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朝までそばにいて

Avelinアヴェリンです。


第3話は、玲司の腕の中で迎える“朝”。


優しさに溶かされ、独占欲に絡め取られていく――。

サラが彼の世界に染まり始める瞬間を、どうぞ。



「サラ……同じベッドで寝る?」

低く甘い声が、胸の奥を震わせた。

「えっ……あ、あの……!」


さっきまで温まっていた体が、別の熱で満たされていく。


「……いえ、その……私はここで……ソファで大丈夫ですから……」


言葉が消え入りそうになる。

すぐ近くで、ふっと笑う気配。


「ふふ……可愛い子猫ちゃん」


耳に残るその響きは、優しいのにどこか支配的だ。


「でも……ソファじゃ、眠れないでしょ?」

「サラはもう、一人で寂しく眠らなくていいんだよ」


隣に腰を下ろした彼が、肩を包み込むように抱き寄せる。

大きな手が背中をなぞった瞬間、呼吸が浅くなった。


「……目を閉じて。怖い夢を見ないように――」


額に触れた唇が、心臓まで優しく支配していく。

気づけば、彼の腕の中でまぶたを閉じていた。


温もりと、ほのかに香るシャンプーの匂い。

その心地よさは、夢の境界まで私を連れていった。


「……ん……」

目を開けると、すぐそこに玲司の顔。

「おはよう、サラ。……起きたばかりの顔、すっごく可愛い」


「な、なに言ってるんですか……!」

布団に潜り込む私の腕を、彼の手がそっと引き寄せる。


「隠れても、俺は見つけるよ」


リビングのテーブルには、香ばしいトーストとあたたかなスープ。

大きな窓から朝日が差し込み、まるで映画のワンシーンみたいに輝いている。

「サラの朝は、これからずっと……こうだよ」


「え……?」


「ここで、俺と目覚めて――俺が用意した朝食を食べる」

「……もう、寂しい朝なんて来ない」


彼の手が私の手を包む。

その優しさの奥に、揺るがない支配の気配が潜んでいた。


食後、スマホが震えた。

画面に映る名前に、ほんの一瞬だけ胸がざわつく。

玲司は無言でスリープにし、ゆっくりと私を見た。


「ここでは、サラは俺だけの子猫ちゃんだから」

「……誰にも触れさせない」


顎を持ち上げられ、灰色の瞳に捕まる。

その距離は、キスよりも甘くて――もっと危険。


「今日は、一日俺と過ごそう。……サラの全部、俺に見せて」


(……私、この人に、完全に溺れてる)

(もう、逃げるなんて考えられない)

彼の指が髪を撫で、囁きが耳をくすぐる。


「明日は……もっと深く、俺の色に染めるから」


背筋が震えるのに、胸は熱くなる。

次の夜が怖くて、でも――待ちきれなかった。



お読みいただきありがとうございます。


「朝までそばにいて」――

優しさと独占欲の間で、サラはもう後戻りできません。


次回、玲司の「牙」が甘さの中から静かに覗きます。

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