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天龍

突然動いた俺の足音と、天龍が動く気配にレイラさんは気づき振り向いた。

レイラさんとラミアは今おかれている状況を見て天龍が何をしようとしているのか、そして俺が二人を庇うように軌道上にいることに気づいたようだ。

「ルイス」「お兄ちゃん」

「いいから行け」

「くっ……」「お兄ちゃぁぁん」

レイラが扉から出て見えなくなる。そう、それでいい。

二人の姿が見えなくなると同時に天龍が風のブレスを撃ちだした。

迫りくる死、だが俺は逃げなかった。

逃げてしまったら何も出来なかったあの日と同じになってしまう。


「一か八かやってやる」

龍神流 炎斬

ドラゴンのブレスを切り裂く技。俺はまだ一度も成功したことがない。

だが、練習は自分を裏切らない。必ず出来る。いや、やる。

俺は何千回、何万回も練習してきた型を風のブレスに向けて放った。

俺が放った斬撃と風のブレスが衝突する。

そして、斬撃は風のブレスを切り裂いた。

真っ二つに分かれた風のブレスは俺を避けるように両脇の壁を破壊する。

俺の放った斬撃は天龍には当たらなかった。

避けられたのだ。

たが、俺は落胆などしていなかった。

成功したことに対する喜び、無事に生き延びれたことによる安堵感により一瞬気を抜きそうになったが、まだ戦闘は終わっていない。


Vietatoヴィエタート entrareエントラーレ spazioスパッイオ developmentデヴェロプメント……"結界"」

俺は天龍の周りに結界を張る。


「ほう…我がブレスを切り裂いた後も気を抜かず我を封じ込めようとする心意気気に入った」

「……は?」

頭の中に再び声が響く。

天龍は完全に殺気を消し、何処と無くにこやかな雰囲気を漂わせている。


「何を惚けている。我の声が聞こえていないのか?」

「………いやいやいや、ちょっと待て。いくら天龍でも話すはずがない。俺は夢を見ているんだ。そうだ、きっとそうだ」

「ふむ…信じないか。それならば夢じゃないことを証明してやろう」

頭の中の謎の声がそう言うのと同時に、天龍が再び風のブレスを撃ちだした。


結界は崩壊まで一秒と保たず俺の真横をブレスが通り過ぎる。

通り過ぎる際に俺に飛んできた石の礫が俺の頬を切り裂き一筋の血が流れた。

この痛み夢じゃない。


「……まじかよ」

さっきよりも断然溜めが短く、威力が強い。

つまりさっきの風のブレスは手加減していたってことか。

本気だったら死んでいたな。


「ふむ…結界を壊すために力を調整したが、約5割というとこだな。どうだ、まだ信じられないか?」

「いや、疑ってすみませんでした」

「うむ。正直な人間は嫌いじゃない。ますます気に入った。特別に古代魔法を教えてやろう」

「は?」

度重なる不思議出来事と最後の衝撃的な一言により、遂に俺の脳はフリーズした。


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