第十話 少女との取り引き
あらすじ
異世界への転移が常識となった百年後の将来の話。
異世界に憧れ、異世界への転移に成功した少年は魔物との接触により自らの出自に関する記憶をなくす。
辺境に住む兄妹に救われ一命を取り留めた彼は、兄妹と行動を共にする。
やがて、自分の転移した世界は地球人から“打ち捨てられた異世界”と呼ばれ、その世界の住人は転移してきた地球人を嫌悪している事を知る。
異世界人を憎む少年との決闘に辛くも勝利した主人公だったが、その決闘から大きな運命の渦がうねり始めるのだった……。
握手をした相手に“共感”を抱かせる能力を持った少年が、打ち捨てられた異世界を駆ける!
登場人物紹介
カムド(主人公)
異世界に憧れ、異世界に誘われた少年。
握手した相手に共感を抱かせる能力を持つ。
自らの名前を失くし、カムドと名乗るようになった。
弓の腕は素人以下だが、転移者の受ける恩恵と持ち前のガッツで果敢に物事に挑む、でもとても飽きっぽい性格。
惚れっぽく泣き虫な所のある普通の少年だが、自制が効かなくなるという短所も持つ。
メティアナ
辺境に住む赤髪の美少女、兄妹の妹の方、あだ名はメティ。
薬師として一流の腕を持ち、胆力もあるが、根は普通の少女。
隣近所からの人望は厚いが身内にはヴァイオレンスな一面を見せる事も…?
イブ?
火術研究所で所長の侍女をしていた謎の女性。
エムバラ
辺境の村の狩人、兄妹の兄の方。
放った矢が獲物を追いかける能力を持っており、弓は百発百中。
狩人としても工芸家としても実力を持っているが、才能故の横柄さも併せ持つ。
頼りになる兄貴分だが、非常に口が悪い。
名前の正しい発音はンバラらしい。
リック
リチャード=ハーパー、アメリカ人。
洞察力に優れ、真面目で理知的。
相手の能力を看破する力に優れる。
ミゲル
レヴィナ村の火術師、金髪の美少年。
なぜか異世界を激しく憎んでいた。
若くして炎術のかなりの使い手だが、非常に短気なところも。
ダマ先生
兄妹の恩人にして火術研究所の所長。
お茶目な好々爺。
ニール
火術研究所の研究員の一人。
他の術師からも一目置かれる存在。
あの後、メティはずっとダマ先生の遺体に寄り添ったまま、動こうとしない。
リックは疲労困憊といった様子でガックリとうなだれている。
ニールは目を少し赤くしながらエムバラの元へと歩み寄った。
「師匠は………逝った。」
「そうか……。」
エムバラは報告を静かに聞く。
「ニールはダマ先生のご遺体を持って研究所に帰れ。
俺は……まだそいつに聞きたい事が山程ある。」
「わかった……だがくれぐれも無理はするなよ。」
ニールはダマ先生の遺体をそっとおぶり、元来た道を足早に引き返した。
「さて、お前の知っている事を洗いざらい話せ、内容によっては命までは奪わない。」
エムバラは険しい表情で女性に向けて弓矢を構える。
「ええ、少し長くなりますが、よろしいですね?」
女性はしずしずと話し出した。
異世界で俺と握手! 【第十話 少女との取り引き】
「私の名前はイブ、そして先ほどまでいた姉の名前もイブです。」
「ふざけているのか?姉妹が同じ名前の筈がないだろ、真面目に答えるつもりがないなら…射る。」
エムバラは淡々と、だが怒りの籠った表情で矢の先端を揺らす。
「ふざけているわけではありません、私はイブの583番、このレヴィナ地区の現在のイブです。
私たちは披見体ナンバーという数字でのみ区別された、謂わばバックアップです。」
???
早くも彼女が何を言っているかわからないぞ。
「そんな事よりも聞かなければならない事がある、あの老人を殺したのはお前か?」
「いいえ、あのご老人に危害を加えたのは私の姉です、私は出来ればあの人の事を助けたかった。」
「怪しいものだな……ところで、なぜお前の姉は先生を狙った?」
「詳しくはわかりませんが、姉は炎の術を習得する為にあの老人に近付いていたようです。」
…なるほど、それで彼女は研究所でダマ先生の侍女をしていたのか!
俺には彼女の話は辻褄が合っている、ように感じられたが…。
「術を習得するだけなら殺す必要はなかっただろう?」
「あっ、確かに…。」
エムバラが言っている事ももっともだ、術を覚えたいだけならば何も危害を加える必要はないはずだ。
「私たち姉妹は補食した相手の能力を奪う力を持っているからです、逆に言えばそれ以外に能力を習得する方法を持ちません。」
補食?食べるって事だよな…?
そういえば彼女の姉は「喰らう」とか何とか言っていた気がする…。
「それで火術の実力者であるダマ先生を喰おうとした、と?」
「はい、しかし本来彼女がしようとしていた事は姉妹のルールを破る行為でした。」
「姉妹のルール?」
「ええ、私たち姉妹にはマスターから設けられているいくつかのルールがあります。」
イブが続ける。
「ひとつ、私たち姉妹は決められたテリトリーを出てはいけない。」
「テリトリー…あの燃えている館の事か?」
「そうです。」
「ええっ!じゃあ館を出ているのって既にルール違犯なんじゃ…!」
驚きに思わず口を挟んでしまった。
「ええ、本来であればルール違犯です。」
「…ルールを犯すとどうなるんだ?」
「マスターから罰を受ける事になりますね、軽い罪なら支給品を減らされたり、体罰などを受ける事になりますが…。
罪が重ければ最悪解体されて別のイブの餌として利用されます。」
「か、解体って…バラバラ?」
「そうですね、バラバラです。」
彼女は事もなげに話す。
「その他のルールとしては、
ひとつ、他のイブが占有しているエリアに踏み込んではいけない。
ひとつ、私たち姉妹の存在を他者に知られてはいけない。
等のルールが存在します。」
「知られてはいけないって…今ペラペラ喋っちゃったけど大丈夫なのか?」
「ダメですね、この事をマスターに知られたら私は確実に解体されてしまうでしょう。」
そういいながらイブが片手をすっと手を前に出す。
「妙な動きをするな、やめないって言うならこの矢でお前の頭をぶち抜く。」
エムバラは改めて手の弓矢に力を込める。
「貴方こそ動かないでください。」
「えっ!?きゃっ!!」
イブが手招きするような動作をすると、先ほどまで離れた位置で座り込んでいたメティが一瞬のうちにイブの前に立っていた!
「メティ!?」
「引き寄せの能力です、私も出来る事ならば手荒な真似はしたくありませんが、事態が事態なものですから手段は選んでいられないのです。」
イブの指がメティの喉元にそっと当てられ、そこから一筋の血がツッと流れる。
「秘密を知られてしまった以上は、本来はあなた方全員をこの場で殺さなければいけません、そしてあなた方を始末する事自体はそれほど難しいことでもありません。
…ですが、私に協力していただけるのでしたらあなた方の命を奪う事までは致しません。」
恐ろしく冷たい眼差しだ、彼女は恐らく本気で言っているのだろう。
「私はルールを破るつもりはありませんでした。
姉が私のテリトリー近くで怪しい動きをしている事を察知したため、尋問の為に“引き寄せの術”を使っただけなのです。
ところが、不運な事に彼女とあの老人の間には何らかの呪がかかっていた為、二人を同時に館の中へとに引き入れてしまったのです。」
「私闘血判の効果かな?」
「多分そうだろうな。」
メティとエムバラが視線を交わす。
「二人の戦いは凄まじく、館は焼け崩れ…とても住まえる状態ではなくなってしまいました。」
「それで館が燃えていたのか…そりゃ確かに可哀想ではあるけど…。」
だからと言って俺たちの生殺与奪を彼女が握る事の免罪符とはならないはずだ。
「私はルールを最初に大きく逸脱した姉の首を持ち帰り、マスターへと直訴する必要があります。
幸い”焼けた館“という状況証拠は揃っていますから、なにか一つ功績を持ち帰ればマスターとの交渉の余地もあるでしょう。」
「ふん!……俺たちには関係のない事だ。」
エムバラは突き放すように言う。
「申し訳ありませんが、そういう訳には参りません、あなた方に私たち姉妹の秘密を拡散されるわけにはいかないのです。
これから私はあなた方を常に監視下に置いて姉妹やマスターについての噂を管理させていただきます。
そして姉を討つまでの間は、外の世界に不馴れな私の生活のサポートをお願いします。」
「ふざけるなよ。」
「私は至って真面目ですよ、秘密を教えた以上は私たちは運命共同体、あなた方はあの老人の仇を、私はマスターの釈明に姉を追うのです。
そして、これは”お願い“ではなく“脅迫”です。
断るという選択肢はあなた方の死を意味します。」
イブはメティの首を掻き切るジェスチャーを取る。
「…てめぇ!」
エムバラはギリリッっと歯ぎしりをする。
俺はどうしていいかわからず黙って立ち尽くす事しか出来なかった。
俺とエムバラは黙り込んでいると…。
「兄ィ、受けよう!」
最初に口を開いたのはメティだった。
「確かに殺されたくないっていうのもあるけど……私はイブのお姉さんの事を許せない…ダマ先生をあんな風にした事を……!
それに、彼女はルールを破って今もどこかを徘徊しているんだよね?
いずれ他の誰かも彼女に襲われるかも知れない、そんなの放っておけないよ。」
「あのなぁメティ、そんな事は俺たちの知った事じゃ…。」
「兄ィ、怖いの?」
「ば、バカヤロー、怖いわけじゃ…。」
いつもの兄妹ゲンカが始まりそうな雰囲気になってきた。
「ええ、安心してください、怖ければ彼女と無理に戦えとは言いません、あなた方には私のサポートをしていただければそれで結構です。」
この人も天然でエムバラを煽るような事を言うな…。
「だ・か・ら!怖かねぇっつってんだろうが、耳クソ詰まってんのか!?」
「やせ我慢しなくて結構です、恐怖で足手まといになられては逆効果ですから。」
「お……ま……うぬぐぐ……!」
あーあ、これは怒ってるぞ、俺しーらね!!
エムバラがワナワナと肩を震わせて頭から煙を吹き出している。
「上等だテメェ!あの女は俺が直々に討つ!!それまでの間サポートでも何でもしてやろうじゃねぇか!!」
「交渉成立というわけですね。」
「徹頭徹尾偉そうだよな、お前!」
イブがようやく微笑み、メティをそっと解放する。
「目的の為とは言え、人質などと失礼な手段を選んでしまいました、すみません。」
「ううん、ちょっと驚いたけど私は大丈夫だよ。」
「ありがとうございます。」
エムバラは毛嫌いしているようだが、俺にはどうも彼女が悪い人間には見えない。
今後も彼女と行動を共にするのであればいがみ合うより良好な関係を築くべきではないか。
…そしてここで急にナイスアイデアが俺の脳裏に浮かぶ。
「えーっとさぁ、それじゃこれから協力関係になるわけだし、改めてみんなで自己紹介でもしないか?」
「なんだよ唐突に…俺はそいつと馴れ合うつもりはないぞ…!」
すると、それまで黙りこんでいたリックがススッとエムバラの前に歩み出た。
「カムドくん、それはなかなかナイスアイデアだよ!」
「なんだオッサン、あんたまだいたのか。」
「………ひ…ひどいなぁ、ずっといたじゃないか!」
二人のやり取りを無視して歩み出る。
「俺はカムドだ、よろしく!」
そう言って彼女に右手を差し出す。
すこし間を置いてからイブも自らの手を取ってきた。
「そうか、あいつアレを狙って…。」
「そうさ、いつも冷静なキミらしくないな、エムバラ。」
エムバラの呟きに対してリックが小声でエムバラに耳打ちした。
俺は「オホン!」と咳払いをして注目を集める。
「なぁイブ、組んでいる間は殺すだとか殺さないだとか、そういう物騒な話はなしにしようぜ。」
俺は握手を交わしながらそう切り出す。
「ええ、私もそのような事は極力避けたいです。」
「極力じゃないよ、人を殺すなんていけない事だ。」
「はい……きっと大丈夫です。」
握手の暗示が成功したのだろうか、イブが表情をほころばせる。
「こうやって殿方と触れ合うのは久しぶりです。
私、なんだか貴方の事が好きになれそうです。」
「えっ、あっ、そりゃどうも。」
突然の言葉に少しどぎまぎする。
彼女の銀髪に西日が当たり、美しくきらめく。
とても先ほどまで命の交渉をしていた相手とは思えない。
「……ちょっとカムド、いつまで手を握ってるの!!」
なぜな後ろにいたメティが色めき立つように吠える。
「な、なんだよメティ!なんで怒ってるんだよ!?」
メティは膨れっ面のまま「フンッ!」とそっぽを向く。
「恋だねぇ、うんうん。」
リックは小さく笑みを浮かべ…。
「…ったく、緊張感のねぇ奴らだ。」
エムバラは呆れたように腕組みしている。
――――――――――――――――――――――
それから俺、メティ、エムバラ、リックにイブを加えた5人は魔術研究所へと戻って来た。
「ここがあの老人の住んでいたお屋敷ですか…。
…私が入っても大丈夫でしょうか、間接的とはいえ彼を殺すのに関わってしまったわけですから。
犯人である姉は私と見た目もそっくりです。」
イブは少しだけ不安そうな表情を浮かべてこちらを振り返る。
「犯人は君のお姉さんだったわけだし、それについては大丈夫じゃないかな…。
僕からも上手く話をしておくよ。」
リックが話す。
「ありがとうございます、リック、あなたはとても理知的で協力的ですね。」
「フン。」
エムバラがその会話を聞き鼻で笑う。
当然と言えば当然なのだが、どうやらエムバラはイブの存在をこころよくは感じてはいないようだ。
「イブ、私が最初に入るのでついてきてください。」
「承知しました、お願いします。」
俺たちは、リック、エムバラ、メティ、一番後ろに俺とイブが並ぶようにして列を作り、門へと近付いて行った。
これはリックの言い出した隊形なのだが、きっとこの並びにも何か意味があるのだろう。
研究所に近付くと、自分の予想とは反して周囲は静まり返っていた。
てっきり弟子たちはさぞや殺気立っているだろうと予想していただけに、少し拍子抜けした気分だ。
研究所の門前に立っていた見張りは、リックに気付くと列の前後をしげしげと眺め、リック、俺、イブの目をそれぞれ凝視した後、ゆっくりと口を開く。
「リック、戻ったか、中でニールたちが待っている。」
「ああ、いつも見張りお疲れ様、頭が下がるよ。」
リックは見張りにねぎらいの言葉をかける。
「ああ、ありがとう、そうやって気遣ってくれるのはお前くらいのものだ。」
リックの言葉を受けて見張りは少し顔をほころばせた。
「…ところで、他の皆から聞いたんだが…お前が異世界人だと言う噂は本当か?」
「……ああ、本当だ。」
「そうか…やはり…。」
見張りは複雑そうな表情を浮かべてリックを見る。
「実は今回の…ダマ先生の一件はお前たち異世界人ふたりが、侍女のイブと共謀してダマ先生を殺したのではないかとあらぬ噂が立っている。」
見張りの話を聞いて何故かメティが憤慨しはじめた。
「……そっ、そんな!誰がそんなデタラメを!」
「お、落ち着けよメティ、俺は平気だから…。」
最初こそ嫌な気分になったものの、こちらの世界の異世界人に対する反応にも段々慣れてきている自分に気付く。
「何が平気なの!?カムドはただ巻き込まれて…その中でも一生懸命やっていただけなのに!」
「あいつらも何が起こってるか分からなくて怖いんだろ…自分たちが納得できる理由をつくらなくちゃいられない位不安なんだよ…たぶん。
不安をごまかす為には、よくわからない“異世界人”って奴らが原因だって決めつければ…気持ちが楽になるんだと思う。」
俺もかつては自分の事、将来の事が怖かった…今いる世界で何かを成すことも出来ず…。
日々が無為に過ぎていく事が、本当に怖くて仕方なかった。
毎日、毎日、楽園と呼ばれる異世界での暮らしを空想する事でしか不安を和らげる事なんて出来なかった。
…だから、あいつらの気持ちは少しだけわかる。
世界のせい、環境のせい、知らない誰かのせい。
そう考える事で気持ちの安定を保っている。
きっと彼らもそうなのだろう。
「まぁさ、人の生き死にで誤解されてるのはあんまり嬉しくはないから、そこはリックから上手く説明してもらおうぜ。」
「カムド……。」
「ああ、珍しくカムドの言う通りだ。」
それまで黙っていたエムバラが突然口を開く。
「おいおい、珍しくは余計だろ!」
「ニールから大体の説明されてると思う、あとはリックのオッサンのお手並み拝見と行こうぜ。」
エムバラはメティの肩にポンと手を置く。
「お前は気楽に構えてな、考えてもどうにもならない事は考えるだけ無駄だ。
やるだけやったんだから後はなるようになるさ……なんともならなきゃ、そん時は俺がなんとかするさ。
……行こうぜ。」
エムバラがニヤリと口角を上げる。
「ははっ、兄ィってばカッコつけちゃって。」
メティに少し笑顔が戻った。
すると、今まで黙っていたイブが突然口を開く。
「私、知ってます、ああいうのをキザ野郎っていうんですよね。」
「ぷっ、あはは!」
不意な発言に思わず吹き出す。
「ねー、ちょっと今のはキザすぎたよね。」
「うるせぇぞ後ろ!黙ってついて来れんのか!」
俺はメティに笑顔が戻った事に少し安堵し、釣られて笑顔になっていた。
メティはいつでも俺の事を心配たり心から怒ったりしてくれる。
それ自体はとても嬉しいことなのだが、そんな彼女だからこそ彼女には笑っていてほしい。
―――――――――――――――――――――――
研究所の中に入ると、ある一点を取り囲むようにして輪が出来ていた。
中心には大きな箱が置かれているのが遠くからでも見えた。
おそらくはあの棺の中にダマ先生がいるのだろう……。
ある者はうなだれ、またある者はすすり泣いているようだった。
俺たちがそっと中に踏み入ると、弟子の数名がこちらに気付き、そこからやがて全員が俺たちを見た。
「リックです、只今戻りました。」
「…ああ、ご苦労だったな。
……お前たち……後ろにいるのはイブか?」
ニールがイブへと睨みを効かせる、他の術師たちもにわかに殺気立つ。
「安心してください、ダマ先生に危害を加えたのは彼女の姉の方です。」
「そうか、そうだったな……失礼した。」
ニールは沈痛な面持ちで眉間を揉んでいる。
「いえ、見た目はそっくりですから間違えるのも無理はありません。」
イブが抑揚のない声で応える
「……ところで、ミゲルの姿が見えないようですが、今彼はどこへ?」
リックが低い声で尋ねる。
「ヤツは我々の戒律を破って私怨の為に術を使った、それは我々の掟の中では決して許される事ではない。
現在は地下の懲罰房に入れてある。
処分はダマ先生の埋葬の後になるだろうが、おそらく破門は免れられないだろう。」
ニールは冷たく突き放すように言う。
「そうですか……彼と少し話がしたいのですが宜しいでしょうか?」
リックが尋ねる。
「ああ、それは構わないが…。」
「ありがとうニール。」
言い終わるのが早いか、リックはきびすを返して地下への階段に向かって歩み出す。
「お、おいリック、ダマ先生の棺を見に行かなくていいのか!?」
小声でリックに呼びかける。
「ああ、それは後で行くとしよう、今は先にミゲルに聞かなければならない事があるからね。」
言い終わらないうちにリック階段へと歩き出す。
ミゲルと会うのは気が進まないが、リックにはきっと何か考えがあるのだろう。
俺は黙って後を着いていく事にした。
――――――――――――――――――――――――――
「ミゲル、お前に面会が来ているぞ。」
懲罰房の看守がミゲルに声をかける。
少年は据え付けられたベッドに腰をかけたまま力なく鉄柵の外を見上げた。
「よう、生きてるか?」
エムバラが最初に声をかける。
「…ンバラか、僕を笑いに来たのか?」
「そんなに暇じゃねぇよ、折角メティを連れてきたのにその態度はないんじゃねぇの?」
エムバラの脇からメティが心配そうに中を覗く。
「……………。」
メティはミゲルに対してかける言葉が見つけられずに黙っていた。
「メティアナさん……ダメだ、僕は……貴女に合わせる顔がない…。」
「アホのミゲルが随分としおらしくなったな、悪いモンでも食ったのか?」
「何と言われようと今は気分が乗らない、悪いが帰ってくれ…。」
顔をそらそうとするミゲルとふと目線が会う。
「異世界人か、さっきはすまなかった……気がどうかしていたんだ。」
「あ、あぁ…うん………。」
てっきり突っかかって来るものだと思っていた。
しかし、予想に反して憔悴しきった表情で謝ってきたミゲルに対し、俺は思わずはしどろもどろな返事をする。
「いや、もう気にしてないし…。」
連れてこちらの声もトーンダウンする。
次に会ったら説教のひとつでもしてやろうと思っていたのに…。
ダメだダメだ、ペースに飲まれてはいけない!
ミゲルがなぜ決闘にまで及んだのか、理由を聞かなければ到底納得なんて出来ない!
破門を覚悟で呪いのアイテムまで持ち出し、何がミゲルをそこまで駆り立てたのか、聞いておかなければいけない。
「いや、つーかそんな事はどうでもいいんだ!
なんであの時決闘なんてしようと思ったのか教えてくれないか…?」
ミゲルが顔を伏せて大きなため息をつく。
「誰にも言わないつもりだったけど…お前には教えるよ、お前には聞く権利があると思う。
つまらない身の上話さ……。」
ミゲルは深呼吸をして息を整えると重々しく口を開く。
「……………僕の両親はな、異世界人に殺されたんだ……。」
「殺された…?」
「ああ、僕の家はそこの町では知らぬ者はいない程の名家だった……僕がまだ五歳くらいの時だったかな…。
僕が外出している時に強盗が入ったんだ、執事もメイドも両親も…腹を裂かれる酷い状態で見つかったと聞く…。
アームストロング一味を名乗る強盗集団だったらしい。
家に戻るのは危険だと止められたが……あれはきっとまだ子供だった僕に屋敷を見せない為の嘘だったんだろう、伝え聞いた話では血や肉が散乱してこの世の光景とはおもえなかったと言っていた……。
だから、僕は両親の死に顔すら見る事すら叶わなかった……。
物事をよく理解していなかった僕は、悲しさよりも深い絶望と憎しみを異世界人に対して覚えた。」
近くで聞いていたエムバラは珍しく驚きの表情を浮かべる。
「…………ふーん、そいつは初耳だな。」
「そりゃ誰にも話してないし、今後も誰にも教えるつもりはなかったからな…。」
ため息をつき虚空を見上げるミゲル。
「本来なら孤児院に引き取られるはずだった僕を、遠縁の親戚だったダマ先生が不憫に思い、引き取ってくれたんだ…。
先生は僕の恩人なのに…憎しみで我を忘れて恩を仇で返すような真似をしてしまった…。」
ミゲルはか細く声を震わせている。
「ああそうだな、お前のせいでダマ先生が死んだも同然だ、クソガキ。」
「えっ……?」
ミゲルはポカンとした表情を浮かべる。
「なんだ、お前、まだ知らなかったのか、ダマ先生は死んだんだよ。
お前が起こした騒ぎに乗じて、ここにいるイブの姉貴に殺されたんだ。」
「ち、ちょっと兄ィ!!」
「本当の事だろ?」
「嘘だ……!そんな、ダマ先生が殺されるわけが…。」
ミゲルは信じられないといった表情を浮かべている。
目尻にはうっすら涙を溜めているのがわかった。
「ミゲル、教えろ、カムドが異世界人だったと知った後、何があった?
イブから何か言われたのか?」
「ぼ、僕は……あのあとイブと話したんだ……まさかイブのお姉さんとすり替わってるとは思わなかったけど……。
異世界人への復讐をするチャンスがあるって言われて…あの紙を渡された……。
それから急に頭に血が登って………その後はよく覚えていない…。」
イブが割って入る。
「おそらく、私の姉の暗示の能力でしょう、感情を揺さぶられた人間を操るのは彼女にとって造作もなかったでしょう。」
「そんな…本当にダマ先生は亡くなられたのか……?
僕のつまらない復讐心のせいで?」
ミゲルはベッドから飛び起き、牢の鉄柵に掴みかかる、頬にはうっすらと涙の筋が出来ていた。
「だからそうだって言ってるだろうが!お前がバカな事さえしなければ!!」
エムバラは格子の間から手を伸ばすと乱暴にミゲルの襟首を掴む。
「う、うわああああああああああああ!!」
堪えきれなくなったミゲルが関を切ったように絶叫し、涙を溢れさせた。
それを見ていたメティも口元を押さえて小さくむせび泣いている。
知らず知らずのうちに俺も涙が溢れてきていた…。
俺はあの老人の事をよく知らない。
だが、俺の友人や知人がダマ先生の死にこんなにも心を痛めていることに、今とても胸が苦しい。
そして、こんな悲劇を生み出したイブの姉に対して深い憎悪の感情が沸いている。
こんな気持ちは記憶を失くした時にすら感じなかった。
「僕はっ………………僕はっ!
うっ、ううぅぁぁあぁ…。」
ミゲルは沈痛な表情で力なく鉄柵にもたれ掛かる。
涙が止めどなくこぼれ、ボタボタと牢の床を濡らしていた。
「エムバラ、彼を…もう離してやってくれないか…。」
「チッ……!」
リックに促されると、エムバラは舌打ちをし、ミゲルの襟を振りほどく。
片方の手をポケットに突っ込み、もう片方の手で自らのまぶたをゴシゴシと拭う。
ミゲルやメティの泣き声か地下に反響して響く。
どうして。
許せない。
この状況を何とかしたい。
自分でも何なのかよくわからない感情に胸が突き動かされる。
目の前に泣き伏せる少年を救ってやりたい、彼はこのままでは失意の気持ちを抱いたまま研究所を追放される事になるだろう。
ではエムバラが本当の事を告げなければ良かったか?
いや、それも違う、ミゲルはいずれダマ先生の死を知ることになったかもしれない、きっと彼は自らを責める事になるだろう。
それは…今真実を聞かされるよりも残酷な事かも知れない。
「うぐあああああああああああああああああーーー!!!!」
俺はどうにもならない感情を雄叫びに変えてめちゃくちゃに喚く。
みんな何事かと驚きの表情でこちらを振り向くが、そんなのお構い無しだ。
「ぐぅおおおおおおおおおおおー!!」
続いて鉄をひっ掴むとガンガンと鉄柵に頭を打ち付ける。
二度、三度打ち付けた所で頭の奥がクラクラとする。
「おぐふぅ……!」
「うるせぇぞ!頭でもおかしくなったか!?」
エムバラが俺の肩をドンと叩いてくる。
狙い通りだ。
「取った!」
すかさずその手を両手でガッシリと握る。
「何が、取った!!だバカ野郎!」
ガバッ!
ズビシッ!!
エムバラは手を振りほどくと、脳天に強烈なチョップを見舞ってきた。
「ぐおおおおぉっ!?」
これにはたまらず頭を押さえて屈み込む。
「ふざけんなよお前、何がしてぇんだ。」
「ふざけてなんかないさ!俺はもうメティに泣いて欲しくないし、出来ればミゲルも救いたい。」
「なに言ってんだお前は!!」
俺は起き上がるとエムバラに真面目な視線を向ける。
「協力してくれエムバラ、何とかするにはお前とリックと、あとイブの協力が必要なんだ。」
「だから、何をワケわからんことを…!」
エムバラを無視してミゲルに視線を向ける。
「ミゲル、俺はお前との決闘に勝った!だからお前は俺の言うことを聞け!!」
「えっ……?」
ミゲルはわけがわからないと言った表情でこちらを呆然と見つめる。
「ダマ先生にきっちりとお別れしたいだろ!?仇をうつチャンスが欲しいだろっっ!?」
「あっ、当たり前だろ…!!
でも今の僕にそんな事が許されるはずが……!」
ミゲルは困惑と憤慨の入り交じった顔でこちらを睨む。
「じゃあ決まりだ!イブ、こいつをこの檻から引き寄せてくれ!」
「カムドくん、一体何を言い出すんだ…!そんな事が許される筈がないだろ!!
エムバラ、きみも止めてくれ!」
リックはエムバラに助けを求めるが…。
エムバラは「かーっ!!知らねぇからな!」などと呻きながら自らの頭を掻きむしっている。
「ま、まさかそんな事の為にエムバラと握手をしたのか…?」
リックは頭を抱えながらフラフラしている。
「悪いなリック、でももう決めた事なんだ!イブ、やってくれ!!」
「よろしいのですね?」
イブは無表情のまま片手を構えている、俺はエムバラを振り返りニヤリと笑う。
「大丈夫、いざとなったらエムバラが何とかしてくれるさ………だろ?」
「クソッ……勝手にしろ!!」
エムバラのやけくその態度を見て、リックは何かを悟ったように、一言「オーマイガー……」と呟いた。
―――――――――――――――――――――――
俺たちは階段を駆け上がると一斉に広場へと躍り出る。
弟子たちは何事かと一斉にこちらを振り返ってきた。
「ニールさん!コイツを、ミゲルを……最後にダマ先生に会わせてやってくれないか!?」
腹に目一杯力を込めて叫ぶ。
「なにっ!!?」
誰もが驚愕の表情を浮かべて立ちすくむ中、ニールだけは困り果てたような顔をした後、こちらを睨んできた。
「ミゲル、どうやって懲罰房を抜け出してきた?
見張りの者はどうした?」
「ええ、もちろん見張りの人の許可は貰いましたよ。」
俺たちの後ろにはバツの悪そうな表情を浮かべて目をそらしている見張りがいた。
手頃に味方を作りたい時はこの握手の能力は便利だ。
ニールは静かに首を横に振ると再び口を開く。
「ミゲルの身柄は好きにしてもらっていい、いずれこの研究所を追放する予定だったからな。
それに、君たちには先生発見に協力してくれた恩がある。
だが、ダマ先生のご遺体に君たちを近付かせる訳には行かない。」
「なぜですか!?」
「謀殺の協力者だった可能性が否定出来ない以上、ご遺体に何をされるかわからないからだ。」
当然の意見ではあるが、今の俺は正論を聞き入れて引き下がれるような精神状態ではなかった。
「ニールさんも見てただろ!先生を殺した犯人はイブのお姉さんだったんだ!」
「…確かに、私も一連を見ていたが………ミゲルは戒律を犯し、ダマ先生の死の遠因となったのも事実だ。
規律の為に例外を認める訳にはいかない……。」
「なんで……!!」
思わずギリリッと歯ぎしりをしてしまう。
「もういい…もういいんだ、カムド、これは全部僕がやった事のツケなんだ…。
全部……うぐっ…僕自らが招いた事なんだ……………。」
ミゲルは目から大粒の涙をボロボロとこぼしながら床に倒れ伏す。
メティはミゲルの背中を優しく擦りながらもらい涙を浮かべている。
「何がいいんだよ!!……これじゃあ………!!」
これじゃあ、牢から出る前と何も変わっていないじゃないか!
すると、それまで様子を黙視していたエムバラが突然口を開いた。
「悪いなニール、こうなっちまうとこいつはテコでも言うことを聞かない、心配ならミゲルを後ろ手で縛るでもなんでもしてもらって構わない…。
なんとか頼む。」
「しかし…。」
「頼むわ。
手荒な事はしたくないんだ。」
エムバラは静かに、だがドスの効いた声でニールに呼びかける。
その眼光からは有無をも言わさぬプレッシャーが感じられる。
ニールは諦めの表情を浮かべて深くため息をついた。
「……わかった、特別に許可しよう。」
「えっ……!」
「何を泣きじゃくっているんだミゲル、許可すると言ったんだ。」
俺は喜びから思わずミゲルとメティを抱き起こす。
「やったな!ミゲル……!!」
「うっ………でも僕は……。」
「何ベソかいてんだよ、ニールさんが良いって言ったんだからいいんだよ!」
俺はいつまでも煮え切らないミゲルの背中を鼓舞するようにボンボンと叩く。
「でも、僕にはダマ先生の為に祈る資格なんか……。」
「そうだよ、よくわかってるじゃないか!!」
それまで黙っていた門下生の一人が突然声を上げる。
「お前のせいでダマ先生が死んだようなものだ!
お前なんかにダマ先生を弔う資格はない!!」
「なっ……!」
すると他の門下生も口々に怒鳴り始める。
「そうだっ!!お前もダマ先生を殺すために異世界と決闘の狂言を演じたんじゃないのか!?」
「お前がイブとつるんで先生を殺したんだっ!」
「お前ら、やめないかっ!」
ニールが一喝すると、一瞬辺りは静まり返る。
「ニールさん……無関係の風でいますけどね、俺はあなたも怪しいんじゃないかと思ってます。」
「なんだと……!」
だが、静まったのも一瞬だけだった、門下生のうちの一人がニールに向き直り声を上げた。
「そ、そうだ!ダマ先生が死ねば所長の座を手に入れられるから…!そいつらと連れ立って行ったのも怪しい!」
「ダマ先生が死んで得をする人間なんて他にいない!!」
「やめないかお前たち!!言うに事欠いてなんと言う事を……!」
ニールは鬼のような形相で部下たちを睨み返す。
「いい加減にしろおおおおおぉっ!!!!」
俺は自分でも信じられない程の大声で叫んでいた。
「なんなんだよあんたら、自分たちでダマ先生を追う事もしないで、今度は命懸けでダマ先生を探したニールを責めるのか!?
異世界人の俺たちの事を疑うのはわかるよ、ムカつくけどな!
でも黙って聞いてりゃ次はあいつが怪しいこいつが怪しいって!!
自分たちはなにひとつ動こうともしないで頑張ってる奴をつるし上げて!!
それでも大人のつもりか!恥ずかしくないのかよっ!!」
「なっ、キサマ!」
「恥ずかしくないって言うなら先生の顔見ながら同じこと言ってみろよ!
私は仲間を仲間とも思わず疑ってますって!!言ってみろよ!!
俺はあんたらと違って俺自身が情けないよ!
くだらない意地を張って決闘なんてしなければダマ先生を救えたんじゃないかって、大切な人が泣かなくて済んだんじゃないかって悔しいよ!!」
俺はめちゃくちゃにわめき散らしながら涙をボロボロと流している。
「だからせめてダマ先生の仇を討つんだ!!この仲間たちと一緒に絶対に仇を取ってみせる!!
だからこの気持ちが消えないように
祈らせろよ………このバカ野郎ォ!!
嫌だって言うやつはみんなぶん殴ってやる!
ぶん殴ってやる!!うわあああああああぁっ!!」
自分でも何を言ってるのかわからない。
胸と目と頭がめちゃくちゃに熱いし痛い。
もしかしたら何も考えずに成り行きに従えば楽だったかもしれない。
それでも、今の気持ちを叫ばずにはいられなかった。
「ぐしっ………ああああああぁぁっん!!
わああああああぁ!!」
俺は人目もはばからずに号泣している。
こんなに、惨めで、カッコ悪くて、情けない思いをするくらいなら異世界になんか来るんじゃなかった……。
「ったく、バカじゃねぇの?ちょっと落ち着けよ。」
エムバラが頭をポンと叩き、俺の頭から上着を被せてくる。
心なしか声が震えていた。
弟子たちと思われる何人かのすすり泣く声が上着越しに聞こえる。
そのまま周囲は段々と静まり返っていき、周囲は静寂に満ちた。
「…………ちょっといいかな。」
沈黙の中で最初に口を開いたのはリックだった。
「今まで僕が異世界人だった事を隠していた事を皆に謝りたい。
本当にすまなかった。
……ところで、僕もミゲルと一緒に彼らに同行してダマ先生の仇討ちに行きたいんだ。
仇討ちが終わるまでここへは帰ってこないから……最後に先生を含めて、みんなに別れの挨拶をさせてもらいたいんだ。
いいかな?」
布擦れの音のみが返ってくる、おそらく皆が黙って頷いてくれているのだろう。
リックの指示のに従い、エムバラ、メティ、リック、俺、イブ、ミゲルの順番にダマ先生の為に祈る時間を与えてもらえた。
……実はこの時の事はあまりよく覚えていないんだ。
めちゃくちゃに泣きわめいたせいか、俺は呆然としながら成り行きを見ていたからだ。
涙も枯れ果てたせいか、ダマ先生の死に顔を見ても、不思議となにひとつ感慨は湧いては来なかった…。
…だけど、ある瞬間だけは鮮明に覚えている。
先刻まで互いに憎みあっていた筈の少年が、幼い子供のように老人の遺体に泣きすがる姿を。
おそらく
これからの生涯、きっと、ずっと忘れない。
忘れられない。
忘れたくても忘れる事など出来ないだろう………。
「ダマ先生………ごめんなさい……………ごめ……
…………せんせええええええええええ!!うわあああああああああああああああ!!!!」
第十話 完
今回、非常に話が長くなってしまいました、つられて投稿も遅くなってしまいました……。
八ヶ月空きよりはマシだと思って許してください!なんでもしま(略)
イブの登場、ダマ先生との死別、どうしてもしっかり描きたかった部分なので自ずと力んでしまいました。
今回、特に頑張りたかったのが、カムドくんの思い込んだらまっしぐらな性格を初めて良い方向に描くと言う部分でした。
もしかしたら読者の方の中にはカムドくんが好きじゃないという人もいるのかなー なんて思いますが、彼の人情味や成長がこれから描ければ嬉しいです。
彼が私の手を離れて勝手に泣きまくるので、泣き表現の苦手な私はかなり苦労しつつ、でも何度かもらい泣きしながら書いたのは内緒。
あと、語りたいのは謎の女性イブちゃん。
勘のよい方ならイブという名前もフルネームではないと気付かれたかと思います。
名前のヒントは一応出してあるつもりなので、色々予想して面白がって頂ければ幸いです。
イヴって名前の登場人物なら色々な作品に登場しますね。
サンタアイドルであったり、ナノマシーン使いであったり、バンド少女であったり…。
始祖の女性の名前なので響きの中にちょっと神秘的な所をかんじますね、彼女のミステリアスさが演出出来ていればいいかなー、と思っております。
彼女と共に物語も育っていってくれる事を願っています。
それではまた。
……
加筆修正しました。
この話は自画自賛したくなるくらい自分でもよく出来たかなーと思っていたのですが、だからこそよけいに誤字脱字は興を削ぐと思い、修正に至りました。
シリアス+泣きって良いですね、仕込みがとんでもなく大変ですけど。
こういうのが書きたくてなろうを始めたので、もっとじゃんじゃん書きたいです。




