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戦闘の才能

「ふぅん…」

先程までの戦闘の様子を見ると二人の子供だと全く信じることが出来なかった。

レイナルドはもっと素早い足運びで相手に防御させる暇も与えなかった。

ミリアはもっと多彩かつ状況に応じた魔法を自由自在に使っていた。

その二人に比べたら……いや、二人と比べるのもおこがましい。

だが今は違う。

レイナルドが修業中に何かを掴んだ時に出す笑みが見えたのだ。

気のせいかもしれないが、もう少し様子を見ることにしよう。


今、俺の目の前にはスケルトンが一体、アンテッドナイトが三体いる。厄介なミラーネが現れる前に試してみるか。


「氷棘」

地面から相手を串刺しにするように出現させた氷棘を魔物共は難なくかわし、迫ってくるが何も慌てることはない。

むしろ計算通りだ。


アンテッドナイトAが氷棘を避け、俺の背後に回り込もうと動き出したその瞬間、トラップが発動する。

俺の目の前へと誘導するように発生させた氷棘のルートから外れるような動きをする相手がいると予想し、仕掛けたトラップだ。

アンテッドナイトAは、足元から突然発生した上級風魔法「旋風ツイスター」によって叩きつけられる。

そこにラミアが水弾で身動きの取れないアンテッドナイトAに向けて何発も撃った。

だが、流石と言うべきか、Aランクのアンテッドナイトは数発くらいながらも何発かを逸らした。

だが、逸らされることぐらいラミアもわかっていた。だからこそ水弾を選んだのだろう。

俺は水弾で濡れたアンテッドナイトAに向けて上級水魔法を放った。


氷結フリーズ

アンテッドナイトAは受け流そうとするが、ラミアの水弾で妨害される。

氷結を受け流すことが出来ずに凍り、地面に叩きつけられて粉々になった。

あと三体だ。


その数秒のやりとりの間にスケルトンがスピードを生かし、俺の眼前まで迫っていたが、それも予想済みだ。

相手が振り下ろした剣を流水で受け流し、返す剣で首を切り落とした。

あと二体。


アンテッドナイトB•Cは警戒しているのか自分達の攻撃範囲に俺を入れつつ隙を伺っている。

だが無駄だ。もう詰みだよ。


「氷結」

俺はアンテッドナイトB•Cの足元にある水を凍らせ、動きを封じ、即座に木魔法を展開した。

「ティ•ロート」

木の根が足元から発生し、締め付けながらアンテッドナイトB•Cに絡みつく。

最終的にはその姿を全て覆い尽くした。

ギシギシと音がする。

締め付けにより装備が破壊されアンテッドナイトの形がどんどんと細くなっていく。

そして大量の血と木の根を残してアンテッドナイト二体は消滅した。


ふと周りを見渡すと、百体はいたはずの魔物はいつの間にか十数体にまで減っていた。

レイラさんが倒してくれたのだろう。

そのレイラさんは俺の戦闘を見ていたのか、俺の方を見て少し嬉しそうにニコッと笑い、次の瞬間残っていた十数体の魔物の首が飛んでいた。

首を失いバタリ、バタリと倒れて行く魔物を見ると俺たちの体から力が抜けてしまい、そのまま地面に座り込んだ。

俺たちの元へレイラが駆け寄ってくる。


「お疲れ様」

俺とラミアの頭をクシャクシャと撫で微笑んだ。先程までとは違い何だか表情が柔らかくなっているような気がする。


「しっかりと休んでおけ。私は殺した魔物の後始末をしてくるから」

そう言ってレイラは歩いて行った。

「?」

俺とラミアはお互い顔を見合わせたが、何もわからず首を傾げた。



正直驚いていた。確かにヒントは出した。だが!五歳児に出すようなヒントではなかったかもしれない。

だけど、ルイスはその言葉から私の真意を汲み取り実践して見せたのだ。

ルイスが出した結論から導き出された戦闘の様子は本当に素晴らしいものだった。


相手が自分達を包囲しないように氷棘を放ち、自分の正面へ来るように誘導。

それでも回り込もうとしたアンテッドナイトをトラップで殺すことで、他の三体にルートから外れると同じ結果になると思わせる。

これによりルートを外れるという選択肢は消え、スピードのあるスケルトンを真っ正面から仕掛けるようにし向き返り討ちにする。

アンテッドナイト、スケルトンと何もすることが出来ずに倒れたことから残りの二体は警戒して近づかない。

だが、それも予測済みだったようで、氷棘が溶けてアンテッドナイトの足元に出来た水たまりを凍らせトドメをさした。

特にアンテッドナイトの足元に水たまりが出来るように時間と場所を計算していたのが凄かった。


魔法を発動させるのには魔力がいる。

その魔法に必要な魔力を込めていれば氷棘は溶けなかったはずだ。

けれど、ルイスはわざと魔力を込めず溶かすことで次の攻撃へと繋げたのだ。

完全にデザインされた……緻密に計算され、一つのミスもない完璧な攻撃だった。

ルイスはあの二人よりも強くなるだろう。

私は思わず鳥肌が立った。

凄いと思うのと同時に恐怖さえ抱いた。

今は負ける気はしないが、将来必ず私を越えるだろう。


「……何を弱気になっているんだ私は」

一瞬イメージした嫌な想像を頭から追い出す。

おそらく次がボスの部屋だ。

私は必ず王女を助けなければいけない。

私は気を引き締め二人の元へと戻った。

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