深界
深界はとても美しかった。
何かの魔法なのか街の中は水には浸されていないが、街の外は水で満たされている。
ただ、地球で言う深海とは違い海の中だと言うのに明るい。
その幻想的な光景にいつもなら見惚れてしまうのだが、今の俺はとてもそんな気分にはなれなかった。
「………ラミア」
ラミアを連れてこれば良かった。
何としてでも俺が守りきればいいだけだったのだからあんなに突き放す必要は無かった。
兄弟では無いと言わなければ良かったと色々と後悔してしまう。
もう過ぎたことなのだから気にしてもしょうがないという事は分かっているのだが、どうしても気分の切り替えが出来ない。
そんな俺に旅の扉の守護をしていた兵士が話しかけてきた。
「すみませんが何か身分を証明出来る物を見せて貰えますか?」
「これで良いですか?」
俺は冒険者カードを見せると、そのランクを見て俺と冒険者カードを何度も見比べる。
そんなに珍しいのだろうか?
「何かありましたか?」
「い、いえ何でもないです。お通り下さい」
そう言って道を開けてくれる。
このまま王様の所に行ってもいいのだが、今日はそんな気分にはなれず、宿屋に泊まってまた後日訪れる事にした。
「いらっしゃいませ。本日は宿泊ですか?それとも日帰りのお食事コースですか?」
「取り敢えず1泊で頼む。それとここはスンナの宿でいいか?」
「はい。ここではお風呂に入る事が出来ますが、10分で銅貨1枚何ですがいかがですか?」
(おおっ、風呂があるのか!そういえば暫く風呂に入っていないな)
「じゃあ1時間貸し切りで頼む」
「えっ!あの〜貸し切りだと銅貨が5枚上乗せされるのですが……」
「別にいいよ」
「わ、分かりました。ではお部屋に案内します」
「ああ、頼む」
そうして案内された部屋は決して豪華とは言えないが、ちゃんと清潔に保たれた部屋だった。流石街の人達がオススメする宿屋だな。
若い子が受付をしているので少し心配だったが、しっかりと対応してくれているし杞憂だったみたいだ。
「お食事は下に降りて申しつけください」
「わかった」
「では、失礼します」
そう言って少女が出て行くと、俺は気を抜いてベットにダイブする。
そしてそのまま糸が切れた人形のように眠りについた。
皆様のお陰で100000pv突破しました。
本当にありがとうございます。
活動報告にも書いたように、リクエストなどもして頂けたら嬉しいです。
必ずその題材で書くというわけではありませんが、書けるものは書きたいと思います。
ここで補足説明をしておきますね。
お金の価値は5種類に分けられています。
白金貨 1000000000円
金貨 10000000円
銀貨 100000円
銅貨 1000円
鉄貨 10円
賤貨 1円
という基準で進めていきます。
では、今年もよろしくお願いします。