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秘密の鍵

Avelinアヴェリンです。


第6話では、玲司がサラを誰も知らない“特別な場所”へ連れていきます。


けれど、そこで出会った人物が残した言葉が、甘い夜の空気を一変させます。



「サラ、今夜は……俺だけの場所に連れて行く」


「……え?」


「お前にしか見せない場所だ。覚悟して」


車のエンジン音が夜の街に溶ける。

窓の外、光が流れ、心臓が静かに高鳴った。


着いた先は、高層ビルの最上階。

プライベートエレベーターが静かに開くと――


「……すごい……」


ガラス張りの窓から、ソウルの夜景が一面に広がっていた。

その中央に、落ち着いた光を放つバーカウンター。


「ここ……?」


「俺と……一人だけの知り合いしか入れない」


その“知り合い”が、カウンター奥から姿を現す。

鋭い目つき、けれど口元は余裕の笑み。


「……あの玲司が女を連れてくるなんて」


「初めて見る」


「やめろ」


玲司が低く遮る。


彼は私に視線を移し、ゆっくりと値踏みするように見た。


「君が……噂の人?」


「え……噂……?」


「この人が――玲司を変えたっていうの?」


(変えた……? 私が?)



グラスを磨きながら、彼は少しだけ笑った。



「気をつけなよ、サラさん」


「……え?」


「玲司は――」


「やめろ」



玲司の声が重なった瞬間、空気が一変する。

低い声に、背筋がぞくりと震えた。



「もういい。行くぞ、サラ」


「え、あ、はい……」



エレベーターの中、沈黙が続く。

夜景の光が彼の横顔を淡く照らしていた。



「……さっきの人、誰ですか」


「……昔からの知り合いだ」


「何を言おうとして……」



突然、肩を引き寄せられる。

耳元に、低く甘い声。



「サラ、俺の過去に触れるな」


「……」


「触れたら――二度と離さない。いいな?」



その声は、優しいはずなのに危険な匂いがした。

私は何も言えず、ただ心臓の音だけが響いていた。


お読みいただきありがとうございます。


「秘密の鍵」――玲司が見せた“特別な場所”と、遮られた言葉。


サラはまだ、そこに隠された過去を知りません。


次回、玲司が『サラを見せつけたい理由』が明らかになります。


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