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ディアン入学試験を受ける

10歳になりました。ディアンです


今はマーリナと2人で王都に向かっています。勿論忌々しい入学試験を受けるためだ


「マーリナ、楽しみか?」


俺の隣でニコニコ笑顔のマーリナにそう聞く


「いえ、兄様と2人きりで馬車に乗ってる状況が嬉しいのです!」


「嬉しい事言ってくれるなこのこの!」


俺はマーリナの頭を少し乱暴に撫でてやると、「キャー!」と言って喜んでくれる。こんな妹地球には居ないからなぁ絶対


顔が真っ赤なのがまた可愛いさに磨きをかけている


「それより兄様。試験の方は大丈夫ですか?」


「あー、多分。何とかなるとは思うけど」


正直心配だ。だってマナーの試験あるんだもんなぁ。何マナーって。まぁ一応貴族学校だし、分からなくもないけどさ!


「もし、兄様が落ちたら私もマギガーデン行きませんからご安心を!マーリナは兄様に何処までもついて行きます!」


「ありがとうマーリナ。でもマーリナは行くべきだと思う。魔王軍にでも入って立派に成長してくれるとお兄ちゃん嬉しいな」


そう微笑む


「はぅ!……兄様が言うなら」


うんうん、物わかりのいい娘だね。素直なのはいい事だよ


「ま、頑張るから応援でもしてくれると嬉しいけどね」


「もちろんです!」


そう元気よく返事をしてくれる。ホント、よく出来た娘だよ。どっかの(アホ)とは大違いだよね


◇◆◇◆◇◆


「これより、第57回マギガーデン入学試験を始める!指定された番号の部屋に入れ」


何事もなく王都まで来て、何事もなく受付を済ませた俺達は指定された番号の部屋に入る。俺は5番でマーリナは2番だった


ていうか、人多すぎ!


魔族は人間とほぼ見た目が変わらないので怖いとかそういうのはないけど、知り合いがいない集団って落ち着かない


前の黒板を見て自分の席につく。はぁ、寝たふりでもしておこう


「よっ。俺はアレン。平民だからファミリーネームは無い」


そう思った時、前の席のやつが声をかけてきた


平民か。少なくはないらしいが、特待生制度で入らないとかなり金を取られるらしい


「初めまして。俺はディアン=フォーループ。辺境の田舎貴族だ」


そう言うと、彼は少し態度が変わってしまった


「そ、それは失礼しましたね。まさか貴族さんだとは思わなかったんだ。許してくれ、いやください」


何をそんなに怯えているのだろうか


「さっきみたいなフランクな喋り方でいいぞ。さっきも言った通り田舎貴族だからな。位もかなり低い」


俺はだるそうにそう答えた。実際ダルいし


畏まられるのはどうも苦手だ


「そうか?助かる!」


嬉しそうに歯を出して笑うアレン。こいつ、美形だし将来女たらしになりそうだな


「ところでアレン。お前、特待生狙い?」


そう聞くと彼は笑って頷いた


「おう。ま、特待生じゃなくても入れはするけどさ。あまり親に迷惑かけたくないんだ」


い、いい奴だ!


「お前、いい奴だな」


「な、なんだよいきなり!」


照れてしまったようだ


「ま、目指すなら頑張ってくれ。俺は受かるかが心配だ」


「ハハッ。の割に随分余裕そうに見えるぜ?」


そうか?


昔、友達からお前落ち着いててスゲェなって言われた時、かなりびびってた時だったりしたからあまり表情に出ないのかもしれないな


「そう見えるなら感情に乏しいんだろ俺の顔は。内心ビクビクしてるよ」


少し笑いながらそう答える。彼も少し笑った


「面白いなディアンって。友達として、受かるよう祈っててやるよ!」


この世界で初の友達が出来た瞬間だった


「ありがとう。ま、努力はするよ」


ぶっちゃけるとマナーと歴史以外は余裕がある


でも父さんによるとその二つと実技が一番点数が高いらしい。つまり、二つ落とすと残りが高得点でも落ちる事があるという事だ


ま、最初は計算だから余裕余裕


あ、問題はこんな感じだった


ーーーーーーーーー

計算問題


(1)198+202=

(2)754+214=

(3)214+349+970=


ーーー……


ーーーーーーーーー


足し算ばっか。簡単過ぎて時間半分以上余った


◇◆◇◆◇◆


本題のマナーのお時間です。試験内容は教師の接待。ざけんな


まあやらなきゃ行けないんだけどさ


「次、ディアン=フォーループ」


「はい」


はぁ、気が乗らない。せめて先生がロリ……いかんいかん。つい本音(ぼんのう)


部屋に入ると、俺より少し低い背の女の子が無表情で立っていた。髪は魔族に多い白髪。目は黄色だ


これは、まさか本音がフラグに……?と、とりあえず彼女を接待しよう。目の前にいたなら彼女がそうだと思う!てかそうであってくれないと。他に人がいないし


「……お手をどうぞレディ」


俺が手を差し出すと、無言で手を乗せてくれる


一応最後までやるけどさぁ、あってんのかな


テーブルまで移動して、椅子を引く


「どうぞ」


これまた無言で………椅子によじ登ろうとする


はぁ、助けてあげるか


俺は重力魔法を今この為だけに作って、使った


女の子を椅子の高さまで持ち上げて優しく座らせる


女の子は驚いた顔をした。可愛い


って、和んでいる場合じゃない。試験は終わってないのだ


「紅茶と珈琲どちらに致しますか?」


「……紅茶。砂糖多めで」


初めて喋った女の子。俺はリクエスト通りの紅茶を淹れる。唯一母さんからお墨付きを貰った、飲み物を淹れる作法。今回も完璧だと思う


「どうぞ」


テーブルも10歳の俺からしたら高いので、魔法で移動させる。てか、しっかり合わせて作れよ!


先生用だからまぁ仕方ないけどさ。他のやつはどうやってやってるか気になるくらいだ


そんなことを考えていると、女の子が俺の淹れた飲む


「ん、おいしい」


「ありがとうございます」


俺はお辞儀をする


ここまでが試験の筈だ。俺は胸をなで下ろす。割とよくできたと思います俺頑張った


俺が安心していると、女の子が椅子から飛び降りた


「お主、名前は」


口調が変わって驚いたが、すぐに返事をすることが出来た


「ディアン=フォーループと申します」


「フォーループ……あぁゼクトの息子か。まさかあやつの息子がこんな立派に育つとは思わなんだ」


この女の子は父のことを知っているようだ。マジかよ


「父を知っているのですか?」


「あぁ、儂の教え子じゃ」


父さんの先生!?何年前の話だよ!


と、思ったが魔族なので長寿だった。いや、でも見た目が


「ふむ。見た目が若いと言いたそうだな。儂は不老不死じゃよ?」


不老不死……魔神が何人かはいるとか言ってたうちのひとりか。意外と近場にいたな


「そうでしたか。納得しました」


「うむ」


「ところで、試験については」


「あぁ、問題無い。審査も終わっておる。ここを出て割り振られていた部屋へ戻るが良い」


「分かりました。失礼します」


はぁ、良かったよ「君どこの子?迷子?」とか聞かなくて


俺は言われた通り部屋に戻るために歩き出した


◇◆◇◆◇◆


「ふん、ゼクトめ。恩師をこき使いおって。何が『ディアンの事を頼みます。あいつは魔王様の役に立ちますから』じゃ……役に立つどころか、あやつが魔王にもなれるやもしれんではないか」


儂はディアンという生徒が出ていったのを確認してそう呟く


儂を椅子に乗せる時、膨大な魔力が奴から抜けていった。その後、見たことのない魔法を使い儂を椅子に乗せた


あの魔力量、魔王にも匹敵するだろう


「久々に、魔王の世代交代があるやもしれん。ま、当分先のことではあるだろうけどのぉ」


それはそれで、面白そうだ。儂は魔王(おしえご)がいる魔王城を見ながら薄ら笑う




彼女は人族に限らず、魔族の中でも恐れられている


戦場に出ては笑いながら味方ごと敵を全滅させてきた『元魔王』


彼女の名はイシュル=マギ=ナタークリア。魔王軍育成学校マギガーデンの現理事長である

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