俺、何も貰ってないんだけど
まずはこの小説を読んでいただきありがとうございます。この小説は部室での中学生の多少の妄想と【この素晴らしい世界に祝福を!】の第一巻で作り上げたものです。面白い作品に仕上げたいと思っています。
「山崎涼太さん、ようこそ私たちの世界へ。あなたはつい先ほど、不幸にも亡くなりました。短い人生でしたが、あなたの生は終わってしまったのです」
真っ白な部屋の中、俺は唐突にそんなことを告げられた。
突然の事で何がなんだかわからない。
部屋の中には標準サイズの白い事務机と小さな椅子があり、そして、俺の人生の終了を告げた相手がその椅子に座っていた。
まてよ、この状況を見たことがある。きっとこれは、{異世界転生もの}と言い、ここで何らかのチート能力や、チートアイテムがもらえるのだろう。
そして、いずれは魔王を倒し、英雄として称えられ、物語が完結するのだろう。
しかし、そこで俺はありえないことを告げられた。
「すみません...私たちの生産力にも限りがあり、もうチート能力などを授けることができないのです。現在在庫切れが確認されたので、もうあなたにはチート能力を授けられません。しかし、何もないのもかわいそうなのであなたが転生する世界の通貨をすこしだけ授けましょう」
俺は5000C$(チートドル)を手に入れた。
何だこの通貨の名前、嫌な予感がする...ってか名前ふざけすぎじゃね?
「もう決心がつきましたか?ちなみにあなたの国日本の円に換算すると、10C$で一円です」
「ふざけんなてめええええええぇぇぇぇ!!」
と言いかけていたら、俺は突然目の前がまっくらになった。
俺は殺されてしまったのか。
青空が美しい草原のど真ん中で俺は寝そべっていた。まさか日本に帰ることができたのか。
「グヴオオオオオォォォォォ...」
謎のうめき声が聞こえる。まさか異世界にいるのか?!チート能力もなしに?!
俺は自分の服装と装備を確認した。5000C$と何か書いてある紙が入っている小さめの財布、青銅でできたいかにも初心者がつけているようなナイフ、生前に着ていた青いジャケットと白いシャツ、紺色のジーンズをつけていた。
「グヴォォ...ニンゲンか...」
巨大なサルの姿をしたモンスターが現れた。死んでしまうのでは...
「ハイスラッシュ!!」
どこからか声が聞こえた。
「グヴェエエエエエ...」
モンスターは倒れた... モンスターの体が光り、いくらかの金になった。この世界はゲームのようにモンスターを倒すと金に変わるみたいだ。
「おーい大丈夫か?お前冒険者だろ?」
なにか聞いている様子だ。その男は20代の青年だった。いかにも強そうな光り輝く剣と、鎖帷子、バンダナを付けている。
「冒険者...?」
「お前...知らねえのか?魔王を倒す目的を持った数々の勇気ある者のことを冒険者と言うんだ」
「もし冒険者になりたいならここから北へ5分歩けばビギンズの町に着くから、そこの冒険者ギルドで冒険者になれるぞ。その時には金が必要だけどな。お前いくら持ってる?」
情報提供テンクス!ありがたい。
「俺は今5000C$持ってますけど」
「なに?それじゃああと15000C$足りねぇじゃねぇか。そうだ、そいつが落とした金もらって行けよ。冒険者になれたらビギンズの町にいろよ、俺がいくつか教えてやるから」
俺は落ちている30000C$をもらった。余りは生活費にでも使えということらしい。
結構優しい人だな、まずビギンズの町に行くか...