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2. じゃんけんとはままごとにあらず

皆様、お元気でしょうか? 

こちらは木々の隙間からこもれる青い空を眺めながら昼食を取っているところです。空は良いですよね。


雲の形、流れ。絶え間なく変化していくそれは決して飽きさせず、心を穏やかにしてくれます。


そう、「テメエ!、その最後の一個は俺んだ!」「はぁ!ふざけんなカス!何個食ってやがるボケが!」心を……


「お前はもう7つも食っただろうが!俺はまだ5つしか食ってないんだ譲れ!」


「はぁ!? お前その代わりにあのどデカいスパゲティーほぼほぼ食いやがったじゃねえか。胃袋もタンクかよ、痩せろデブ!」


「これは脂肪じゃねぇ!筋肉だ!ゴリマッチョって言うんだ覚えとけヒョロヒョロが!」


「ヒョロヒョロじゃありませ〜ん。これは細マッチョって言うんですぅ〜。」


…不毛な言い争いが行われていた。


後一切れのミートパイを巡ってお互いに殺気を放っている。ちなみに魔法使いの妹は私の横でフルーツサンドイッチを食べていた。


流石に心の逃避行も限界だ。


「もうふたりとも、行儀が悪いですよ! また街に着いたら食べればいいではありませんか!」


「「だってコイツが!!」」


「だっても、コイツでもありません。もう…。ならじゃんけんで決めれば良いではありませんか。」


私がそう提案した。

その提案に対し二人は少し黙った後、おもむろに立ち上がり


「よし、じゃんけんで決めるか。」


「いいぜ。後腐れがないようにな!」


と、素直に従った。


今の場所から少し離れ、準備を行う。

何かが引っかかる気もするが「では、いきますよ。」と私が合図をかけた。


「出さなきゃ負けよ。…」


「ちょっと待った!」


戦士がストップをしてきた。疑問のままそちらを振り向く、


「俺はチョキを出す。」


…なんか言ってる。


ほう。とタンクさんが感嘆の声をあげ


「なるほど…、ならば俺は…チョキを出す。」


………


「っ、やるじゃねえか。」

「お前もな。」


………もういいだろうか。


「さあ、いくぞ!」

「望むところだ!」


はあ、と息を吐いてもう一度、


「じゃあいきますよ。…出さなきゃ負けよ、じゃんけん…」


「「しねェェェェェェェ!!!!!」」


とんでもない勢いで互いの目に向けていたチョキとチョキがぶつかり合う。離れていたのに顔にぶつかる風圧と、もうそのチョキから出てはいけない金属の様な音は気にしない。


ギャリリリリ!とチョキどうし、鍔迫り合いを行いながら二人は叫ぶ。


「「バカな!!“ゲンコツ”読み、“抜き手”読み、“目潰し”を ()()()と言うのか!!」」


グーチョキパーにその様な物騒な呼び名はない。


バキンッ!と、どう聞いても鍔迫り合いの金属音を響かせ互いに1m以上後退する。


じゃんけんとは?


「くっ、弾かれたか!」

「ばかなっ! 一撃で決めれなかっただと!」


…私はもう知らない。


「「あい!…こ!…で……?」」


あれ、こっちを見て止まった?

視線の先、私の横を見ると妹がグーを出していた。え、参加していたの!?


「えへへ、私も欲しかったから。」


じゃんけんの勝者は可愛らしく笑いながら答えた。

なんかそっちで死闘を繰り広げていた敗者共は互いの顔を見合わせた後、


「「仕方ないな! 今回だけだぞ!」」


キレイにシンクロしてキメ顔をしながら後ろを振り向くのであった。


拝啓、お母様。私はこの旅で日々日々たくさんの替えがたい経験をしています。しかしながら「わーい。いただきま~す。」たまには羽を休める事も必要なのかもしれません。

また、お時間がございましたら「てめえ!何俺の決めゼリフ取ってんだゴラ!」「あ!?こっちのセリフじゃボケ!」お手紙を送らせてもらいます。 僧侶

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