表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
拝啓、くたばりやがれ勇者様。  作者: 白卯兎(しろうと)
4/4

開戦の狼煙

いよいよ人間との戦争が始まる。


我々魔族にとっては天敵である聖剣を振るう勇者。


攻撃、防御、補助、治癒といった全ての魔法を極めたという聖女。


片手で山亀を持ち上げるほどの豪腕だという竜殺しの戦士。


この三人が人間側の切り札である。



それに対し、魔王軍の戦力は我一人だけ。

あくまでも、この三人に対抗できそうな戦力は、だがな。


数で圧そうにも、そもそも人間の方が圧倒的に多い。

魔族は頑丈だし、長寿でもあるが、流石に首を跳ねられたり、心臓刺されたらサクッと死ぬ。


不死族も確かにいるが、やつらは基本的に弱い。


日光浴びただけでアウトだったり、魔力で動くだけの骨だったり、肉が腐ってて脆かったり、霊体だから物理無効(お互いに)だったりする。


例外と言えば、騎士団長のデュラハンと宰相のリッチくらいなものか。


大昔に居た真祖は反則レベルの強さらしいのだがなぁ。



そして肝心の我だが・・・・


聖剣?斬られれば絶対痛い。物凄く痛い。


魔法?我は極めるまでいってない。ビバ接近戦。


山亀?流石に持てん。ギリギリ数ミリ動かせるかもしれんが持てるわけがない。



「なあ、今更だが勝ち目なくね?これ」


「魔王様には魔剣がありますでしょう?」


「・・・・あるにはあるが、これだぞ?」


宰相の「魔剣があれば負けん!」的なドヤ顔がウザいが、我の手に握られた「それ」を見せてやる。


実際、魔剣としては能力も悪くない。

使い勝手も・・・・まぁ、そこそこ。


「それは魔剣・・・・というより魔『細』剣でしょうか?」


「うむ。形状としてはレイピアが一番近いのか?まぁ、ミスリル程度ならまだしも、聖剣相手に打ち合えるような代物ではないな。たぶん折れる」


我の言葉に表情を曇らせる。

当然だ。


『打ち合いが出来ない』


これは聖剣での攻撃は防ぐ手段がないと同義だからだ。

・・・・回避しようにも限界があるしな。


「まぁ、噂とは尾ひれがつくものだ。聖剣ではなく光の魔法剣かもしれん。魔法を極めたというのも人間基準ならたかが知れている。竜殺し?人間はワイバーン程度ですら竜扱いしているではないか」


一応、宰相を安心させてやる為に希望的な意見も言っておく。

山亀の件には触れるな。

文字通り山だぞ?やつは。


「つまり、噂が真実であれば勝利はないが、嘘であれば敗北はないと?」


「むしろ嘘ならば勝利しかないな。だが、最悪を想定して動くに越したことはあるまい。・・・・話しているうちに狼煙(のろし)があがったな。お前も避難しておけ」


「・・・・御意。どうか御武運を」



御武運を、か。


崖に立つ我が眼前に広がるは数万の人間の兵士共。


まだ距離はある。


部下は全員避難させた。


布石は既に打った。


残すは我がドでかい花火を打ち上げて、やつらをこの場に引きずり出すだけ。


「御武運もなにも、あの二人(・・)以外は、どれだけいようと暇潰しにすらならんのよなぁ」


我の口から出たのは不満と、呆れから来る溜め息だけだった。


そういや宰相の鼻、まだアーモンド刺さってたな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ