ディアン㌠と魔王㌠ その2
「「「「魔王様!?」」」」
目の前から消えた魔王に四天王は困惑していた
「理事長後は任せますね」
「請け負ったのじゃ。お主はあっちで四天王の訓練でもしてやると良い」
訓練って子供の俺がされる方だと思ってたよ
アストレイに駆け寄ろうとする四天王の前に俺は立つ。少し後ろをマーリナが立っている
「ここから先は」「通しません」
おっと、セリフを取られた。このセリフ一回言ってみたかったんだ許して!
「マジうざいし!極大風魔法:エアロゲイル!」
「兄様になんという口の聞き方!極大氷魔法:コキュートスエッジ!」
カラミナの作り出す風の刃を氷の刃で切り裂く
突然かつ今更だけど、風を切るって意味わからないね!流石ファンタジー!
「ぬぅん!」
おっとガウィディアがマーリナに向かって拳を振るおうとしている。やらせる訳ないだろ
「オラァ!」
身体強化して拳に拳を打ち付ける
「む!?」
いってぇ!スキル補正はかなり効くらしい。格闘技、魔闘技といった拳スキルを持っていない俺は補正無しだった為に、なんとか返すことはできたがダメージをもらってしまった
「はぁ、もうやらないわ」
「まさか刀を使わずに我が拳を返されるとは思わなかった」
「そいつはどーも」
ガウィディアは構え直して、再度突撃してくる。やーい脳筋野郎!
「抜刀術:鬼泪の九頭!」
手元に刀を取り出して迎撃、ついでに倒れてくれるとありがたいんだが
「ガウィディアさん突っ込みすぎです!」
「サルマニア嬢の言う通りですよ」
2人からの援護が入る。コメイは付与魔術で強化。サルマニアは魔法で牽制か
「それでも、九つの斬撃は止められないか?」
サルマニアの魔法は避けるまでもないし、迎撃もしなくていい。ガウィディアが落ちるかだが……
「ぐぅぅ!!!」
突き出す拳を喰らうように斬る。少なくとも右拳は持っていきたい
「抜刀術:御槌!」
右肩狙い。肩を壊せば腕は振るえないだろう
「なんと!?」
「ガウィディアさん!!」
「ガウィディア殿!」
おっと、引き際は知ってるってか?うまく避けられてしまった
「やりますねぇ!」
「このっ!」
煽ってみたらサルマニアだけ反応してくれた。無反応は辛いのでありがてぇなぁ!?
「サルマニア嬢。熱くなりすぎです。今は魔王様の元へ向かわねば」
おぉ冷静ですねコメイさん
「でもっ!」
「でもではありません。戦場ではその判断で死にますよ?それに、カラミナ嬢が……っ!?」
話しているところに、ボロボロのカラミナが飛んできた。マジか、容赦無かったな
「お待たせしました兄様」
笑顔でそう言ったマーリナ。何ていうか
「めちゃくちゃ怒ってないですかマーリナさん?」
「あら、そんなことはありません兄様。そこの女が兄様に対して化物だとか言っていたのとは関係無いですよ?」
あー、そんなこと言ってたのか。まぁ実際化物みたいなステータスですけどね!理事長とかテレーズも化物になるけど。いや、あの2人は本気でおかしいか
「うぅ……もぅマジ無理だしぃ……」
「大丈夫ですかカラミナさん!?」
サルマニアがカラミナを介抱している間、ガウィディアとコメイは時間稼ぎか
「何と!四天王様相手に2人で圧倒!本当に学生!?本当に後輩!?凄まじい番狂わせです!」
司会の先輩も頑張ってるなぁ
理事長の方を見てみる
「ふははははっ!その程度かアストレイ!」
「ちょっ、師匠!死ぬ!死ぬって!クッソぉぉおお!!!こんなの聞いてねぇぞ!!!」
………………楽しそうで何よりだネ!
盛り上がる会場でアストレイの声が聞こえてないのが救いかな?
「カラミナ嬢、動けますかな?」
「無理だし。動けるけど勝てないし」
諦めが早すぎませんかね!?四天王ともあろうお方が
「カラミナさん、見損ないました。あんな子供に負けたうえにそのまま逃げるなんて」
お?サルマニアが煽っていくぅ!
「……じゃああんたに任せるし。ウチは後ろで支援はするし」
「ふんっ」
次はサルマニアが相手か。よーし頑張っちゃうぞ
「兄様、ここも私が」
張り切ったところでマーリナがそう言った。うん、まぁいいか
「わかった。支援だけさせてもらうよ」
「えぇ、お願いします」
マーリナはサルマニアの前に立つ
「あんた達、前から気に食わなかったのよ。叩き潰して魔王様に褒めてもらうことにするわ」
「ふふっ、私も貴女が嫌いでしたのでお互い様ですね。兄様にしたことを忘れてはいませんよ?」
「はっ、私、魔王様に会えただけで嬉しいと思えない魔族はもう魔族じゃないと思うのよね。てわけで、魔族のなりそこないは消えてくれるかしら」
ひどい偏見だなオイ?!
「サルマニア嬢、以前より頭のネジ外れてません?」
「ウチに言われても……」
「サルマニア殿は元孤児ゆえ、親代わりの魔王様には心酔している様子。我らには分からぬ感情よ」
ガウィディア、それだけじゃないと俺は思う
「やっぱり頭にくるわねぇ……お子様の分際で」
「あらあら。大して年も違わないのにお子様呼ばわりですか?サルマニア様は随分お老けになっているのですねぇ」
「このっ!」
「何ですっ?」
この2人は仲良くなれなさそうだな。水と油って言ったか。まさにそんな感じ
「極大水魔法:ヘケトランス!」
何万という水の槍がマーリナに向かう。大丈夫か、これ。一応対応出来るようにしておこう
そう思って用意していたが、その必要はなかった
「極大雷魔法:アームズブロンテース!」
マーリナも対抗して雷の槍を数え切れないほど飛ばす
「あんなに魔力使って大丈夫か……?」
マーリナなら加減はわかっているはずだが、心配なものは心配だ。勿論被弾も心配だが
「やるじゃんっ!?」
「貴女こそ、思ったよりやりますね」
二人の魔力量は互角。制御はマーリナが上か
さて、どうなるかな
「さっさと、倒れなさいよ!」
「それはこちらのセリフですっ!」
より激しくぶつかり合う水と雷。さて、そろそろかな?
「行きますよ二人共!」
「援護だけだし!」「行くのである!」
来た
「付与魔法!」
「魔闘技:龍激衝!」
「極大風魔法:エアロゲイル!」
コメイに強化された二人の遠距離攻撃。まぁ問題は無い、か?
「極大雷魔法:雷乃泉!と、抜刀術:鬼泪の九頭!」
風を雷で、衝撃は刀で弾く。うん、問題無かった。レベルを上げたのが良かったのだと思うな
「くっ」
「ダメか」
「ダメだったし……コメイ、次は考えてあるし?」
あのさ、さっきから敵の前で作戦会議はどうなのよ。見逃してきたけど、そろそろ攻撃しちゃうぞ
「転移」
俺はカラミナの後ろに移動。首に手刀を当てて気絶させる
「なっ……」
無事完了!これもやってみたかったんだけど、実際できちゃうと違和感しかねぇ……
「カラミナ嬢!」「カラミナ殿!」
おっと、転移っと。危ない危ない
「これでこちらの勝ち目はほぼ無くなりましたか……」
「コメイ殿、それでは…?」
お、降参か?それでもいいぞ俺は。そろそろ疲れたし
「仕方ありません。奥の手で魔王様の元に向かいます。そこで指示を仰ぎましょう」
まさかの魔王に丸投げ?!しかし奥の手か
「転移!」
「なっ!」
まさか転移魔法を隠しているとは思わなかった!四天王全員がアストレイの元に集まってしまった。失敗だ
「おやおや、ディアン=フォーループ。抜かれてるではないか」
理事長がこちらに寄ってくる
「すいませんね。転移魔法をここで出してくるとは思わなくて」
「それくらい想定しておかねばテレーズとの戦闘などできんぞ?」
そんなもんは出来ればしたくないし全力で逃げる
「兄様」
マーリナもこちらに来た
「ん、魔力が少ないな。手を貸して」
「え?は、はい!」
手を握ると少し照れている。うん、いいね
俺は魔力をマーリナに流す。魔力は個人差があり、他人の魔力を取り込むと、最悪死に至るらしい
しかし、俺とマーリナは兄妹で魔力が似ている。それに俺も頑張ってマーリナの物にかなり近い魔力を作り出していた。全てはこの時、手を握るためにあったんだ!
嘘ですけど。血の繋がりのある人は割と出来る人がいるらしい。俺もマーリナくらいしか出来ないしな
「あ、ありがとうございます」
「いいよ。この後も頑張ってもらう事になりそうだから」
「せ、精一杯頑張ります!」
うんうん。元気そうで何より
「さて、そろそろいいか?兄妹仲良いことはいいが、ここは戦闘訓練する場。浮かれてばかりもおれんぞ?」
「あ、はい」
理事長、口調変わってて接しずらいんだけど
「まぁ良い。それで、ディアン=フォーループ。次はどうする?」
ふむ。魔王を倒せば勝ちだよな?
「俺にいい考えがある」
「「あ、ダメなやつだこれ」」
何でネタを知ってるんだよ!
「昔の勇者や魔王が広めたふらぐとやらにそんな言葉があったな」
「兄様、ふらぐは壊さねば負けてしまいます!」
「わ、わかったから!肩ゆするのやめて!」
焦ったマーリナがすぐに解放してくれて助かった
さて、真面目に考えますか。魔王を倒せば俺らの勝ち。こっちの全滅、は有り得ないか。理事長以外の戦闘不能で負け
カラミナも復帰した様子。振り出しに戻ったな
「ドッキリを仕掛けましょうか」
「「は?」」
◇◆◇◆◇◆
「さて、作戦はいいか?」
「「「「はっ、魔王様」」」」
おぉ、あっちも終わったようだな
「な、なぁディアン=フォーループ。本当にこの作戦でやるのか?」
「兄様、不潔です………」
おっと、ジト目は止めてくれマーリナ。俺に効く
「アストレイの性格を考えた上での作戦だ。俺が見たいわけじゃない!」
そう、ただちょーっと理事長にも仕返しが必要かなと思っただけだ
「さぁ、やろうか!」




