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ディアン仲間を集める

「マーリナは………っと、アレだな」


男子生徒の群がりを見つけてそう言う。だってマーリナ可愛いもん。男子生徒はお近づきになりたいのさ。許さんけど


人ごみを掻き分けて進む


人多すぎんよ!


何とか顔が見れる位置に来た。もう少し近づくか




「マーリナさん。僕達と組まないか?」


「ごめんなさい、今回は遠慮させていただきます。私より別の人を誘ってみては?」


「では僕と!」


「ごめんなさい」


「僕と!」「俺と!」「私と!」ーーー……


うるせぇ!


やっばり勧誘だったか。断られたやつはどっか行けや!留まって機会伺いやがってこの。マーリナは記憶力いいから一回誘われたやつは顔割れてんぞ


ようやくマーリナの後ろに着く。はぁはぁと肩で息をする。なんで模擬戦より疲れないといけないんだ……


「マ、マーリナ」


息を整える前に声をかけておく


マーリナは振り向き驚いた


「兄様!そんなに息を切らせてどうされたので!?」


心配された


「いや、人ごみを掻き分けてきたら疲れたんだ。それより、グループは決まったかい?」


「いえ、まだです!」


「そうか。良かったら俺のPTに入らないか。今のところ俺とツールドさん、前衛だね。その友人の回復職の人がいるんだけど、後衛が俺だけだと厳しいかもしれないからね。騎士職が欲しいところだけど」


「むしろこちらからお願いしたいです!あれ、でもトゥーラさんはどうされるんですか?」


あ、トゥーラ忘れてた。回復職二人かぁ。まぁ何とかなるでしょ


「じゃあ声かけてみて、入れそうなら俺が前に行くよ」


「分かりました。ではよろしくお願いしますね」


「あぁ。マーリナの力を貸してくれて嬉しいよ」


集まっていた男どもも解散していく。マーリナがPTを決めたからここにいる意味はなくなったからな


それでも、残るヤツはいるわけで


「おい!俺が先に声をかけていたんだ!マーリナさんをこちらに渡せ!」


………いくら子供だからってそんな理屈通るはずがないのが分からないとは思わなかった


「マーリナが決めたことだ。俺が強制したわけじゃない」


「なにか弱みがあるんだろ!」


何を言っているんだこいつは……魔族は総じて精神的成長は早い。だが例外もいるようだ


「はぁ、マーリナ。対応任せてもいいか。俺はトゥーラを探してくる」


「了解しました兄様。後ほどそちらにお伺いしますね」


「あぁ、頼んだ」


俺はマーリナの頭を撫でてその場をあとにする。相手が何か言っているようだがもう関わりたくはないな


「大変だねディアン」


「トゥーラ。見てたのか」


少し離れて辺りを見回そうと思っていたら声をかけられた。ほとんど見ていたようで苦笑いだ


「まぁね。そういえば僕を誘ってくれるんだって?」


「あぁ。他にメンバーがいるなら考えるが」


「ううん、大丈夫。元々ディアン達と組もうと思ってたし」


「そうか。じゃああっちで集まるから来てくれ」


壁際を指さして歩き出す。トゥーラもそれに続いた


◇◆◇◆◇◆


「マーリナさん!何故あの男のチームに!?」


「ですから、私は元々兄様と同じPTに入るつもりでいたので」


「そんな!何故です!?」


兄様が疲れていらっしゃったので対応を変わりましたが、確かにコイツの相手は疲れます


何度もお断りしているはずですが………これで四回目ですね


「兄様から余り離れるのは嫌なので……申し訳ないですが今回は縁がなかったということです。いえ、今回も、でしょうか」


「あんな男ではマーリナさんは守れない!」


…………今、なんと言ったこの(ゴミ)


「は、はは、ははは!」


「マ、マーリナさん?」


面白過ぎて笑ってしまった。いきなり笑い出した私に(ゴミ)は困惑している


「貴方が、兄様より強いと、そう言ったのですか今」


私の体から魔力が溢れる


「兄様への侮辱は許しません。取り消して今すぐ目の前から消えなさい」


「ひ、ひぃ!!」


腰を抜かして動けなくなった(ゴミ)。情けない


この程度で兄様より強いなどとほざくなっ!!


耐えきれずについに逃げ出した(ゴミ)。全く、言葉を取り消さずに逃げるなど、許せない


私は氷魔法で(ゴミ)の靴の表面を床とくっつける


(ゴミ)はコケて動かなくなった


「………」


私は興味がなくなったので兄様の元へ向かうことにした。この程度で済ませた私偉い!兄様に褒めてもらいませんと!


周りからの目は気にせずに歩き出す


周りの目は畏怖と尊敬。魔族にとって最上級の評価だと言える


そんなマーリナをサマルニアは何かを決意した表情で見ていた


◇◆◇◆◇◆


「お待たせしました兄様と皆様」


「そんなに待ってないよ。………マーリナ、怒っていても可愛いけれどやりすぎは良くないよ?」


「か、かわっ!?……んっ、兄様。やりすぎてなどいません。ちょっとした仕返しだけです」


「そう?ならいいけど。さ、マーリナを紹介するから座って」


「はい」


皆を見ると、信じられないと言った顔をしていた。なんだ何だ。あ、トゥーラは普通だな


「どうした?」


「いや、いいのだが。ディアン殿は、なんと言うか凄いな?」


「そうです。兄様は凄いのです」


「多分意味は違うと思いますよぉ………」


ん、今の声は聞いたことない。まぁそれより、自己紹介しておこう


「ツールドさんは先程も言ったな。俺はディアン=フォーループ。こっちが妹のマーリナ。マーリナは知ってるかもしれないけど」


「よろしくお願いしますわ」


軽く頭を下げる


「こちらこそよろしく頼む。私はツールド=アネーシャ。Cクラスだ」


「あ!兄様が教わりたいと言っていた雲散霧消を使うと言われているあの」


「あっ、そういえばディアン殿は雲散霧消の事をどこで?あれはほとんど伝わっていないはずだが」


「父の書庫に『刀剣技集(とうけんぎしゅう)』って本があったから読んだんだ。その中にアネーシャ流抜刀術の事が書いてあった」


「なる程。余程古い書物だろうな。……っと、すまない。こっちが私の友人であるマリア=ウレイノセントだ」


「よろしくお願いしますぅ。Cクラス、僧侶コースですぅ」


そう言って頭を下げる


実力はどうなんだろ


「マリアは治癒魔法Lv.4だ。それに棒術Lv.4でそれなりに戦える」


「ほぅ、それは凄い」


実際10歳でLv.4は凄いと父さんに聞いた


「あ、僕はトゥーラ=マレーシュト。同じく僧侶コースだけど、まだ授業を受けてないからほとんど何も知らない。でもスキルはあるよ。と言っても治癒魔法Lv.2だけど。現状できるのは簡単な傷の治療だね」


「まぁ!お互い頑張りましょうねぇ!」


トゥーラの手をぶんぶん振り回しているマリア。うんうん。仲良くなるのはいいことだ


紹介が終わったあとは陣形というか、まぁ役割(ロール)の調整


「マリアさんとトゥーラには主に回復役になって欲しい。マリアさんはトゥーラの護衛も兼任してくれ」


「分かった」「了解しましたぁ」


「マーリナは後衛。後ろから魔法で援護よろしく」


「任せてください」


「ツールドさんは前衛。サポートは俺がつくよ」


「承知した」


「あ、サポートなんだけど。刀の事を知っといた方がサポートしやすいから、抜刀術とか刀術、教えて欲しいなぁ!」


「う、うむ。ま、任せてくれ!」


ツールドさんは若干引いていたが勢いで押し切った。これでスキル取れたら俺も刀使おう。マルチウェポンとか言うんだっけ。目指してみたいよね


そんなこんなしていたら声が掛かる


「はーい。チーム組み終わったみたいだし、そろそろ行くよー。場所は迷い森。危険度はそれほど高くない。それゆえに人間達も入ってくる。入り込んだ人間を狩るって事ね。勿論いないかもしれない。その時は魔獣殺してていいよ」


との事。人間、いないといいなぁ


「マーリナ、俺達は殺しはしない」


「?……兄様がそう言うなら殺さずに無力化にしておきましょうか」


「皆もお願いしていいかな」


「ふむ。話をして、善人であると判断した場合はいいと私は思うぞ」


ツールドさんはそう言ってくれる


「私もいいですよぉ」


マリアさんもオーケーと


「僕も殺すのはどうかと思っていたんだ。僧侶だしね」


トゥーラも。みんな人間にも優しいなぁ


俺は何かあれば殺しは躊躇わないでいいと言って、サマルニアさんが用意した転移陣に乗る


行先は迷い森。人間がいないといいと思いつつ、少し話をしてみたいとも思う俺だった

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