仲間
取り敢えずこの迷惑女が目覚めない事には話が進まない。俺は身体強化で無理矢理迷惑女の手を引き剥がして地面に投げ捨てた。
「あぅ」
「起きろ迷惑女」
女はまだ起きずに石床の上で眠りにつこうとしている。
俺の行動が予想外だったのか、グラスや婆さんを含め周りにいる冒険者達も驚き声も出せない様だ。
俺はそんな態度を無視して眠ろうとしてきる迷惑女に往復ビンタをする。
「ほら、起きろ。早く起きないと顔がぱんぱんに腫れるぞ」
流石に目が覚めたのかうーうーと唸りだしたので往復ビンタを止めて解放してやる。
「いきなり何するんですか!!」
「それはこっちのセリフだ!いきなり抱きついてきやがって、俺じゃなかったら絶対に死んでたぞ」
「えっ?えっ⁉︎あ、あのすみませんでした!」
自分が何をしたのかようやく思い出したのかそのまま頭を石床にぶつける勢いで下げる。
だが、俺が許すはずがないだろう。ただでさえ人と関わることを避けていたのに、こいつの所為で関わる人が増えたような気がする。
そうだ、こうなったのも全てこいつが悪い。俺がグラスや婆さんと知り合いになったのもこいつが悪い……という事にしておこう。
「人を殺しかけて謝罪だけで済むと思っているのか?」
「うっ」
「話を聞いたが迷惑を掛けたのは今回だけじゃ無いらしいな。魔物を引き連れて他の冒険者達に擦りつけたり」
「そっ、それは……」
「しかも擦りつけただけじゃ無く、そのまま逃げ出したり今回の様に抱きついたりして邪魔してたんだろ?」
「うっ、うううっ」
「毎回毎回迷惑ばかりかけてお前は何もしないのか?迷惑女」
「うわああああん。そこまで言わなくてもいいじゃないですか!」
みんなが非難の目で見てくる。
何だよ、俺が悪いのか?本当の事を言っただけじゃ無いか。
「シーアだって頑張ってるんですよ!何で見知らぬあなたにそこまで言われなきゃいけないんですか!」
「海獣3体擦りつけた事、忘れたとは言わせないぞ」
「うううっ、この悪魔」
「なんとでも言え」
迷惑女が涙目で俺に睨みつけてくるが全く怖く無い。
だが、睨まれたら睨み返すしかないだろう。
そう思って睨んだら、ひぅという声で短い悲鳴をあげて再び泣き出した。
「ルイスよ、シーアを育ててやってくれんか?」
「嫌だ!!」
「今入って来た情報なのだが、海獣3匹が氷漬けになっているそうさね」
「そうか」
「海までも氷漬けになっているらしいけど、心当たりはあるかい?」
「無いね」
「暫くはこの街に来れなくなる人がいっぱいでるかもしれんがどうするつもりかい?」
「ったくわかったよ。婆さんの勝ちだ。こいつがそこらへんの魔物を1人で殺せるぐらいに育ててればいいんだろ」
「良く分かってるじゃないか。報酬ははずんでやるから頑張りな」
「へいへい。じゃあ迷惑女不本意だが暫くよろしくな。ビシバシ鍛えてやるから覚悟しておけよ」
「いやぁぁぁぁぁぁぁ」
叫び、泣く迷惑女を見て本当に面倒くさい事になったとため息をつくのだった。
新しいヒロイン登場か⁉︎
正直言ってシーア(迷惑女)の扱いはまだ決めて無くて、この後の展開をどうしようか考え中です。
さて、本当にどうしよう……
今回も読んでくださりありがとうございます。
リクエスト、コメントお待ちしております。
これからもよろしくお願いします。




