準決勝後半
少しグロテスクな描写があります。
ジンの炎を纏った大剣と風と水の魔法を纏った俺の二刀とぶつかった瞬間化学反応が起きて周囲が光に包まれる。それと同時に爆発によって発生した衝撃と灼熱の炎が俺とジンの身を焼き焦がした。
闘技場が静寂に包まれる。
砂煙が徐々に晴れていく。
そして砂煙が晴れた後、観客たちの目に映ったのは表面に酷いやけどを負った倒れていた二人の姿だった。
二人の姿を見て慌てて中止しようとするヴェードと女王。だが中止はされなかった。
「「━━━━」」
ジンとルイスが声にならない声で何かを呟いたのをヴェードが気付いたからだ。
そしてその判断が正しかったかのように見る見るうちにジンとルイスのやけどが治っていく。炭化していたところでさえもだ。
滅神級回復魔法で最難易度を誇る『神天』歴史上でも数人しか使えなかったという回復魔法を使ったおかげか先ほどの見るも無残な姿から元通りの姿になっている。
二人がゆっくりと立ち上がった。
「久しぶりに死ぬかと思ったよ」
「相打ち覚悟でやったからな」
「下手をすれば二人とも死んでいたぞ」
「死なねえさ。俺にはまだやることが残ってるんでなっ!!」
鋭い踏み込みと共に居合の要領で抜き放った刀はジンの大剣とぶつかって激しい火花が散る。だがそれも一時の事。力負けしたルイスの刀はジンによって弾き飛ばされた。
普通は獲物を弾き飛ばされれば思わずそちらに意識が言ってしまうだろう。しかしルイスは刀が弾き飛ばされたことなど一切気にせずに腰の小太刀をジンに向かって投擲する。
自ら小太刀を手放したことに虚を突かれる。だがそれは刹那にも満たない時間の事、体をねじって心臓めがけて飛んでくる小太刀を当たる寸前で回避する。
小太刀を躱したことによってルイスは全ての武器を失った。目の前には丸腰のルイスが居るはずだった(・・・)。しかし、目の前に居たのは『神殺し』を手にしてジンに向けて振り下ろすルイスの姿だった。
ジンはその攻撃を感知すると同時に反射的に大剣でルイスの両手剣を受け止める。
「くそっ...この化け物がっ」
「その齢でこれほどの実力を持つルイス君も充分化け物だよ!」
鍔迫り合いの状態からジンが刀身を滑らせて両手剣を地面に叩きつける。そして一回転をして水平切りを繰り出す。ルイスはそれを剣から手を離し懐に潜り込んで回避、拳で腹に一撃を叩き込んでジンを吹き飛ばす。
ジンが倒れてもルイスは攻撃の手を緩めない。
剣を拾い、立ち上がったジンに最速の刺突を放つ。それをジンは大剣の頭で止めそれを支点にルイスの脳天に向かって振り下ろした。
その一撃に掠りながらも横に転がりながら回避し距離を取る。
一瞬にらみ合ったかと思えば二人同時に地を蹴り再び切り合いを始める。
一撃一撃が致命傷となりうる剣筋を完全を捌ききれずに肉を切り裂かれることもあるが二人とも刹那の時間でさえ怯むことなく剣を交え続ける。
ジンの切り上げ、ルイスの切りおろし。それは二人のちょうど中央で交わり二人を一歩後退させる。一歩後退したことによって僅かな間が生まれた。
「あああぁあぁぁあぁぁ」
最初に動いたのはルイスだった。左手に持った『神殺し』にで捻りを加えた刺突が人の左肩に突き刺さり貫通する。だが、ジンは貫通した剣など気にせずにこの戦いで何度目になるのかわからない左上段から袈裟斬りをした。
刺さった剣が肩の筋繊維を断裂させていくのにそのスピードは落ちることがない。
ルイスが咄嗟に右腕を突き出し身体を守ろうとする。
しかしその行為はジンの一撃の前には何の効果もみせなかった。
右腕が切り落とされ胴体が神速とも言える大剣の一撃によって抉られる。
右腕を失い、深刻なダメージを負ったルイスは立ち上がることが出来ず地面に伏せることになった。
この日、ルイスはこの世界に来てから初めて全力で挑んだ勝負で負ける事となった。
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一体何があったんだろう...
喜びと戸惑いを隠せません。
読んでくださっている読者の皆様本当にありがとうございます。
これからも頑張ります!!
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