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やりすぎた天才赤ちゃん

この世界に来てから半年がすぎた。

首がすわり、手足のトレーニングをしていたおかげかハイハイも出来るようになってきた。やはり前世の記憶があると成長の仕方も違うのだろうか?興味深いことだが、俺以外にこの世界に転生者がいるかどうかわからないので検証のしようがない。この件は諦めることにしよう。


ハイハイが出来るようになってからこの家の至る所に移動した。階段はしんどかったが……そして俺は今日、ついに書斎を発見したのだ‼︎これは喜ばしいことだ。

ただ、本がありすぎてどの本を読めばいいのかわからない。おそらく1000冊はあるだろう。この部屋だけ見れば図書館だと勘違いしたかもしれない。

家の物を見る限り、電気は使われていなかった。なので、この世界には、コピー機を使って活字印刷するという技術は無いはずだ。もちろん電気を使わない活字印刷の方法もあるのだが、数冊の本の中身が手書きということから、その可能性も無いと推測できる。それ故に一冊が高価なはずなのだが……やはり裕福なんだろうな。

そして二人組の男女が俺の両親だということも確定した。メイド達の扱いからしてそう思ったのだ。

まあそれは置いておいて、とりあえず一番下にある本を読んで見ることにする。

メイドか両親が俺を見つけるのはだいたい30分ぐらいなので、この本を読み切るのは少々難しい。俺は隠れることにした。


書斎の机の下に隠れて本を読み始めたが、思ったより解読は進まなかった。

読み方が全くわからないのだ。

英語 日本語 ドイツ語 フランス語 etc.

様々な言語の文法に当てはめ、記述を読む。そんなことをしながら解読しているのだが、全く法則性が掴めないのだ。

俺はやけになって古代の言語を当てはめてみた。すると、その中の一つが当てはまったのだ。

この言語は、ヒエログリフの文法に当てはめ、記述を倒置法で読むと面白いようにスラスラと読むことが出来た。

そして読み始めて1時間半で俺はこの言語を解読することが出来のだった。


本の内容は冒険ものだった。

「剣神」と「賢帝」が魔神と三日三晩戦い、死闘の末に五大神である魔神と引き分けたという話だった。

フィクションかどうかはわからなかったが中々面白い話だった。そしてこの世界についても大体わかった。

この世界には剣士が多く、その多くは三大流派を使っている。


天神流

圧倒的なスピードと繊細さをコントロールして相手を一撃で戦闘不能にまで追い詰めることのできる流派で、相手と剣が交差した場合には、達人であれば、その繊細さで相手の剣を破壊することも可能らしい。


龍神流

圧倒的なパワーでありながら手数の多い攻撃により相手を圧倒する技らしい。

この流派でも達人になれば斬撃を飛ばすことを可能にするというややチート的な技があるという。


人神流

相手の技に対応するためのカウンターに特化しており、相手の技を予測、対応し確実に仕留めていく流派だという。

これだけだと天神流 龍神流に劣るように聞こえるかもしれないが、やはり達人になると相手が動く前に気の流れというものを感じとり、相手が動く前に仕留めるという完全チートの技を使えるようになるという。


達人になればどの流派が勝つかわからなくなる。しかし、基本的には


天神流は人神流に強い

龍神流は天神流に強い

人神流は龍神流に強い

という三すくみになっている。


この三大流派を極めた最強の剣士こそ「剣神」と呼ばれているのだ。


また、魔術にも色々な種類がある。

詠唱魔法と魔法陣だ。

しかし、魔法陣は使うのに時間がかかり戦闘には向いておらず、日常生活……それも魔力が少ない人がよく使っている。


魔術は主に五種類ある


攻撃魔法

火 水 木 土 金を基本として、上位の魔術師となれば光や闇の魔法も扱えるようになる。


補助魔法

これは主に身体強化の魔法だ。

速さやパワーなどを魔法により強化することが出来る。


治癒魔法

解毒や傷を治すことができる。

滅神レベルとなれば部位を再生させることも出来るが、死者だけは生き返らせることが出来ない。


召喚魔法

自ら使役するための召喚獣と契約して味方として一緒に戦うことが出来る。

この魔法は工夫をすれば色々なことが出来るらしい。


特殊魔法

これは余り詳細が書いていなかったが、重力を操る魔法などがこの魔法に含まれるらしい。


「賢帝」はこの魔術を全て極めているらしい

。まあ、全てを極めるのは無理だろうが、殆ど極めているので名前負けはしていないだろう。というか魔術を全て極めるとか物理的に不可能に近いので殆ど極めている時点でバケモノだといえる。


剣にも魔術にもランクはある

初級 中級 上級 帝王級 滅龍級 滅神級

の六つだ。

「剣神」と「賢帝」の二人は滅神級に属しているらしい。


まあ、この二人が一緒に戦ったのだから、魔神と引き分けたというのはあながち間違いではないかもしれない。


そんなことを考えていると母様に見つかった。怒られるかもしれないが、これは先ほど覚えた言語を使うチャンスだ。

「もうっ。ルイス ダメでしょ歩き回るなんて……」

「ごめんなさい母様」

「ーーーーーー」

俺が母様の言葉を遮り、先ほど覚えた言語を話した瞬間、母様がとても驚いた顔をしていた。よく考えてみれば母様が話している言語と違った。

非常にまずい……


しばしの間沈黙が流れた後、母様が口を開いた。

「ルイス あなた…その言葉をどこで覚えたの?」

嘘をついて墓穴を掘るのは好ましくないので素直に答えることにする。

「剣神と賢帝が魔神と戦う本を読んで覚えました」

「それは魔人語と言ってこの世界で一番難しいとされている言語……」

母様が魔人語でブツブツと言っている。そうか、魔人語は世界で一番難しい言語なのか…

「レイ、ちょっと来て」

母様は興奮しながら父様を呼んだ

しばらくして父様がやって来る。

「どうしんだ?」

「ルイスが魔人語を解読して話したの」

「そんなバカな……」

「やっぱりルイスは天才だったんだわ。二ヶ月でハイハイしてる時から気付いていたもの」

「ルイス、どの本を読んだんだ?感想は?」

両親二人して魔人語で話しかけてくる。少々驚いたが、質問にはしっかりと答えることにする。

「先ほども言った通り、剣神と賢帝が魔神と戦う本を読みました。剣神と賢帝は二人だったのに魔神と引き分けるなんて凄いと思いました」

それを聞いた父様と母様は少し嬉しそうに頬を赤く染めた。

これはもしや…と疑問が浮かび鎌をかけてみる。

「なにより凄いのは二人のコミュニケーションですね。殆ど言葉を交わさなくても意思疎通出来るなんて考えられません」

それを聞いた瞬間、二人は顔を見合わせ先ほどより嬉しそうに笑った。

疑問が確信に変わる瞬間だった。

「やはり、母様は賢帝 父様は剣神ですね」

俺がそう言った瞬間、二人の笑顔は固まった。

「そそそそんなわけないじゃないか」

「ねぇそんなことあるわけないじゃない」

目に見えるほど動揺している。どうやら嘘はつけない体質らしい。分かりやすくていい。

「お願いします。僕に魔術と剣術を教えてください。」

俺が頭を下げた瞬間、二人共慌てたが、三年後に教えると言ってくれた。

………よく考えたら生後半年の子どもがすることじゃないね

まあとりあえず三年後が楽しみだ。


そうしてグラジオス家の騒がしい一日が幕を閉じたのだった。



ミリアは考えていた。もちろんルイスのことについてだ。

ルイスは生後半年で魔人語を解読し、話せるようになった。これは凄いことだ。

魔神はとても複雑で、読み方を教えて貰いながら勉強したとしても、修得に最低は一年かかる。私でも半年もかかったのだ。

それを何もなしで、解読という形で修得したということは、間違いなく天才ということだろう。それに、ちゃんと敬語でも話していた。もうルイスに関しては、余計な事を教えずにルイス本人に任せることにしよう。

生後半年の赤ん坊に判断を委ねるということは、正気の沙汰では出来ないだろう。

そんなことを考え、自虐的に苦笑いをこぼすのであった。



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