新旧入れ替え
俺はアルスに連れられてギルドに来た。
「君ってソロだよね?ならうちのパーティーに来なよ!丁度人数が足りなくて困ってたの!」
「ならお言葉に甘えてそうさせてもらおう」
俺はエルビス・リック・アルスと書かれた名簿に自分の名前を書き足し、
エルビス
リック
アルス
リョウタ
異世界で初めてのパーティー加入だ。
そしてアルスの仲間たちに出迎えられた。
「やあ!リョウタ!はじめましてだな。これからよろしく!」
このスカッとした好青年がこのパーティーのリーダーのようだ。
職業はソードファイター。
職業で大まかな戦闘スタイルが決まるが、リーダーは守りに主軸を置いた装備をしている。
「よろしくな、リョウタ。俺はリックだ。」
リック。職業はメイジ。魔法使いっぽい装備はしておらず、俺みたいな鎧を身に着けている。
唯一違うのはナイフではなく先端にイミテーションのような宝石が付いたステッキを持っている所だ。
「改めてよろしくリョウタ。」
アルス。職業はプリースト。シスターのような恰好をしている。
プリーストは刃物を持たないと聞くが、鈍く光る鉄の杖を見ると意味ないのではとも思えてくる。
「さてと、自己紹介も終わったし、早速飯でも食おうか。」
「そうしよう、うちのパーティがなぜ欠員してしまったのかも話さなければならないしな」
~酒場にて~
欠員の原因はモンスター討伐時の事故かららしい。
俺のような特徴の少ない冒険者だったが、パーティの要であり、皆がその冒険者を慕っていたようだ。
その冒険者の名前は、''リョウ'' 俺の一文字違いだ。
皆リョウの死んだ瞬間を思い出すたびに涙がこぼれていた。
「そこで、冒険者のお前にパーティに入ってもらいたかったんだ。リョウに名前似ているし、雰囲気が他人とは思えないんだよな」
「そうだ、パーティになった記念に預かってもらいたいものがあるの」
俺は銀で出来ている名札を受け取った。リョウと書いてある。
「それを持っていてほしいの。仇を討ったらお墓に返してあげて」
かなり大事なものを受け取ってしまったようだ。そして傷つけないように自分の首に名札を掛ける。
「うん、似合うよ!まるでリョウが生き返ったみたい!」
「おいおいそこでやめてやれ、こいつはリョウタだ。その名前で呼んでやらないとな」
少し重めな雰囲気のこのパーティ、これからどうなっていくんだろう。