異世界突入
「剣神」この称号は天神流 龍神流 人神流の三つの流派を極めた者にしか与えられない。
そして、この称号を持っているものはこの世界が誕生してから一人しかいない。
「賢帝」この称号は全ての魔術を極めた者にしか与えられない。そして、この称号も一人にしか与えられていない。
「剣神」「賢帝」この二人の称号を聞いたことのない者はいない。
しかし、この二人のことを知っているものはごく一部にしかいない。
辺境の地 フォレム
首都グランドスラムとは比べ物にならない田舎だが、自然が豊かで風景が美しい。
その辺境の地に「剣神」「賢帝」の二人が来ていた。
「ねぇレイ なんでここに来たの?」
「俺達は世界中を旅して来ただろ?それも戦いばかりしてきた。だから家を建てるなら景色の良いところがいいと思ってたんだ。」
「……レイ」
「剣神」 レイナルド=グラジオス(男)
「賢帝」 ミリアナ=シフェール(女)
同じパーティに所属していた二人は半年前に結婚し、半年かけてこのフォレムにやってきたのだ。
「それに、ここなら俺達を知っているやつはいねぇだろうからな」
そう言ってレイナルドは苦々しく頬を掻いた。
「あーうん、グランドスラムでは大騒ぎだったもんね」
半年前、二人が結婚すると聞いて世界各国から知り合いがやってきた。その知り合いが普通の人だったら大騒ぎにならなかったのだが……
「まさか五大神が来るとは思わねぇよな」
「魔神まで来たもんねぇ」
この世界には天界 深界 魔界 人界 異界の五つの世界に別れている。その一つ一つを神が収めていて、天界神 海神 魔神 人神 龍神の五大神がいるのだが、滅多に国を離れることがない。神が国を離れることは戦争を示すからだ。しかし、一時的に他国への攻撃を禁止して俺達を祝ってくれたのだ。
「魔神がまた殺し合いをしようって言ってきたけど、もう二度とごめんだな」
「三日三晩戦って引き分けだもんね」
周りから聞いたら腰を抜かすようなーーけれど二人にとってはそれほど大したことのない話をしながら笑あっていた。
その時、二人がいる酒場から二kmほど離れた小屋に光の柱が立ち上っているのを見た。
それを見た瞬間、二人は顔を見合わせ、そして同時に光の柱へと走り出していた。
あのクソガキ……なんてことしやがるんだ。
人を光の粒子に変えるとか正気じゃない。
……そんなことよりここがどこか把握しなければ……とりあえず状況がわからないから情報を集めるか。
そう思い立とうとするが、体が全く動かなかった。
あれ?なんでだ……体が動かない。
体を起こそうとするが動かない。それどころか首を動かすことも、寝返りをうつこともできない。手足を動かそうとするが、力が余り入らない。
「あーうー(くそっ なんで動かないんだ)」
「あーーあーー(動け 動け)」
「あーうーうーー(あーうーうるさいな。誰が言っているんだ?)」
………はい、気付いてますよ。俺ですよね。
認めればいいんでしょ認めれば
俺はあの少年に光の粒子に変えられた。そして赤ん坊として転生されたというわけだや。
横で馬が鳴いてるしここは馬小屋か……
どうせなら捨て子って設定はやめて欲しかったな。ちゃんと血の繋がった両親とすごしたかった。そんなことを考えていたら、突然馬小屋の扉が勢い良く開いた。
「光の柱は?」
「もう消えたわ。けどあの辺りを示していたみたい。」
いきなり入ってきた二人組の男女がこっちに近づいてくる。もしかして殺されるのか?
「お…おい これって……」
「ええ、おそらく捨て子ね」
「けど、あの光の柱はこの子を示していたんだよな」
「ええ、おそらくそうだと思う」
「……レイ、どうするの?」
「ミリア、君はどうしたい?」
「私はこの子を育てたい。目から強い意志を感じるもの」
「俺も同じ意見だ。そうするか」
会話がひと段落したのか二人は俺に向き直り、そして俺を抱きかかえた。
「えっと……ル、ルイス今日からお前は俺達の子どもだ」
「ルイスよろしくね」
何を言っているのかわからない。この国の独自言語だろうか?まあとりあえず笑っておくことにした。
家族になりました。
家族構成
「剣神」レイナルド=グラジオス
「賢帝」ミリアナ=シフェール
改名 ミリアナ=グラジオス
「転生者」ルイス=グラジオス