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ディアンマーリナに刻む

〜その後の冒険者の子供たち〜


「くそっ、ディアン殿たちが!」


「ツーちゃん!今は皆と学園に戻って理事長に報告!」


ツールドさんとマリア、トゥーラが帰る




「何あれ。人攫い…?」


「冒険者じゃなかったのかな?」


「知らない!取り敢えず薬草取って帰ろう!」


「「そうだね」」






〜サマルニア視点〜


私は作戦がうまくいったことに笑みを止められなかった。勿論マーリナという強者を魔王軍に引き入れるための作戦だ


まぁ作戦と言っても、見通しの悪い森に誘い込み全力でハイドしていてあとを追い、好きをついて人質を取ることだ


幸いにもマーリナには兄がいて、極大魔法が使えるが、魔力が低く連発は厳しいだろうという評価を学園でされている


つまり四天王である私ほど強くはない筈だ。実際こうして不意をついて眠らせることが出来た


そして、マーリナも反抗などせずに連れてくることに成功した。この偉業を魔王様は褒めてくださるだろうか…!


今は眠っている兄は地面を引きずって連れている。だって重いし。こいつがどうなろうと知ったこっちゃない。まぁ人質として死なないようにはするけどね


「サマルニア先生。いえ、サマルニア=スターリュオ。まだつかないのですか?」


ちっ、人がいい気分なのに水を指しやがって。しかも呼び捨てだ?四天王である私を?様をつけろよ!


「もうすぐ着く。黙って歩け」


はぁ、まぁ私は今気分がいいから許してやろう。それにもうすぐ転移陣に着く。魔王様に褒めて貰えると思うと自然と足が早くなる


早く帰らねば!


◇◆◇◆◇◆


時は少し飛んで、ここは魔王城


おはようございます。寝かされていたディアンです。まさか解呪に十数分かかるとは思わなかった!


まぁスキル無かったし当然かもな。そのお陰?で解呪スキルLv.1と全耐性スキルLv.1がゲット出来た。全耐性は美味しい


さて、俺が今いる場所を教えよう




牢屋です


どっからどう見ても牢屋です




…………何で?俺悪い事したっけ?


起きた俺を見た看守さんが話しかけてくれた


「おはようさん、坊主。しかし運がねぇなぁ。妹さん魔王軍に引き入れるためのの人質になるなんて」


人質!?


「え、俺ここから出れないんですか!?」


「そうだなぁ。当分無理じゃねぇか?下手したら一生な」


マジか!?うわー異世界生活終わったぁ………


「せめて美味しいご飯ください」


「坊主、切り替えはぇよ」


食は人を豊かにするとかなんとか。美味しいご飯は癒し要素


「ま、食事は三食出るだろ。俺達も食べてるが、王族の残りもんとかだし味は保証するぜ」


あ、そうなのか。ここ城の牢屋なのね


「その前に妹に知られないように処分とかヤですよ?そうなったら全力で抵抗しますからねー?」


「抵抗、ねぇ。その手枷知ってるか?それはな、魔力を全く使えないようにする魔道具なんだと」


へぇー……でも、なんか使えそうなんだよねぇ感覚的に


「ま、大人しくしてりゃ殺されることはないだろ。それに、そのうち魔王様と会えるんだ。そん時に直訴してみろ」


魔王様に会えるのか。なんかちょっと楽しみ。もっと後になると思ってたから得した気分!


「牢獄の囚人とお喋りとは、職務放棄?」


「………これはこれはサマルニア=スターリュオ様。このようなところにどのような御用で?」


看守のおっさんと楽しくおしゃべりしていると、後ろから声をかけられていた。しかし、敬語ではあるけど敬意を感じねぇな!


「質問に答えてないけど、まぁいい。マーリナさんが兄と話をしたいと言ったから連れてきたのよ」


「そうですか。じゃあマーリナちゃんだったか?ここが兄貴の牢だ。どうぞ」


「えぇ、ありがとうございます」


「話が終わったら呼びなさい。こんな穢らしいところに私はいたくない。外にいます」


サマルニア先生はそう言って踵を返して牢獄を出ていく


あんなに性格悪かったっけ?


そういや元の世界にあんな女が好きなやついたなぁ


そう思ってサマルニア先生の後ろ姿を見つめていたら、マーリナが話を始めた。何か顔が赤いんだけど


「兄様、お身体は大丈夫ですか?」


「ん?あぁ何ともないよ。何か身体中擦り傷だらけだけど、砂もついてるし。それよりマーリナ。ここに来たってことは魔王軍に入るって話に乗ったんだよね?」


「不本意ながら、兄様が人質に取られてしまったので仕方なく」


「あはは、それはゴメンね。不注意で眠らされちゃって」


苦笑いになってしまうな


「そんな!兄様は悪くないです!全てサマルニア=スターリュオが悪いので!」


あー、あの襲撃はサマルニア先生。いや、もう先生なんて呼べないな。サマルニアのせいだったのか


「んー、まぁ俺にも非はあったし、しばらくはここでゆっくりしてるさ。その間はマーリナ、社会見学の一環として魔王軍で働くといいよ」


「兄様がそうおっしゃるならそうしましょう。寝床はココでいいですか?」


………何を言い出すんだろうこの子は


「魔王軍に入れば部屋くらい貰えるだろうに」


「兄様と離れるのが嫌なのです!」


そう言ってもらえるなら兄冥利に尽きるってもんですな!


でも、流石にこんなに不衛生で居住性が悪いところにマーリナを生活させるわけにはいかない!


……でも、俺もマーリナと離れるのはなんか不安だな……アレを使うか。できれば使えるのを知られたくなかったが、まぁどちらにせ魔法が使えそうだしいいか!


深く考えない男、ディアン=フォーループ


「マーリナ。こうしよう。『刻印』または『魔法陣』を知っているかい?」


「え、えぇ。勿論です兄様」


「この手枷は魔力を使えなくしているらしいけど、それらは魔力を使わない。つまりこの場でも使えるわけだ。………マーリナの白く綺麗な肌に『刻印』なんてつけるのは不本意だが、これしか思い浮かばない兄を許してくれ」


刻印はその名の通り肌に紋章が浮かび上がる。それは刻む魔法の効果によって形も大きさも変わる


「に、兄様自らこの身に刻んでいただけるので!?」


「う、うん。生活の中で目につかないような場所になるから、背中とかでいいかな?」


「はい!その『刻印』を兄様との繋がりとして魔王軍の仕事でも離れ離れなのも、多少は頑張れそうです!」


顔を寄せて少し息を乱しているマーリナに少しおされながら、看守のおっさんを見る


「ん?やるなら早くやれよ。サマルニア殿に怒られるぞ?」


看守のおっさんはサマルニアが嫌いらしいな。言葉から伝わってくる


「人目に妹の肌を晒すのは気が引けるので後ろ向いてて貰っていいです?」


「おう」


おっさんが見ていないことを確認して、マーリナを柵の前に呼ぶ


服を少し脱ぎ、背中を見せてもらう


刻むのは危機探知と転移と多重結界。スキルが無くても刻めるこの技術は最近では使われていないらしいな。便利なのに


「んっ……んぁ……っ!」


刻む為に背中に指を這わせるのだが、マーリナの吐息が色っぽすぎて理性がっ!


だがここは兄として耐えた!耐えきったぞ!


マーリナの背中には赤い紋章が浮かび上がっていた


「うん。これでよし」


「あ、ありがとぅございまひゅ、にいしゃま……んっ……はぁ」


服を直してから床にへたり込む。ヤバイ、本能を抑えろ理性


「終わったか?って、嬢ちゃん大丈夫か?」


おっさんは床に崩れ落ちてるマーリナを見て驚いていた


「だ、大丈夫です!」


慌てて立ち上がり、こちらを向く


「兄様。今日は時間があまりないらしく、ここら辺でお暇させていただきます」


「そっか。………マーリナ、無理はするな。危険だと思ったらすぐに逃げろ。人質やこんな牢なんて俺には現状意味は無い。意味は分かるな?」


「はい。危険だと感じたら兄様の元へ(じぶん)の命が最優先、ですね」


「うん、よろしい。じゃあまた。暇な時はいつでもおいで。その前までにはここ全体を綺麗にしておくから」


「はい!」


マーリナは満面の笑みで元気よく返事とお辞儀をして牢獄を後にした


◇◆◇◆◇◆


「いい妹さんじゃねぇの」


「自慢の妹です。あ、手を出しちゃダメですよ?将来美人さんになるから先にとかもダメです」


「しねぇよ。大体俺には嫁さんいるわ」


「あ、おっさん嫁さんいるんだ!」


「誰がおっさんじゃ!」


このおっさん楽しいな!


「あ、おっさん。さっきの刻印他言無用で」


「わーってるよ。刻印なんて俺は本当に知らねぇしな。ま、当分は大人しくしててくれや。少なくとも魔王様と謁見してから問題起こせ」


「問題起こしていいんかーい」


「ここじゃ脱走なんて日常みたいなもんだよ!」


警備ユルユルか!ダメじゃん!


「ま、すぐ戻ってくるけどな。黒騎士とかに捕まって」


あー、外が厳重なのね……あ、そうだ。マーリナと約束したし、綺麗にしないと


「おっさん、ここ掃除したいんだけど用具ないの?」


「俺の名前はガーベルだ。何が欲しい」


「雑巾と箒と。あと魔法使い」


「ざけんな」


持ってきてくれたのは雑巾と箒とゴミ袋だけでした。酷い!こんなんじゃピカピカにできないよ!洗剤とかマ〇イ棒とか持って来て!

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