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45. 謝罪と追い笑い

 



 騎士達の行動は早かった。

 あの部屋にいた騎士の一人が隊長のヨハンだった事も大きかった。


 まず第二隊を集めた。


 ちなみにダンテスの騎士隊は、前領主の護衛に失敗したからとザイールが領主になった時に、一つだった騎士隊を二つに分け、ザイールに苦言を呈すものや気に入らないものをまとめて第二隊に追いやり、キツい仕事を全て任せて来た。今では8人だけの隊だ。

 第一隊は訓練もせずにザイールの側でよいしょするだけの腰巾着ばかりで20〜30人程いる。


 10人程をザイールの護衛に残し、すでに第一隊は出発したと報告を受けた。

 アルバートやライアンからの情報を隊で共有し、もちろん契約の話も共有した。


 満場一致でライアン達に協力することに決め、まずザイールへ報告に向かった。


 まだ首輪の事などは伝わってない様だったので、第一隊がすでに森の方向へ向かったようなので、万が一、賊が森を抜けてしまっていた時のために、第二隊は西のプーキーの方向へ数日かけて捜索に向かうとザイールには伝えておく。


 ザイールは口の端をあげ、ニヤリと笑った。

 これで誰にも気付かれずに盗賊を始末できると思ったのだろう。


 了承を得たので、野営準備を整えてすぐに孤児院に向かった。




 第二騎士隊が孤児院に着いた時、まだ昼過ぎなのにすでにそこにはアルバート達冒険者パーティーも来ていた。

 彼等はあの後、実家に顔を出し、増税に苦しむ家族にお金を渡し、すぐに孤児院に向かったのだ。


 気持ちは一つだった。

 これ以上、ザイールの好きにさせてたまるか!




 戻ってきたライアン達と孤児院でさっき作った豚肉料理でお昼ごはんを食べて待っていたら、すぐにアルバート達が来たから焦った。


 とりあえず、私とクオン、ライアン、ロディ、ジェラルドはご飯を中断してアルバート達と騎士隊の元へ向かう。


 孤児院には数日間続く様に、悪意ある者を弾く《結界》と《防音魔法》と《幻覚魔法》を張ってある。

 ザイールが来るとしたら第一騎士隊が戻って来てからだと思うけど、念の為。




「いらっしゃい。早かったですね。」



「あぁ。これ以上ザイールにこの街で好き勝手されたくないしな。何もない街だけど、ここは俺らの故郷だ。」


「我々は一度だってザイールを領主だなんて認めていない!必死に悪事の証拠を探してきたが我々では見つけることが出来なかったんだ。この期を逃すなど考えられない!」



 ライアン達の後ろから様子を見ていたが、なるほど。冒険者達も騎士達も本気みたいだね。


『特に変なスキル持ったやつもおらんし悪意や害意もなさそうや。大丈夫やと思う。』



 クオン君のお墨付きも貰えたし。

 そろそろ出番かな。



「始めまして。この度はご協力ありがとうございます。ウタと申します。早速ですが契約の話をしてもいいですか?」



「………?」


 全員が気付いたわけではなさそうだけど、何人かはまさか?という顔をしている。



「私が彼等の協力者です。……って言ってもこんな子供だし納得出来ないですよね?


 じゃあ見てもらった方が早いと思うので、まず秘密基地にご案内しますね。」


 と言って孤児院の中に連れて行き、秘密基地の扉を出し、孤児院の中にいる皆にも声をかける。


「ご飯食べ終わった人から基地に戻るよ〜!あっ!もうここには戻れないかもしれないから、持って行きたいものがあったら全部持って行きなね!」



 全員纏めて許可を出して、どんどんドアを通ってもらう。騎士達や冒険者達はどんどん消えていく子供達を呆然と見ていたが、まず冒険者達が意を決してドアを潜った。そして騎士達もそれを見て覚悟を決めた様だった。


 最後に孤児院を丸ごと収納してドアをくぐった。



 中に入ると騎士達と冒険者達が立ち尽くしていた。


「ここは私のスキルの中です。今のところ、私の許可なく出入りは出来ません。


 まぁとりあえず落ち着いてお話ししましょうか。」


 そう言って校舎の職員室だった広い部屋に案内する。


 騎士が何人かは分からなかったので、事前に多めに予想してソファーを用意していて良かった。


 適当に座ってもらい、紅茶とお供にスコーンを出してライアン達に配ってもらう。



「さて、それじゃあ早速ですが順番に契約していただけますか?……まぁしていただけない場合、2度と外には出られませんけどね。」


 ニコッと笑い、脅しのような事も言ってみる。ちょっと言ってみたかったんだ〜。悪役っぽいセリフ(笑)



「「「「「………ふっ。あは、あはははは!」」」」」



 えっ?なんで皆爆笑なのさ!

「ちょっ!笑うのやめ〜〜い!!」



「ふふっ。はぁ〜。いや、ごめんごめん。

 大丈夫。皆契約する気があるからここに来たんだし。」

「確かに君を見た時はこんなに小さい子が?って驚いたけどね。こんな凄いスキル見せられて、ビックリもした。

 でもあまりにも悪役っぽいセリフが似合わなくて……ふはっ。いや、すまない。」

「あはは。王都にいる娘くらいの歳の子に可愛らしく脅されるとは思わなくてね。すまなかったね。」



 口々に謝罪と追い笑いが……


 もういいよ!謝られると余計恥ずかしいわ!





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