第4話 回復士リンネの証言
次は《天使の会合》のリーダーである回復士リンネに話を聞くことにした。
彼女を、埃まみれの部屋へ案内する。
「ゴホッ!ちょっと、ここの部屋汚すぎよ!なんてところにアタシを連れてくるのよ」
「申し訳ありません。生憎、この部屋しか空いておらず…」
……どいつもこいつも、埃に文句ばかり。
そもそもあなた達が一斉に来なければ、こんな部屋に案内する必要もなかったのに。
私だって、好きでやっているわけじゃ――
……いや。
少しは、やりたいと思っているかもしれない。
元探偵の血が、騒いでいる。
まあ……今はどうでもいい。
やるべきことは一つ。
三人の証言を聞き、本物の討伐パーティーを見つけること。
私はアルスにしたのと同じ質問を、リンネに投げた。
「クエストを承諾されたのは何日前ですか?」
「えっと……確か二日前よ」
「担当した受付嬢の特徴は覚えていらっしゃいますか?」
「もちろん覚えてるわ。黄色い髪の女の子よね。可愛い感じで、素直そうな子」
リンネは腕を組み、ふっと笑う。
「男受けも良さそうだったから、アタシのパーティーに誘おうかと思ったくらいよ。あなたも美人だし、本当はスカウト対象なんだけど……まあ、あなたは彼女と違って性格悪そうだけど」
「余計なお世話です。それに……もしあなたが本当に美しくて性格も良いのなら、この問題を解決していただけますか?」
「ふふっ、それはあなたの仕事でしょう?ドラゴンを倒したのはアタシ達なんだから」
「では、どのように討伐されたのですか?」
「簡単よ。アタシ達《天使の会合》は回復が得意なの。彼氏候補No.1で、パーティー唯一の剣士――ケンに特攻させたのよ」
さらりと、とんでもないことを言う。
「……特攻、ですか」
「そう。だってアタシ、死亡してもすぐ蘇生できるし。知らないの?結構有名よ?」
「申し訳ありません。存じませんでした」
受付嬢としては失格かもしれないが、正直どうでもいい。
「……それより、“彼氏候補No.1”とは?」
「ああ、それは言葉通りよ」
リンネは得意げに語り出した。
「アタシって美しいでしょ?性格も良いし。だからアタシ目当てで入ってくる男が多いのよ」
「でもね、いつも最終的には他の女メンバーとくっつくのよ。最初はアタシ目当てなのに。どうしてだと思う?」
……なんというか。
思っていた以上に、重い話だった。
「……あまりに高嶺の花すぎて、自分では釣り合わないと思うのでは?」
「……ああ!そういうことね!」
リンネはぱっと表情を明るくした。
「ありがとう、納得したわ!……もしかしてあなた、性格いい?」
「それはどうでしょうね」
これ以上踏み込むと、別の意味で深淵を覗きそうだ。
私は適当に会話を切り上げ、三人目へ移ることにした。




