別れ
「天ちゃん天ちゃん!なんか天ちゃんの周りにオーラ見たいなやつが出てるんだけどこれ何?」
「それは魔力だ。それを見れるということは魔力眼を手に入れたのだな。意識して通常の目と使い分けれる様にしておけ」
「出来た。おおっ、なんかこれ面白いな」
「………それは良かった」
「天ちゃん天ちゃん!走ろうって思ったら思いっきり壁にぶつかったんだけど」
「それは瞬動という技だ。膝と足の指を意識して調整出来るようにしておけ」
「おおっ、めちゃくちゃ速く走れる。これ凄い便利だ」
「………そうか」
「なあなあ天ちゃん天ちゃん」
「ああっ もうはしゃぎ過ぎだ。もうちょっと大人しく出来ないのかっ」
「だってあの地獄から解放されたと思ったら身体が軽い上に色々と面白い事が出来るようになってるんだもん」
「……だもんって。お前なんか一気に年相応の喋り方になったな」
「……っ、き、気にすんな。今のは忘れてくれ」
「面白い事が出来るようになってるんだもん(笑)」
「うるせぇぇぇ。黙れぇぇぇ」
テンションが上がり過ぎて変な事を口走ってしまった。くそっ俺もう40歳超えてんだぞ!そんなおっさんがだもんって………
うっ……自分の事なのに想像しただけで気持ち悪くなってきた。
「それにしても良かったな。てっきり死んだかと思ったぞ」
「何が数日だよ。1カ月も続いたじゃねぇか」
「すまない。他の奴は皆数日しかかかっていなかったからな」
「えっ。じゃあ他の奴は数日でこんなに強力な力を手に入れていたってことかよ……」
「いや、成功したのは小僧が初めてだ」
「それって……」
「他の者は皆数日で死んで苦しみから解放されたとったわ」
俺は身体強化をしつつ瞬動で天ちゃんの元へと移動し、思いっきり殴る。が、難なくかわされる。
「1発殴らせろ」
「殴れるもんなら殴ってみな」
「おーしわかった。全力で殴ってやる」
それから数時間俺と天ちゃんの殺し合いという名のじゃれあいが始まった。
「……ルイス最後にあの魔法を使え」
「でもあの魔法は………」
「前のお前なら魔力量が足りなかったが、今のお前ならいける」
「わかった」
天ちゃんから教えて貰った付与魔法。魔法の袋と何か (これは何でもよい)の次元を繋げる事で、念じた瞬間その何かを経由して魔法の袋にある物が取り出せるというものだ。
俺はその何かをステッカー2枚にした。
ちなみにこの魔法はその道具に付与した者にしか使えず、魔法の袋1つにつき1回しか出来ない。
ステッカー2枚を1度に出来て良かった。
次元を繋げるのには大量の魔力がいる。以前挑戦したのだが、その時は魔力が足りず成功しなかった。だが、今ならいける。
俺は大量の魔力を込め集中する
「魔法の袋の次元を切り裂き、この道具と繋げ。この道具を魔道具とし、生涯私にしか使えないように契約をする。ディメンション」
予想以上に魔力が大量に吸い取られる。
魔力切れによりふっと意識が途切れ掛け、倒れそうになるが、倒れる事は無かった。
「……天ちゃんありがとう」
天ちゃんが俺を支えてくれていた。そして魔法は無事に成功していた。
「ゆっくりと休め」
「そうさせてもらうよ」
俺は天ちゃんにもたれかかり眠りについた。
目が覚める。
もうそろそろ行かなければいけない。いつまでも此処に居るわけにはいかないんだ。
「天ちゃんそろそろ行くよ」
「そうか、ならこれを持っていけ」
ドラゴンの装飾に空が映しだされた宝石が付いている指輪だった。
「天龍の指輪だ。何か困った事があったらそれを相手に見せてみろ。我の知り合いなら話が通じるだろう」
「ありがとう。2年間色々あったけど楽しかったよ」
「ああ、我も久々に楽しかった。また来てくれ」
「ああまたな」
そう言って俺は堕落の洞窟を後にした。




