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1. 出会いと別れ

ここは魔王に支配された世界。魔獣がうごめくこの地では人は皆、恐怖に支配されていた。しかし、人の中から勇者と呼ばれる者たちが現れ、次々に魔獣の軍勢を倒していった。いつしか人々達も勇者に憧れを抱き、魔王を倒さんと冒険者となり戦いに挑むようになる。これはそんなお話……?



  ……………………………………


はじめまして。私は僧侶といいます。魔王討伐のため日夜、冒険に勤しんでいます。

私の他に、前衛で守りを務めるタンクさん。攻撃役を務める戦士さん。そして、私の妹の魔法使いさんの4人で旅に出かけているのでした。


波乱万丈な旅ですが、一歩一歩前へ進んで…


「はー!つっかえ。辞めたらそのタンク。」


「んだと! テメエが前に出過ぎなんじゃないんか、邪魔ばっかしやがって。攻撃が当たったらピーピー泣き叫んでるもんな、もやし戦士さんよ!」


進んで…


「ファーー! 解散だ解散。こんなウスノロ追放しちまえ! ダンゴムシみたいな図体しやがって。コロコロ転がって敵の一つや二つ潰してみたらどうですかー。」


「はーー! いつまでもいつまでもマトモに回避も出来ない分際でほざきよる。赤ん坊の寝返りの方がよっぽど回避できてるんじゃないか?」


……


「んだとコラ!!」

「やるかボケ!!」


お互いに掴みかかりながら罵倒し合っている。


「…お姉ちゃん。」


魔法使いでもある私の妹が心配した声で呼びかけた。

仕方ない。


「そこまでにして下さい。ここは迷いの森の中。魔王幹部が潜伏しているとの噂が流れている場所ですよ。そんな大声を出してたらこちらの居場所が丸わかりではないですか。」


そう言って二人をたしなめる。そうここは迷いの森。魔力の濃さから魔物が住み着きやすく、たびたび、近辺の街を襲うことで有名な場所だった。しかも、方位が狂いやすいため、森に入ったら生きては戻れないとも言われる曰く付きだ。

近年では魔王幹部がこの森に潜伏しているとの事で国も問題視している頭痛の種だった。


「「だってコイツが!!」」


お互いに指を向け、寸分違わぬ声を上げる。

仲がいいんじゃないか?とも思わなくもないほどの見事なハモリである。


「だって、ではありません。そもそもですね……」


と、小言を言おうとした時、


「っ! 索敵反応!いつの間に!」


妹の驚愕した声。


「もう遅い!」


妹の後ろ、何もなかったはずの背景から魔物が飛び出してきた。あれは、


「ゲリュオネス!!」


そう、あの魔物こそ魔王幹部の一人。ゲリュオネス。カメレオン型の魔物で風景に溶け込む事で世界さえも騙すと言われた正真正銘の怪物。


その鋭い爪が妹の首へ目がけて振り下ろされる。間に合わない…!!


魔法使いの首が引き裂かれる刹那、キィン!と鋭い音が響き渡った。タンクさんの盾である。

そんな隙間は無かったはずなのに。


まるで時間が巻き戻ったかのような光景に驚愕を抑えられないゲリュオネス。それでも幹部と言うべきか息を整え、再びの奇襲に備えようと一歩引いたその時、一筋の閃光が彼を引き裂いた。


戦士が起こした一閃はその風景を瞬く間に横断し、ゲリュオネスを、さらにはその世界を切り裂いたのだ。


「また、倒しちゃった。……」


何度見ても驚きを隠せない様子で魔法使いは言葉をこぼす。


私も言葉をを紡げない。

そうなのだ。片方は鉄壁の守りをもつが攻撃が当たらないタンク。もう片方は全てを切り裂く剣技を持ちながら回避出来ない戦士だった。

そう二人の相性、仲は最悪だ。だが戦闘と言う一面においては他の追随を許さないほどの連携を行える最高のパートナーなのであった。


「くそ!邪魔だ、くそタンク! 俺の華麗な決め技を無駄にしやがって!」


「んだとバカ! テメエのせいでここにいる全員の頭と身体がオサラバになる所だっただろうが!」


また、いがみ合っている。どう見ても神業の連携にしか見えないというのに、本人たちには何かが見えているのかも知れない。


私はそんなことを思いながらまたため息をついたのだった。

僧侶さん

女性 僧侶 


このパーティの指揮をとっている苦労人。いつもメンバーに振り回されっぱなしで妹の魔法使いと後始末をつけてたりする。

こう見えても協会の中ではかなりの腕前。支援や回復といったサポートはお任せあれ。お酒が大好き。


魔法使いさん

女性 魔法使い


僧侶さんの妹。姉の魔法を見て自分も学びたいとの欲求で様々な魔法を覚えた秀才ちゃん。よくあざとい行動をとり、周囲を困らせる困ったちゃんでもある。表裏のない素敵な人です!


戦士さん

男性 戦士


勇者に憧れて日々剣術を磨く青年。ただ、生まれた所もあり、口や態度が悪い。タンクさんとは犬猿の仲でしょっちゅう喧嘩している。攻撃を避けようとすると自分の足に躓くほどの回避音痴。


タンクさん

男性 タンク


冒険者ギルドに一人でいたところをスカウトされた元冒険者。ガードに関しては一級品と言う言葉さえもおこがましいほどの腕前。ただし、自分の攻撃は当たらない。戦士さんとはいつも喧嘩している仲。何やら暗い過去があるらしい。



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