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ディアン知り合いに会ったり本音を聞いたり

「ん!これ美味しい!」


「坊主、美味そうに食うなぁ!」


ぐっすり寝ていたら、約束通りおっさんが起こしてくれたので、今は食事中です


今食べてるのは魚のムニエル、の失敗作らしい。充分美味しいのに


その他全ても失敗作らしいけど、普通に食べれる。いい環境じゃないかここ!


衣食住全て兼ね備えているし!


暇潰しが無いのが残念だけど、こっちにはスキル取得やスキルレベル上げが出来るから、もうここで生活すればいいんじゃね?


魔王軍の兵士数名をここにぶち込んでかんずめすれば強くなると思うよ


そんな事を考えていると、メッセージが脳内に響いた


『危機探知にヒット。魅了系スキルと確定。多重結界で効果を相殺し対象の治療。それに伴い術者を召喚いたします』


………手出し早くないですか魔族の皆さん。しかも魅了系スキルなんて。まぁいいや。マーリナに手を出したんだ、消すか


全く、正当な手順で付き合うなら認めてやらなくもないのに!俺より強かったらだけど


「おい、坊主。足元に魔法陣が」


「あー、マーリナに手を出されたのでちょっと行ってきます」


「あ、おい!」


おっさんが呼び止めるがこれは効果を発揮した後だ。もう止められない


景色が変わる


◇◆◇◆◇◆


「えっと、これどういう状況かなマーリナ」


転移したのは大部屋。俺はマーリナの方を向いているため広いってことしかわからない


「兄様、ここは玉座の間です。それに申し訳ございません。こんなに早く来てもらうことになってしまって………」


玉座の間。つまり魔王がいるってことか。俺の後ろに


そう思って振り返る。魔王の顔を見て俺は驚いた


淳也(あつや)!?


高藤(たかとう)淳也(あつや)。俺が樟葉囷巴だった頃の幼馴染で親友の男が、当時のままの姿で玉座に座っていた


マジかー、そのままの姿でとか出来たのかよ……しかも種族は魔族っぽいし


まぁいいや。それよりも


「マーリナ。魅了系スキルを使ったのはどいつだ?」


「………魔王様です」


淳也ぁ!何してくれてんねん!これは制裁しなければ……許さんぞ


驚きで呆然としていた周りも、事態が飲み込めてきたようで騒ぎ出した


「誰だあいつは」

「手枷をしている……罪人か?」

「マーリナ嬢が兄様と呼んでいたぞ」

「では、人質となったという」

「何故ここに」ーーー……


少し煩いが、まぁ関係ない。取り敢えず淳也にたっぷり仕返ししてやらないとな


「魔王。俺の妹に手を出したのは本当か?」


「無礼な!」


サマルニアが叫んで魔法を使ってくるが、見て避けるまでもない


魔法は俺に当たった


「なっ!」


だが無傷だ!魔力を纏っているからそんな軽い攻撃じゃあ傷すらつかない


「やめろ貴様ら。……マーリナの兄か。牢獄に囚われているのではなかったか?」


「妹に手を出されたら何をしてでも出てくるさ」


「ふん、まぁよい。それでここへ何しに?」


「手を出したやつに仕返しを、ね?」


俺は悪い笑みを浮かべる


「やれるものならやってみるがいい」


そういう態度取るんですか、そーですかそーですか!なら、やりますか、仕返し


「『M男御用達ギャップ萌え大全』」


「……は?」


「『Sな彼女とMな俺。行き着く先はただ一つ』『ロリっ子にもなじられれたいっ!』『はーれむ☆ぷろじぇくと S編』『その首輪を俺に……』『ペットな俺』『逆レが最高なんですよ』『寸止め、いいよね。……いい』『貴方を飼ってあ・げ・る』後はーー……」


「待てっ!おい止めろっ!」


慌てて玉座から降りてきて俺の口を塞ぎに来る淳也。へっ!テメエお宝のAVのタイトル覚えてる限り羅列してってやるよ!


俺は淳也を避けに避ける。捕まるまでやめてやらん


「あぁ、『ハーレム飼育生活』とか『飼育委員会』。お前にしては珍しく男優位の『性技執行』とかもあったな!」


「マジでやめてくれ!謝っから!ゴメン、ゴメンて!てかお前樟っちゃんだろ!」


ふっ、分かればいいんだ


「俺はこの世界ではディアン。ディアン=フォーループだ。淳也、いやアストレイ=マギ=クロールーノ」


「あ、あぁ。いや、それよりも話がしたい!この四十年ずっとかたっ苦しくてさ!馬鹿話できるお前がいて良かったぜ!」


「あぁ、俺もお前がいて良かったと思うよ。ただまぁこの空気何とかして」


魔王が10歳児に振り回されてたらそりゃこうなりますよね


「お前がやったんだろ樟っ、ディアン」


淳也ことアストレイは「解散!」と言って俺とマーリナを引きずって部屋に入った


◇◆◇◆◇◆


「いやーお前もこの世界に飛ばされたんだな」


淳也 __マーリナしか人が居ないのでこの呼び方だ__ はそう言った。まぁ俺も驚きだよ


「てか、淳也同じ電車乗ってたのな」


「おう、寝坊した」


俺が乗ってた電車にいつも淳也は居なかった。朝練だとかなんとかで早めの電車に乗るのだ


「あのー、兄様。魔王様とお知り合いで?それにアツヤとかクラハとかなんですか?」


あぁ、そうだよな。今まで殆ど離れたことないし、どこで知り合ったってなるか


「淳也。マーリナは信用できる。言ってもいいと思うか?」


「んー、まぁいいんじゃないか?大して重要なことでもないだろ」


「?」


淳也がいいならいいか


「マーリナよく聞け。俺達二人は別の世界から転生している。淳也はコイツ、今はアストレイで、魔王。そしてクラハは俺。意味は分かるよな、マーリナ。お前は頭がいい」


「……そんな……私の本当の兄と、入れ替わったんですか?」


「それは無い。五歳までは記憶を封印してもらっていたんだよ。精神年齢が急に成長しただけ」


「そう、ですか」


受け入れることは難しいかもしれない。マーリナとの今のような関係もこれで終わりかなぁ……残念だ


「なぁ、樟っちゃん。お前マーリナちゃん好みだろ」


マーリナに聞こえないように小声でそう聞いてくる


「当たり前だろ。魔人に白髪赤目の妹がいるって聞いたからこっちに来たんだよ俺は」


「なる程なぁ。樟っちゃん好きだもんな白髪赤目ロリ!」


うんうん頷く淳也。ウゼェ。だが事実なので何も言えん


マーリナを見る。なんか顔赤くなってるけど……どうしたんだろう。まさか


「に、兄様…じゃなかった、クラハさんが私の為にこの世界に……兄妹でなんてダメかなと思っていましたが、中が年上なら……好いてくれてるみたいですし……いいかなぁ?」


やっぱり聞かれてたみたい。私の為にって言ってた


続けてなんかブツブツ言ってる。兄妹でといいかなぁは聞こえたけどあとはさっぱりだ


「兄様、いえクラハさん」


マーリナが突然、俺の前の名前を呼ぶ


「私は、貴方の妹ですか?」


ディアンとしてならyes。当然だ。だが、囷巴としてと聞かれたら


「囷巴としてなら、マーリナ。君は妹ではない。ただの世界一魅力的な女の子だ」


「おー、いいこと言うね樟っちゃん!」


「黙れ『搾精牧場』」


「マジでやめろお前」


顔を真っ赤にしているマーリナ。俺の顔も赤いかも


………AVのこと言ってるからじゃないぞ?


「……アストレイさん、いえ淳也さん」


「なになに?」


「少し、耳を塞いでいてもらっていいですか?」


マーリナが俺にだけ伝えたいことがある、と言った


「………おーけー。少し外に出てるよ」


淳也は空気を読まなそうではあるが、実際はそんなことは無い。むしろ進んで空気作りを手伝う奴だ


淳也が部屋を出ていく。足音からするに結構遠くまで行ったようだ


「……伝えたいことって何かな?」


マーリナは騙されたとか悪感情を抱くかもしれない。もしかしたら今まで通りと言うかもしれない。そのどちらでも俺は受け入れよう


「クラハさん。私は貴方をお慕いしています。あ、家族の情とかそういったものでは無いと先に言っておきます」


………意思を伝えた上で逃げ道を潰したか。やるな!


とかそんな変なことを考えるくらい混乱している


「えっと、精神的な異常でもない?」


「はい」


「衝動的な物」


「でもありません。私はしっかり考えて、この結論に至りました」


マーリナは頭がいい。その彼女がこう言うんだ。ならそういう事だろう


今まで告白されたこともない俺には到底対処しきれない難問がいきなり来たな


ただ、やっぱり好きな女の子。例え妹として暮らしてきたとしても、だ。そんな子に好きだと言ってもらうのは、こんなに嬉しく、恥ずかしいものなんだ


「私は昔から兄様が好きでした。優しく、安心できる人。その安心が恋や忠誠にでもなったのでしょうね。………答えはいつでも構いません。私はずっと、お待ちします」


そう言ってくれたマーリナ。それに甘えることになってしまうが、許してくれ


「大きくなってから俺がもう一度聞いた時、同じ返答であれば気持ちに答えたいと思う。だから、それまでは今までのような仲のいい兄妹だ」


「……はいっ!」


ヘタレと笑ってくれても構わない。ただ、俺がマーリナを嫌いになることは無い。何があっても

だからマーリナの気持ちが変わらないことを祈る

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