冒険者登録
目を開けると俺は天井を見上げていた。下はふかふかしている。どうやら俺はベットに寝かされているようだ。横を見れば妹が、反対側を見れば俺達の所持品が置いてある。どうやら盗まれた物は無いようだ。
「ここはどこだ?」
「あっ目が覚めたんだ」
明るい声で話しかけてきたのはスーツのような服を着た活発そうな女性だった。
「いやービックリしたよ。集会所の前に倒れてるんだもん。何事だってなったよ」
「色々と迷惑をかけたようですね。ありがとうございます」
「お礼なんていいよ。それより君たち迷子なの?」
「……親が殺されて、今は俺達二人だけです。敵を打つために世界中を回らなければいけません。だから、今から人神に会いに行こうと思っていたところです。」
俺の発言を聞いて女性は驚いている。それはそうだろう。はたから見れば子供二人が親の敵を打つために旅をするというとんでもないことを言っているのだから。
「色々言いたいことはある。けど一つだけ。神様に会うのは無理だと思うよ。神様に会うのは王族や神官の人達でも難しいの。今、唯一会えるのは神官の中で最上位のフランク様だけなの」
「じゃあ、そのフランクさんに会えばいい訳ですね」
俺が立ち上がろうとすると女性が慌てた様子で言った。
「ちょ、ちょっと待って。会うなんて無理よ。仮に会えたとしても旅の資金はどうするの?稼げないのなら飢えて死んでしまうわよ」
「……………」
十分なお金は持っている。だが、予想外の出費なども考えられる。確実に大丈夫とは言えないだろう。
「ねぇ、敵討ちするのやめない?それで、冒険者として登録して私達のギルドに入ってよ」
「冒険者?」
「SS~Fまでのランクがあって、依頼をこなせばお金が貰え、ランクも上がっていくの。ランクが上がるごとに依頼も難しくなるからランクが上というだけで待遇される場合もあるわ」
……まんまモン○ンだな。 ハ○ターランクが数字から英語に変わっただけじゃねえか。
「ギルドには入りませんが、冒険者として登録することにします。」
「うーーん出来れば入って欲しかったんだけどな……」
断られながらも女性は親切に登録の仕方を教えてくれた。
パーティ名 ラグナロク
ランク F
パーティ人数 二人
リーダー ルイス=グラジオス
次々と項目を記入していき、無事に登録が終わった。
「お疲れ様、はい、冒険者カード。依頼を受ける時とかはこれが必要だから絶対に無くさないでね。」
「わかりました。色々とお世話になりました。本当にありがとうございます」
「別にいいよ。その代わりまた機会があったら一緒に依頼を受けてね」
「その時は是非」
そう言って、まだ寝ている妹を背負い、手を振って見送ってくれている女性に背を向けて王宮へと歩き始めた。