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異世界で俺と握手!  作者: 醍醐郎
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第一話 憧れの異世界、待っていた現実

キャラが増えてきたら前書きにキャラを書き足して行こうと思います!

続くかな!?

「それで、異世界移住を希望しているのは貴方ですか。」

黒ぶち眼鏡のスーツ男が無愛想に聞き返してくる。


「はい!はいっ!!もう一刻も早くこの退屈でつまらない世界からはオサラバしたいんです!」

机を叩きつけながら前のめりでがなり立てる美少年(自称)、これが俺だ。


「あぁ、聞こえてますからもう少し小さな声で…。」

「ですので、俺はそのぐらい異世界に憧れてるんです!」


黒ぶちは怪訝そうな顔でこちらを見てくる。


「だけどねぇ、君はまだ未成年だ、親権者の同意もなく異世界転送を行うわけにはいかないんだよ。」


「どうして!!?」


大声で再度立ち上がる、周囲がザワつきこちらを見てくる。


「どうしても何もね、そう言う決まりだし、君もまだ若いんだし…。」


「だしだしだしだしって、あんたは和食のプロか!!いいから早く俺を異世界に転送しやがれぇ!!」


俺はいけ好かない黒ぶちの頭を掴むと、ガクガクと縦に揺さぶる。


「うわああっ!!やめろ、何をするんだ!?」


「お前の権限で俺を異世界に送りやがれぇー!!さもないとその眼鏡を指紋だらけにしてやるぞ!!」


「ひぃ~~っ!!何を考えているんだキミは!誰かコイツをつまみ出せ~!!」




異世界で俺と握手! 第一話 【憧れの異世界、待っていた現実。】





「二度と来るんじゃないぞ!!」

俺は職員服数人に取り押さえられ、建物の外に放り出された。


ずしゃー、俺は投げ出された勢いのまま地面にヘッドスライディングした。

「ふべっごあっ!!」


「まったく、親はどんな教育をしてるんだ…。」

黒ぶちの同僚とおぼしき男たちがブツブツつぶやきながらその場を立ち去る。


「いってぇなコンチクショー!!ぜってーまた来てやるからな!!」

俺はヤケクソの雄叫びを職員に投げつける。


「……ミャウ?」

が、叫び声に反応したのは近くにいた野良猫だけだった。


「ちぇっ、なんだよなんだよ。」

なんだか虚しくなり、近場にあった石ころを蹴飛ばす。

依然イライラは晴れない。


――――時は23XX年、世界は………別に核の炎になんか包まれる事もなく、人類は順調にその数を増やして行った。


爆発的に増えた人口は、いつしか地球の資源を食い尽くそうとしていた。

そんな時、人類は宇宙へ、あるいは地底へ、その活路を見出だそうとしていたがいずれの移住計画も上手くは行かなかった。


だが、手詰まりかと思われた人類に突如朗報が舞い降りたのだ。

【位相の違う地球】つまり、地球の多次元に地球によく似た世界、異世界が発見されたのだ。


資源不足、土地不足、人口爆発への活路を異世界に見出だした人類は、異世界の開拓を急ピッチで行った。

文明の持ち込まれた異世界は瞬く間に人間の世界を築き、今や楽園と評されるまでに至ったのだという。


楽園と呼ばれる異世界……なんて壮美で、甘く、魅力的な響きなのだろう。

俺のいる地球とは天と地程の差がある。


「たから俺は、このクッッッッソつまらん世界を離れて、異世界に移住したいんだ!!!」


馬鹿でかい声が周囲に響き、先ほどの野良猫がじーっ…とこちらを見ている。


「あのお役所仕事どもを出し抜いて、なんとか異世界に行ける方法はないものか…。」


俺がブツブツ呟きながら歩いている…………と目の前にニタニタ笑う不気味な男がにゅっとコチラに顔を突き出してきた。


「ぐっふふふっ、聞きましたよ。」

「ぶわぁっ!?な、なんだお前は!!」


怪しげなマント姿の男は、ニヤニヤとした笑いを浮かべながらこちらを見てきた。


「あなた、異世界に行きたいんですね?」バサァ!


マントをひるがえしながら演技掛かったオーバーリアクションで男が尋ねてくる。


「…ああ、そうだけど?」

「ですが、まだ子供なので追い返された、と。」

「………まぁ、そんなとこだ。」


子供扱いに少しムッとする。


「枯れた現実を飛び出し、素晴らしい異世界に旅立ちたい!!悩める若人の夢をなぜ社会は潰そうとするのかっ!!」


「…それで、さっきからなんなんだアンタは、俺を冷やかしたいのか?」

「いえいえ、とんでもなァい!私はただ若者の夢を応援したいだけなのです!」


男が小声で耳打ちしてくる。


「私があなたを異世界に連れて行ってさしあげましょう。」


「なっ、本当か!?」


俺は男の方を振り向いたが、そこに奴の姿はなかった。

すると、俺の背後、右肩の上方からニタニタ笑いの顔が突き出てくる。


「はァい、本当です。

ただし、貴方を招待するのはまだ未開拓の異世界、移住環境が整いきっていない土地です。」


ニタニタ顔の目が薄く見開かれる。


「とても危険な世界ですが、それでも貴方は行きますかァ?」


背中を冷や汗が伝う、この男からは何か不気味な気配が漂っている。

しかし、嫌な予感を打ち消す程に俺の異世界への渇望は強いものだった。


「危険?上等だ、このクソッタレた世界で平和ボケしているよりよっぽど楽しそうじゃねぇか!!」


「ぐっふふふ、頼もしいお言葉ですねぇ。」


ニタニタ男はきびすを返す。


「ならば、ついてきてください。」

と、建物の裏手に手招きをする。


俺は嫌な予感を感じながらも、黙って男の指示に従う事にした。



―――――――――――――――――――――――――


「さて、到着しましたよ。」

「ここはどこだ…?」


男はニヤリと口角を上げる。


「薄々わかっていらっしゃるのでは?ここは移送変異装置、平たく言えば異世界へ転移するための機械の置場所ですよ。」


僅かに胸が高鳴る、これが夢にまで見た異世界転移装置…。

だが、ここで俺は少し違和感を覚える。


「おい、異世界への転移は役所の連中が厳重に管理してるんじゃないのか?こんなに簡単に入れる場所にある物なのか?」


「ええ、これは異世界転移の試作機ですからね……開拓に失敗し、人知れず打ち捨てられた世界への転移装置です。」

「な……!?」


プシューー!!


面食らっている俺の顔に向かって、男はスプレーを吹き掛けてきた。


「…………うっ…なに…を…?」

「少しお喋りが過ぎましたね。」


催眠ガスか…?なんだか意識がボーッとしてくる……。


「私はあなたの能力に興味があるのです、あなたがあちらの世界で生きようが死のうが、ハッキリ言って興味はないんですよ。」


足に力が入らない…俺は自力で身体を支える事もできずに床に崩れ落ちる…。


男はニタついた笑みを浮かべたまま、こちらが意識を失っていく様をただ眺めていた…。



―――――――――――――――――――――――――




なんだか頭が痛い…、それに金縛りにあっているかのように身体が重い。

額をじっとりと濡らす嫌な汗に徐々に目が覚めていく。


どうにも言うことをきかない身体をゆっくりとよじらせると、ふいに頬を風が撫でて行った。


…重たいまぶたをゆっくりと開けていくと、周囲には草が生い茂っていた。


「ん……ここは…?」


「おやおや、気付いてしまいましたか。」


背後から声がするが、振り返る事が出来ない…!


「げっ、なんだこれは……縄っ!?」


先ほどまでの身体の重さは金縛りでも何でもない、催眠ガスの効果と実際に身体をがんじ絡めにされていたせいだったのだ!!


よりによってオッサンに縛られている!!

その得体の知れない気味の悪さから、俺の顔から血の気が引いていくのがわかった。


「くそっ、ほどけよジジイ!俺はこんな趣味はないぞ!!」

「私だってそんなシュミはないです!!言われなくても離しますよォ!!」


そう叫びながら、怪紳士は俺を縛りつけていた、肩・手・腰・足のヒモをナイフでぷつんぷつんと切っていく。


「………。」

「さあ、望み通りほどきましたよ。」


拘束するからには何か意味があると思ったが、思いの他あっさりと解放してもらえた。


「…おい、どうしてこんなにすんなり離したんだ?」

「ええ、あなたの能力を調べさせていただきましたがね、大したものを持っていないようでしたから…。」


男は事もなげにそう言い放つと、ニタニタした顔をこちらに向けてくる。

ブチン、頭の中で何かが切れる音がした。


「そうかよ、言い残したい事は…もうねぇな!」


奴の顔目掛けて渾身の右ストレートをぶっ放す、すると男の身体はスッと影だけ残して消える。


「そこだぁド畜生!!」

男が消えたのを見計らうと、ラリアットの形で左後ろに腕を振り回す!!


ゴチィン!!


奴の薄気味悪い面に肘がクリーンヒット!!


「ノオオオォッ!!」


男はたまらず額を押さえてうずくまった。

ヤツの胸ポケットに刺さっていた花がポトリと地面に落ちる。


「……………!?

ぐおおおぉっ、肘があああぁっ!?」


俺も肘がビリビリと痺れて屈み込む。


「うぐぐっ…こ、コイツ…………せっかく望みを叶えてやったのに…トんでもないクソガキだ!!」

「イデデッ……うっるせぇ!インチキオヤジ!!

ぶん殴られたくないならスプレーとか縄を使うなっつーの!」


悪態をつきながらお互いに睨み合う。


「もうお前なんか知りませんよ!野垂れ死んでモンスターの糞にでもなってしまいなさい!!」


「うるせぇ!もう一発ラリアットを食らいたくなかったらさっさと消えろ!!」

「言われずとも帰りますとも、ええ帰りますともサ!!」


男は怒り狂って地団駄を踏みながら、バサッと身をひるがえすと、次の瞬間にはもういなくなっていた…。


「ふぅ、行ったか…。」


ゆっくりと周囲を見回す、近くに身を隠せそうな場所はない。

どうやら本当に男はいなくなったようだ。


「あいつ、モンスターがどうのって言ってたよな…。」


ゆっくりとヤツの言葉を脳内で反芻する。


「やっぱりここは異世界なんだ…!!」


全身が小刻みに震える。


「やった!やったぞおぉぉぉ!!

俺は、夢にまで見た異世界に来たんだあぁぁ!!」


感動で声が震える、俺は 魔物と魔法の世界 異世界に やって来たんだ!!


―――――――――――――――――――――



…しかし、念願叶って異世界に来たのは良いが、これからどうしようか。


「しまったな、アイツを追い返す前に近くの町だけでも聞いておけばよかった…。」


周囲を見回しても草が茂っている光景が続くだけだ…。


「まずは川を探すか、俺も飲み水は必要だし、川を伝えば町か村があるかもしれない。」


俺は誰に話すでもなくそう呟くと、でたらめに歩を進める。

歩く、ひたすら歩く。


足元に生えている草が思った以上に歩行を阻んでくる。

それでも気にせず歩く。


「そういえば、あのオヤジ気になる事を言ってたよな…。」


『あなたの能力に興味がある』『大した能力がなかった』


そういえば以前聞いた事がある。

異世界移住者には移った先で死んでしまわないように2つの恩恵が受けられるのだと。


ひとつは体力・筋力などの基礎能力の底上げ。


「あの怪しいオッサンを殴った時、やっぱり身体が軽かったよな。」


ラリアットを見舞おうと腕を振り回した時、奴は間違いなく殺気に感付いていた。


「それにアイツ、俺の攻撃がわかってても避けきれなかった…。」

先ほどの出来事を頭の中で反芻はんすうする。


「やっぱり、異世界に移住する時に力を強めてもらえるって言う噂は本当だったんだな…。」


なんだか自分がとても逞しい存在に思えて、自然と胸を張っていた。


………その後もひたすら歩いた、かれこれ20分近く歩き通しだが、村や川はおろか、沢や泉らしき水溜まりも見当たらない。


「ヤバイな…見渡す限り草木しかないぞ…。」


わずかに踵が痛む、普段の運動不足が祟っている気がする。


「かぁーっ、それに何だか喉が乾いてきやがった…!!」


そこでふと、異世界に移住した時に預かる恩恵の二つ目に記憶が行く。


ふたつ目の恩恵、移住者は元の世界にいた時の習慣や特技にちなんだ特殊能力、つまり魔法が使えるのだ。


「よっしゃ、俺は小さい頃スイミング教室に通ってたんだ!水が出る魔法なんか使えるんじゃないか!?」


モノは試しだ、泉を湧き出させる魔法を使ってみよう。

目に期待が浮かぶ、俺は昂る気持ちを抑えて目の前で手をかざした。


「いくぜ!水よ出てこいっ!!」


しーーーん。


俺の声だけが僅かに反響する。


「あれ?唱え方が悪かったか…?もう一回、いでよわき水!!」


しーーーーーーん。


やはり何の手応えもなく、なんとなく声がやまびこするだけだった。

とたんに恥ずかしさがこみ上げてきた。


『大した能力を持っていなかった』

怪紳士の言葉を思い出してムッとなる。


「畜生、水なんか出ないのはわかってたんだからな!!クソッ!!」


えも言われぬ倦怠感が全身を襲う。


その時―――。


ガサガサガサッ!!背後の茂みから草の揺れ動く音が鳴る。


「な、なはははっ!!湧水の呪文が今になって来たか!!これがジュニアスイミングの力……!!」


音の方を振り返ると、黒い顔をした小鬼が数匹そこに立っていた。


「…なんだ、お前ら?」


「シギャギャギャ!!」

「ゴギャギャ!!」


手にはこん棒のような鈍器を携えている、コイツらがモンスター…?


「かーーっ、こちとら歩き疲れてるってのに…!」

「ギャギャッ!」

「ギギィーッ!!」


威嚇のつもりだろうか、小鬼たちはこちらを見据えながらギャーギャーと牙を剥き出して雄叫びをあげる。


「っっるせぇ!!俺は喉が渇いてイライラしてんだよ!!」


怒鳴り声を返すと小鬼たちは一瞬たじろいだが、不細工な顔を歪ませながらこん棒を各々振りかぶる。


「なんだぁチビ共、やるつもりか?」


睨み合いながらジリジリと距離を詰められる、やつらは4、5、6………どうやら6匹いるようだ。


「来いっ!!」


こちらの声に反応して奴らは一斉に飛びかかってくる。

奴らはブンブンと、でたらめに得物を振り回してくる。


俺はバックステップで一歩、二歩と距離を取る。


ドゴオッ!!

やつらの大振りの一撃は別の小鬼の顔面を捉えた。


「わはははっ、ざまぁ見ろ!!」


「ガガーッ!!」

「ウガガゥッ!!」


小鬼のうち数匹が内輪揉めをしている隙に、俺は足元にある小石を拾う。


「よしっ、今度はこっちの番だぜ、そらよっ!!」


思いきり投げた小石が後ろの一匹の頭を打ち抜く。

移住者補正が掛かっているせいか、プロ野球選手の投げるボールのように鋭い一撃だった。


ビュオオオ!ボゴオオォーー!

投じた一石は一体の小鬼の顔面を捉えると、鈍い音をたてる。


「ビャグゥ!ギぎギィ……!」


石は小鬼の顔にめり込み、醜い表情をより一層歪ませ…血飛沫を吹き出す。

「ゲ…ゥ……。」


魔物は死んだのだろうか、小さく呻きながら地面に倒れ伏すと、ピクリとも動かなくなった。


「う、うへぇ…思ってたよかグロいなぁ……。」


実際の魔物との戦闘はこちらが思っていたようなファンタジーな代物とはかけ離れていた。


自分が取った挙動が思ったよりも残酷な結果を生み出した事に、少し取り乱す。


「わ、わはははははー!!ど、どうだ、まだやるか?」


勝ちを確信し、ハッタリの笑い声を上げる。


「つ、次はお前か?それともお前?」


人差し指で奴らを一匹ずつ示す。

奴らが怖じ気づいて逃げ出すのを期待していたのだ。

……後で考えれば、これはとんでもなく愚かな行為だった。


「どうした?来ないのか?もう終わりか?」


実力差を過信した俺は…。


「今逃げ出せば見逃してやるぜ。」


周囲への警戒を完全に切ってしまっていたのだ…。


「来ないのか?な、ならこっちから行………ぐぁっ!?」


ボグゥッ!


瞬間、後頭部に鈍痛が走り、衝撃で地面に吹き飛ばされる。


俺の身体が前のめりで地面に倒れた所に、先ほどの小鬼たちがこん棒を降り下ろしてくる!

俺は慌てて仰向けに転がると、奴らの攻撃を腕と膝で受け止める。


ドシン!ドシン!


腕に衝撃が伝わる、鈍痛に顔を歪める。


ガシン!ボゴォォン!

「うっ……いでぇ…!!」


二撃・三撃と追撃を受ける度に腕が自分のものでなくなって行くような不快な感覚に襲われる……。


ズシン!ズシン!ズシン!


「いてぇ!!いてぇよ!!

もうやめてくれええぇっ!!!」


背後で俺の事を吹き飛ばしたであろう大鬼がニタリと笑っている。


ああ、これは奴らを見くびって掛かったせいなのか…。

借り物の力を得て調子に乗ったから罰が当たったのだろうか…。


俺は、痛みと、情けなさと、悔しさから目・口・鼻から体液を垂れ流していた……。


「痛い!痛い!いやだ!!

誰か、誰か助けてくれええええぇ!」


周囲に俺の絶叫がこだまする。

こんな森の中にだれかがいるはずなんてないのに、それでも誰かにすがらなければ今すぐ頭がおかしくなってしまいそうだった。


「ぢぐじょょおおお、こんな所で死にだぐねえよおお!!」

「大丈夫だ、死なせやしないさ。」


誰かの声が聞こえ、ハッと目を凝らす。


小鬼たちの指揮を取っていた大鬼の頭が、飛んできた矢で突然吹き飛ぶ。


ゴトリ!


「……うげえっ!」


大鬼の首が血飛沫をあげながら地面へと落ちる。

眼前に広がるあまりに凄惨な光景に思わず目をつむる。


「な、何が起こってる……?」


俺も、そして小鬼たちも何が起こったかわからないと言った面持ちで状況を確認していると…!


「せいやっ!!」

バゴオッ!!


俺に覆い被さっていた小鬼が、別の何者かによって殴り飛ばされ……。


「メティ、屈め!!」


吹っ飛ばされた小鬼が次々に矢で射抜かれてゆく。


「大丈夫?起きれる?」

「あっ、えっ…。」


俺は促されるまま、変わった柄のローブを着た少女に引き起こされる。


「ウウゥ…、ギャワアア!!」

「しつこい!!」


小鬼が俺に飛び掛かろうとした所で、少女は懐から小瓶を取り出すとその顔めがけてバラ撒いた。


「ヒギャアアアァァァ!!」


すると、小鬼は顔を抑えてその場にうずくまる。


「良いぞメティ、後は…。」


背後で青年が弓を引き絞るのが見えた。

「しとめる!!」


ストン!ストン!ストン!


高速で放たれた矢が次々と小鬼を撃ち抜いていく。


「やるね、あにィ!」

「…まぁな。」


何だかわからないが、とりあえず助かったようだ………俺は安堵の感情からすっかり脱力しきっていた。


「えっ、ねぇ、大丈夫?」

「大丈夫………でも、少し疲れた……。」


グラッ…!

体が動かない、膝が地面へと落ちて行く。


「おい、しっかりしろ!おいアンタ!!」

「そんな…ねぇ、キミ、キミッ!」


薄れゆく意識の中で、俺は恩人たちの不安そうな声を耳にした。

助けてもらったのに悪い……なんだかダルくて、それに眠い……。


俺の意識は、少女の小さな肩にもたれながら…。


闇の中へと落ちて行った。



第一話 完

今の所、早く2話が書きたいです!

このモチベーションがどこまで続くやら。

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