白色病
「長い話になりますが聞いてください」
「わかりました」
そう前置きして天空神は話し始めた。
「今、私達の頭を悩ませているのは''白色病''という病気です。
白色病とは、発症すると手足の色がどんどん真っ白になっていき、一ヶ月ほどて全身が真っ白になって死んでしまいます。
この病気は治癒魔法では、滅神級の解毒をマスターしている者しか治せないと言われている病気で、数百年前に天界で流行り、人口の約二十分の一がこの病気で亡くなったという恐ろしい病気です。
この病気にかかる原因は数百年たった今でもまだ解明されていません。しかし、流行った数百年前から現在まで発症した人は一人もいませんでしたので誰もがこの病気を忘れてしまっていました。
けれど、数日前に王女であるアメリアがこの病気にかかってしまったのです。
国民にこの事を隠し、文献を漁ったところ、この城の西南の方向にある"堕落の洞窟"というところに生えている"青空の花"を煎じて飲めば治ったという前例があるということがわかりました。
ただ、この洞窟はとても危険です。
かつてこの洞窟に向かった者は魔物に襲われて殆どが死に、生きて帰って来ても以前のように生活が出来なくなるということから堕落と名付けられたほど危険なのです。
今、私達の国で堕落の洞窟に向かい、五体満足で帰って来られるのは先程の女性……将軍であるレイランだけです。
ただ、流石のレイランでも一人で向い帰って来るのは厳しいでしょう。
なのでお願いします。
レイランと共に堕落の洞窟へと向い、青空の花をとってきてください。」
なぜ姫だけしか白色病にかかっていないのか、青空の花とはどのような花なのか、堕落の洞窟にはどんな魔物が生息しているのか。
色々と聞きたいことはあるが、それを聞いても返事は わからない だろう。
もしわかっていたら説明してるはずだしな。
とりあえず状況はわかった。
はない。
「わかりました。行きましょう」
「ありがとうございます。では、明日の明朝に出発しますので準備を済ませておいてください。レイランには伝えておきます」
「はい」
そうして俺達は明日、堕落の洞窟へ行くことになった。