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イジメ そして決闘

天神流中級を名乗ることを許されてからさらに一年がたち、俺は無事にテストをクリアし、人神流の中級を名乗ることを許された。

まあ、一本取ることは出来なかったのだが……


ラミアは二歳になった。ここのところは夜泣きや、お漏らしなども以前に比べて少なくなり、ラミアが一人で歩くようにもなった。

言葉も意味を理解し、パパやママと呼ぶようになった。

俺が近づくと兄ちゃと言って笑いかけてくる。もう可愛すぎてみんな骨抜きにされている。まあ、仕方が無いだろう。


だが一つだけ俺には悩みがあった。


友達だ


俺は我が家の女神に好かれ、そして尊敬されたいと思っているが、友達一人いない状態ではそれは無理だろう。


なので俺はコミュニティを広げるために外に出ることにした。


いつもの修行が終わり、ここからは自主練習の時間になる。俺はいつもこの時間は自主練習をしていた。しかし、この日は自主練習はせず、父様に向き直った。


「父様、外に遊びに行ってきてもいいですか?」

「べ、別にいいが…急にどうしたんだ?」

父様様が俺がそう言ったことに対して、とても驚いていた。まあ、それもそうだろう。俺は森に行ってから一度も家の敷居外に出たことがなかったのだから。


「いえ、ただ友達が欲しいと思っただけです」

父様はその言葉を聞き、少し考えてから言葉を発した。

「ルイ、いいか?よく聞け」

「はい 父様」

「お前は魔術も使えるし、剣術も使えるので喧嘩になった場合負けることはまず無いだろう。だが、自ら手を出すような真似をしてはならない。本当の強者は自衛、仲間を守るために力を使うものだ。わかったな?」

「わかりました。必ず守ります」

「よし、行ってこい」

「はい」

父様の了承を得て俺は外に出掛けた。


「こんにちは」

道行く人々に挨拶をする。殆どが初対面の人達だが、邪険にされているということは無いようで、俺は少し安心した。


十分ほど歩くと森の近くの大きな平原が見えてきた。そんな平原で俺は五人の人影を見つけた。

俺は五人に声をかけようと思ったが、やめる。

……何かがおかしい そう思いよく観察すると、四人が一人を囲んでいる。


もしかしてイジメか?


イジメは関わるとロクなことにならない。少々罪悪感で心が重くなったが、巻き込まれるよりはいい、そう思いこの場を去ろうとするが、イジメられていると思われる子と目があってしまった。

助けを求めるような目で見てくる。

……参ったな、これじゃあ帰れないじゃないか。

しょうがない、助けに行くか。

そう決断すると先ほど重くなった心がフッと軽くなった。


俺が五人に近づくと四人は動きを止めこっちに向き直った。


「オッス 何してんの?」

「お前誰だ?今忙しいんだからさっさとどっかに行けよ」

そうだそうだ、どっかに行けと他の子供たちも口々に同調するが、気にせず言葉を続ける事にした。


「ああ、そうなんだ。ごめんな 四人でたった一人をイジメるというガキ臭いことの邪魔して」

「なっ」


四人の顔が怒りで真っ赤になり、口をパクパクさせる。

……ガキは挑発に弱いな。

しばらくして、四人の中で一番年上であろう少年が我を取り戻し、話しかけてくる。


「何か文句でもあるのか?」

「いーや 別に無いよ。ただイジメている理由を教えて欲しいんだが……」

「イジメていない。俺達は友達がいないこいつと遊んでやっているだけだ」


その子を見ると目元が光の反射てまキラッと光る。

それを見て、四人で寄ってたかって怖がらせ涙を流させることが遊びなのか?と思わず口に出しかけるが、ぐっと耐える。


「じゃあ、残念だけどその遊びをやめてくれないか?」

「嫌だね。なんでやめなきゃいけないんだ」


俺は黙って四人を押しのけ、下を向き涙を流している子に微笑みながら手を差し伸べる。


その子はいきなり差し伸べられた手に ビクっ

としたが、おずおずと手を伸ばし、俺の手をゆっくりとーーだがしっかりと掴んだ。


「今から俺がこの子の友達だ。だからその遊びをやめてもらう。文句あるか?」

その子を立ち上がらせ四人を見る。

四人の顔は、オモチャを取り上げられた子供のように、イラつきを全く隠さずに俺を睨みつけていた。


「下がって」

俺はその子を俺の後ろに下がらせる。

それが合図だったかのように三人が三方から襲いかかってくる。

パンチやキックが三方面から飛んでくるが、普段から父様とトレーニングしている俺から見ると、そのスピードは欠伸をしながらでもよけられそうなほど遅い。

俺は拳を全てかわしながら三人の溝うちへ力を抜いたパンチを放った。

いくら力を抜いたパンチでも、二歳の頃から鍛えてきた俺の体から繰り出すパンチは強力らしく、三人は一撃で沈んだ。

「まだやるか?」

一番年上らしき少年に問うと、少年は青い顔をし、覚えてろと捨て台詞を吐きながら三人を連れ、帰っていった。


「大丈夫か?」

俺の後ろで驚いている子に近づきながら問うと、いきなり ……ボン と聞こえてきそうなほど顔を真っ赤にしてモジモジとし始めた。

その子は「大丈夫」と蚊の消え入りそうな声で言った。

俺は「…ああ、よかった」とあんどの息をつくが、一応念のために治癒魔法をかけておく。


「あ、ありがとう」

「どういたしまして。ああ、自己紹介がまだだったな。俺はルイス、気軽にルイって呼んでくれ これからよろしくな」

「私はルーシェといいます。ルーと呼んでください」よろしくねと彼女が微笑む。

その子は女の子だった。



私はいつものように四人組にイジメられていた。今日も、見つからないように隠れて移動していたのだが、何故か毎回見つかってイジメられてしまう。

何も悪いことはしていないのに、種族が違うというだけでイジメられてしまうのだ。


私は悲しくて…悔しくて泣いた。

そして、誰か助けてと思っていたら、人影が現れた。私は必死に目で助けてと訴えると、その男の子は助けに来てくれたのだ。


かっこよくて、強くて、私を救ってくれた。

始めて友達になろうって言ってくれた人を好きにならないわけがなかった。

これが私の初恋だった。


その女の子はとても可愛かった。

黒髪のショートヘアーに整った顔、そして守ってあげたくなるような小動物みたいな雰囲気をかもし出していた。

……もしかしたらあいつらは気になっている子に意地悪するタイプなのだろうか。

まあ女の子を泣かせるような連中には同情の余地なんてないが、一応心の中で謝っておく。



「なあ ルー」

「は、はい。なんですか ?」

「なんでこんなに距離をあけるんだ?」

俺とルーの間は五mくらいあいている。友達なのにこの距離はおかしいだろ……

それと、他人行儀な話し方はやめてくれとも付け加えておく。


「だ、だって……あの、その」

「俺達友達だろ?始めてできた友達に、そんなによそよそしくされるのは嫌だな」

「う、うん わかった。じゃあ 改めてよろしくね。ルイ」

ルーシェが満面の笑みを浮かべる。

その笑顔に思わずドキっとしてしまう。


「あれ?ルイ顔真っ赤だよ?大丈夫?」

そう言ってルーシェの額が俺の額に当てられる。 あと少し顔を近づけたらキスが出来てしまう。そんな距離まで近づいているのだが、ルーシェは気づいていない。

「うーん 熱は無いみたいだね」

「あの……ルーシェさん?」

「どうしたの?」

「ちょっと近いです」

顔を真っ赤にして俺がそう言うと、ルーシェも気がついたのか真っ赤になりながら、もの凄いスピードで離れた。

「ご、ごめんね」

「あ、ああ」

しばらくの間、俺達二人の間に妙な空気が流れるのだった。


そんな空気に何度もなりながら、俺達はルーシェの家に行くことにした。

あの四人のせいで、ルーシェの服が土や泥で汚れていたからだ。

ルーシェはついてこなくてもいいと言っていたが、途中であの四人が待ち伏せしている可能性もあるので一緒に行くことになった。


「ここが私の家よ」

着いた先はごく普通の家だった。

「ん?ルーシェ帰っていたのか」

家から出てきたのは手や足に鱗がついている男だった。

「ちょっとお父さん。ちゃんと隠してよ」

「えっ えっ? お父さん?ルーってハーフなの?」

「あ、うん。お父さんが龍人でお母さんが人なの」

「父のアランだ」

ルーシェは頷いたが、その顔は引きつっていた。知られたくなかったのだろう。

「ルー 心配するな。ルーが龍人とのハーフだったとしても俺は態度を変えたりしない」

俺がそう言うとルーシェはその言葉が嬉しかったのか、ちょっと涙ぐみながら微笑んだ。


……っ いきなりそういう表情をするのはやめてほしい。ドキっとするだろ。


「あ、ルイ。ちょっと着替えてくるね」

そう言ってルーシェはアランさんと俺を残して家に入っていった。


「……さて、色々と聞きたいことはあるが、取り敢えず歯食いしばれ」

「なんでですか⁉︎」

「ああっ?人の娘に手を出しておいて生きて帰れると思ってんのか?」

「いや、手を出していません。ルーとは…娘さんとはまだ友達です」

「まだってなんだ?その先を期待してんのか?……あと気安くルーって呼ぶな」

「えーー」

理不尽だ。いくらなんでも理不尽すぎる。

「お前今何歳だ?」

「五歳です」

「ルーシェと同い年か、これはまずいな」

ブツブツと言い出したかと思うと、次の瞬間とんでもないことを言い出した。

「おい、お前」

「ルイスです」

「ルイス、お前は俺の娘を守れる自信があるか?」

なんか結婚前の会話みたいだと思ったが、つっこんだら死にそうなので素直に答えることにする。

「守ってみせます」

「よーし よく言った。じゃあコレを受け取れ」

アランさんが木刀を放り投げる。アランさんの手にも同じく木刀がある。

つまり、それを証明してみせろということだろう。

「わかりました。その勝負受けましょう」

そんな会話をしている時、ルーシェが戻ってきた。

俺とアランさんを見比べ事情を察したのか声を荒げた。


「お父さんやめて。龍人と戦って無事でいられるわけないでしょう」

「大丈夫だ。ちゃんと手加減する」

「でもーー」

「ルーシェ、悪いけどこれは男と男の戦いなんだ。止めないでくれ」

「……っ」

私はルイの真剣な表情をみて何も言えなくなる。この短い間でわかったのだが、ルイが私のことをルーシェと呼ぶのは、真剣な時と動揺している時だけだ。


「わかったわ。けど危険だったらすぐにやめてね」

「ああ、分かった」

俺は頷いた。龍人相手に勝てるわけがないが、父様と比べたら劣るはずだ。

相手が油断している隙に仕掛けることが出来たら可能性もあるかもしれない。


「一つだけいいですか?」

「なんだ?」

「何をしてもいいんですよね?」

「卑怯な手だけは遠慮して欲しいが……まあいいだろう」

「ありがとうございます」

俺はお礼を言うと同時に走り出した。


アランさんは動かない。取り敢えず俺の一撃を受け止め、実力を図ろうとしているのか。


甘い‼︎


岩壁ロックウォール」俺はアランさんの両脇と後ろを岩壁で完璧に防ぎ、上から氷炎アイスフレイムを発動させる。

アランさんも流石に上級攻撃魔法を無詠唱で行うのは予想外だったのか、一瞬硬直するが、すぐに体の自由を取り戻し、すぐに上から落ちてくる氷炎アイスフレイムを叩き落とす。ーーだが、それはミスだ。

氷炎アイスフレイムは砕かれたことにより、中に閉じ込めていた炎がアランさんを襲う。

「くっ」

堪らずアランさんが岩壁から飛び出すが、そこはもう俺の間合いだ。

「一の型 疾風の太刀」

俺の中で最速の技が体制を崩しているアランさんを捉えたはずだった。だが、完璧に虚を突き、放たれた俺の一撃は、アランさんにあと少しのところで防がれていた。

「な、なかなかやるな」

俺の技ん止めたからか、アランさんに一瞬の気の緩みが生じた。

「まだだ」

俺が動き始める……と同時にアランさんが次の技をバックステップで回避しようとするが、俺はアランさんの行動を読み切り、距離を詰めた。

「人神流 流水りゅうすい

アランさんは俺が放った技を回避することができず、後ろへ飛ばされる。手にはしっかりとした手応えが残っており、完璧に捉えたことを指していた。

「やった…」

龍人であるアランさんを捉えたことに対する喜び、そして勝負が終わったという思い込みによって俺は気を抜いてしまっていた。

まだ終わってなどいなかったのにだ。

次の瞬間、俺の上半身と下半身を真っ二つにする軌道に斬撃が飛んでくる。


炎斬フレイムスラッシュだ。

やられる。そう思った瞬間、俺は父様の言葉を思い出していた。


龍人流の斬撃は大きくよけようとしてはいけない。ヘタによけようとすれば傷を負ってしまう。なので、斬撃スレスレでよけろ。そうすれば反撃にも移ることができるだろうと。


俺の体があとコンマ数秒で真っ二つにされる……そのギリギリのタイミングで俺はスライディングをして斬撃をよけ、俺が反撃をするために地を蹴る、らアランさんもほぼ同じタイミングで地を蹴り、俺達は二人のちょうど真ん中の地点で木刀を交わせた。

二人の木刀が折れ、静寂が訪れる。

今度こそ紛れもない勝負の終結だった。


「いやーすまん 途中からつい、本気になってしまった」

「本当に死ぬところでしたよ」

アランさんが油断していなければ、俺はもうすでにこの世にはいないだろう。しかし、油断していたとはいえ龍人と引き分けたということは、俺にとって大きな収穫だ。


「ほら ルー 大丈夫だった……ろ」

俺はルーシェの表情を見て何も言うことができなかった。泣いていたからだ。

「ルイのバカ、なんでこんな無茶をするの?もう少しで死んじゃうところだったじゃない」

「ごめん…」

「……ぐすっ」


俺は驚いていた。今日初めて会った相手にここまで心配させ、涙を流させるほどルーシェの中で自分の存在が大きくなっていたことに…

そして、俺の中でもルーシェの存在が大きくなっていたことに…

俺は泣いているルーシェの姿を見て無意識に抱きしめていた。一瞬ビクッとしたが、ルーシェも抵抗はしなかった。

そして、俺はルーシェの体温を感じながらようやく気付いたのだ。


俺はルーシェのことが好きだと、恋をしたということに。


「ン、ウウン」

俺達はアランさんの咳払いを聞き、慌てて離れた。今、俺とルーシェの顔は間違いなく真っ赤だろう。


「一つ聞きたいのだが、ルイス もしかしてお前の父はレイナルドと言うのではないか?」

「はい。剣神 レイナルド 賢帝 ミリアナの二人が僕の両親です」

「フッ やはりそうか、道理で強いわけだ」

レイナルドか……懐かしいな

遠い目をしながら、そうアランさんが呟いたような気がした。


「……それで、お前達はいつ結婚するんだ?」

「なっ……」

「お、お父さん⁉︎」

二人して顔を真っ赤にする。それを見てアランさんは冗談だと笑った。

「それは置いといて……ルイス」

「はい」

「ルーシェを任せたぞ。お前なら安心して任せられる」

「はい‼︎」

俺は改めてルーシェを必ず守ると決意した。


「それとは別なんだが、ルイス、修行はいつも何時ごろには終えている?」

「昼には終わります」

「じゃあ明日、二時ごろにルーシェと一緒に家にお邪魔する。レイナルドに懐かしい人が家に来るから予定を空けておくように言っておいてくれ」

やはりアランさんと父様は面識があるのだろうか?まあ取り敢えずそう伝えておこう。


色々と雑談もし、日がくれてきた。

「それじゃあ俺はそろそろ帰ります」

「そうか、そろそろ日が落ちるからな」

「はい」

ルーシェを見ると少し寂しそうな顔をしている。そんな顔をしないでくれ……

俺もさみしくなる。

お父さんが何かを察したのか俺にアイコンタクトをした。何だろう?

「さて、家に入るとするか……ルーシェ ちょっと郵便受けに何か入っているか見ておいてくれないか」

そう言ってお父さんは家に入って行った。

お父さん、まじカッコいいです。ありがとうございます。


「もう、お父さんったら……」

ルーシェらお父さんが気をつかったのに気づいたのか顔を赤くする。

……さて、折角チャンスをもらったんだ。チャンスを生かすとしよう。

「……ルーシェ、さっきは心配させてごめん。ルーシェが泣いているのを見て、そこまで心配させたことが辛かった。それに嬉しかった。今日会ったばかりの俺のことをそんなに心配してくれていることが嬉しかったんだ」

ルーシェは黙って俺の話を聞いてくれている。だけど、目には涙が溜まっていた。

「今日、ルーシェと出会って俺が初めて言った言葉を覚えてる?まだ数時間しか経っていないけど、その言葉を撤回させて欲しい。 俺はルーシェの事が好きだ。だから、友達しゃなくて恋人になって欲しい」

俺が恋人になって欲しいと言った瞬間ルーシェの目から涙が溢れた。

抱きしめたい衝動に駆られるが、俺は抱きしめない。抱きしめるのは返事が返ってきてからだ。

ルーシェが流れる涙を拭いながら答える。

「私も……会った時から好きでした。」

俺はその返事を聞いてルーシェを抱きしめた。

「…ルーシェ」

ルーシェが目を閉じる。

「……んっ」

俺はルーシェの顔に顔を近づけ軽く唇を重ねた。

触れるだけのキスだったが、それだけでルーシェはトロンとした表情をし、上目遣いで俺を見上げてくる。

「……っ……ハァ」

「ル…ルイ、もう一回して…」

その言葉を聞き、俺は今度は強く、そして長く唇を重ねた。

俺達は日が暮れるまでの少しの間、別れを惜しむように何度も何度も口づけをした。



「……えへ………えへへ」

私はベットの上でさっきのことを思い出していた。

手を唇に当てる。まだルイの唇の感触が残っていて、それが夢でないことを証明していた。

だが、その感覚が逆にルイと一緒にいないことに対する寂しさを増幅させていた。

「ルイ、早く会いたいよ…」

私は明日、ルイやルイの両親と会うためにどんな服を着ていけばいいのか考えているうちに、いつの間にか眠りについていた。



俺が家に帰ると、父様な門のところで仁王立ちをしていた。

「遅い。一体何をしていたんだ」

「ごめんなさい。話をしていたら楽しくて、つい……」

父様は俺が話をしていたらという言葉を聞いて嬉しそうに聞いてきた。


「ルイ、友達ができたのか?」

「いえ、できませんでした」

「え?じゃあ誰とーー」

俺は父様の言葉を遮り、でも……と言葉を続ける。

「恋人と話していました」

そう言ってその言葉に驚いて固まっている父様の横を通り、玄関の扉を開けて家に入ろうとした時にようやく父様が我を取り戻し、慌てて俺を追ってきた。


「ル、ルイ それは本当なのか?」

「本当です。明日の午後二時ごろに家に来てもらう約束をしていますので、その時に紹介します。懐かしい人も一緒に来るらしいので必ず予定を空けておいてください」

ルイはよろしくお願いしますーーそう言って家に入っていった。


ルイが去った後もレイナルドはルイの恋人のことや、懐かしい人とは誰かということで頭がいっぱいになり、しばらくの間 身じろぎ一つせず固まっていた。

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