表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

透明人間から女王になった日に。

作者: たこやきまんぼ

私は今すごくイライラしている。



私は平凡と言えば平凡な高校2年生だ。少し地味ではあるが友達も一定数いるし暗い印象はないので陰キャという括りには入らないと思われる。名前は早崎莉子。

私は今すごくイライラしている。

単刀直入に言えば低レベルな人間関係で悩んでいるのだ。

1年生の頃から仲良くしているクラスメイトの女子に明らかに舐められている。前から薄々と勘づいていたがそれが最近明らかになってきたのだ。

そのクラスメイトの女子は山谷姫華。男が異常に好きでモテているアピールを過剰に私にしてくる。隙あらば自分語りをするが、所謂陽キャというスクールカーストのトップに君臨しているため嫌おうに嫌えない存在である。もちろん彼女にも魅力があり褒め上手なのだ。私のちょっとしたメイクの変化に気づきべた褒めする。恋バナもよく振ってきて彼女と話す時は「あぁ、陽キャと話している私はまだ捨てたもんじゃないな」という下らない快楽に陥ってしまう。


最近彼女はクラスメイトの田川遥斗に恋心を抱き始めたらしい。あの山谷姫華という人間はプライドが言うまでもなく高く田川くんに冴えない女と話している姿を見られたくないのだろう。

私を空気とみなし始めたのだ。

彼女の恋愛事情を知る以前は普通に仲が良かったのでウキウキで掃除時間に話しかけた。

「姫華!明日教室掃除ないって!」

私はここにいなかったのか。

存在していないのだろうか。

完全に聞こえていたのに無視をする。

そして彼女が所属する女子の陽キャグループの輪に入っていく。

透明人間の気持ちがわかった気がする。

唖然とし掃除を続ける私は酷く醜い顔をしていたのだろうか。同じ掃除班の田川くんが声をかけてくれた。

「莉子、無理しないでよ。具合悪そうに見えるけど…」

「ううん!大丈夫だよ!」

「遥斗!昨日送ったの見た?」

おかしい。再び私は透明人間と化した。邪魔をしないようにその場を去った。


帰宅途中もあの場面がフラッシュバックする。無視がいちばん辛いとはこのような事なのか。そんな闇感情に任せ脳みそがからっぽのダンボールのようになった。

小学生の様な嫌がらせに何も言えない私ってなんなんだよ。スクールカーストのトップだからってなんだよ。そう問いかけるうちに苛立ちが増した。


その次の日事件は起きた。

彼女の裏垢が学年全体的に拡散された。

私も知らない裏垢。

アイコンには高級料理店らしき場所でませたポーズで座る山谷姫華。キラキラとした服装や持ち物の画像は定期的にツイートされている。

「このツイート痛くね?「お寿司の宝石箱♡」だってwwwwww」

「てかどうやってこんなの見つけたんだよw「キラキラふわふわな私をみて?」wwwwww」

「昨日あった学校の近くの火事のツイート探してたら山谷らしきアイコンの人がいてwユザネのHIMEって絶対アイツだろ」

他人事なのに痛くて苦しい。昨日まであんなにイライラしていたのに。別に正義感もクソもない。

「あいつにDM送って弱み握って遊んでやろうやw」

「まじキモイwww自分のこと可愛いと思いすぎな。」

ダメだ。ダメだ。ダメだ。ダメだ。ダメだ。ダメだ。ダメだ。ダメだ。ダメだ。ダメだ。ダメだ。ダメだ。ダメだ。ダメだ。ダメだ。ダメだ。ダメだ。ダメだ。ダメだ。ダメだ。

最低な事を思い浮かべてしまった。

男子たちに情報提供すればあいつ、終わる。友達として見るから辛いんだ。もう終われよ。プライドをガタガタに崩してやろう。

汚い身体をそんな汚い脳みそに委ねてしまう。


[あの子キモイおっさんとパパ活してるからw毎週抱かれてあんな金で遊んでるんだよ。]

汚い身体に電撃が走った。

快感が走った。

「まじ?wwwwwwキモすぎだろwwwwww」

「それやばくね?wwwwwwってかここの席あいつの近くじゃんきたなっwwwwww」

いじめが始まる。

そう確信した。

山谷姫華が登校してくる5分前の話だ。


私は知ってるんだもん。ラブホテルにおっさんと入っていく姿、高校生が買えないようなブランド物。本当は貧乏で陰キャだったことも。

ゆっくりと暴露していけばいい。

腹の空気が抜けていく感覚に陥る。

大した恨みも持っていなかった相手がこんなに崩れていく所を見るのがこんなに楽しいのか。

私の一言で今私は学年を動かした気になった。

私が情報源なんだもん。ゆっくり暴露していけば私が全て動かせる。

私は女王になった。

透明人間から女王になった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ