それ、俺以外の前で着たら――怒るよ?
Avelinアヴェリンです。
今回の第4話では、ついにサラが玲司と外の世界へ――。
完璧な笑顔の裏に潜む、甘く危険な嫉妬と独占欲。
そして、帰宅後に待っていたのは……息もできないほどの距離。
この恋がもう“安全圏”ではないことを、あなたも感じてください。
「サラ……それ、俺以外の前で着たら――怒るよ?」
低く落ちた声が、心臓を直撃した。
「……え?」
灰色の瞳がまっすぐ射抜く。
ほんの少しの意地悪と、包み込むような甘さが同居している。
「……そのワンピース、似合ってるよ。
俺が“サラのためだけに”選んだものだから」
白くふわりと揺れる生地。細かいリボン。
可愛いけれど慣れないデザインに、背筋が自然と伸びる。
「こ、こんな服……私には、ちょっと……」
「ちょっと何?」
距離を詰める彼の笑みが近づく。
熱が頬を染めるのを、自分でも止められない。
「可愛すぎて自信がない?
……じゃあ、俺が保証する。俺が好きなサラだから、間違いない」
(……こんなふうに言われたら、もう……)
頬に触れる大きな手。
その指先は優しいのに、支配するように離さない。
「着替えて。今日は特別な日だから」
「特別……?」
「“俺が大好きなサラを連れて歩く記念日”だよ」
玄関で待つと言い残し、柔らかく笑って去る背中。
胸を押さえ、深呼吸しても落ち着かない。
高級デパートでは、次々と差し出される服。
「これも似合う」と言われるたび、視線が熱を帯びる。
すれ違う女性たちのひそひそ声が耳に残る。
「今の……玲司さまじゃない?」
(玲司さま……? 彼って……)
カフェでは友人・悠真が現れた。
「玲司が女の子を連れてるなんて初めてだな」
笑う声に、思わず私も微笑んでしまう。
――その瞬間。
席へ戻った玲司の足が止まった。
笑っていない瞳。握りしめた拳。
(……サラ、誰にでもそんな顔をするんだ?)
カフェを出ても、車内でも、彼は黙ったまま。
けれど握られた手は、熱く、強く、逃げ場を与えない。
玄関のドアが閉まった瞬間――壁際に追い詰められる。
「……他の男に、あんな顔して笑うなんて……ダメだろ、子猫ちゃん」
吐息が首筋にかかる。
ゾクリと震えるのに、胸は熱を帯びていく。
「サラは……俺だけのものだから」
両手首を頭上で優しく固定される。
でも、その優しさは“逃がさない”という鎖でもあった。
「さっきの顔、俺にも見せて。……それとも、俺じゃ足りない?」
「そ、そんなわけ……!」
「なら、証明して。
サラは俺のもの――そう感じさせるくらいに」
唇が触れそうで触れない。
全身がその一瞬を待って、震えて――
……ふいに、距離が開いた。
「……じらした方が、サラって、すごく可愛くなる」
(意地悪……なのに、嬉しい……)
髪を撫でる指先だけで、立っていられなくなる。
「……次は、覚悟してね。もう二度と、俺から逃げられなくしてやる」
耳に落ちた囁きが、甘く焼きつく。
──そして、甘いお仕置きは、まだ始まってすらいない。
お読みいただきありがとうございます。
「それ、俺以外の前で着たら――怒るよ?」いかがでしたか。
優しさの奥で牙を光らせる玲司。
サラはまだ知らない――次の夜、自分がどこまで奪われるのか。
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あなたの一声が、次の“甘い鎖”を強くします。