第3話 チンピラさんとお友だちになりました。
「手をつなごう!」
アスランは、初めての年の近い人間のお友だちにうきうきとしていた。
なんか、ちょっと、不思議なかっこうしてるけど
なんか、よだれをずっと垂らしてて、ぞんびみたいに唸ってるけど
きっと仲良しになれるはず。
アスランはニコニコだった。
レットとつないだ手をブンブンふりながら
スキップをふんだ。
光る道のその先には
洒落た扉のカフェがあった。
『たっだいまー。』
アスランが元気に店のドアを開けると、中にいた人々はいっせいに立ち上がった。
そして、そのなかの1人、
ずば抜けて体格がいいハンサムな青年
レイリークは光の早さでアスランに駆け寄り、スカーレットからアスランをむしりとった。
『何が目的だ!』
アスランを後ろに控えていたカイラに渡すと、
振り返りスカーレットをねじりあげる。
その間、二秒。
『あー…あああ。
リク、あのね、スカーレットを放してやってくれるかな。』
『…え?』
困惑したオリバーの申し出に
レイリーク…リクはぱっと手を離した。
そしてチンピラの顔をまじまじと見る。
いかにもたちの悪そうなチンピラだ。
なにか、いけない成分に脳をおかされているのか、
反応が鈍い。
よだれであごもがびがびしている。
30秒ほどたったあと、ちんぴらは感嘆の声をもらした。
『ぱねえ』
『え?』
『すげぇ、すげぇ、すげぇ‼
あんた、けんか、めっちゃつええのな‼』
『え…あの、えーと…』
『リクは本当にもてるよねぇ。』
オリバーはこらえきれずに吹き出した。
『え、…あの、オリバーさま…?』
『ねぇ、レット。きみ、リクに弟子入りしたらどう?』
『舎弟になんのか?盃かわすのか?
こんなかっけーアニキと!?』
『そうそう。イルハンにはちょっと悪いけど。』
『あんなおっさんかんけーねーよ‼』
『リク、お願いできるかな?』
『え、あ、…はい。』
レイリークに、拒否権はなかった。