圧倒的な結末
死
俺がこの世界で死を感じたのは3度目だった。
1度目は破壊神と向き合った時。
今思えば、この時は破壊神は俺を殺す気なんて無かったのだろう。理由はわからないが、殺気を放っていなかったのがその証拠だ。
2度目は天ちゃんと初めて遭遇した時だ。
天ちゃんは俺に多少ながらも明確な殺気を放っていたので死を感じた。
だが、本気では無かったし恐らくあの殺気は俺を追い払う為に放っただけだろう。
だが、今回は違う。
3度目、目の前にいる魔神は完全に俺を殺す気だった。少なからず俺はそう感じた。
破壊神と出会ってから約4年が経ち俺は9歳になった。その間死に物狂いで修行した事によって俺はあの頃とは比べ物にならない程の力をつけた。
それでも足りない。
圧倒的な力の差がそこにはあった。
俺は頭に浮かんだ首を跳ね飛ばされる幻覚を振り払い、全力で後ろに下がる。
その様子を見て男は再び笑い、口を開いた。
「よく俺の殺気に耐えたな。 お前の様な齢でそこまでの実力をつけるのには相当な修練が必要だ。 流石レイナルドとミリアナの子供だな。 そんなお前に敬意を払って全力で相手をする事にしよう……といってもこの身体では3割までしか耐えられないがな」
「3割でこの強さかよ…本当に神って規格外の化け物だな」
「それを言うなら、その年で俺の3割と渡り合えるほどの力を持つお前こそ化け物だぞ」
「そうか……なあ、返すつもりは無いか?」
「無いな」
「それじゃあしょうがない。 化け物同士の殺し合いといくか」
俺はそう言って身体強化を施す。
以前とは違ってそれ程魔力は消費しない。せいぜい4分の1程度だ。
その状態で瞬動を使って懐に入ろうとするのだが、その瞬間にはもう既に魔神が俺の懐に入り込んでいた。
「遅い」
全力でバックステップをするが、魔神はそのスピードに勝る勢いで俺に迫り、がら空きの腹に拳を叩き込んだ。
「うぐぅ」
「この程度か」
身体をくの字に折り曲げ吹き飛ばされる俺を見て魔神はつまらなさそうに呟く。
そう言う魔神の眼は期待はずれとでも言うような眼だった。
「勝手に決めんじゃねぇ!」
治癒魔法で腹を回復させ立ち上がるが、1撃だと言うのに蓄積されたダメージが大きすぎた為正直立っているのが精一杯だった。
だが、ここで立たなければ殺されてしまう。
俺は魔力を追加して身体強化を施し、軋む身体を無理矢理起こした。
「立ったのはいいが、がら空きだぞ?」
「……っ」
俺は反射的に結界を腹の前に10枚程重ねて発動させる。だが、無詠唱で発動されたそれは気休め程度にも成らず呆気なく破壊され俺の腹に再びボディブローが叩き込まれた。
「かはっ」
「つまらん」
膝をついた俺をゴミを見るかのような眼で見下し、トドメを刺すかのように俺の身体を蹴り飛ばす。
治癒魔法を使うが、ダメージの蓄積はもう既に限界を超えており、立ち上がる事すら困難だった。
それでも立ち上がろうとする俺の耳に魔神の近付いてくる足音が聞こえてくる。
それは死刑宣告をしにきた死神の足音のようだった。
音が近付くたびに死が近付く。
足音が止む。
辺りに静寂が訪れる。
ぼやける視界には魔神の足が見える。
振り上げられた足がスローモーションのように俺の顔面に迫る。
ああ、俺は死ぬんだな。
俺がそう悟った時、頭の中で再生されたのは走馬灯の様な現象では無かった。
力が欲しいか?
そんな低い声が頭の中に響き渡った。
勢いで書いちゃ駄目ですね。
この後どうしようか頭を悩ませています。
うーーーーーん
どうか神様、僕に閃きを!!