謎の少年
目を開けると辺り一面真っ白部屋にいた。
いや、部屋と言うより空間かな?
……そんなことはどうでもいいか。それよりあの子どもは?俺はどうなったんだ?死んだのか?誰かいないのか?
数々の疑問が頭に浮かぶが、なに一つわからない。くそっ嫌な感じだ。
とりあえず探索して見ることにし、歩き回った。念のために俺が目を覚ました場所にはジャージ上を置いておく。
そして分かったことがいくつかあった。
まとめてみる。
一、お腹が減らない
さっきまでずっとお腹が減っていたのに、今は減っていない。まあ、減らないより食べたいものが無限に出てきて欲しかったけどな。
一、体が軽い
測ってはいないが大体100kgあったにもかかわらず普通に歩けている。さっきまでは膝関節が痛かったのに……
一、行き止まりがない
俺が置いておいたジャージ上が豆粒のようになるまで離れてみたが壁にぶち当たる気配すらない。やはりここは部屋では無く、空間のようだ。
これらの現象から導き出される結論は……
「俺は死んでこの空間に転送された」
「正〜解〜」
そう言った瞬間、後ろからこの空間に似つかわしくない子どもの声が聞こえてきた。
俺が後ろを向くと小学生のような子どもが………浮いていた。
「……誰だお前は」
「あれ?驚かないの?珍しいね」
充分驚いてるよ!しかし、ここで驚いたら相手のペースに呑まれてしまう。ポーカーフェイスだ……ポーカーフェイス
「まあ、君は顔に出やすいから驚いてるってことは分かってるんだけどね♪」
「じゃあなんでとぼけたんだよ‼︎」
「あはははは いいねいいね 君最高だよ」
くそっ…思わずツッコンでしまった。落ち着け俺
「……で色々聞きたいことがあるんだが質問していいか?」
「だーめ」
イラッ ……落ち着け俺、相手のペースに呑まれてるぞ。
「お前は珍しいと言った、この空間に来るのは俺が初めてじゃないのか?」
「………ふーん 頭は悪くないね。そうだよ、君が初めてじゃないーーーけどこの先に進んだものは誰一人いない」
「つまり、俺以外の人はここには来たが何かしらの理由でこの先に進めなかったのか」
俺は確認するように少年をみるが少年は笑うだけで何も答えてくれなかった。
………もう一つだけ確認させてもらおう
「俺が助けようとした少年は無事か?」
「ああ、あの少年ね。無事だよ あの後ちゃんと救助された」
「そうか………よかった」
「もう他にないの?」
「ああ、もう何もない」
思い残すことは何もない。
………もし来世で人間に生まれ変わることが出来たら次は後悔しないように生きよう
「そっか……うん、君ならいいかも」
「は?」
「君、合格」
少年がそう言った瞬間俺の体が光に包まれる
手が…足が…体が粒子となって消えていく
「ちょっ、ちょっと待て 一体何が……」
「君は合格しました。というわけで第二の人生を楽しんでね」
俺は少年に何かを言う前に俺という存在は消えた。