修行開始
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「おお、小僧。意外と早かったな……で、その大荷物はなんだ?」
「食料だよ。ここで暫く泊り込みで修行するんだ。当たり前だろ?」
天ちゃんがフレンドリーに接してくれるおかげか、俺はもう天ちゃんの事を怖がることなく自然体で接することが出来るようになっていた。
「でさ、そのことで1つ相談があるんだけど、いくらでも物が入る魔法の袋的な物ってある?」
「あるぞ」
「そうだよなぁ、そんな都合の良いものなんて……ってあるのか⁉︎」
「昔この洞窟を攻略しようとやって来た冒険者達の中にそのような物を持っているやつがいたような気がする。殺した冒険者達の物は、我を倒しこの洞窟を攻略出来た褒美として与えようと思って取っておいたのだ」
「でもそんな人物が一向に現れなかったから俺にくれるって訳か」
「全部やろう。我には全く必要がないからな」
「ありがたく貰っておきます」
俺は天ちゃんに感謝し、屠られていった冒険者達の冥福を祈ってそれらの品々を貰う事にした。
正直これは予想していなかった。魔法の袋の中には数々の武器や防具、それも全てが一級品であり、この袋を持っていた冒険者は相当な実力だったと予想出来た。
それだけではない。俺でも読めないとても古い書物が数冊、これは天ちゃんによるとかつて存在した伝説の魔導師の書いた書物であり、それを読む事が出来ればこの本に書かれている魔法が習得出来るという伝説級の本だった。
また、鉄や銀は当たり前として、ミスリルやオリファルコン、そしてもう二度と手に入ることはないと言われている賢者の石まで残されていた。
更に、白金貨が5千枚 金貨が一万枚 銀貨が5万枚と普通ではあり得ない程の大金が入っていた。両親の全財産でさえ、その半分にも満たない。
その他にも魔道具や魔法石などの高価な物から万能薬などの便利グッズまであった。
正直言ってこんなにも凄い冒険者が天ちゃんに敗れるなんて……天ちゃんがどれだけ強いのか改めて思い知らされた。
「おい、小僧いつまでそうしているんだ。早く修行を開始するぞ」
「わかった天ちゃん」
修行は過酷なものだった。
まずは無手で天ちゃんの攻撃を避ける特訓。
いくら天ちゃんが手加減しているといっても一瞬でも気を抜けば死んでしまう。
それに魔法は禁止されてしまったので壁などで防ぐことなど出来ず、俺はひたすら避けまくった。
ある程度避けれるようになると天ちゃん特製の重りをつけさせられ、その状態でまた天ちゃんの攻撃を避ける特訓をする。
天ちゃん曰く、白筋と赤筋の両方の性質を持つ筋肉に身体をつくりかえる特訓なのでムキムキにはならないというが、それが本当かどうか信じられないような特訓だ。
とりあえずは天ちゃんのことを信頼してムキムキにならない事を祈ることにしよう。
勿論それだけではない。天ちゃん直伝の古代魔法の特訓や魔力の量を上げる特訓なども同時並行で行う。
古代魔法は普通の魔法よりも使う魔力の量が多く、多いと思っていた俺の魔力量でさえ、数回使っただけで魔力切れを起こしてしまうほどだ。
それに加えて俺自身の剣の道を見つけなければいけない。それは容易な事ではなかったが、筋肉痛の痛みに耐え、魔力切れで少しふらつく身体をなんとか気力で持たせながらも地球での知識やこの世界に来てから学んだ基礎などを組み合わせたりして試行錯誤を繰り返していた。
正直1日このトレーニングをしただけでも逃げ出したくなる……いや、いっそ殺してくれと泣き叫ぶぐらいのキツさだったのだが、俺は一切弱音を吐かずに続けていた。
それは両親の仇を討つためか
それとも大切な人を守る為の力を手に入れるためなのか俺にはわからない。
だけど俺にはもうこの道しか残されておらず、ただ前に進むためにこのトレーニングを続けた。
いやー少しやり過ぎた感がありますが……
まあ気にしないでおきましょうか
皆さん、修行編なのに少ないじゃないかと思われてますよね……
いや、本当にすみません。
これしか言えないのかと言われそうですが、この状況ではすみませんとしか言えません。
これからも頑張るので未熟な私の作品を読んでください。