表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/106

本戦1回戦

前世でいうコロッセオ。それが闘技場を見た感想だった。前世とは違い魔術があるので、観客に被害が出ないように結界がかけられている。その程度の差異しか無かったからだ。

観客は昨日の試合を観ていたからか俺が闘技場に姿を現した時に一際大きな歓声を上げた。

今日はどんな戦いを見せてくれるんだ。そう期待を込めた思いが伝わってくる。


「1回戦の相手は誰だ?」


ポツリと呟いたルイスの声に呼ばれたかの様に1人の女性が姿を現した。



「あんたが1回戦の相手か」


「見た事が無い顔ね。あなた本当に予選を勝ち抜いたの?」


「そうじゃなきゃここにいないだろ。俺はFランク冒険者のレイミアだ」


「……Sランク冒険者のセリネールよ」


「へぇ……そのランクが形だけじゃないことを祈るよ」


「なっ!?」



始めランクを聞いた時セリネールはうんざりした。Fランク冒険者であるレイミアがSランク冒険者の自分に勝てる訳が無いと確信したからだ。運良く本戦に残る事が出来た駆け出し。当然そんな相手には戦う時には手加減しなければいけない。その事にうんざりしたのだ。

だが、レイミアが次に発言した時にはそれは怒りに変わった。

当然だろう。Fランク、底辺に位置するランクのレイミアがSランクである自分を形だけじゃないかと馬鹿にしたのだから。


「始め!!」


セリネールは馬鹿にした事を後悔させてやると自身が契約している神獣を呼び出す為の詠唱を始めた。


「炎を自在に操り、決して死ぬ事なく何度でも蘇る美しき鳥よ。契約の元にその強大な力を我に貸したまえ」



ルイスはその詠唱を妨害する事は無かった。試合を放棄した訳ではない。


(魔術を使う前に一撃で気絶させたらブーイングされそうだ)

という考えての静観だった。


そんなルイスの行動を見て訝しむセリネール。

(動かない?私を舐めてるのかしら。その事を後悔させてあげる)


「不死鳥フェニックス!!」


そうセリネールが叫んだ瞬間足下に魔法陣が浮かび上がりフェニックスが召喚された。


セリネールによって呼び出されたフェニックスは、神獣であり契約する事も容易ではない。そのフェニックスと契約出来ているという事がセリネールの実力を現していた。


(そこそこやるみたいだな)

未だに動かないルイスをよそにフェニックスは全身に炎を纏い叫び声をあげる。


「キュイイイイイイ」

フェニックスは叫び声と共に途轍もない威圧感を撒き散らす。結界が無ければその威圧感は軽減される事なく観客に降り注ぎ気絶してしまっただろう。

其れ程迄の威圧感をルイスは顔色ひとつ変えることなく受け止める。そして次の瞬間にはニヤっと笑う。


(召喚魔法か。見た事無かったけどこれなら出来そうだ。やってみるか)

ルイスは詠唱・・を開始した。




(なっ、なんだこいつは!?)


フェニックスを見て動揺する事が無かったという事にも驚いたセリネールだったが、それ以上に笑った瞬間から漏れ出した魔力の大きさに思わず顔を引きつらせる。


(危険だ!こいつに何もさせてはいけない!)


セリネールは詠唱・・を始めたルイスに脅威を抱き、即座にフェニックスに指示を出した。


「ちっ」


音速と言える程のスピードで突っ込んでくるフェニックスを詠唱を中断して辛うじて避ける。


ルイスの顔には青筋が浮かぶ。それは試そうとしていた召喚魔法を邪魔された事に対する理不尽な怒りによるものだった。


フェニックスの鋭い嘴、炎を纏った翼、鞭の様に変幻自在に攻撃してくる3本の尾、時折口から吐き出される火炎のブレス。フェニックスの攻撃を避けて出来た微かな膠着を狙い攻撃魔法を使ってくるセリネール。


難なくそのコンビネーションを避けるが、召喚魔法を試してみたかったルイスにとってはこの猛攻は非常に鬱陶しいもので、青筋が増えていく。


「キュ、キュイイィィイイ」


「何で当たらないのよ!?」


隙を突いているはずの猛攻が擦りもしないという事実に微かに戸惑ってしまう1人と1匹。それは1秒にも満たない僅かな時間。だが、その一瞬はルイスとの立場を逆転させる事になる。




「鬱陶しい!!」


「キュイィィイ」


そう言い放たれた拳は、灼熱の炎を纏ったフェニックスの顔面を捉え、吹き飛ばす。

その光景にセリネール、観客、ジン達でさえも目を疑った。

灼熱の炎を纏ったフェニックスを素手で殴るという自殺行為をした事。それによっておった怪我は軽い火傷程度で済んでいるという事実を見せられてはそうなるのは必然なのだろう。


ルイスはそんな事を気にせずに詠唱を始める。


「風を司る気高き龍よ。この指輪を媒介としてその姿を現し、圧倒的な力を盟友である我の元で大いに振るいたまえ!」


「いでよ天龍!!」


少しアレンジして言ってみた召喚魔法の詠唱。冗談だった。成功するとは露ほども思っていなかった。そんな召喚魔法。


「呼んだか?我が盟友よ」



……まさか本当に成功するとは思わなかったよ。



遅くなって申し訳ありません。


出来る限り早く書きたいと思っているのですが、学業との両立に少しキツイものを感じています。


念のために言っておきますが、レイミアはルイスの偽名です。


コメントよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ