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S.A.A.C― special action arms corps 〈戦鬼〉  作者: 黒百合
序―始まり/壱/弐/参
4/4

参/この世界

  ♢崩壊♢


全ての事の発端は2074年5月。アメリカ議会が軍に占領されたことだった。

これにより衰退した政府は崩壊、アメリカは軍による独裁国家「米帝国」となりかわったのだ。

時を同じくしてアメリカが支配していたと言って間違いない国際連合も崩壊し廃れていった。ニューヨークには今も空っぽの建物がそびえ立っている。


そもそもこうなったのはなぜか?

それはまだ続く紛争のせいだ。

因みにここでいう紛争は皆が知っているようなものとは別物である。

第二次リーマンショック後の底なしの不景気を打破するための殺し合い。余った在庫を吐き出すようにそこらかしこに戦いを仕掛けた。

しかし在庫が片付いたところに襲った予期せぬ異常気象、灌漑(かんがい)、洪水などによる食料不足に餓え。人口爆発。それによって勃発する更なる戦争―略奪戦。これは発展途上国に限ったことではなかった。


また先進国も例外ではなかったのだ。


たくさんの人が死んだ。

そしてーもちろん権力やカネを持つ先進国はなんとか食料を手に入れようと発展途上国からせびり取る。

それから何ヶ月もたたないうちに弱い国は崩壊した。誰もいない、荒涼とした大地に変わりきった。


―弱い国は強い国に食われる。

 まさしくそこは弱肉強食の世界だった。


そして誰もが恐れる事件が起きる。

同じく2074年11月末。

米帝軍はとうとう正気を失う。


「米帝国、これより我が国の命令に反抗する国は、徹底排除する!」


ついに恐ろしい時代がやってきたのだ。

世界は怒った。

怒ったが無駄だった。反抗した国はどの国も例外なく、とてつもない力でねじ伏せられる。


数年後、世界地図は赤の訂正線で埋まった。

例えば―南アメリカ、アフリカ。

これらの地域はもとより紛争地域で半ば自壊していくような感じで崩壊。人一人いなくなる。

中東では石油会社をそのまま横取りし、米帝国は石油不足を回避した。

西アジアはちょうどよい居住地として、荒廃した米帝国西海岸の住民に愛された。 

ヨーロッパ。

こちらはEU内で少し揉めたが、さっさと米帝国に服従。



あぁ。なんという無残なこの世。

でも、世界は絶望と闇だけではない。

きっと誰かがー。

誰かが!

この状況をー。




   ♢反逆♢


この世界に光はあった。

消えてない国だ。

それは日本、ロシア、中国に朝鮮(韓国と北朝鮮は合併)の4ヶ国。

これらの国は反抗もせず服従もせず米帝国と中立体制をとっていた。なぜそれが許されたか。それはもちろん今となっては米帝国も恐るる力を持っていたかもしれなかったからだ。

だから後回しにしようという考えらしい。


反逆。それは少し前に戻って2075年に始まりを告げた。

まず日本とロシアの首相及び外務省、防衛省―軍の2カ国間会議。

それまで領土問題でもめて近寄ることのなかった2つの国が念願の条約を結んだ。

日ソ軍事協力条約。

日本とロシアは軍事的協力をし合おうという条約だ。

さらに日ソ全面同盟。

政治、そして資源の助け合い。

資源が少ない日本にとってまたとない幸運だった。


更に2076年。朝鮮併合。

互いに満足するような形で朝鮮は日本に取り込まれた。

それからしばらくして2078年。

米帝国に訪問した中国第一皇女、ラン・メイファンの暗殺。

その後いきなり中国は日本と併合される。武力衝突はなぜか、確認されなかった。


米帝国はあせった。

今まで仲が悪い代表国のようなものだったあの4ヶ国がひとつになったのだ。しかもそのうち中国には手が出せない。


2079年7月22日。

米帝国は日本に宣戦布告した。



   ♢希望♢


 『警視庁報告書』より抜粋


警戒せよ。

近頃東京に不謹慎な外国人女性が現れた。髪は金に近い梨色で瞳は若葉色。なぜか人間味が感じられなかったという。禁止言語の英語を話しているところから米帝国の人間と思われる。

・2081年12月11日新橋。日本人の壮年となにやら深刻そうな顔で話していた。

・2081年12月25日渋谷。あろうことかクリスマスプレゼントと思われる大きな買い物かばんを抱えながらとてつもない速さで駆けていったという。

・2082年1月22日東京臨海部。今度は青年を連れて巨大な工場の中へ入っていったらしい。

青年も警戒すべし。―髪は紺。瞳は青。日本人である。



 『軍事報告書』より抜粋


2082年5月2日。闇に包まれしこの世界に一筋の光がさす。

S.A.A.C― special action arms corps 、通称〈戦鬼〉という新しい兵器が誕生したのだ。

兵器といってもただの兵器と訳が違う。

なんと一台で米帝国の大軍を壊滅させることが可能だという。最終的に7台導入予定である。

公開、実戦投入は2082年8月からとのこと。

結果が楽しみだ。



   ♢2087年の冬♢


あれから5年の歳月が過ぎた。

自分の魂の時を止めた私たちには身体の老いもなく、あの頃と何ひとつ変わってない。サイボーグなりたての時、そんな自分を鏡に写すと少々恐怖感を覚えた時もあった。

私は全てを置いてきた。何もかも。昔の仲間も、それらと過ごした記憶も。昔の無知な自分ももちろん......。新しい自分に生まれ変わるべく!

それでも私は私だ。

昔の私も今の私もー目指すものは同じだから。



「おーい。(もみじ)!」

「はーい!わかってる!メンテ早く終わらせろでしょ!翠錬(すいれん)くん」

「わかってんならやってくれー」

「待って!ー黒耀くん......大丈夫かな......」

遥か上に吊るされた大きなライトに照らされ、「椛」と呼ばれた女性の薄い梨色の髪が輝く。

若葉色の瞳がいつまで経っても修復槽にいれられたままの青年を睨んだ。

睨まれた青年、「翠錬」の髪は紺色。

まぎれもなく報告書に記載されていたあの二人だ。



「なーあ!!クリスマスパーティーにしてはなんか寂しすぎねーか......?」

赤茶の髪をわさわさと掻きながら口を尖らす飄々とした青年、「赤城」。

その隣でむむ、と唸る銀髪の華奢な少年、「白鷺(しらさぎ)」。

「日本の一般家庭と比べてだいぶ......いや、かなり豪華ですよ。あなたの出身地いったいどこですか?」

「う、うーん。どこだったけなー?」



火竜(かりゅう)!!だめです!!コーヒーにそんな砂糖入れちゃ!!いい加減太りますよ!」

「うっせーな!っていゆーか太らねぇよ!オレら機械じゃねぇーかよ!」

「火竜」と呼ばれた青年が短い黄土色の髪を逆立てて怒鳴り散らす。

それに対してボブの茶髪の美しき少女、「千鳥」が「全く。怒鳴る癖を強制的にやめさせるにっがーい薬つくってあげようか?」と返した。



1式《紫電》と翠錬。

2式《陽炎》と白鷺。

3式《武蔵》と赤城。

4式《氷雨(ひさめ)》と千鳥。

5式《(ほむら)》と火竜。

6式《瑲瑲(そうそう)》と椛。

7式《灼熱》と黒耀。


彼らは戦鬼。世界を変えることができる、人類最後の希望だ。

やばい。適当に文章作りすぎました。

とゆうことで、あとで年表でもつくりたいと思います!! 


------予告------

本編突入!

あれから二年、少女はどう過ごしているのか!?

そして果たして黒耀の戦闘は!勝つか?負けるか?

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