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再び人界へ

5日後、俺は深界から慌てて出発して、人界に戻ってきた。

行き先はグランドスラムだ。というかまだそこにしか行けない。

旅の扉は一部の大都市には設置しているが、そこに行ったことがないと転移する事が出来ない。グランドスラムからラールへと転移する事が出来たのは、人神が転移出来るようにしてくれたからだという。

まあ、普通の人は神に会うことすら許されないから各世界の境界線を目指して旅をするらしい。その事に関してはまた機会があったら調べておきたいと思う。


思考が傍にそれてしまった。ええっと……何を考えていたんだっけ。

ああ、そうだ。深界から慌てて出発した理由だ。


もうアトランティスには行きたくないな……

俺は目が覚めてからの5日間を思い出し、そう呟いた。


1日目

王様から許可を貰った俺は書庫に籠って調べ物をしていたのだが、色々な汁で顔をべちゃべちゃにした迷惑女が俺に飛びつこうとしてきた。俺が1月眠っている間も欠かさず修行していたらしくて以前と比べて動きにキレがあった。魔神のスピードを見た俺は、一瞬驚いたものの難なく躱すことが出来ていたのだが、躱すのも面倒くさくなったので気絶させて放置した。おかげで全く調べ物が出来なかった。


2日目

朝早くから調べ物をしていたおかげでその作業も終わりに近づいていたのだが、最後の最後で兵士達に邪魔された。特訓してくれと鼻息荒く迫ってきたので訓練場で扱きまくってやった。途中で迷惑女も乱入してきたので、全て迷惑女に押し付けて俺は休む事にした。正直面倒くさい。あんな約束しなければ良かった。


3日目

今日は冒険者ギルドに新しい冒険者カードを貰いに行ったのだが、大変だった。

王宮を脱出しようと思ったら、兵士達や迷惑女が全力で阻止してくる。全員気絶させた後城下町に出ると「聖人様」と道行く人から崇められ、貢ぎ物などが渡された。嬉しいが荷物になるので全て断ったのだが、謙遜と受け取られたらしく、一層崇められた。

民衆の中から何とか抜け出し、冒険者ギルドについてホッと息をついたのも束の間、俺の顔を見た冒険者達が俺の元に群がってきやがった。「魔神殺し」「氷の悪魔」「二刀の黒き疾風」などとても痛々しい二つ名まで口にしやがる。俺は傍らに佇むグラスを睨んだが、あいつは俺の態度を見て苦笑いをして肩を竦めた。婆さんに後で聞いたのだが、俺は今回の件でSランクにまで上げられていたという。本当に迷惑極まりない。


4日目

装備のメンテナンスをしていたら迷惑女や兵士達が押しかけてきた。俺は窓から逃げ出したのだが、窓の下には待ち構えている兵士や民衆の群れが……。俺は咄嗟に天步で空中を移動する事を考えたのだが、屋根の上にも縄などを持って待ち構えている兵士達の姿が見えた。目をギラギラさせている兵士達などを見て若干引きながら俺は仕方がなく街の中に降り立ったのだが、次から次へと出現する兵士や追っかけの民衆達。どうやら屋根の上から兵士が指示を出し、その指示だけに捉われず臨機応変に対応しているらしい。兵士は勿論、民衆でさえ。

兵士達を気絶させてもゾンビのようにすぐに復活する。民衆を気絶させる訳にもいかない。俺の逃走劇は日が沈む迄行われることとなった。


5日目

今日は昨日までとは違いとても静かだ。それが一層不気味さを引き立てる。俺は警戒しながら城下町を通り抜け、王宮に向かった。

王宮は何やら慌ただしい雰囲気が漂い、メイドなども慌ただしく動いている。俺は見つからないように、天步を使って王の間を覗いて見ると、そこでは儀式の準備が進められており、ポチが渋い顔をしながらその進行状態を見守っていた。

俺はその姿を見て全てを悟り逃げてきた。人目など気にせず、誰にも別れの言葉も告げずただひたすら旅の扉を目指して。


そうして俺は人界に来たのだ。


「あーー、思い出すだけで嫌になる」


俺は頭をガシガシと掻きながら頭を切り替える。そして、これからどうするか改めて考え始めた。そして、俺は今後行動する上でルールを作った。


一つ、ルイスとして登録した冒険者カードは緊急時以外は使わず、レイミアとして登録した冒険者カードを使う事とする。


一つ、天步 瞬動 水步は基本使わない事として出来るだけ徒歩で進むようにする。目立つのは出来るだけ避けた方がいいからだ。

それと同じ理由で大魔法や二刀の黒刀も出来るだけ使わず他の武器や威力の低い初級魔法を使うようにする。


一つ、お金があると出来るだけ悟られないように節約を心がける。余計なトラブルの元になるお金の管理はしっかりとしなければいけないからだ。


一つ、言葉遣いを以前のように丁寧にする。と言ってもこれはさほど重要では無いのでまあ、時と場合によって使い分けるだけでいいだろう。


そして最も重要な最後のルール。

心から信頼出来る者以外は仲間と認めないだ。この場合の信頼出来る者というのは、裏切らないという意味は勿論のこと、実力でも過不足のない者でなければいけない。最低でも俺の全力の威圧に耐え、6割のスピードについてこれるやつじゃ無いと駄目だとしよう。


ルールを決め終わった俺は、改めて次の行き先を考える。

数十分考えた上、俺が出した答えは……


「よし、西に向かおう!」


棒によって決められたのだった。




約2週間更新出来なくてすいませんでした。


まだ訂正はしていませんが、昔書いた話を読み直し文章が拙い点や矛盾点などを探していました。

後、それに加えてヒロインの扱いをどうするかや、今後のストーリーの構成について練っていました。


あと深海編なのですが、あの5日間を書いていると20話ぐらいいきそうなので少し省略させていただきました。またリクエストがあれば番外編として書きたいと思います。


毎日更新とはいかないかもしれませんが、精一杯書いていくので、今後ともこの作品をよろしくお願いします。


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