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ディアン掃除した

「随分遅かった。何をしていたの?」


戻って早々にそんな小言が飛んできた。何なんでしょうかこの女は本当に


「………兄様と離れるんですから本当はもっと話す予定でした。一応気を使ったのですけど?」


「まだ話す予定だったの?ブラコンも大概にしたら?」


ブラコン……何がいけないんでしょうか。私が兄様をお慕いしてはいけない訳では無いでしょうに


「ま、いい。今すぐに魔王様にお会いしに行く!いい?」


私が返事をしないで悩んでいると、サマルニアは勝手にそう言って歩き出した


人に意見を求める態度ではないですね


そう思いながらも渋々従う。でも気分は最高潮。だって、だって!






兄様はいつも素晴らしいですけど、囚われ姿は別の意味で、もう、そそられるんですッ!!!!


見た目だけですけど、手枷して牢獄の中。私は外側で話を聞いているシチュエーション!至高の時間でしたぁ……思い出したら頬も緩んでしまいます!



その笑顔でマーリナに惚れるものが後を絶たないが、それはまた別の話



それに刻印まで、兄様自ら刻んで頂いて……私に兄様の物である証が!遂に!


嬉しすぎて少し、イってしまうところでした


背中に指が当たった途端、脳が麻痺してしまって、もうなんかたまりませんでした!!!


またこういう機会があればいいんですが………頑張ったら御褒美に頼んでみましょうか


そう決めてしまうとこれからの生活も悪くないんじゃないかと思えてきたから不思議だ


私はスキップするようにサマルニアに続いた


◇◆◇◆◇◆


「坊主……お前スゲェよ」


話しかけてきたのは向かいの牢獄の囚人


「そうですか?」


「あぁ。牢獄をそこまで綺麗に、しかも好き勝手やった上で平然としてるお前は大物だよ」


そうかな?俺はただ掃除しただけだ。魔法を使ったけど。陣で


ーbeforeー


・石レンガを積んだだけの壁。模様も何も無い


・クモの巣が張っていたり埃等が溜まっていたりした


・家具として簡素な石造りのベッド。薄い布が数枚あるので、敷くのと掛けるのかな


・部屋の隅のトイレは使いたくもないくらい汚い


ーafterー


・レンガを白に塗って、魔法で軽く削る事で模様をつけて装飾


・掃き掃除拭き掃除魔法で吸引等々様々な手を尽くして埃等を袋に詰める。指で確認しても何も無かったからいいと思う


・石造りなのはどうしようもないので壁と同じく塗装と装飾で誤魔化した


・処理は魔法を使って水を流して下の処理層に流しているっぽいのでおっけー。周りの汚れを消し飛ばした。消滅魔法最強です。ここは刻印を使うしかなかった。箒に刻んで掃くだけで消えていく汚れが気持ちよかった


この後刻んだ箒は消しました。魔法陣で焼却


割とまともになったのではないだろうか。これならマーリナがもし入ってくるようなことがあっても大丈夫だ


「おーい、兄貴さんよ。掃除は終わったか………って、なんじゃこりゃ!」


「あ、おっさん。それゴミね」


「おう。いやそれはいいんだがよ、やり過ぎじゃねぇか?ここ牢獄だぜ?」


「人は住む場所にこだわる生き物だと俺は思うぞおっさん」


「それでここまでやんならお前はスゲェよ」


「前の人にも言われたよ。さて、俺はひと眠りしますね。ご飯は何時頃です?」


「飯が来たら起こしてやんよ」


「ありがたい。ではおやすみなさい」


俺は綺麗になった部屋でぐっすり眠ることが出来た


手枷がスッゲェ邪魔だったけどな!


◇◆◇◆◇◆


「魔王様がお時間が空いたそうだ。行く」


「ようやくですか」


私は読んでいた本を閉じて部屋を出る。時間にして1時間ほど待たされた。これなら兄様ともう少しお話していればよかったです


前を歩くサマルニアは気分が良さそうだ。そんなに魔王に会えるのが嬉しいのでしょうか。私には分かりません。兄様の方がいいので


大きな扉をくぐり、玉座の間へと入る


アレが魔王


見た目は黒髪黒目。外見年齢は18くらいか


サマルニアに続いて跪く。本当は兄様以外にこういうことはしたくないんですが、魔族の纏め役ともなればそういうわけにもいかず、下手したら兄様に迷惑をかけてしまう可能性があるので我慢です私!


「顔を上げよ」


「はっ」


許可を得たので立ち上がる。何でしょう、魔王がこちらを見ています


「樟っちゃんが好きそうな娘だなぁ。ハーレム要因に確保しておこう((ボソッ」


「魔王様、何か?」


「いや何でもない。それより、その娘が?」


「はっ、この娘マーリナ=フォーループと申しまして、魔王様に匹敵する魔力量を持っております。また、魔法の行使についても私と遜色ないほどでございます」


「天才チート娘か……アリだな((ボソッ」


「何か?」


「いや。マーリナと言ったな」


無言でやり取りを眺めていてこのまま終わらないかとか魔王の視線が気持ち悪い等考えていたら話しかけられました


「はい」


「魔王軍に入るのに異議はないのか?」


「は?」


何言っているんだ魔王は。人質をとったのはお前達だろう?


…………まさか、サマルニアの独断ですか


「………魔王様。私に兄がいるのはご存知でしょうか」


「む?聞いておらんな」


「そうですか。では兄を人質としたのはサマルニア=スターリュオ様の独断ということでよろしいですか?」


隣で冷や汗をかいているのを見ながら私は告げ口をする。これくらいは許して欲しい


「ふむ……そうだな。我は学生で優秀な者を勧誘してこいと言ったまで。手段に関しては我の関するところではない」


「そうですか」


「だが、処罰などは与えるつもりは無い。手段を確認しなかったのは我のミスだからな」


まぁ、それはいいだろう。だが、兄様をあの環境に居させるのは私が許せない


「では、兄は解放されるのですよね?」


「ふむ……魔王。つまり我に忠誠を捧げるなら解放してやらなくもない」


……条件付き。お前達がやったことでしょう、と言いたいですが、ある程度であれば飲みましょうか


「それを証明する手段を私は持ちませんが?」


「いやなに。我は今、妻を探していてな。その候補の中に入ってもらいたい。正妻か妾か分からないが、平等に愛すると誓おう」


嫁探しですか。魔王なら声を掛ければ集まりそうなものですが。まぁ私の答えは決まっています


「お断りします。別の条件はないですか?」


「貴様っ!」


即答で答えてやると、サマルニアが睨みつけてきた。魔王が手で制したが


私がお慕いしているのは兄様のみ。例え嘘でも他の人のハーレムの一員になるなど有り得ない。兄様なら、まぁ魅力あるお方なので仕方ないかなとは思いますが!


「スキル『せいぎ』の行使。『魅了の魔眼』。マーリナとやら。我の目を見よ」


何ですかいきな、り………あれ?……何だか、頭がうまく働きません……魔王様が…凄く魅力的に見えます……


その時、背中が焼けるように熱くなった


『危機探知にヒット。魅了系スキルと確定。多重結界で効果を相殺し対象を治療。それに伴い術者を召喚いたします』


………はっ、魅了系スキルですか。油断しました…っ!


しかし、こんなに早くお手を煩わせることになるとは思いませんでした。私の不注意です


魔法陣が浮かび上がり、転移してくる人が一人


その姿は私と同じくらい小さく、しかし後ろの私からはとても大きな、私の兄様

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