第4話 上司の妹がチンピラで、私の舎弟になりました。
場違いな程のハンサム…
レイリークは、いいとこのお坊ちゃんだった。
その情熱を溶かし込んだような赤銅色の髪に新緑の瞳。
端正な顔立ちに鍛え抜かれたナイスバディ。
容姿端麗、文武両道、ついでに音楽の才能もあり複数の楽器を扱えた。
男女問わずモテまくり、人生の最初はエリート街道を邁進していた。
とはいえ
まっすぐな性格で、正義感が強く
人にも厳しかったが、自分にはもっと厳しく…
…上司にも厳しかった。
曲がったことが嫌いで、納得のいかないことは出来なかった。
後になってみれば、青かったとしかいいようがなかった。
とはいえ、レイリーク隊長は、自分は運がいいと心底信じていた。
ちょっとめくっちゃいけない真実をつまびらかにしようとして、左遷されてしまったが
流れ着いた先に運命の人が居た。
そう、このチンピラを妹だと言い張る彼の上司、
オリバーである。
オリバーがレイリークを「リク」と呼ぶたびに、
彼の心の中にはピンクの鱗粉をまく金色の蝶が飛び立つような歓喜が湧いた。
レイリークはいつもオリバーを慈しんだ。
暇さえあれば愛を囁きたかったが
とりあえず、ちんぴらにご飯を食べさせた。
スカーレットお嬢様のために
料理長のクーが腕をふるい
メイド服を可憐に着こなしたカイラがセッティングしたテーブルで
チンピラは、期待を裏切らない犬食いを披露した。
『田舎の弟妹を思い出すたべっぷりだわ』
ガツガツと平らげていくチンピラに、カイラが次々と食べ物を与えていく。
『ねーちゃん、いいひとだな‼』
食べ物をもらったからだろう。
チンピラはカイラに愛想が良かった。
レイリークは、端正なお顔に深刻な表情を浮かべて上司に問いかけた。
『オリバーさま…』
『ん?』
『こちらは本当に…。』
『んー。』
オリバーは困ったように笑った。