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継承物語  作者: 伊阪 証
聖女と無条件の醜悪
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パイプ銃と抑圧

マカロニ入りミネストローネは量次第では主食足る価値がある。

寝床の後で、彼女は起きた。朝はスロースターター、僅か数分試合に全力を賭ける、はたまたインターバルで行なう。スタミナがメインの人類に対しそれから真っ向に異を唱える、それが大半の運動である。

「・・・おはよう。トラウマを刺激しちゃったっぽいね。」

「・・・身体に異常・・・結構あるか。」

「私は医学の機械に触れた位でそれ以上はやった事がない。だから特に触ったりはしていないよ。」

「・・・正しい過程をキッチリ教えろ、詫びるならその意気でやれ。」

「・・・ん、貴方に都合の悪いものはないけど、もう少し待ってくれる?」

「理由は?」

「私も知らないから。」

「最初っからそう言えっての・・・。」

「私も貴方にぶん殴られて三日間気絶してたの、本当に痛かったんだから。」

「・・・三日か、水分良し、栄養素は・・・グリコーゲンからケトンに移動してる。先ずは飯だ。」

「・・・良いの?」

「気にしない、自分も、お前も。良い?」

「・・・私、中々不味い事やってるんだけどなぁ。」

「知るか、戦利品と功績が増えるだけなら全然構わんさ。・・・王国を滅ぼせ、か。先ずは偵察、その次に立案か、何か良い武器作ってくれよ。」

「私は機関銃の開発担当・・・もう仕事は終えちゃったのよね。でも此処に以前の文明の旧軍港がある湖・・・だっけ?そんなものがあるのよ。」

「・・・学者も所詮は運みたいな所があるしなぁ。世の中の大体の学者は一匹の猫に論文の引用数で負けてるしな。」

「私、将来有望じゃない・・・!?」

「だろうな、もうスペアだろ。」

「・・・うわぁーん!!」

「泣くなそこら辺の草茶だ。飲め。」

「何これまっず。」

「嘘泣きを見破るには最高だろう?」

そう煽ると、彼女は先の事、つまり自分に黙っていた事を語り出す。・・・つい、やってしまった感じがある。彼女の事を勝手に調べたが現在は仕事をしていない、中立の存在だと知っている。・・・個人個人には思い入れがあるのだろう。

そういう意味じゃないと言った、そしてそう思うなら自己紹介をするべきだと伝え、そうしたら引きつった感じもするが、其の儘笑い、語る。

「別に私は大丈夫だ、この契約は私を守る為のものだ。」

この言葉は後に大事になるものであろうか、今言うにも余計なものであるという気がした。だが、問題無い、彼女は嘘を言わぬと約束した様なものだ。

「御託は良い、自己紹介を改めてしろ、戦いの魅力だ。自身を楽しませろ。」

即座に彼女は答えた、待っていましたの話が如く、彼女は話し出す。

「『空白の可能性』を突き詰める、それが魔術師・魔女の名を冠す者の目的さ。

空白は常に起きる世界の変遷、何れゴミになるかもしれないものだ。」

彼女は先にそれを警告した、それ以降は君自身に影響しうるものだ、だから聞いた。

「更なる闘争と、更なる苦難を望むかい?」

「噫、勿論だとも。」

「最高ね! その意気に答えてあげましょう!」

彼女は一気呵成に声を漏らし、得意気に話す、この落差には着いて行けない様でありながら、気分は悪くない。立ち直りの遅い相手程役に立たないものは無いからな、そう心に思っていた。

「私はアクセサリを作るのが得意、武器や防具も作れる。それを理屈化出来なかったが質が良かった事や、とある人物と敵対しうるという事から私を追放した口実も作れた便利な能力だよ。」

彼女は道を示す、自分は既に実力を示している。これで充分だろう。相手は居ないがサンドバックはいる。

「未知の技術、体験してみるかい?」

真っ先に鎧とか作って欲しい。サンドバックに耐久力が欲しい。新技は大体没になるので一度は試したい。

「・・・ああ人には未知が多いからね、単純であれば有り難い、性格もそうだ。発達しているせいか、君は性格が理解し易い。」

・・・少し隠し、聞こえない程度に言う。

「君の出身がどうあれ、その体はあの忌々しい男が作ったもの、三度しか使えない切り札。」

・・・罪悪感は、彼女を蝕む。彼女は、その年齢に反して仕事と私情を分けてしまい、私情を成長させられなかった。その原因と思われるのは睡眠時間、スパイを疲弊させるとあったが、基本的に脳内にベータアミロイドが溜まり、睡眠時に廃棄されるという循環を薄める、場合によっては止める事になるので危険である。

「警告を幾つかしよう。君は誰これ構わず狙われる。コウキというアイデンティティがあるだけの別人だ、その記憶や存在が殺しの理由になるんだ。」

安堵を与えた、もっとマシな示し方をしてくれないものか。

「私が少しは助けるよ、だけど、君がもし違和感を持った時はいつでもその言葉を思い出すといい。」

彼女の話を聞き終え、するべき事を話そうとしたが・・・その前にだ。

「少し一人で居て構わないか?」

「うん、良いと思うよ。」

「一緒に居ると疲れるんだ。」

「そりゃ良かった、こういう性格なのは隠さないとやっていけない仕事だからね。」

「・・・若干、元から疲れてるってだけだ。」

「・・・私で良ければ、力になるよ?」

「心意気だけで充分さ・・・自分の問題を自分で片付けられない・・・と言うよりは自分の実力が無いと思い知る時が一番嫌でね。」

「・・・気を付けてね、敵地だから。」

「噫、後で再度何をするか確認する。・・・それに関しても説明してくれ。」

コウキは彼女から目を逸らす・・・だが、感覚的に少し違和感があった。それに気付かない彼を気付いてやれない・・・気付かせすらしない事に、エマは自らを否定され続けていると思っていた。違和感はそれかと紐付ける勘違いは、彼女の第一の救いである。



さて王国は東、都市はあるが移動朝廷と巡回裁判所の二つの為に王都は無い。クーデターを起こそうにもジーメンスとソロモンを同時に落とすという面倒な過程が必要になる。

森の中の家、最低限ではあるが、自然豊か、それでいて平穏であった。ここにおいては彼女は最上位の捕食者であるのだろう。蜂の巣もあるが、クマバチが飛んできて、人を仲間と勘違いしたりして激突、しょげて帰っていく。虫と動物の動きはあるが、ここは楽園となっている。廃遺跡、廃墟、先祖は人に縋ったのであろう、しかし近隣の川の激しさや、山とはいえ建築の弊害として土砂崩れ等、その結果出ていくにもマシな方を選択した、穏やかで賢明な動物達なのだ。

廃墟の一つ、これは王国に滅ぼされた文明であろう、グアノが中央に多く、楽園らしい。とはいえ山の儘なので、肥料として貴重だったからこの様に信仰されたのだろう。

・・・一人、女が祈っている。

「幸運にも良い女・・・。」

チェルノボグだ。

「口を塞ぐと止める辺り、躾られているね。」

・・・どうやら、彼女は自身を認識出来ていない。

未だに違和感がある。

「成程ねぇ・・・。じゃあ私が三人目の美女って事かな。」

少し説明をした、彼女は何も聞いていないのだろうか、有り得ない気がした。廃墟の中にあった比較的新しい家からものをくすねて銃を作った。防弾ガラスに罅を入れる威力で、刑務所でも同じ事が出来る。サブウェポンを作る程余裕は無く、相手次第で当て所は考える。・・・出来れば足だ。

「不運の魔女チェルノボグ、私はやるべき事があって此方に来ている、君の名は?」

「コウキ・タカハシだ。」

「コウキ・・・? いや、タカハシは少数だ、被る事は無いか。・・・本人で良いんだな?」

「もっとゴテゴテにして奥津神みたいな・・・。」

「それだけはねぇよ。」

スルーされた所、彼女は自分の話を始める。

前、話していなかった事、一年の付き合いがあっても辿り着けなかった事。

「・・・休憩時間か、そろそろ、話しても良いかもな。彼奴も居ない。」

少し中略を挟み、彼女が変わり始めた。惚気話や与太話で和み、腹が決まったらしい。・・・その重い不意打ちを聞き逃して、漸く聞こえた。

「私が豪運だからな、確率が絡めば全て私の都合の良い様になる。・・・だから周りは相対的に不幸と思い、私を呪う。十年も親は姿を見せず、私を見捨てていた。」

言葉は重い、少し手を貸す、彼女は数多くを殺し、記憶もあるだろう、だが、中学生と同じ年齢、自身よりは年下なのだ。・・・彼女はそうでも無いが。

「私と契約を交わす権利が与えられ、契約者には幸運が、それ以外には不幸が、全人類と結ぶと思い通りにならず、私の意味が無くなる。ちょっとした幸運までしか用意出来ないの。」

辛そうであった、だが、理解し得ない、これは彼女は周囲を理解し得たから。・・・私とは真逆なのだ。

「幸運にも・・・か、嬉しい言葉を本能的に選ぶ、酷い魔性。」

目を逸らした彼女を追うと、失望の眼差しを向けられた。期待通りでない彼への、或いは希望という人間味を感じさせない心の現れ。死を感じ取り、その手を取ると、重ねて言った。

「・・・契約の痕跡、懐かしい香りがする。」

その失望の正体を理解した、彼女はそうしたくないだろう。・・・彼女が私を彼女と思い続ける限り、そうしてしまうだろう。

「ああ、私を助けた英雄アルトリウスを殺すつもりなんだろう?」

頬に手を伸ばされた時、彼女の本質を確信する。

「残念だが、私を殺さない限り彼の計画は達成される。君には悪いものじゃない筈だ・・・それでも、君がやりたいと言うのなら。何をしても結果的に死なない私を殺してからにしろ。その程度の覚悟が無いならば託すつもりにもなれない。」

・・・間違いがあるとすれば、彼の心はその程度では揺らがない。覚悟と決意、彼はそうはならない。

「殺す事に後悔したのに、人殺しになれと?」

少しは優しくしようと、直接は伝えなかった。

「・・・違う、私欲を隠して言っているだけだ。私はもうこれ以上自分を不幸に陥れたくない、暴力が怖いんだ。・・・だから、私はもう生きたくない。運良く生かされる運命に在りたくない。・・・希望として託したいんだ。」

目を逸らしつつ伝えたが、彼の目は一点も変わらない。頼みであったとしても、だ。

「断る。・・・自身も殺しの重みを知った人間だ。」

彼女は只管に言葉を重ねるが、本当に只重なっているだけ、人の心とは到底言えないが、優しい道程は既に途絶えた、彼の武器は即座に彼女を殺めうる、彼女の望み通りであれば手を取るよりも早くこなせるだろう。

「・・・幸運にもと褒めた人間の死を見たいなんて、そもそも思っている訳が無いだろう。私と君は相容れない存在だから、だろうね。渇望を続ける君は・・・。」

彼は、見抜いた。一年程度の付き合いがあったチェルノボグ、その言葉を問い直す事無く、別の話に切り替え、突き返す。

「有り得ない、お前は間違いなくチェルノボグではない。」

胸を指して言った、彼女をすり抜けた指、それが全てを物語る。彼女はアルトリウスの様な人物に勇気付けられただけで、品質的に強いとは言えない。失敗を後悔し続ける・・・まるで、誰かとは逆らしい。・・・いや、所詮三日の付き合いだったとしても見抜けるだろう。自身の嫌な事を強要する彼女ではない、運が取り柄なのだ、それを否定するという時点で違和感があった。

・・・彼女はポップに霧散した、そして一人の幻覚が現れる。

『当ったりー、私はヘカテー、折角だから試してみた、あの子は生に凄い執着するから全く違うしまだ治療中だよ。』

「安心した、そして本体出せ殴ってやる。」

『本体は無いよー、残念だったね。君の様な根っからの変態精神がない子だと私に嫌がらせも出来ないねぇ。うんうん。』

「・・・うーん?」

『良い事なんだけどね、十五歳までなら。・・・でも、君の場合は少し話が変わるかな。・・・そして君の求める情報に答えよう。意地悪しちゃったし。』

顔に一気に近づく、見た目の確認をすべく掴もうにも掴めないので後ろに下がると、全容が見えた。

・・・品の良い、お嬢様。何となくな感想ではあるが褒め言葉以外出てこないのであった。

『君は今不死ではない、別の人間から作られたクローンで、脱走した個体だ。私が補助した。』

彼女の言葉は非常に重かった、その苦労の痕はエマが覆い隠し、戦いのパフォーマンスは大きくでは無いが少なくない数値落ちているそうだ。

その事実は衝撃では無い、私はコウキ、だが、どうせ別人だ。コウキは死んだ、生物として、勝負において負けたのだ。・・・ならば私はコウキに良く似た別人、同等の性質を持ったマクロ視点であれば同一なだけの話で、ミクロで見れば違和感のあるもの。

『取り敢えず君にちょっと前の記憶を見せてあげよう。・・・エマは隠したがっていたし、説明もしなかった、あの女、割と性格悪いかな。』

彼女が吐き捨てた所、短時間で記憶を詰め込まれる。

白衣の人物が一人、誰かが眠りに覚めるのを待った。時系列で言えばコウキ潜入後、近代と古代のパッチワーク、総合評価して未知の遺跡となる。

誰が横たわっているのかは見えない、ただ、危険なのは理解出来る。

「アランのメッセージに従って創設されたのが我々だ。メンバーは数十人満たずだが。私はドナルド、シャーマンの方が気に入っているからシャーマンと呼んでくれ。」

潜入時に少し手間取った、マッピングするには暗い。近代的なセキュリティでは無い為、案外誤魔化しは効く。地下には忌まわしいものと聖なるものを封じてある、良くある話だ。

「すまない、面倒な来客だ。」

手術台から離れた彼は、酸素用の缶を渡し、手を自由にするボタンを押す。

「ダガンか、いるのは分かっている。眼鏡を熱で反応しやすくすれば簡単に分かる。」

彼は手を向けた、壁の向こうをヘカテーが写してくれている、もしかしてだが、彼女は手術中も自分を押さえ込んでくれていた可能性がある、注射針等を刺した後が無く、投薬された感じもない。

対物ライフル級の音がそこそこの感覚で聞こえる、ランボーを思い出すが、建物は揺れない、地下か、威力が低いか、壁が原子力発電所並のものになっているかと予想していた。

「放射式水冷機関銃、水冷でも温度は高くなり易い、だから常時水分を放出する事で一分につき1200発の6.8mmカスール弾を連射し続ける事が可能だ。・・・シャーマン戦車と同等の圧力、是非楽しむと良い。」

ミニガンは射撃訓練場において実弾で使用されない。基本的にゴム弾を使用する。・・・建物次第の所はあるが、壁に窓が一個増え、下手すれば壊れるからだ。

「・・・この銃の本領発揮は冷やし続けれる事だ。爆発の度に酸素が二酸化炭素になり熱も増える。酸素を途切れさせても問題ない。・・・そして、水分はガソリン。基本引火しにくい物だが、皆、直ぐに爆発すると思っているがラグを体感すれば分かる。酸素濃度を減らしてやればあら不思議、私は安全と言う訳だ。残念だが銃に近寄れない君は・・・地獄行き、さ。産まぬ人間でもない君に有効打って訳だ。」

射線ギリギリ、精度次第では当たる位置だろうと平然と立つ。それ以降は見えない。

「・・・逃げられたか、後五つは試したかったんだが。・・・まぁ良い。やはり超越的な身体能力ではない、在り来りな手法を用いて徐々に徐々に軍隊を滅ぼすタイプだったか。

非爆誘導ミサイルも良いかもしれない、レーザーポインター式は駄目だがワイヤー式か熱源探知式なら使えるか・・・。核兵器みたいにある程度の距離が有効であれば良いかもしれん。」

振り返りつつ煤を払い言う。

「それに、ダガンという名前も気になる。中東方面の名前だよな、確か。それに・・・剣の形が七支刀だったな、私はてっきり南の方かと思ったんだがね・・・。・・・いや、辻褄を頑張って合わせるとしよう。」

コウキに向かって言った。

「これで安全だ、まぁ、不死とかの特性は無い、ナイフ一つであっさり死ねる。」

アトラクションの様に他の部屋でも同じ対応をしているらしいが、見る事は出来ない。

「記憶は既に埋め込んだ、設備が整ってないから半端だがね、保存器具が無いのはやはり痛手だ。」

眠気がまだ残る、相当強力な麻酔を使っている、熊用の麻酔銃が効かないという昔話を聞いた事はあるが、そこから想定すると寧ろ電流等を介していると思われた。

「・・・良し、王国内の協力者に紛れ込ませておけ。」

科学者の見た目をした非道、戦士である。勇敢の極限、性格だけで考えても到達点にいる。

「勝利を引き寄せているのは此方だ、勝利を信じ、努力と悪逆非道、頭脳に運任せ、そして復讐と正義。・・・さて、お前が勝利を決めれる立場であったらどちらを選ぶだろうか。」

俺は殺しに来るという殺意、迷いはあるが心に応えて同じ心意気にしてやってんだ。正当防衛とかそんなんじゃない、戦いに応じて殺してやった、経験の差で奪われただけだ。・・・地団駄の様な思考が、自分を苦しめる、どこか自分でも殺しを手段として見ている、血の味はやがて薄れよう、金で豪遊するのと人を殺すのは同じだ。得方もさることながら、その対価、結果の快感を求める亡霊となるだろう。

付き合った女が衣服のみすぼらしさから服を見繕った事があった・・・全身で二十万円、馬鹿馬鹿しい。一ヶ月のバイト代が消し飛んだ。稼ぎ方を忘れたかのように、躊躇う事すらしなかった。そんな冒涜的な笑い話はさておき、彼女は囁く。

『そして君の守るべき存在は王国の治安最悪の場所にいる。君の記憶を修復しておくのと地図も脳内に叩き込んである。』

エマに伝える事を先にすべく、銃を持ち直す。ヘカテーが感心していた、カーテン部分の鉛の使い方等、殺傷能力が逆にブレーキの無いレベルなのは大丈夫なのか囁くが、やれるだろうってやってしまったと伝えると別の話に切り替えられるという困惑を見せられた。露骨で雑だが、それでも良いやと諦める。

『・・・私がなんでそこまで入れ込むかについて言ってなかったね、説明しないと分かんない理由だから言っておこう・・・。』

気になる言葉に耳を傾ける、耳を傾けると真剣になろうと準備をされる。

『・・・私は君と誰かの娘だ、本来産まれるべきだった存在・・・というよりその誰かの妄想。』

驚くは驚くが、そんな事もあるかと見過ごす。

『私はその子が産まれた時に存在が消失する。だからこうやって気を引き続けて奪ってやろうって魂胆だね、うん。』

彼女はこれ以上を語る事はしなかった、未来と言うよりは並行世界的な思考になる、私と誰かがセットになる事で彼女は完成する、彼女の言葉から見れば、私は恨みの対象ではない。寧ろ信頼はされているが不安がある・・・彼女の教養が分かる。

『・・・これ位で良いか、私が生きるかどうかは君次第、殺す必要も無い、その中で君はどうする?』

「取り敢えず一番犠牲者が少なく、時点で一番辛い道程だ。」

『楽しんでいるのかい?』

「楽しまなきゃやってらんないさ、目的、使命を果たす為に。」

『・・・これからどうするの?』

「先ずは彼女を回収し、シャーマンに関する情報を集める。」

そして話を続けた。

「そしてもう一つ目標がある、出来るだけ平穏に終わらせる事だ。侵攻作戦もあるだろうし、下手な事は出来ない、事件があったら対処という形にする。・・・若し、他に連絡が取れるならそうしてくれ。」

『ごめんなさい・・・少し難しい。私はさっき言った通り本体が無い存在・・・橋渡しでしか存在出来ないの。』

「じゃあ、離れる時だけは言ってくれ、それ以外は全部任せる。」

『分かった、頑張ってね、パパ。』

彼女は心の中で、記憶の部分に触れる。そして、未来の片鱗を見せる。誰かは見えないが、あの目は誰のか、自分には分かる。ヘカテーの目線から見える彼女の名は・・・。

遅れた理由を説明しよう。

私のPTSD→親は知らない→祖父が犬を飼う→世話しないせいで私が世話をする→小さい個体だからか死にやすいのではと考える→PTSD悪化→現在不眠症。


ヘカテーの母親は現在登場している人物の中に居ます。


ヘカテーからここで一発ギャグを。

『これが本当の想像妊娠ってねぇ!』

ヘカテー、ありがとうございました。

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