初めての魔術
俺がこの世界に来て二年がすぎ、俺は二歳になった。この二年で俺はこの世界における全ての言語をマスターした。
人類語 魔人語 天人語 海人語 龍人語etc.
まあそんなことは置いておこう。今日は俺の誕生日だ。
「誕生日おめでとうルイ」
「ルイが好きな米を買ってきたぞ」
「ありがとうございます。父様 母様」
この世界の食べ物は日本にいた頃に比べたら美味しくはない。だが、母様は料理が上手いのか、母様のご飯はそこそこ美味しかった。
それより米だ。この世界では、主に肉が主食となっており、穀物はある一部の地域でしか栽培されていないのだ。
なので、米は二年ぶりに食べる。
ああ……やっと米が食べられる
「ルイ、プレゼントもあるぞ」
そう言ってレイは木刀を取り出した。俺の身長にあったサイズだ。
「ありがとうございます。父様」
「ちょっとレイ、ルイが立つことが出来るようになったからって早すぎじゃない?」
そうだぞ。俺じゃなかったら怪我をするところだ……
「まあいいじゃないか。その木刀は俺が削ったものだ。毎日触って感触をたしかめるのだぞ」
「はい、父様」
その後も俺が小さい時は……とか、剣とは……と語り出していたが聞き流していた。
「レイ、せのへんにしておきなさい」
ミリアがそう言うと、レイはしょんぼりして話をやめた。ミリアグッジョブ
「ルイ、私からはコレよ」
そう言ってミリアが渡してきたのは魔術書だった。しかも全て手書きだ!
「攻撃魔法 補助魔法 治癒魔法の初級から上級まで書いておいたわ。一年後に向けてこの本をマスターするようにしなさい」
「はい‼︎ありがとうございます母様」
俺は嬉しくて本を抱きしめた。
その反応の違いにレイがすねていたのは見なかったことにしよう。
その後、美味しい料理と二年ぶりの米を堪能して、誕生日を終えた。
次の日、俺はさっそくミリアから貰った本の練習をすることにした。
俺は庭に出て本を開いた。
「えーっと、ここに書いてあることを詠唱すればいいのか?」
攻撃魔法の初級攻撃術である水弾を詠唱する。
「我、聖なる水精の力を借りる者。水の精霊よ我を媒体とし、その大いなる力を発揮したまえ 水弾」
俺はウォーターバレットを打つ前にどんな風に飛んでいき、どの場所に飛び、その結果どのようになるかをイメージしてから詠唱した。
その方がいいかもしれないと思ったからだ。だが、この結果は予想外だった。
自分のイメージよりも速く飛んでいき、俺が想定した場所に俺がイメージした以上の威力の魔術が発動されたのだ。
この前、本で読んだのだが、魔術は人によって威力が違うらしい。
生まれ持った魔力+潜在能力+αで決まるという。生まれ持った魔力の総量は一生かかっても増やすことは出来ないが、ある種のきっかけにより、潜在能力が開放され、魔力が倍増することはある。
+αについては未だ解明されていないが、おきる現象についてはわかっているらしい。
その+αを持っている人は、ほんの一握りしかいない。
その者は生まれてからも努力次第で生まれ持った魔力総量を増やすことが出来ると。
また、その者は初めて魔術を使った時に自分が他人とは何かが違うと直感でわかるという。「賢帝」もそうだったようだ。
そして、その違和感は俺も感じていた。心の奥底にある何かが目覚めるのを感じた。
俺はその何かに体を委ねるように、次は無詠唱で先ほどと同じようにやってみる。
頭の中で、どのように水が発生するか、どれくらいのスピードでどのように発射するかをプログラミングするように組み立てていく。
そして、手で拳銃の形を作り発射した。
ーーシュイン………と空気を切り裂く鋭い音が辺り一面に鳴り響く。
そして、発射された先にある大きな木のど真ん中には直径一cmの小さい……だが、先ほどのウォーターバレットの威力を示すには充分な風穴が空いていた。
俺はとりあえず先ほどあいた風穴を魔術書に書いてあった初級 治癒魔法で修復する。
そして、俺はこれからどのように魔術をコントロールするかを考え、その計画をまとめた。
まず、初級攻撃魔法の威力をコントロールする。コントロールが出来次第工夫などをしてみて、それが制御出来るようになったら中級に進む。工夫とは、威力を調整したり、動きに繊細さを持たせたりすることだ。
まあこのような感じだろう
これから毎日大変だろうが頑張ることにしよう。