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フクロウ・ダンス・パレード  作者: 肥満侍
サイアクノムラサキ
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侵入者と乱入者 その3

さて……、そんな彼だったが、しかし今回の「梟」選抜戦闘が始まってから1人も手にかけてはいなかった。

全員簡単に殺すことの出来る相手では無かったが、戦闘を仕掛けるチャンスはいくらでもあった。

だが、彼はその体に潜めた刃を放つ事はなかった。

(まぁ……たいした理由は……無いのだけれど……)

ただ、気乗りしなかっただけ……。

彼もまた、銅駝と同じく実力を認められ送り出された所もあるが、里の人間の厄介ばらいの為に梟選抜戦闘に出されたというのがほとんどであった。

「けど……いいね……」

座頭は小屋で銅駝と死流山の戦闘……の前。

鬼山と蜘蛛井の、一瞬のやりとり。

それを見て、座頭は第一の目標を決めた。

(鉄砲……あれはまだ……殺しあった事がない……。……知らない……)

しかも、蜘蛛井は手の内の全てをさらけ出してはいないだろう。

鉄砲の腕が、彼の真骨頂ではないはずだ。

(それに……、うふふ……運が良いからね……。僕は。いつも殺りたい相手が僕の前に現れるんだぁ……)

不思議な事に、こんな状況でも座頭は、蜘蛛井が自分の前に現れるのを疑っていなかった。

彼は、自分の運の良さを確信し、信じている。

今は山の中を宛もなく歩いているが、しかしその歩みは確実に、移動し続ける蜘蛛井との距離を縮めつつあった。

混沌とした夜が開け、早朝。

第2戦の始まりは、近い。



同時。

蜘蛛井と座頭の戦いの場となりつつある、南の山。

そんな山の麓に、1つの人影があった。

その人影の足元には、真っ黒に染まっていた。

巨大な沼の様に。

そしてその正体は、大量の死体であった。

それも、人間の物。

ほとんどの死体が軽微ながら甲冑を身にまとい、おそらく南の山に何人たりとも入れさせないと、立ち塞がっていた……。数秒前まで。

「な……何者……?」

息も絶え絶え、死体だと思われていた物の1つが、声を上げた。

脇腹に大きな穴を開けられており、もうほとんど意識もないだろう。

武士が無意識中に放った、心からの疑問であった。

「私……私か?そうだな……、あえて名乗るとするならば……」

みずち……とでも名乗っておこうか。くく、まぁ、なんでもいいだろ?名前なんてものは、ただの記号みたいなものだ。……それより、面白そうな事をやっているじゃないか。私も混ぜてくれよ。なぁ……」

そう言うと蛟と名乗る女は、躊躇無く地面に転がった男の頭を右足で踏み抜いた。

声を上げる事も出来ず、男は絶命する。

東から昇る朝日が、蛟の返り血で怪しく光る紫の髪を照らした。


梟選抜戦闘に、乱入者ありーー。

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