王女様
「や、やっと解放された〜」
「お疲れ様お兄ちゃん」
丁度ラミアも特訓が終わったらしい。お互いバタバタとしていて顔を合わせることが少なかったせいかなんだか懐かしいようななんとも言えない感覚が訪れる。
「あのね、あのね、この一ヶ月で水魔法と火魔法の初級をマスターしたよ」
「おお、そうかそれは凄いぞ」
先週誕生日を迎えたからといってもまだ3歳だ。その年で2つも初級魔法をマスターすれば十分だろう。流石2人の子供といったところだな。
「あっ、そういえば王様が呼んでたよ」
「………行きたくないな」
「行ってらっしゃい」
ラミアは苦笑いしながらも王様の命令なんだからと言っているように聞こえるのは決して俺だけじゃない筈だ。
「で、王様何?」
「……おぬし、ワシの扱い方が雑になっとらんか?」
「気のせいだ。早く用件を話してくれ」
「そうじゃな。おぬしアメリアと結婚する気はないか?」
「ない」
「待て、待つのじゃ」
あっさりと断り去ろうとする俺を必死に引き止める。そもそも俺はそのアメリアっていう子を知らないし、このクソジジ……王様がお義父さんになるなんてまっぴらごめんだ。
「そう言わずに1度会ってみるがよい」
「嫌だ。なんで上から目線なんだよ。王様だからって頼み方ってもんがあるだろ」
「会ってくれ」
「……会うだけだからな」
王様の嬉しそうな顔を見て、俺も甘いなとバレないように深い深いため息を吐いた。
「あ、あああの、アアアメリアと申します」
「ルイス=グラジオスです。よろしくお願いします王女様。私などに緊張なさらずにもっと楽にして下さい」
「そんなっ、ルイスは素晴らしい人です!お料理も美味しかったし、私の為に危険な洞窟にまで行ってくださり、天龍と遭遇したにも関わらず無事に帰ってこられました。そのおかげで私の病気も完治することが出来ました。私はかっこよくて頼りになるそんなルイスさんのことが…こと、が……」
王女様は自分が何を言っているか気づいたのか、顔をゆでダコのように真っ赤にして俯いてしまった。まあしょうがないだろう。それにしても王女様は思ったより可愛い人だった。外面的な意味でもあるが、中身もまた可愛いと思う。なんていうか、とても素直で従順そうだなぁと思う。流石にこのままだんまりは気まずいな。……仕方ない助け船を出すか。
「いえ、王女様が無事でなによりです。体調はいかがですか?」
「あ、はい。大丈夫です。それよりルイスさん?」
「なんでしょう」
「その…敬語はやめてもらえますか?なんだか距離を感じてしまうので」
「……わかりました。王女様がそう言うのならば言う通りにしましょう」
「アメリアと呼んで下さい」
「わかった。アメリアよろしく」
俺がそう言って微笑むと、アメリアはボンっという効果音がつきそうなくらい顔を真っ赤にして「さようならーーーー」と言って走り出してしまった。
あなたに振られた訳でもないけれど心に深い傷を負ってしまいましたよアメリアさん……。そこは逃げないでください。
俺は気をとりなおしてレイラさんのところに向かうのだった。
前回は短くてすみません。
というか毎回短くてすみません。
なんか謝ってばかりですみません。
ここら辺は1話で終わらせるつもりだったんですが思ったより長引いてしまいました。
次は修行編を書いていくつもりですのでよろしくお願いします。
12時頃に登場人物紹介を編集して投稿しますのでそちらも見ておいてください。