第15話 ワンオペレーションも限界です
オリバーが倒れた先には、すでにレイリークがブランケットを広げて待機していたため、オリバーはどこも打つことなくレイリークの腕に収まった。
『これちょっと…早いんじゃ…』
弱々しくぼやくオリバーをレイリークは
ぐるぐるとブランケットで巻くと、肩に担いで連れ去った。
☆
『提案した私が言うのもなんですけど
ああいうふうに倒れるというのは、
すごく心臓にわるいですね。』
ため息をついたのは、イルハンだ。
オリバーは、どこかなげやりなところがあり、
すぐに無理をする。
ならば、無理を出来ないように、
一定の時間を経過、もしくは、一定の体力を消耗したら休眠モードに入るようにしたらどうか。
それがイルハンの提案であり
レイリークとシッキムがそれに飛び付いたのだった。
『全くだよ。でも、死なれるよりはましだ。』
シッキムも大きく息をはいた。
『イルハンの作ってくれたプランで、
回復してくれたらいいんだけど。』
トーマスは、唇を噛み締めてシッキムに頭を下げた。
『申し訳ない。私の不始末を…』
イルハンも一緒に頭を下げた。
『私も安易に兄上を頼りました。』
『いや…。俺もオリバーが倒れたから駆けつけただけで…。よくわかってないんだけど…。
そもそもなんで、スカーレット嬢は呪われたの?』
イルハンとトーマスは同時にため息をついた。
『よくわからないのです。気がついたら、おかしくなっていた。医者に見せたけど、原因は不明。兄上に相談したら、とりあえず診てくれるというので、寄越したら、呪われていることが判明し、解呪してもらった…ら、兄上があんなことに…』
イルハンは、うなだれた。
ちょうどそこに、レイリークが戻ってきた。
カイラも一緒に。
『戻りました。そして、カイラから皆様にご報告があります。これはオリバー様からの伝言としてお聞きください。』
カイラは可愛らしいメイド姿ながらもキリリとした凛々しい表情だった。
『まず、皆様には、解呪の際の事故に関しては責任を感じないで欲しいとのことでした。』
そして、カイラはテーブルの真ん中に三枚の紙を置いた。
『これが、スカーレット様の首、肩、腰に認められた呪いのタトゥーです。
この呪いの効果を平たく言えば、判断力や理性が失われ、だんだんと廃人になっていきます。
スカーレット様は何かの生け贄として、使われていた、というのが、オリバー様の見立てです。
…私どもには巷の情報がほとんど入ってこないので分かりかねますが、もしかしたらたちの悪い犯罪組織が関係するのかもしれません。』
カイラはトーマスとイルハンを見た。
『私どもは、この森の外の出来事には関知いたしません。
しかし、今回に限り、オリバー様は、スカーレット様の呪いを通して、連座で贄に捧げられた全員の呪いを解いたそうです。
呪詛返しを兼ねて、術者には恥ずかしい印をつけたので、探してみてほしいと言っていました。』
そこまでいうと
カイラは、一歩下がった。
ちなみにカイラのメイド服は、ロングスカートだ。




