束されているが、未来は約束されていない。

彼は人の道を以て希望を掴み、彼女は兵器の道を以て絶望に触れてしまった。無価値ではない、だが、彼との明確な違いは証明された。

「ルナぁぁぁぁ・・・。」

消え去る様な声で、彼女は崩れ落ちる彼女を持ち上げる。彗星は今、彼の遺体を輸送出来る様に取り計らった、彼女に縋るしか今は無い。

謝った、謝った、謝り倒して雨の中を疾走する。

彼女はルナの使命や記憶を受け取れない・・・産まぬ人間は人では無い。


食わねばならぬ。


人と災害を結ぶ手段はカニバリズム、カニバリズムによって故人の記憶、寿命、使命を倍加出来る。・・・人類もまた、兵器の一つである。

しかし人は倫理観を持っていた、食う選択は出来なかった。それが罪であるとした。生物濃縮によるプリオン病悪化も懸念はしていただろう、だが、それ以上に人を食えなかった。何より可哀想だった。死という終わりが、それ以上の罰を呼び寄せる・・・そんな事は容認出来なかったのだ。


お前は兵器だ、故に食える筈だ。


覚悟は出来た、罪は償おう、殺しに罪悪感が無いのは構造上だが、こればかりは例外であった。

究極の生物、産まぬ人間。進化や進歩の要らぬ生命。最も無意味な行為と知ったとしても彼女は止められなかった。

彼の生きて欲しいという願いすら叶えられない、自分が兵器であるからか、この様な結果は自分の傷にしかならなかった。

食事はどれだけ得る物があったとして、不味い物は不味い物なのだ。数値より感性を信じる・・・何せ、特に重要な資産という概念は数値で言えば唯一平均と数千倍の差を引き起こせる概念だ。

殺しの重みはまだ良い、だが、死は重い。・・・数値の感覚は膨大な差により諦めざるを得なかったのだ。

それだけならまだしも、もう一つの不安を感じ解消の為に彗星の下へ・・・そして・・・彗星が血を流し倒れていた。

「あ・・・え・・・?」

記憶はある、彼女のした事は全て覚えているのだ。

それでも・・・コウキの記憶が示す通り、彼女は善人である。

・・・三人だ、不死が、自分をどれだけ盾にしようと不尽である彼女が、役に立たないと証明された。

目を閉じようと、身体は動ける、何処までも功績は残せなかったが一応はハイスペックな身体が、すべき事を忘れない。

彼の感覚は足りない、自我が無い。記憶の重要部分が欠けているのだ。

走り続けた果てに何かがあるか、それは分からない、これは逃亡に過ぎない、諦めであり、それと同時に救助であると言い訳した。

王国を侮った、戦争の前線に出てくる人間に違和感を持つべきであった。・・・王国の王とは飾りに過ぎない・・・故に、海岸程兵が強い。その差が膨大であった事に気付けぬ彼女は甘えていたに過ぎない。・・・相手が一々予想出来る場所から撃つ筈が無い、唐突にしなければいけないが為に作り出した演技なのだ。

消耗する精神は、記憶上十年程度しか生きていない彼女にとっては重い物だ・・・救いも助けもない、苦痛に過ぎない。

走って、崩れ落ちた時に、死人から声を掛けられた気分になった。・・・偶然が、行き違った。

「どうした? らしくないな。」

「・・・コウキ・・・。」

最後に彼を見たのはいつ頃だったか、死に直面して気が狂ったのか・・・しかし縋る、暖かで、脈動する。少し物足りないと思う辺りは、自分の不満であろう。

「あのね・・・私、やっぱり人、向いてないんじゃないかって思うの。」

・・・彼女の吐露に彼は答える。

「人間は高尚な生き物では無い、貪欲で破滅的な生き物さ。弱者を殺そうと、その反動で死のうと、全て同じだ。・・・他の視点ならまだしも、こっちにとっちゃ縁のない話だ。・・・気にすんな、慰めにはなんないかもしれないが・・・。」

気恥しい儘、付け足す。

「・・・こっちも生半可な気持ちじゃ挑めねぇ、誰が見ているか分かんねぇ、只カッコつけたいってだけで理由は足りる。」

そして追加で反省点を指摘、最も足りない点にして彼女が手段によって忘れてしまった言葉を指摘する。

「・・・それで、お前の問題は目的を果たす能力が無いとかじゃねぇ、もっと根本的な問題。・・・誘惑出来てない・・・って事だ。」

そして彼女の感性に同じ答えを入れる、第一印象の様に盲信する事になるかもしれない・・・それでも、自分の事を無視してしまうよりは遥かに良いだろう。

「・・・周りの美しさに気を取られて自分の見た目を忘れるな・・・コウキの記憶、その一部よ。」

次の言葉だけは、何処か哀愁を感じさせた。

「お前は何より強く、美しい。」

涙の先に、彼は居る。それが本物かどうか自分でも分かっていない相手でさえ。

「優しくあれと思う必要は無い、一人じゃないんだ。二人でやってんだから、もっと気楽に行こうぜ。」

彼は私の状況を理解しているとは思えなかった、死体や怪我人を運んでいたが・・・何処にも無い、若しかしたらこれは夢かもしれない・・・だから、諦めた。

「失う痛みは誰よりも分かっているつもりだ、お前相手なら尚更、分かる。・・・様々な要素で構成された世界において、人間は認知可能な範囲で解決し、残りを妥協する。後悔はそれを何時するかのものでしかない。戦略を組み、理屈を立て、終わらせる。それこそ才能に依存するもの、未熟であると理解出来るだろう?」

「コウキ・・・?」

一つ、彼女に知らない事を告げた。

「・・・旅をしたのは三百年間だ、だが、そう感じる事は無かっただろうな。」

そして彼は過去を語る事無く得れたものだけを語る。・・・相手が相手だから、そして彼は小賢しい真似をしないから。

「理論化は簡略化、そして世界に疑問を持たなくなる。天才は二つに分かれる、即座に理解してしまうから簡略化されている、はたまた理解すべき事をより多く認知出来るから相対的に簡略化出来ない。・・・自分の童心はその類、どうすればこうなるか理解している、あくまで経験則だが。」

そして膝の上に崩れ落ちる、座った彼に合わせた訳では無い・・・崩れてしまいそうな自分を鑑みて彼は予め行動したのだ。・・・全て見透かされている気がした。

「お前はそうじゃない、経験則も無い・・・赤ん坊って事だ。理解も出来ない儘産まぬ人間として固定化され、兵器になった。」

許されたかった、認められたいという言葉の裏返しなのだ。

「・・・だから、今は迷い、戸惑ってでも先に進め。・・・何時か、心の奥底から決めるべきと思う課題がある。」

先ずはすべき事を託した。

「・・・だから、子供の頃の話と笑い飛ばし、進め。」

その次に不穏も同時に託す。

「何れ・・・自分は先に死ぬだろう。」

間を空けて囁く。

「後悔と恥は同じだ、可哀想な自分と思い込む為のものでは無い、隠して生きるものだ。」

一旦終わらせ、テンションを切り替える。

「・・・これからジョーとルナの無念を終わらせる、痛快な終わりにしてやろうと思うんだが、どうだ?・・・決まったか? 取り敢えず帝国所属とその重要人物をメモった、全員守れ。」

「分かった!」

「彼処のおばさんが治してくれてるからもう少し待ってろ、彗星は無理してでもパシらせる・・・間違えた、走らせる。」

「何かしに行くの?」

「これから自殺多発対策をしないといかんくてね、その為に行かなきゃならん・・・未だ途中って訳だ。」

「何かかっこいいやつ?」

「汚れ仕事だ、よしておけ。・・・あとあのおばさんを一回口説き落とさないといけない事情があってね。」

「・・・気を付けてね。」

「大丈夫だ、安全第一で行く。」

言葉は要だらない、互いに背を向け合い、拳を託す。



一度別れた後、一度思案する。彗星の傷は刀による裂傷・・・有り得ないと思考する。武道においてコウキには数人の師匠がいるが、その傷は実力者・・・自分と同等の者・・・と言うよりは見せ掛けている。格上の実力者と思われるのだ。・・・単純な事だが、一つ予測してある、それは・・・。

「・・・間違いない、盤面に三人のコウキが存在する。」

「・・・何だって?」

「あと一人、居るんだ。」

クローンが一体だけであれば一人で管理する筈が無いし、部屋を出る事に関しても頻繁だった。

クローン側のスペックが差別化されていたり、記憶の定着度・・・元の自分がどれだけ再現され、拒絶されないかが分からない。・・・自分は今技術面においては精々8割の実力しか出せない状況で、無茶が効く不死とは話が全く別、彼女の体で戦う時と比較すると肉体はかなり劣る、5割あればマシな方である。・・・エリニューエスの改造が何れにせよ必要な訳だ・・・。

「・・・もう一つ、危惧していた事だが。」

『・・・どうしたの?』

「・・・魔術王ソロモンがどこかしらに居るって予想だ、風の方向がおかしい。」

「・・・あれ、私は・・・。」

「・・・一応警戒しておこう、眠っていた間に何をされたか分からんからな。」

『逃がす為に乗り移った時は何にも無かったけど。』

「・・・一応警戒頼む、再調査完了次第ソロモンの存在を確認する。」

『分かった。』

「乗り移るってどうやってやってんだ?」

『人体版ハーラル=ゴームゾン。掻い摘んで表すとこんな感じ。』

距離は大体20m内、記憶は最低限でDNA数gの情報のみ、思考能力は人に依存するが取り分を考えて配分しなければならない。常時思考を支配された場合は基本的に無理だが、太陽と月の様に夜の場合は乗っ取り易い。

「・・・常に変な事考える奴とは分が悪いのか。」

『自覚があるなら抑えて欲しいなぁ。』

会話の中で望遠鏡で遠くを見る・・・そして、一人見つける。話に聞いた姿をした奴だ。

「そして面倒なの、見つけたぞ、あの街にいる。」

「・・・あー、本物かな?エリニューエスが仕組んだ可能性があるけど?」

「それに関しては一個作戦がある・・・もう始まっているが、掛かったと分かった時の顔が見てみたいから覚えておいてヘカテー。絵画に治す為に覚えておく。」

『はーい。』

此方側には命の重みを考える人物はあまり居なかった・・・自分が命として未だ産まれていなかったり、過去に何度も扱ったり、後悔をしているが為に今をより重く考える人物・・・。



街にいる男は勘付いて頬杖を止める、彼の名はソロモン・・・詐称と悪意の集合体にして一国を守る王。

・・・今王国を守るには中央十字の排除が必要、その為に軍を単独で叩く。・・・さて、凡そ半数は叩いた所。ジョーとルナの殺害は予想外で、恐らくエリニューエスは敵対した事になる。・・・と言うより味方を捨てたのだ。

「・・・さぁ、俺が来た、問答無用の殺し合いの時間だ・・・お前はどうする?」

・・・それでも彼は実力に足る、侵入を迎撃しようと主を殺した教会の中央から立つ。・・・ゴシック様式の特徴を持つ教会は大規模に街の空を白にする。

彼は先ず、彼等よりも奥側に火の輪を敷く、森を焼き、範囲を定める。やがてこの街は焼けるとしても、自分にとっては些細な火傷にしかならない。

・・・辛酸は過去より軽い、自分は立って敵に向かうべきである。そうしなければ自分の国と父の無念を晴らせないのだから。

初期設定なので齟齬あり。

ジョー・クレイトン

呪いを引き受ける男、周囲の人々を歪ませ、攻撃する様に本能を駆り立てる程に敵対心を存在のみで煽る。一方で彼のそれを知る人物が二人だけおり、それは幸福を与えるものであり、ヒトらしく仕上げる良い女であったりする。それ故に、彼は影ながら彼女に仕えている。彼はとある・・・に愛され、その魂を縛られている、故に、気付く手段は無く、仮説が限界である。能力の対象は継承可能な人物であり、また、上位種であればその認識パターン阻害の影響や聴覚阻害の影響を受けるものの醜いというものが少ししか影響を受けない。しかし、それ以上に手を出してはならないと、アレの息が掛かった恐ろしい存在と避ける事を半ば強制されている。

惚れっぽい性格や、優しい性格は消え失せ、会話能力すら失った事もある。ルナが拒絶しつつも信頼を得て、コウキの攻撃出来ないが為に正常な接触であったり、継承可能とは言いきれないヘカテー等には信頼をおいている。

彼は現存する人物の中で死後が確定している唯一の人物であり、死後の世界を切り開く、魂の解放者という役目を持つ。

ルナを好んでいた憎悪を向けた人間に殺され、見捨てられたと失意の中、誰に託す事もなく、殺した人間に全て渡された。彼女が自分を頼らなかったのか疑問に思ったが、守る為だと勘違いされ、彼女からの印象は最高になっている。



ルナ・トゥールーン

ジョーを支える数少ない人。人の使命を看破するという能を持ち、大した頭脳や特筆すべき身体能力を持ち合わせておらず、急に目覚めただけの悲しい子である。

それは、彼女が友人から慕われた証拠でもある。だが、彼女が従うのは贖罪であるからだ。

本人は生理的に血反吐を吐く程痛いと思っているが自分の使命を信じ彼に付き合い続ける。これは彼女の生き方であり、使命なのだ。

・・・それが本心なのかどうかは、殺してみれば分かるのではないか?

彼女は途中から使命を終わらせ、残りは自分の精神力で耐え、彼の傍にいる。相手が無条件に不快を与え、相手がそれを良く思わずとも、彼女は既に心で許していなかった。アレは、あってはいけない。解決するべき存在だと。

何か特別強いかと問われれば、精神の強さは一流である、あと見た目も良い、精神の高潔さに付随したその見た目にケチをつけるものは少なく、イカれた奴としか悪口を言われないのだ。

彼女は後にダガンを殺そうとするが、先を見越したアランの問い掛けで記憶をコピーして自分では手に負えないと考えた。

精神の高潔さ故洗脳や薬物等の精神への汚染が通じず、ヘカテーが拒絶される為、彼に関わった嘘等も一切通じない。規則の魔女は法を以て彼女を人たらしめた。

その様な洗脳耐性は価値があり、記憶注射の一部に用いれる。PTSD問題に強く出れる。

・・・彼を殺して楽にしてあげて、自分が継いだ方が未だ、救いがあると考えてしまった。精神力が強くなる度にその様な邪な考えが浮かび、愛情と殺意を同時に持ったのだ。

一時、どうせ一時と逃げた彼女は、昔医者が洗脳されていると何度も言ってきた際に刺そうとした注射、それを一本残しており、使えるかどうかも分からず打った。

虫食いの儘消された記憶、生きる為の最低限。苦痛の記憶は邪魔であると消された。彼を守る為に打ったかと思えば、その実もっと救いようのない結果にしたのだ。

かくしてジョーは死んだ、ジョーを殺して継いだ者は尽く自殺を選ぶ。ジョーは耐えかね続ける、ありもしない、期待もしない彼女を待ち続けた。




世の中の店にハートアタックグリルが存在する限り不謹慎の名前は割と許される。

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