表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

第1話 退屈な終わり

 今日も退屈だ。


 私はカウンターに頬杖をつき、冒険者たちの喧騒をぼんやりと眺めていた。


 テーブルでは筋骨隆々のファイター二人が腕相撲に興じ、壁際では初心者らしきパーティが依頼書を睨みつけ、奥の席では昼間から酒盛りを始める中年冒険者たちが笑っている。


「そういえば先日、魔の森林のカブトドラゴン討伐にSランクパーティーが向かったらしいな」


「ああ。でも、あれは命懸けだろ。Sランクでも危ないって話だ」


「まぁ…俺たちBランクには縁のない話だな」


 そんな会話も聞こえてくる。


 ギルドには、いつだって様々な光景がある。

 だがーー事件も、謎もない。


 ……退屈だ。


 改めて名乗ろう。


 私の名前はシャロ・エルキー。

 王都近郊のギルドで受付嬢をしている。

 もっとも、これはこの世界での名前だ。


 元の世界では遠藤紗代。二十四歳。

 職業、私立探偵。


 ここでの名前は、自分の好きな名探偵達の名前を少しもじったものを名乗っている。


 浮気調査、失踪人捜索、企業間トラブル――依頼があれば何でも請け負った。


 だがある浮気調査で、依頼主の夫とその愛人の関係を暴いた結果ーー

 逆恨みに遭い、命を落とした。


 そして目を覚ましたら、ここだった。


 異世界転生。


 まさか本当に存在するとは思わなかった。


 けれど、勇者にもならなければ特別なスキルもない。


 与えられたのは、平凡な人生だけ。


 ……まあ、命があるだけマシか。


 今はこうして受付嬢として働いている。


 戦うのは嫌いだし、安全なのは悪くない。

 ただーー


 謎がない。


 それだけが、少し物足りなかった。


 そんなことを考えながら、依頼書の処理をしていた、その時だった。


 ーードン。

 ーードン。

 ーードン。


 重い音が三つ、同時にカウンターへ落ちる。


 そこにあったのは、黄金色に輝く巨大な角が三本。


 先日クエストを承諾した、Sランククエストのカブトドラゴンのツノ。


「討伐完了だ」

 低い男の声。


「報酬をいただきに来たわ」

 艶のある女の声。


「一億マーネ。早く振り込んでくれ」

 無愛想な声。


 私はゆっくりと顔を上げた。


 そこに立っていたのは、三組のパーティーのリーダーらしき三人。


 全員が、同じことを言った。


 カブトドラゴンは、自分たちが倒した、と。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ