五話 ダンジョンそして進化
二週間遅れです、ごめんなさい!
ダンジョン―それは数多の魔獣が跋扈し、数多の財宝達が眠る場所。その正体はなぞに包まれており、太古の昔から人々はその研究を行ってきた。
ある者は、「ダンジョンは生きている」と言い、ある研究者は「流れる川や、山のような自然構造の一つである」と発表し。中には「古代の遺跡なのだ」と信じている者もいた。
ダンジョンというものは階層のまとまり...大体五階層ごとくらいに特徴を持ったフロアが展開されている。
今俺らがいる階層は...洞窟、それもかなり神秘的な感じのやつだ。通路にいたるところに巨大な結晶が生え、光を放っている。鍛錬を初めたころ、九階層は光る苔の生えたじめっとした感じの洞窟だったから、純粋に居心地がいい。
後、ダンジョンには苔とか結晶とかいろんな手段で光源が確保されているところが多いらしい。じゃないと魔物も行動不能になるやつも多いんだとか。それについては意外だったな。魔物なら大体夜目くらい利きそうだと思ったんだけれど。そうでもないらしい。
で、現在は一つ階層のまとまりを抜けて第三フェーズに入ったというわけで、俺も数回進化した。ちなみにフェーズっていうのは階層のまとまりのことで下、つまり難易度の低いものから順に第一、第二と上がっていくらしい。フェーズが迷宮にいくつあるかでその迷宮のレベルが大体わかるそうだな、あくまで大体と言っていたが。
『第三フェーズに突入しましたねノエルさん。いいペースです。少し自己修復を挟みたいですし、この前お願いされた進化の仕組みについて説明しましょうか?』
お!それはありがたいな!ぜひ頼むよ。
『了解です。今回ノエルさんは無事十五回目の進化を果たし、第一段階から第二段階に進化されました。第二段階では、自分の方針をもとに取り込むモンスターなどをえり好みすることも重要になってきます。今までのように倒したモンスターを片っ端から取り込めばいいわけではないのですね』
まずそこから疑問なんだが、なんでモンスターを取り込むんだ?
『はい、ノエルさんは神機型、つまり生物ではないタイプの神具です。なので素材を直接取り込んで自己強化をし、進化するという法則が適応されます。ちなみに、生物は他の生物を自分の体に取り込むといったことは肉体が拒絶してできませんので、世界のシステムが補助を行い進化するわけですね』
つまり素材を取り込んで自己強化するってことか?
『おおむねその認識で間違っていません。感覚的には一体化でしょうか、ノエルさんも素材を取り込むときには体に素材が沈んでいくでしょう?』
そうだな、で、それで一定以上の段階に達したら進化するってことか?
『はい、このような仕組みを持つ武器を、神具とか魔剣とかそういった風に呼ぶわけですね。でその中でも特に神具に共通するのが意思を持っているということです。これでいいですか?』
あ、だったら神具を手に入れたら大量の素材を買い込んで与えたら一気に強くなれるのか?
『いえ、そうはいきませんね。まず神具を使って倒した魔物でないと取り込めませんね、これは、魔物や素材に武器が適応するためです。基準はあいまいなのですが素材となるものは各素材ごとに他と混ざらないための境界を持っています。この境界があると神具の中に取り込めないのですね。しかし神具を使って倒すか壊すかしたものは境界を神具によってゆがめられています。神具に適合するようになっているのです。ですから、買ってきたりした素材を大量に取り込んだりはできませんね。買った素材はつまりもう生きていないってことですから。あ、もちろん生け捕りにしてあれば別ですよ』
成程、普通の武器は一つの素材で作っているのか?
『ええ、そうですよ?素材同士を混ぜ合わせて一つにする。これこそ神具の能力ですから。普通の武器は素材を溶かして混ぜ合わせるとかしないとですね。そんなことしたら金属以外の素材は劣化するでしょうけど、複数素材を組み合わせる際はパーツごとに分けて組み合わせますね。』
成程な、じゃあ神機型じゃない...えっと、生物の方の神具はどうなんだ?
『生物の方の神具、我々は生武型と呼んでいますが、彼らは普通の生物と同じ仕組みで進化しますね。つまり世界のシステムが補助する形です。どういうことかというと倒した相手の一部、ステータスという、生物にある「自分を強化するための器官」にたまっているエネルギーのようなものを自分に移すのです。この時移す作業を世界のシステムが行います』
ステータスっていうのは何なんだ?
『ステータスは...そうですね、あなたたちの世界で言うパワードスーツの実体がないものといえばいいですか?全然別物なのですけど、様々な概念を数値化して強化するという力を持っていますしね...例えば大体一般の人が何もしないで普通に生活している状態の「力」の数値は200です。この200というのはこの人を強化できる数値ですね、これが魔物を倒すなどすると1とか2とか数値が上がるわけです。どうして上がるかっていうと倒した相手からステータスを強化するためのエネルギーを少し奪えるからですね。倒した相手のステータスの中身を世界のシステムが移してくれるのです。その間にロスがあったり、システムに取られたりして、結果的に少なくなりますが。これでいいですか?』
うん。大体わかった。つまり生物には実体のない「ステータス」っていうものがあって、自分のことを強化してくれて、「ステータス」は他の生物を倒すと自分を強化してくれる具合が上がっていくってことだな?
『そうですねその認識で間違っていませんね。では進化の仕組みをご理解いただいたところでノエルさんの進化の方向性を考えていきましょう!』
ん?なんだ進化の方向性って。
『進化の方向性というものはノエルさんが今後どういった方向へと進化する。していくのか、その無限の可能性の中から、一本の道を探し出すことですね。神具にとって最も重要な、儀式のようなものです。ノエルさんは今回第二段階に入ったので方向性を決めなければいけないのです』
...それってこういう方向性にしたらいいとかあるのか?
『有りますが...無いですね。あなたにとって最も合った道を選ぶこととしか答えられません。何が正解なのかそんなものは神であろうとわかりませんよ。自分はこうありたい、その願いを体現する。それがあなた達「纏装」の「 」ですから。』
ん?俺たちがが何だって?
『いえいえ!ですがこれで私がなぜ早くノエルさん進化していただきたかったかわかりましたか?』
ああ、つまり俺に進化の方向性を決めてほしかったてことだろ?
『ええ!進化の方向性を決めれば、ノエルさんが進むべき道も見えてきますからね。素材をえり好みする必要が出てきますがその分...強くなれます。』
ああ、でも今までも取り込まないでいたやつもいたよな?ゴブリン?だっけか。あれとか。
『あれは単純に弱すぎて取り込む価値がないので。第二段階になる前の自分が劣化してしまうのを防ぐのですよ、ある程度上質な素材だけを取り込んでいないと第二進化後あまり強くなれないということもありますから。』
そんなに弱いのか...まあ今後は強い素材でも取り込まない方がいいのも出てくるってことか。
『そうなりますね!ですがそれは自分の理想に向かっていくということなので何の心配もされなくてオーケーですよ?さあ!それでは、あなたの思い描く「理想」は何ですか?』
...そうだな、俺の理想は―
次話はすぐ投稿する予定です…多分